異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

153話 子供達の笑顔

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 ケンジは、採掘で掘れた鉱石ではなく粘土を出した。そして、こねくり始め人差し指ほどの大きさの、ランスロットが剣を構えたフィギュアを作ったのだった。

「主殿、それはなんだ?なんかランスロットのように見えるが……」

「おっ、分かるか?」

「そりゃまあな。主殿はなんでも器用にこなすなぁ。それで一体これはなんだ?」

「今日、学校に行って来て、子供達に人気なものを聞いたらなんと鳳凰騎士団だったんだよ」

「まあ、子供達にはあこがれの存在だからな。そりゃ当然かもしれんな」

「なんだよ、ダンギは知ってたのか?」

「これは当たり前の情報だから、主殿も知っているとばかりと思っていた」

「まあ、いいや。それで第2位は魔物がかっこいいんだと言うんだ」

「確かに、主殿が言う様にハヤテが町に出ると、人気で子供が集まって来るからな」

 ハヤテは高ランクの魔物で、普通なら絶対に一般国民では近づく事の出来ない魔物であり、真っ黒なボディーで普通の馬の何倍もの大きさで、鬣は真っ黒な炎の様に揺らめいて実にかっこいいのである。

「そうなんだよ。それでこれを作ったんだ」

 今度は、粘土で、ランスロットより少し大きくハヤテを作った。前足を上げて威嚇したような姿が実にかっこよかった。

「で、これらはいったい?」

「これを食器のように、融液をかけて焼き上げるんだ」

「ほう、なかなか面白そうだな」

「そして、今度作ったキャラメルのおまけにつけて、給食時に配ろうと思っているんだ」

「なかなか面白そうな試みだな」

「これが、子供達の玩具か?」

「なんか変か?」

「いや……よくわからんが子供達には喜ぶのか?町にはこういう物がもうあると思うぞ?」

 確かに、このイズモ大陸には石材で彫刻家が彫って商売をしている。その中には、魔物や動物を彫刻し販売していた。
 その繊細に彫った物は高値で販売され、腕のいい彫刻家は元貴族や商人に自分をモデルに彫らせたりしていたのである。

「そんなものは子供達には手が届かんだろ?」

「そりゃそうだが……」

「この玩具は、おやつについてくる玩具で箱を開けるまで、何が入っているか分からないようにするんだ」

「どういうことだ?」

「つまり、おやつを食べるとき箱を開けるまで、何が入っているかわからないドキドキ感が良いんだよ。つまり、色んな種類のものが入っていて、鳳凰騎士団でも人気一位のランスロットが入っていたら、子供達は喜ぶだろ?」

「た、確かに、子供は喜びそうだな」

「これは売り出すのか?」

「今のとこ売り出すつもりはないよ。これらは給食で配布するものだからな」

「なんでだ?」

「今のところ、子供相手に商売はできないからだよ」

「な、なるほなあ」

「まあ、俺の予想では……」

「主殿何か言ったか?」

「いや……なんでもないよ」

 ケンジは、これらの作業が出来そうな人間に任せた。そして、フィギュアの割合も説明して、その多くはCランク魔物(オークやオーガ)までにして、鳳凰騎士団は団長や隊長クラスの人間は少なく、雑兵を多く製作する様に指示を出した。

「なんで、主様は魔物のゴブリンやフォレストウルフを多く製作させるんだ?」

「よくわからん……」

「どうせ魔物でも作るんなら、ドラゴンやグリフォンのような人気のある魔物を作った方が喜ぶだろうに……」

「だよな……その中でも鳳凰騎士団は、さらに少ない数だからよくわからないよな……」

「まったくだぜ……」

「おらぁ~!お前ら、主殿の言う事は黙って聞けばいいんだ!何か絶対理由があるんだからな!」

 ダンギとシェムは、弟子達に活を入れ直したのだった。それを見ていたケンジは笑っていた。

 そして、次に行ったのが屑石と呼ばれる売り物にならない宝石をだした。

「あ、主殿!まさか本物の石を子供の玩具に使うのか?」

「何を驚いてんだ?こんな小さい石、何にも使い道がないじゃないか」

「だが……それを何に使うんだ?」

「これは女の子バージョンのおまけだよ。ちょっとアイリの工房に行ってくるから、後の事は頼んだぞ」

「わ、分かった……」
「主殿の考える事は分からんのう……」
「シェムもそう思うか?俺もだ……奴らの言う様に、どうせ作るのなら人気のランスロットや、ドラゴンを玩具に入れてやった方が子供達も喜ぶだろうに……」
「じゃが、主殿には何か考えがあるようじゃしの」
「だな……」

