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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

124話 共犯

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 バーン!ドカドカドカ!

 乱暴に開けられた扉から、顔に傷がある大男が入って来た。マリアンヌは、いきなりの大きな音に体がビクッと跳ね上がった。
 そして、その姿を見たマリアンヌは、この男が定期的に薬草を購入していた人間なのかと疑問に思った。

 マリアンヌは、月に3回も納品しているのだから、病院や教会関係者だと思い込んでいたのだが、現れた男はどう考えても荒くれ者の盗賊だと言われても信じられたのである。

「よく来たな!」

「あの、私は何でここに呼ばれたのでしょうか?」

「何で呼ばれた?そりゃお前に、俺の相手をしてもらう為に決まっているだろ?」

「なっ⁉」

 それを聞き、マリアンヌは身の危険を感じ、大男の横を走り抜け扉から逃げようとしたが、扉には外から鍵がかかった様にびくともしなかった。

「あ、開かない⁉」

「がはははは!逃げようとしても無駄だよ!」

 マリアンヌは、大男に腕を掴まれ、部屋にあるベットに放り投げられたのだ。

「い、いや!やめて!」

 マリアンヌは、それでも出口に向かって逃げようとしたが、すぐにベットの上に戻されてしまった。大男はいつの間にか裸になり、マリアンヌに覆いかぶさったのだ。マリアンヌは男の力には敵わず、大声を出すしかなかった。

「げへへへへ!大声出しても無駄だ。グドンから一晩、お前を好きにしていいと言われているから大人しくしろ!」

「えっ⁉旦那様が?」

 マリアンヌは、まさかそんな事になっていて、向こうの指示に従えと言われているとは、思いもしなかったのである。マリアンヌは、この指示には従えないと思い思いっきり抵抗したが、ガルドランの力に抵抗など出来ず、いいように弄ばれる事になった。






 マリアンヌは、一晩中ガルドランに夜の相手をさせられたのだった。いつ終わるかわからない欲望に、タダ耐えるしかなかった。

「ふううう!なかなか良かったぜ。これからも納品よろしく頼むからな!」

「……」

 マリアンヌは、ベッドの上で力なく横たわっていただけだった。

「おい!聞いてんのか?」

「い、嫌です……」

「はぁあ⁉何言ってやがる!」

「私は貴方達を訴えます!」

「がははははは!俺達を訴えるだと?そんな事をしてみろ!お前もただじゃすまないぞ?子供と、一生会えなくなっても知らんぞ?」

「な、何を言って!」

「くはははははは!知らないというのは愚かな事だ!」

「な、何を言って……なぜ私が子供達と一生会えなくなるのですか?」

「お前が、これまで俺様に運んでいたものが何か知っているのか?」

「何をって、それは病気を治すための薬草を!」

「俺様が、そんな薬草を求めていると本気で思っているのか?」

 ガルドランの言葉に、マリアンヌは確かにこんな男が、人助けをするとは思えなかった。

「じゃあ……私は、何を納品していたというのですか?」

 ガルドランは、袋に入れた乾燥された植物片を見せたのだ。

「これだよこれ!お前は、これを俺様の所にせっせと運んでいたんだよ」

「なんですかそれは?」

「わからねえか?今、他の町で問題になっている大麻草だよ!」

「なっ⁉た、大麻草!」

「いいか?お前は知らなかったとはいえ、俺達の組織グレーマンに大麻草を運んでいた運び屋だ!」

「う、嘘……わたしが運び屋……わたし!知らない!知らなかった!」

「お前が、もし俺達を訴えるなら訴えても構わん!だが、貴様もその罪に問われて逮捕だ!俺達も、そのように証言をする!それでもいいなら俺達を訴えろ」

「うわああああああ!」

 マリアンヌは、こんな事ってないと思った。グドンの、やさしさに報いる為頑張って残業をしていただけなのに、人々を地獄に落とす大麻草を、犯罪組織に運んでいたのだ。

 もし知らないと言っても、そんなことは通じず自分は犯罪奴隷として余生を過ごす事は間違いなく、二人の子供とはもう二度と会えないだろう。

「ぐはははははは!」

 マリアンヌは、ガルドランの笑い声に悔しくて睨みつけたのだった。

「なんだ?その目は!俺様を睨んだ所で、お前の罪は消えねえんだよ!」

「きゃあ!」

 ガルドランは、マリアンヌを平手打ちしたのだった。

「もうすぐ夜が明けるな。それまでもう一発やらせてもらうか!」

「い、いや!もうやめて!」

 ガルドランは、嫌がるマリアンヌを押さえつけ、陽が昇るまで抱いたのだった。





(そういうからくりだったのか……ケンジ様の嫌な予感は当たったみたいね……)

 ローゼリアは、マリアンヌをつけて、ここグレーマンのアジトで証拠を集めていた。そして、グドンとの取引の書類を見つけ懐にしまった。

「これで、ケンジ様に報せればあたしの役目は終わりね。マリアンヌさん、もう少し辛抱してください!必ず助けますから……」

 ローゼリアは、そう言い残し音もなくスッと姿を消したのだった。そして、すぐさまこの事はケンジに報告されたのである。






「ケンジ様!」

「ローゼリアか、ずいぶん遅かったじゃないか!」

「申し訳ありません……」

「で、どうだった?」

「やはり、ケンジ様が心配した通りでした」

「そうか……やっぱり、犯罪に手を染めていたのか?で、どんな犯罪をしていたんだ?」

「驚かないでくださいよ!ホネストの薬物のアジトが、グドンの店だったんです」

「それはホントか⁉」

 ローゼリアは、見てきた事詳しく報告し、運び屋がマリアンヌと言う女性であることを説明したのである。見た目が普通の女性であり、事情を知らずに運び屋をしていた為、衛兵に不審に思われず、また道順も衛兵がその時間には通らない道を指定され、用意周到であった事だった。
 そして、マリアンヌは未亡人であり、子供の為に今無理やりに運び屋をやっていることを説明した。

「わ、わかった……グドンの店で、採取士が大麻草を採取して調合し、それを犯罪組織グレーマンが各地に拠点を作り売りさばいているんだな?」

「はい!これが証拠の書類です!」

「よくやった!」

「ありがとうございます!」

 ケンジは、ローゼリアの報告に対してすぐに、鳳凰騎士団諜報部隊に指示を出し、納品現場を捕らえる様にと指示を出した。それと同時にマリアンヌという女性の子供2名の保護を最優先事項とした。

 マリアンヌが、納品を指示を出された時、諜報部隊はマリアンヌとグレーマン側の奴隷の確保、それと同時にグドンの屋敷と店、グレーマンのアジトに同時に突入し全員を逮捕しろと指示を出したのだった。




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