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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

137話 怪しい行動

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 鳳凰騎士団は、自殺者の事を洗い直す事にした。すると、おかしな共通点がでてきたのだ。

「こ、これは一体どういうことだ?」

「団長、これはやはりケンジ様の言った通り事件に巻き込まれたのでは?」

「しかし、自ら命を絶っているのは間違いないのに、なぜこの人たちは命を絶たなくてはいかなかったのだ?」

 自殺者の母親を調べていくと、みんな食うに困って周りの人達に助けて貰っていた人間ばかりだった。しかし、ある時就職が決まり、貧乏ながらに生活が出来ていた。そして、自殺者はみんな就職が決まって1か月以内に自殺していたのだ。

「本当ですよね。周りの人間に聞くと、みんな職が決まって生活が出来る様になったという事ですしね……」

「よし、今度はどこで就職したのか調べてくれ!」

「「「「「はい!」」」」」

 ランスロットは、部下達に自殺者はどこで就職したのか調べさせる事にした。



「あの、申し訳ないがこの間自殺した人の就職先を聞きたいのだが、どこか教えてくれるか?」

「そういや、聞いてなかったな?おい、お前は聞いているか?」
「そういや私も聞いた事なかったねえ……ただ、クリンさんに挨拶をしても聞こえていなかったみたいで、俯いたまま出かけて行っていたよ」

「そ、そうか……」

「あんな明るかった人が、自殺する前の日は別人みたいだったよ……」

「そんなに忙しい職場だったのか?」

「俺は、クリンさんが帰って来た時を見たが、大体4時間ぐらいだったぞ。時間的に疲れるほど働いているとは思わんがな」

「確かに4時間で、そんなに別の人間のようになるとは思えんな……」

「団長、4時間で別人のようになる職場といえば、余程精神的にきつい仕事になると思いますが、そんな仕事がこの町にあるのですか?」

「俺にもわからん……」

 ランスロット達は、情報を提供してくれた人達に礼を言い、兵舎へと帰っていったのだった。自分達の情報だけでは、判断が出来ず他の部下達からの情報を得てからにしたのだ。

 すると、ここでもおかしなことが起こった。部下たち全員が自殺者の職場の情報を得ることが出来なかったのだ。

「これは一体どういうことだ?なんで全員が職場を内緒にしているのだ?しかも、全員が一日4時間ほどしか働いていないではないか?」

「団長、それがもう一つおかしなことがあるんですよ」

「何がおかしいんだ?」

「それがですね、この女性の近所に住む男性の話では、日に日にやつれる女性が心配になり、職場を聞き出そうとしたらしいのです」

「その男性は自殺した人間のなんなんだ?」

「この男性、名をハンスと言うらしいのですが、自殺した女性と付き合ってたと言うんです」

「確かに日に日にやつれていく恋人を見ていたとなると心配だな」

「はい。ハンスもそういっていました。しかし、その女性が頑として職場を言わなかったそうです。それで、どうしても心配になったハンスは、職場にいく女性の後をつけたらしいのです」

「それでどうなったのだ?」

「それが、道をグネグネと後をつけれない様に出勤をして、結局撒かれてしまって追跡できなかったそうです」

「はっ?仕事場に行くのに、後をついてこれない様に撒いただと?」

「はい!ハンスはそう言い帰って来た女性に訳を聞いたそうです」

「それって逆効果なんじゃないのか?」

「はい。ハンスも後悔しているようです。あんなに追求しなければ良かったと言っていました。ハンスが言うには訳を聞こうとして3日目の夜に、その女性は湖に子供と一緒に身を投げたそうです」

「しかし、普通心配している恋人に、そこまで頑なに訳を言わないものか?」

「そうなんですよね?」

「女性の気持ちを考えると、どうしても言いたくなくて最後には自殺の道を選んだとしか思えないな……」

「団長!ちょっとよろしいですか?」

「なんだ、レーム?」

 意見を言ってきたのは、レームと言う女性だった。この女性はランスロットと同じく、元飛龍騎士団だった女性である。女性だが剣の才能がありランスロットと同じ時に、鳳凰騎士団となった猛者である。当然だが、隊長を任命されている。