 ケンジは細工工房にやって来た。

「アイリ、いるか?」

「ご主人様!細工工房に来るのはひさしぶりですね」

「ああ、お前に頼みたいことがあるんだ」

「ボクにですか?」

「アイリは今、細工スキルいくつになっている?」

「当然120は超えてますよ。今、134.07あります」

「そうか。お前にやってほしいのは、子供の玩具でネックレスを作ってほしい」

「子供の玩具?」

「ああ、この屑石でネックレスやブローチやイヤリングをよろしく頼む」

「台座をどうするのですか?」

「銀のインゴットでよろしく頼む」

「わ、分かりました……子供の玩具でこの材料?……」

「デザインは、学校に通っている子供が可愛いと思う様なデザインにしてほしい」

「わかりました。いくつか試作品を作りますので、出来たら見せにいきます」

「ああ、それでよろしく頼む」

 数日後、上がってきた玩具を見たケンジは大満足だった。アクセサリーもそうだが、フィギュアの方も充分な出来だったからだ。
 さすが、製作した人間が120以上のスキルを持つ者ばかりで、細部までいき届いた作品だったからだ。




 そして、1ヶ月後学校では給食にキャラメルが配布されたのだった。このキャラメルは子供達に大盛況であり、箱を開けたとき子供達は目を輝かせたのだった。

「なんだこれ!」
「す、すげええ!」
「この魔物動き出しそうなくらい細かい」
「俺の人形、サーベルタイガーだぜかっこいい!」
「いいなあ……俺オークだった」

 その中、子供達の間でざわめきが起こったのだった。

「お、俺の人形鳳凰騎士団だ!やったあああ!」

 その瞬間、子供達のヒーローだった。

「ホントか?ハイツ見せてくれ!」

「ああ、いいよ。ほら?鳳凰騎士団だろ?」

「ホントだ!すげえ!いいなあ。俺のオークと交換しようぜ」

「絶対いやだ!」

 そのやり取りを見ていた、周りの男の子達は大笑いしていた。一方、女の子達も賑わっていた。

「きゃあああ!」
「きれええ!」
「あたしの見てぇ。綺麗でしょ?」
「何かお姫様になった気分」

 女の子達は、ネックレスやイヤリングをつけてキャッキャと着飾っていた。
 その中でも、当たりと言われていたのが指輪だった。指輪でも、ダイヤがついていたアクセサリーを引いた女の子は自慢げに、将来好きな男の子に貰えたような気分になっていた。





 教師が驚いたのは、子供達の興味が玩具の方に向いた事だ。子供達は甘いお菓子を、ほとんど食べたことが無いので、誕生日とかにしか甘いモノを食べられないから、キャラメルの方に興味が向くと思っていたのだった。

 しかし、子供達は玩具に興味を示していたのだった。

(いったい、どういう事?)

「先生!このおやつってこれから毎日貰えるの?」
「あたしもほしい!」
「「「「あたしも!」」」」
「「「「おれも!」」」」」

「いいえ、違いますよ」

「「「「「「えぇ~~~~」」」」」」
「じゃあ……いつ?」

「1週間後よ」

「本当に?」

「えぇ、本当よ。それまでに、国王様の所でおもちゃを作ってくれているのよ」

「へえええ!すごぉ~い」

「俺、次こそは鳳凰騎士団を当ててやるんだ!」
「「「「「おれも!」」」」」

 女の子達は、指輪を当てると騒いでたのは言うまでもなかった。


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