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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

127話 犯罪組織の壊滅

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 ファイヤーボールが上がり、同時突入の合図を確認した鳳凰騎士団第1第2部隊は、犯罪組織であるグレーマンのアジトに流れ込んだ。

「貴様ら何者だ!ここをどこだと思っている!」

「我々は、鳳凰騎士団Freedom国直轄の騎士団である。ここから大麻草が密輸されている事実が確認された。大人しくお縄につけ!」

 それを聞いた荒くれ者は、鳳凰騎士団に抵抗したりここから逃げ出そうとしたり、大騒ぎになり統制が取れなかった。

「なんだ?ここに見えない壁があるぞ?」

「ふっ、逃げようなどと思うなよ。お前等は袋の鼠だ!」

 ランスロットは、部下達に命じて次々に確保していった。敷地から逃げようとした者もいたが、見えない壁に阻まれ取り押さえられた。鳳凰騎士団が突入してきた正面玄関に、決死の覚悟で突撃してきた者もいたが、呆気なく取り押さえられ暴言を叫びまくっていた。

「馬鹿やろぉ~~~放しやがれ!」

「五月蠅い‼大人しくしろ!」

 ランスロットは、武器の柄で荒くれ者の腹を殴り気絶させた。

「出口はここだけだ。お前達はアジトの中にいる奴を全員逮捕だ」

「「「「「はっ!」」」」」

 鳳凰騎士団第一第二部隊は、ランスロットの命令でアジト内に逮捕しに潜入したのだ。ランスロットと精鋭10名と魔道部隊はその場に残り、逃げ出してくる犯罪人達をドンドン逮捕していた。

 中に入った騎士団は驚いた。中には乾燥大麻が無造作に置いてあったからだ。これらは、奴隷達が毒草の種類を微妙に変えて調合していた為だった。

「なるほど……こういう事だったのか?」

「どうかしたのですか?」

「こいつを見てみろ。毒草の種類がたくさんあるだろ?」

「えぇ、そうですね」

「ケンジ様が、特定できないと言っていただろ?」

「確かに言ってましたね……」

「基本作業の大麻草の調合は、グドン薬店で製作しここで手を加えて、微妙に種類を変える事で製作者を何人もいる様にしていたんだよ」

「な、なるほど……しかし、そう何人も用意出来るものなのですか?」

「それは多分これからわかる事だよ」

「どういう事ですか?」

「俺の予想なら、ここでおぞましい事が行われているだろうな……」

 鳳凰騎士団は、どんどんアジトの奥や地下に進み、犯罪者達をくまなく探したのだが、肝心のガルドランがいないのである。
 
「おい……ここを仕切っている人間がいないぞ?」

「まさか逃げられたんじゃ……」

「魔道部隊はすぐに結界を張ったはずだぞ?そんなはずはないだろう?」

「たしか、諜報員の話ではガルドランと言う大男で顔に傷がある人間だよな?」

「ああ。そんな人間絶対目立つはずだ。それに、取引をした直後でこちらも動いているから逃げる時間など無かったはずだしな」

「た、確かに……」

 鳳凰騎士団は、隅々まで探したのだがガルドランの姿は見当たらなかったのだ。

「団長!ガルドランの姿が見当たりません。もうすでにここにはいないのでは?」

「馬鹿な事を言うな!ここから逃げた者は一人もいない。必ずこの敷地内に息をひそめて隠れているはずだ。もう一度一から探せ!」

「「「「「はっ!」」」」」

 ランスロットは、部下達の言葉に不安がよぎった。密売人の首謀者が見つからなければ、さらに犠牲者が増える事になる。そんな事は万が一にもあってはいけない事だからだ。
 それに、ランスロット達はケンジからの信頼を、一身に背負ってここに来ているからだ。ここで失敗すれば、ギル達にも申し開きが出来なくなる。

