異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

117話 支店長の罪

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 バッカンが逮捕され、国民達にバッカンの悪事が知れ渡り、又その談合に協力していた他の店も、国民が知ることになった。

「むぐぐぐ……バッカンのせいで私も店までが!」

「旦那様……少しよろしいでしょうか?」

「なんだ?また何かあったのか?」

 そこには、店の従業員が集まっていた。その後景に、店の主人はいやな予感しかしなかった。

「「「「「旦那様に言いたいことがあります」」」」」

「何だ改まって……」

「私達は、今月末でここを辞めさせていただきます!」

「ちょ、ちょっと待て!今月末って、あと2日しかないじゃないか!そんなの認められんぞ!それに、今お前達に辞められたら、本当にこの店は潰れてしまう!お前達はこの店で重要なポストにいる人間ばかりではないか!」

「旦那様……貴方が、バッカンの口車に乗ったばかりにこんな事になったのです」

「だが……それは!」

「旦那様の、言いたいことは分からないではありませんが、実際問題うちの店の評判は、予想以上にがた落ちになっております」

「だからこそ!みんなで……」

「いえ……今はもうそういう次元の問題ではありません!旦那様はわかっているのですか?」

「何をだ!」

「この町の人間は、うちの店の服を買わないと公言しているのですよ!今は、マーレン氏の店の商品でしか黒字は出ていないでしょう!」

「だから、それをみんなで何とか考えてだな……」

「この店はもう風前の灯です。申し訳ないが、私はこのままこの店に残る事は出来ません!」

「お、おい!」

 従業員達は、自分の伝えたい事を伝えて、辞表を置き部屋から出て行ってしまった。

「ちょっと待て!今までお前達には目をかけてやったではないか!」

 店の主人の腕を払って、これ以上関わりたくない感じでみんな出て行きその場に崩れ落ちたのである。

「お、お前は私を見捨てないでくれるのか?」

 店の主人の側にいた、グラマーで美人な女性は部屋の隅で立っていたので主人に話しかけられた。

「旦那様!」

「やはり、お前は俺を見捨てないでくれるか?」

「今までお世話になりました」

「お、お前まで!なぜだ?お前には今まで給料も多めに!」

「旦那様もこうなっては終わりですね。旦那様が、これ以上私との愛人契約のお金を払えるとは思えませんからね。金の切れ目は縁の切れ目ですわ!」

「ま、待ってくれ!今までお前にはどれだけ貢いでいたと!」

「うふふ!そういう契約だったはずですわ。それに私も沈みゆく泥船に乗るつもりはありません。それではさようなら!」

 店の主人は、その場に崩れ落ち両手を床につき、顔を真っ青にした。そして、1週間もせずこの店は潰れてしまった。
 
 従業員たちは、給料も貰えなかったという。しかし、あのまま店に残っていたら、もっと厄介事に巻き込まれていただろうと思い、ホッとしていたのも事実である。

 店の主人である商人は、莫大な借金を負い奴隷に落とされたのはいうまでもなかった。

 こういったことが談合に協力した店では起こり、この町の繊維工場はマーレン氏の店と、Freedom支店だけとなってしまったのである。



 そして、この事が全部済んだ時、町の衛兵達はこの町のNFGに乗り込んだのだ。この様子に、受付嬢達はびっくりして身構えたのである。


「ロ、ロビンさんいったい何事ですか?」

 NFGの受付嬢は、町の衛兵に目を見開き話しかけた。

「カタリーナさん!支店長はいるか?」

「支店長なら支店長室にいますが、どうかなさったのですか?」

「すぐに呼んでほしい!」

 カタリーナは、衛兵に逆らう事もせずすぐに奥の部屋へと支店長を呼びに行った。そして、支店長は青い顔をして出てきたのである。

「支店長、ボルグ!貴方には賄賂を受け取った容疑が固まった。一緒に兵舎の方に出頭して欲しい!」

 ボルグは、頭を下げ逃げ出すのを諦めた。逃げても無駄だと思ったのである。

「なっ……支店長!何をやってんですか!」

 衛兵の言葉に、カタリーナは大きな声を出してしまった。それを見ていた他の従業員や構成員達も驚いたように、こちらを見ていたのだった。

「支店長は何やってんだよ……」
「NFGになってそんな事しなくとも人生勝ち組だろうに……」
「ホント馬鹿だぜ!」
「俺なら、そんなことを誘われても支店長として生きていくのになあ……」

