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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

142話 Freedom国の未来

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 ケンジは、今回の事件の事でまだまだFreedom国は、国民にとって生活しやすい国ではない事を実感したのだった。

 今回3000人ものの犠牲者が出たが、ケンジも又これらの人間に対しては不憫に思っており何とか出来ないものかと考えていた。
 収容所に入れられた女性達は、裁縫工房に入れられタオルや靴下、シャツを製作していたのである。これらの商品は、裁縫が丁寧で格安商品として国民達から人気のある商品なのだ。

 この収容所に入れられた女性達は、3年間裁縫をやり続けなければならない。
 そして、刑期が済むと犯罪奴隷として売られてしまうのである。つまり、刑期が済んだとしても奴隷人生が待っており、この事に対してケンジは何かもやもやしていたのである。

「なあ、セバス」

「なんでしょうか?」

「今回の事件で、女性達の刑期は3年と決まっただろ?」

「そうですね……本当に不憫に思います」

「でだ、何で3年という時間で罪を償ったのに、犯罪奴隷のままなんだ?なんかおかしくないか?」

 この質問に、セバスはポカンとした表情でケンジを見つめていた。

「ご主人様、いったい何を言っておられるのですか?」

「えっ?」

「確かに、あの女性達は運がなかったと思います。旦那が死んでしまった事で生活が出来なくなり、結果犯罪奴隷になってしまった。それは確かに不憫に思います」

「だろ?万引きでと言ったら語弊があるかもしれないが、それによって逮捕されて禁錮刑3年という罪を償ったじゃないか。だから、それで終わりじゃないのか?」

「それは違いますよ。あの女性達は生活が出来ないからと言って窃盗という犯罪に手を出したのです。それは充分奴隷に堕ちることなのですよ」

「だけどなあ……刑期が終われば反省したとみなし、更生したとみなすべきだと思わないか?」

「ご主人様、何を言っておられるのですか?よく考えてみてください。旅人達は町に入場するとき、お金を払って入場しますよね?」

「ああ。何で今その話なんだ?」

「それでご主人様は、最初入場料を払い続けていましたか?」

「いや、ギルド構成員になって入場料を免除してもらった」

「それは、ギルド依頼をこなす事で入場料を免除してもらったって事ですよね?」

「まあ、そういう事だな」

「もし、そこで構成員にならず旅人のままだったらどうなっていましたか?」

「そりゃ、町に入るたびに入場料を払い、長い行列に並んでいただろうな」

「そうです。旅人は依頼をこなす事はせず、町の滞在期間1週間という短い期間だけ町に滞在できるのです。延長するのなら、またお金を支払わないといけないのです。もし、延長料金を払っていなくて衛兵に捕まると奴隷落ちになるのですよ?」

「それも思っていたんだが厳しくないか?」

「そんな事はありません!犯罪奴隷は犯罪の抑止力になっているのは事実なのです。話を戻しますが、大半の人間は生活が出来ないからと言って万引きなどしないのです」

「それは分かる気はするが……」

「いいですか?ご主人様のいた世界では更生させることが普通の事だったとはおもいますが、この世界では犯罪を犯す人間は、又絶対に犯すと認識したほうがいいです」

「だから、犯罪奴隷にするという事か?」

「そういうことです!しかし、セイラのような貴族に嵌められた人間もいますが、セイラは嵌められて犯罪奴隷となってしまっただけで、犯罪に手を染めた訳ではないのです。しかし、今回のような女性達は生活が出来ないからと言って、安易に犯罪に手を染めたのです。言ってみればご主人様の嫌いな人種と同じなのですよ」

 ケンジは、セバスの説明に納得してしまった。確かに、今回の女性達は弱みを握られ働かされていたと思ってしまうが、万引きされた店の経営者からしたら、自業自得であり同情の余地なしと言われるのである。

 そして、セバスの言う通りこの世界はまだまだ治安はよくはない。気を許せば食い物にされるのが日常茶飯事の世界である。

「だから、ご主人様はあの女性達に対して憐みなど思わなくてもよろしいのです。あの女性達の子供達を救えたと思っていたらいいのですよ」

「分かったよ……」

「本当にわかっていましたか?ご主人様の事だから、あの女性達の刑期が終えたら、全員を引取ろうと思っていたんじゃありませんか?」

 ケンジは、セバスの言葉にギクッとした。それを見たセバスはやれやれといった雰囲気でケンジを見たのだった。

「そ、それは……」

「ご主人様が、優しいのは分かりますが、今回の件は絶対にお止め下さいね」

「わ、分かったよ……」

「絶対ですよ!もし仮に引取るのなら、ご主人様が嫌っている奴隷としての扱いをしないと示しがつかなくなりますからね」

「わかったって!」

 すると、書斎にマイが入って来た。

「セバス、もうその辺で許してあげてよ」

「マ、マイ様」

「ケンちゃんは、まだこの世界の常識を分かってないのよ。あれだけみんなが口を酸っぱく言っているけど、もう変わらないと思うよ」

「そんなことは無いぞ……」

「でも、あなたの日頃の態度や行動で、それが顕著に表れているじゃない」

「まあ、ご主人様の行動はそれ一択ですね」

「な、なんだよそれ……」

「だって、あなたはこの世界の常識が納得できないから、国を作り常識を根底から覆そうとしているじゃない」

「まあ、そう言われたらそうなのかもしれないが、そうハッキリ言わなくてもいいじゃないか」

「まあ、それは置いといて、今回の件はセバスの言う通りにした方がいいわね。じゃないと、本当に示しがつかなくなるわ」

「わ、分かったよ……」

「これだけは言わせてね」

「なんだよ?」

「ケンちゃんが理想として自由に生活できるような国は、多分だけどタクミが成長し子供が出来て、その子供が王位についたころになるのは確かね。今は、あなたがその種をまいている所なのよ」

「まあ、マイ……お前の言う通りだな……今はまだまだ頑張らなきゃいけないって事だ」

 セバスは、ケンジとマイを見て微笑んだと同時に、ケンジが理想とする世界が見たくなったのだった。後、どれだけ生きられるかわからないが、セバスはケンジにずっと側でこの国の行く末を見て行くと誓ったのだった。


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