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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

152話 子供達の楽しみ

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 ケンジは、人身売買の事件を解決した。この事で、国民達はやはりこの国に移住してよかったと思っていた。
 奴隷商店も、Freedom国にたてつく事はなく、ルール改定をしたのだった。ケンジは、ローゼリアの持ってきていた情報を持って、奴隷商の本部にきた事も大きな要因の一つでもあった。

「きょ、今日は何の用事でしょうか?」

「今日は、あなた達の行動について話をしておきたかったんだ」

「ど……どういう事でしょうか?」

「今回、うちの国の中で人身売買があった事は知っていますよね?」

「そ、それがどうかしましたか?私達には……」

「まあ、これを見てくれよ」

 ケンジは、ローゼリアにつけていた虫型ゴーレムの映像を見せたのだ。それを見たアルゼリアつまり、奴隷商の元締めは顔が真っ青になった。

「こ、これは!」

「自分の事だからよくわかるよな?奴隷商は関係ないとは言わさんぞ?」

「も、申し訳ございません!」

 アルゼリアは、ケンジに対して震えあがった。

(Freedomには、こんな偵察用の魔道具があるのか?)

「言い訳になるのですが、私達奴隷商はFreedomに反旗を翻すような意思は持っていません。それに、この映像にもありますが……」

「ああ、分かっている。今回はあなた達の行動もこちらは把握しているつもりだ。我々、Freedomの意思を汲み取っていただき感謝している」

「えっ……」

「今回訪問した理由は、奴隷商が過去からのしがらみや、常識を変えようとしてくれたことだ。元締めのあなたが反省?したのかどうかは分からないが、これからああいう事をしないと誓ってくれるのなら俺は言う事ないよ」

「は、はい!それはもう……」

「しかし、今度ああいうことを常識として行った場合、俺は俺の信じるものの為に、行動を起こすからそのつもりでいてくれ」

「わ、分かっています!死者蘇生の技術を持つFreedomに逆らうつもりは毛頭ありません」

「いや、これは奴隷商に圧力をかけているのではなく、Freedom国で犯罪を起こさない様にと言っているだけだ。だから、ああいう人身売買をやめてくれたら、俺は何も言うつもりはないよ」

「はい……」

 ケンジは圧力をかけていないと言ったが、奴隷商からしたら十分圧力をかけている他なかった。しかし、奴隷商が裏で当たり前のように行ってきていた犯罪が無くなった事で、ケンジはそれでよかったのだった。




 そして、屋敷に帰って来たケンジは、工房に帰ってきて子供の遊びを考えていた。

「主殿、久しぶりに工房に入って来たと思ったら何を悩んでいる?」

「ダンギか……いや、子供の人気のあるものって何がいいかなあって思ってな」

「子供に人気と言やぁやっぱ飯じゃないのか?学校で給食の時は、すげぇはしゃいでいるって言うじゃねえか」

「いあ、そういうんじゃなくてだな。子供って何で遊んでんだ?」

「子供が遊ぶといやぁ、オーガごっことか家族ごっことかじゃないか?まあ、それも4歳5歳ぐらいまでじゃねえのかな?後は、親の手伝いを始めるのが普通だな」

「こっちの子供は大変なんだな……」

「ダンギは今の楽しみって何だ?」

「そんなの聞くまでもねえよ。主殿が時々飲みに連れてってくれるじゃないか。本来奴隷の俺には飲む事なんぞできないんだからな。それに、娼館にも連れてってくれるじゃないか」

「やっぱそれぐらいしかないんだよな……」

 ケンジは、子供達に何が人気なのか分からない為、学校に顔を出す事にした。 

 すると、子供達はケンジを見ると、元気よくとびついてきたのだ。

「「「「「うわあああ!国王様だぁ!」」」」」

 ケンジは、子供達にも人気があり、まさか学校にケンジが来るとは思っておらず、いきなりの登場にテンションが上がりまくっていた。

「みんな元気がいいな。ちゃんと勉強はしているか?」

「俺、勉強は嫌いだけどちゃんとやっているぞ!」
「「「「「あたしも!」」」」」
「「「「「俺も」」」」

「そっか!えらいなあ」

 子供達はケンジに頭を撫でられて笑顔になっていた。

「そういえば君達に聞きたいことがあるんだけど、お兄さんに教えてくれるかな?」

「「「「「なにがききたいの?」」」」」
「「「「「なになになに?」」」」」

「ああ、君達の中で何が興味あるものとか、人気なものとかなにかあるかい?」

 すると、男子児童の間では鳳凰騎士団に憧れている子供達がダントツで、次に魔物に興味を持っていた。騎士団に憧れるのはなんとなくわかるが、まさかの魔物たちだったのだ。
 ケンジも言われるまで気づかなかったが、ハヤテやツバキ達は町に出ると子供達が集まってきていたのだった。ケンジはそう言われると、魔物は怖いモノだと思っていたが、ブラックタイガーやドラゴン等はフォルムがかっこいいからなんだろうなあとおもったのだ。