 NFG構成員は、支店長が衛兵に連れて行かれる姿をみて呆れていた。実際、受付嬢達も呆れてものが言えなかったのだ。
 Freedomがギルド管轄になり、下っ端の従業員達でさえ給料があがっていたのである。つまり、支店長クラスになれば、正妻だけでなく側妻を何人も囲えるほど、甲斐性のある給料をもらっているはずなのだ。
 つまり、賄賂など貰わずとも十分な暮らしが出来るほど、高給取りだと誰もが想像できたからだ。

 連れて行かれた支店長は、事情聴取に正直に答えた。

「なぜ、バッカンの賄賂を受けたのだ?そんなことせずとも、十分な給料が支払われていただろう?」

「最初は、私も断っていたのです。しかし、最初は言葉巧みに食事に誘われて、バッカンは営業と称して私をいい気分にさしたのです」

「だからと言って!」

「それが、酒の席でもあって気分がよくなってしまい、何度も食事だけ誘われました。金も受け取った事もなかったし、食事を何度もする中になったんです」

「それで?」

「当然、そんな仲になったバッカンの店の商品を、他の店より少しだけ多めに購入したのです」

「それは、容認できるほどの量なのか?」

「はい!それは帳簿にある通りで嘘はありません。信じてください!」

「だったら、何で結果的に金を受け取ったのだ!」

「それが……そんな食事を続けていたある日、バッカンはお土産と言い、私は菓子袋を渡されたのです」

「何故それを受け取ったのだ!」

「いえ……その紙袋は封筒ではなく、お菓子の入った大きめの袋だったんです。しかし、酔っぱらっていた私はその袋の奥に、お金の入った封筒があるとは思わなくて受け取ったのです」

「では、金と思わなかったから、土産として受け取ったのか?」

「はい!それでそのことに気づいた私は、次の日に慌てて封筒だけを返しに行ったのですが、一度受け取った物を返されても、賄賂を受け取った事実に変わりないと、バッカンに脅されていたのです」

「それで、支店長お主は次の購入からは、バッカンの店から大量に購入するしかなかったと言うのだな?」

「その通りです!本当に申し訳ありません!」

「だったら、なぜ他の者に相談せぬのだ!」

「そんなことできません!そんな話をしたら、私が悪いと思われ信じてもらえないと思ったからです!」

 ロビンは、自分で聞いたが、ボルグの言う事は最もだと思った。実に巧妙に嵌められたとボルグの事を不憫に思ったほどだった。

 この事は、ロビンからケンジに報告書として上げられたのである。そして、真実の水晶も使われたのだが、ボルグの言う事に嘘はなかったのである。

 バッカンは自分だけ奴隷に落とされたことを逆恨みし、支店長に賄賂を送り受け取った事を、自分に都合の良いように証言して道連れにしようとしたのだ。
 しかし、Freedomではちゃんと調べる事で、バッカンの言った事が自分の都合の良いように証言した事を証明し、バッカンは更に刑期を伸ばす事になった。

 ボルグは、裁判官の前に連れてこられて判決を言い渡されたのだ。

「ボルグに判決を言い渡す!1年間給料を60%減額の罰金刑に処す!」

 ボルグは給料の減額だけで済んだのである。これは、バッカンからの賄賂を一切手を付けてなくて、NFGの金庫にしまっていて何度も返還しようとしていたからだ。
 そして、賄賂を受け取った時から、食事会にも参加しなくなっていて、反省の色が見えたことにあった。

「あ、ありがとうございます……」

 ボルグは、Freedom国の温情に、涙を流し感謝したのだった。この判決は、この町のNFGに説明されて、ボルグは部下達に冷たい目で見られていたが、信頼を取り戻すために一生懸命働いたのだった。

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