「女性の立場から、意見を言ってもよろしいでしょうか?」

「なるほど。そういう意見は重要だ。それで、その女性の気持ちはどういうことなんだ?」

「一つ目に日に日にやつれていき、二つ目に恋人の男性に訳が言えない。最後三つめに絶対に知られない様に自殺をしてしまう。この事から察するに、身体を売っていたと推測されます」

「何だと⁉」

「あくまでも推測です。未亡人で、子供を食べさせて行きたいが職が見つからず、ある時いきなり決まるとなるとそれぐらいしか……」

「レーム隊長の言う通りです!」

「アイシェもそう思うのか?」

「私達女からしたら、恋人に知られたくはないです。いえ、恋人だけでなく周りの人達にもです。だから職場に行くとき場所が分からない様に、後をつけられない様にしたのも納得できます」

「な、なるほど……」

「それともう一つ。恋人がいるにもかかわらず、女性がそういう場所で働くとは思えません!」

「おいおい、言っていることが矛盾しているじゃないか?」

「私達は自ら働くと言っていません」

「お、おい!それってまさか……」

「はい。その通りです。無理やり働かされているとしか思えません」

「だが、無理やりとなると、普通は監禁されたりするものだろ?女性達は、ちゃんと住む場所に帰ってきていたじゃないか?」

「はい……それがわたし達にも分からないのです。女性達は奴隷でもないので、行かなきゃいいだけのはずなのに、自らその場所に赴いているのです」

「たしかに、娼館で働く女は犯罪奴隷かそこで生まれた子供だけだ。一般国民が、そんなところで働くとは考えにくいが、もしそのような場所で働いているなら問題だぞ?」

「ですが、女性達がそのような場所で働いていたら普通噂にもなるのですが、一向にそのような事は聞きませんね」

「まず、その辺を娼館を見張る事にしよう!もし、そんな店が存在しているのならば、今も別の女性が働かされているかもしれん」

「な、なるほど」

「娼館に女性が出入りなどしない。男性だけですよね?」

「もし見張っていて、女性達が出入りする店があればその店が怪しい事になる」

「「「「「はい!」」」」」

 ランスロットは、鳳凰騎士団斥侯部隊に指示を出した。フリーの町にある娼館全てを見張らせたのだ。




 そして、ランスロットが斥侯部隊に指示を出し一週間が経った。その結果、信じられないことが起こったのだ。一週間、斥侯部隊が見張りを続けたが、出入りを頻繁にしていたのは、冒険者や町の人間で男ばかりだったのだ。
 女性も何人かは出入りしていたが、その店で生まれた子供の娼婦であり、買い出しなどで街に買い物をしたりしていただけだった。

「どういうことだ?」

「私達の考えが違っていたというの?」

「この報告で間違いはないのか?」

「確かに、このフリーの町に開店している娼館は全部で30軒ありますが、全てにおいて、外部の女性が出入りはしていません」

「一体どういう事なんだ?俺もレームやアイシェの言う事に真実味があったと思うが、鳳凰騎士団斥侯部隊が報告しているから間違いはないだろう」

 ランスロットは頭を抱え、八方ふさがりとなってしまった。このままでは当初の報告通り、母親たちが無理心中としか説明がつかなくなってしまったのだ。

「団長!こうなれば、今この町にいる女性達で怪しいと思う人間を聞き込みをしたらどうでしょう?」

「馬鹿な事言うな!この町は普通の町とは違うのだぞ。主君の屋敷は最西端にあり、最東端に行くのに何日かかると思っているのだ」

「ですが……」

「それほどまでに、この町はでかくなり過ぎているのだぞ?それをピンポイントで、怪しい女性を見つける事など出来るわけなかろう……」

 ランスロットが言う事が正しかった。フリーの町は今や一番外の城壁は第6城壁と呼ばれ、町の端から端まで行こうと思えば馬車を使わなければ移動が大変な状況になっていた。
 当然、それだけの人間が生活しており、自殺した女性のようにやつれている人間を見つける事は不可能と言っても過言ではなかった。



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