 ランスロットは、ギルの事思いだして、ピンと来たのである。

「誰かすまない!一人使いを頼まれてくれないか?」

「何かあったのですか?」

「グドンの屋敷に行き、諜報員を一人呼んできてくれ。この現場には諜報員がいない。急いでくれ!」

「わ、分かりました」

 ランスロットに指示を出されて、騎士団の一人は諜報員の一人を連れてきた。

「ランスロットさん、何かあったのですか?」

「ローゼリア、お主が来てくれたのか?子供達はどうした?」

「向こうはもう大丈夫です!全員確保できました。子供達はもう安全です」

「それはよかった。しかし、こちらが少し厄介でな、ここの首謀者だけがまだ見つからんのだ」

「なんですって?もしかして、逃げ出したのですか?」

「それは絶対ない!この敷地内のどこかに隠れているはずだ」

「なるほど。それであたしに何を?」

「第一第二部隊で探しているにもかかわらず、見つからないとなれば考えられる事は、どこかに隠し部屋が絶対にあるはずだ」

 ランスロットの言葉に、ここにいる人間が希望が見えた様に士気があがった。ここまで探して見つからなかったので、部下達は焦りが見えてきていたのだ。

「隠し部屋の発見には、俺達では無理だ!ローゼリア達、諜報部隊の協力が必要不可欠なんだ。どうか手を貸してくれ」

 ローゼリアは、ランスロットが頭を下げたのを見てニコッと笑い、わかりましたと一言残し、スッと姿を消したのだった。




 アジトの中に入ったローゼリアは、鳳凰騎士団があちこち捜索しているのをみて、そこにいる人間に声をかけた。

「みんな、大丈夫?」

「おおお!ローゼリア、きてくれたのか?」

「えぇ、団長に呼ばれて助けに来たわ」

「私達だけでは隠し扉を見つける事は出来ません。よろしく頼みます」

「わかったわ。任せておいて」

 ローゼリアは、アジトの怪しい所を重点に調べたのだが、隠し扉や隠し部屋のようなものはなかったのだ。

「まさか……本当にいない?」

「ローゼリアさん程の人間でも見つからないのですか?」

「そんなはずは……」

 この地点で、すでに突入してからゆうに1時間は経っていた。

「「「「「まさか、失敗に終わったのか?」」」」」

「諦めるのはまだ早いわよ。絶対どこかに潜んでいるはず」

 ローゼリアは、地下牢が怪しいと思い、もう一回入って行ったのだ。地下牢には人間の死体がいっぱいあった。多分、奴隷であったことが容易に想像できたのである。
 奴隷商人から買い、調合の段階で使いつぶしたのであろう。素人が毒草を扱えるわけはなく、無理やりやらされていたのである。そして、死んだらここに捨て使いつぶしていたのだった。

 ローゼリアは、一つの牢屋に違和感を覚えたのだ。先ほどは死体がいっぱいで、そちらに気を向けたので気づかなかったが、牢屋の壁がおかしいと思ったのだ。

 ローゼリアは、鳳凰騎士団を呼び、奴隷達の死体を片づけ壁を調べたのだ。すると、ぼこぼこの岩壁の下の方に見えにくい所にボタンが一つついていたのだ。

「こ、これだ!」

 ローゼリアは、岩の周りに罠は無いか、調べて確認をしたがそういった物は一切なかった。

「後は貴方達に任せたわよ!」

「「「「「ああ、任せろ」」」」」
「戦闘は俺達の本業だ」

 ローゼリアは、斥侯に特化した人物であり戦闘能力は殆どない。なので、こういう時は罠を外し、後ろに下がることを徹底していた。
 しかし、ローゼリアは決して弱いわけではない。戦闘能力が無いだけでレベルは高い為、並みの冒険者よりは断然強くステータスだけでも十分に戦うことが出来るのだ。

「じゃあ、開けるわよ」

 ローゼリアがボタンを押すと、ゴゴゴゴゴと岩が動き隠し部屋が現れたのだ。するとそこには、女が3人と大男が一人いたのである。

「貴様がガルドランだな?大人しくしろ!」

「くっそおおおおお!ここがばれるとは……」

 その部屋は、ガルドランのような大男が10人いても余裕で居られる大きな部屋であり、ベッドもある豪華な部屋だった。
 備蓄もされているようで、半年いても隠れていられるのであろうことがわかるのだ。女3人は、ガルドランのお気に入りなのだろう。綺麗どころであり悲鳴を上げて奥の壁に逃げて行き、身の安全を確保したようだった。



 ガルドランは、これまでと思い側にあった大剣を構えたのである。

「まさかここを見つけるとはな……恐れ入ったよ」

「何を言っている。お前はもう終わりだよ。大人しくしろ!」

 鳳凰騎士団は、剣と盾を構えた。ガルドランは強行突破しようとしたのか騎士団に突っ込んできたのだ。

「しねええええええええ!」

 ガルドランはその、2mもあるようなでかくて重そうな剣を軽々振り回し、騎士団を薙ぎ払おうとした。

 ガキ~~~~~ンと大きな金属音が鳴り響いたのだ。

「馬鹿が!まともに受けれるわけが⁉」

「ふっ!お前の力はそんなものか?」

「馬鹿な!この剣の重量を受け止めやがっただと……」

 ガルドランは、信じられない物を見て、その場で固まってしまった。

「少し痛いが我慢しろよ」

 ガルドランの剣を受け止めた騎士は、剣を振りぬきガルドランの腹を叩き斬ったのだ。

「ぐええええええええ!」

 ガルドランは、踏みつけられたカエルのような声を上げて、後方に吹っ飛び倒れてしまった。それを見た女達は悲鳴を上げて震えていたのである。
 ガルドランは死んでいなかった。騎士団の装備している剣は刃の潰している物であり、こういった町で逮捕するときの物である。
 しかし、ダンジョンに向かう時の装備はちゃんと刃のある剣であり、用途が全然違うのである。

 騎士団は、呆気なく倒す事が出来たガルドランを捕縛し、一緒にいた3人の女奴隷も確保した。

 そして、ここにある物は全て没収となった。今回の件で、押収した大麻草はかつてない量となり、鳳凰騎士団が責任を持ってダンジョンに捨てる事になったのだ。





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