 そして、女子児童からはやはり、小物やアクセサリーに興味があったようだ。女の子はやはり休み時間にリボンや小物を自慢しあっているみたいだった。

「なるほどなあ!よくわかったよ。色々教えてくれてありがとね」

 子供達は元気よく返事をしたのだった。ケンジはその足で今度はNFGに顔を出したのだった。

 すると、ギルド職員はケンジの登場で緊張が走ったのだった。

「こ、こ、国王様?なんでこんなところに?」

 周りにいた職員は、もちろん構成員達もその場で頭を下げたのだった。

「みんなそんなにかしこまらなくていい。普通にしていてくれ」

「「「「そんな事を言われましても……」」」」

「まあ、いいからいいから、冒険に行く人間はそのまま出て言ってくれて構わないしいつも通りにしてくれ」

「「「「「わ、わかりました」」」」」

 すると奥から、ウランが出てきたのだった。

「ご、ご主人様、何かあったのですか?」

「いや、ちょっと確認したいことがあってだな」

「なにか、不安事でも?」

「そうじゃない。俺が構成員だった時、Fランクの町の人間からの依頼って、報酬は安いモノなら1ドゴンだっただろ?」

「そ、それがなにか?」

「今、町の雑用ってどれくらいの報酬なのか気になって見に来たんだよ」

「今はフリーの町では3ドゴンが平均ですね。至急やってもらいたい時になると5ドゴン出す人もいるようですよ」

「ほう!それなら10歳ぐらいの子供でもなかなかの報酬がもらえるんだな?」

「ええ。ご主人様のおかげで、国民の生活水準が上がっている証拠ですよ。まあ、これはフリーの町や大きな町に限っての事ですが、元帝国領の町になると今だ1ドゴンしか払えないみたいですが……」

「そうか……まだまだ頑張らなきゃいけないな」

「えーっと、聞きたいことはそれだけですか?」

「ああ。ありがとな。それだけ聞ければ十分だ」

 ケンジはそれだけ聞いて、NFGを後にしたのだった。

「あの、主?何を考えてんだ?」

 マードックはケンジの護衛をして、何をやっているのか気になってしょうがなかった。

「まあ、見てな。子供達が喜ぶものを作るから」

「子供達が喜ぶもの?」

 ケンジは、厨房に行き場所を借りたのだった。

「ミナレス。ちょっと場所を借りるぞ?」

「ご、ご主人様?こんなところで何をやってんですか?何か作るならわたしがつくりますよ」

「まあまあ、ちょっとお菓子を作ろうと思ってな」

「お菓子ですか?」

 ケンジはそう言って、水飴とバターとミルクを混ぜて鍋の中で煮詰めていった。
 
「ご主人様?いったいなにを?」

「これでキャラメルを作っているんだ」

「キャラメル?」

「まあ、見ていてくれ」

 ケンジは焦げ付かない様に、かき混ぜながら水分を飛ばしていった。ある程度の固さになり、パレットに流し込み冷蔵庫で冷やしたのだった。そして冷やしたものを、一口サイズのブロック状に切って仕上げたのだった。

「ご主人様、これがキャラメルですか?」

「食べてみるか?」

 ミナレスはケンジに一粒貰い口に放り入れた。すると口の中に甘さが拡がり幸せな気分になったのだ。

「甘ぁ~~~~い」

「なっ。美味しいだろ?」

 厨房にいる女性達は、羨ましそうにミナレスを見ていたのだった。

「お前達も食べてみるか?」

「「「「「はい!」」」」」

 一粒づつみんなに分けて食べたら、みんな笑顔になり幸せそうにしていた。

「ご主人様。これを今度は売るのですか?」

「いや、これは子供達のおやつに作ったんだ」

「子供達のおやつ?」

「ああ。給食につけようと思ってな」

「これはいいですね。子供達も喜びますよ」

「ああ、何とかなりそうで良かった」

 しかし、ケンジはやっと工房に戻ってきたのだった。

「なあ、主?次は何をするつもりだ?」

「まあ、見てなって。子供達からいろいろ聞いてきたんだから、これからが本番だよ」

 ケンジはそう言って、石材を目の前に置いて集中し出したのだった。

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