異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします！

第１０章 Ｆｒｅｅｄｏｍ国、経済の中心へ！

１１６話 バッカンの後悔

　バッカンは、その場に崩れ落ち人生が終わったと覚悟した。まさか、Ｆｒｅｅｄｏｍにあんなアイテムがあったとは思いもしなかったのだ。

「あのアイテムは何なのだ……」

「今更、後悔しても遅い！お前達のような人間がいるから国民が苦労するのだ！これから１０年間、今度は国民の為に役に立つのだな！」

　バッカンは、衛兵に刑が決まり収容所に連れて行かれる途中で、訳の分からない事を聞いたのだ。

「はっ？国民の為に役立つとはどういう事だ？ワシは禁錮刑であろう？」

「はっ！貴様は何もわかっていない。収容所に入ったらそこの管理官から説明があるが、お前は労働者として働かされるんだ」

「な、なんだと……」

「お前は、もう元貴族ではない！犯罪奴隷だ！今まではお前のような奴隷は、鉱山に送られるのが一般的ではあったが、ケンジ様は収容所と言う場所で採掘じゃない刑罰をお作りになった」

「どういうことだ？」

「いいか？収容所ではそのような反抗的な態度をとるなよ？どうなっても知らないぞ！」

　バッカンは、衛兵の言葉に恐怖した。

「禁錮刑は、牢屋に入れられるだけじゃないのか？」

「はっ！お前のような犯罪者に、タダ飯を食わすわけないだろう」

　この世界の禁錮刑は、独房にずっと入れられることになっていた。その後、奴隷商人に犯罪奴隷として売られるのである。なので、バッカンのような年の取った者は、牢屋で一生を過ごし死んでいくと思われていたのである。

「ば、バカな‼」

「禁錮刑だからと言って楽など出来んよ。いいか！俺からの情けで忠告してやる。管理官には逆らうなよ？逆らったら１０年の禁固刑どころか反省の色ないとみなされ、刑期が伸びても知らんぞ！」


「何で、刑期が伸びる⁉納得できるか！」

「お前が、納得できるかどうかなど関係ない。お前は犯罪奴隷だ！もし、刑期が伸びるのが嫌なら、模範囚として励め！」

「ぐうう……」

　バッカンは、収容所に入れられた。そこは、今までにない所で完璧に管轄された所で起床は朝４時に起こされ、朝は３時間女神クローティアに懺悔。そこから夕方５時まで犯罪者が得意とする仕事をさせられる。

　バッカスの場合なら、繊維工場で布を製作である。これは格安でＮＦＧで輸出用の布として売られる事になる。
　そして、ようやくここで一日一回の食事が出来る事になる。質素な食事な為、ケンジは最初１日３食と決めたが、犯罪奴隷にそんな必要はないと周りから反対されたのである。食事は１時間の間に食べることになり、夕方６時から夜１２時までずっと働く事になるのだ。

「ケンジ様！この収容所に入った犯罪奴隷に１日３食の食事などいりません！」

「だが、犯罪者と言えど腹が減っては働けないだろ？」

「馬鹿な事を！犯罪者にそんな同情などしなくともよいのです！この収容所に収監された者は、冤罪のような事はありません！」

「だが、犯罪者にも人権と……」

「何を言っておられるのですか？犯罪者に人権などあるはずもない！１日１食の食事代も税金で賄うのですよ？」

「それはそうだが……」

「とにかく、その１日１食のご飯ですら、奴隷食ではないと決めたのです。これ以上のお金をかけることはできません！」

「奴隷食ではないが、肉は出ないしパンと野菜スープぐらいだろ？」

「たまに焼き魚がでます！栄養面では何の問題はありません！」

「そ、そうか……」

　この反論は、ムシュダルクだけではなかった。統一国家となり各町に収容所が設置される事で、犯罪者の人数も大幅に増えたことによる対処のひとつだった。

「とにかく、国としての決め事は我々にお任せください！」

　ケンジは、確かに全部自分がやる事ではないと思い、ムシュダルク達に任せれる所は任せることにした。要は発案と承諾の判を押す事で、ケンジの仕事としては十分であった。

　


　そして、バッカンは収容所に入れられて、自分の行いを後悔した。収容所に入れられると、まず管理官から部屋に案内されたのだ。

「お前は今日から４５番だ！番号を呼ばれたらこれからはお前の事だ！」

「わしはバッカンだ！なんだその４５番と言うのは、無礼者が！」

「貴様ぁ！誰に文句を言っておる！お前は犯罪奴隷だ！名前で呼んで貰えると思ったのか！」

「ぐわああああああああ！」

　管理官に、逆らったバッカンには鞭がとんできたのだ。バッカンはいきなりの鞭に衛兵の言葉を思い出した。

「いいか？４５番！貴様は、ここで十数年刑期を務める事になる」

「わしの刑期は１０年だ！十数年ではない！」

「くっくっくっ！お前のような奴が１０年で済むわけがないよ。この収容所が出来て日はまだ浅いが、貴様の先輩たちは全員刑期が伸びているよ」

「そ、そんなバカな！」

「それと言い事を教えてやるよ。あまりに反抗した場合、反省の色が見えないと言う事で、ジーフマウン鉱山に送られる事もある」

「なっ⁉」

「いいか？貴様達は、ここで模範囚となり刑期の間、国民の役に立つ事だけを考えて、大人しく働いていたらいいんだ」

「むうううう！」

「返事はどうした！」

　管理官は、有無の言わさずバッカンの頬を叩いたのである。

「ぐはっ！」

「は、はい……分かりました……」

「何だその目は！刑期を半年伸ばしてもいいんだぞ」

　バッカンは、その言葉に焦った様子で直立不動になり返事をしたのだった。

「管理官殿、申し訳ありませんでした！」

「聞き訳が良いじゃないか！その調子で頑張れよ！」

（く、くっそおぉ……何でわしがこんな目に！）





　バッカンは、最初こそ管理官に逆らっていたが、逆らうたび容赦なく鞭で叩かれたため、心が折れたのである。それに伴い管理官は、バッカンに１ヶ月刑期が伸びたなあと、ニヤニヤして言ってくるのだ。

「貴様は、ホント学習能力が無いな」

「な、なんだと！」

「なんだ？俺様に逆らうのか？」

「い、いえ……わしは只……」

「ただなんだ？」

「馬鹿にされたことが……」

「そうか！貴様は、この前刑期が１ヶ月伸びたばかりだよな？」

「うぐっ……」

「もう２ヶ月伸ばしておくか」

「そ、そんな！」

「ホントは刑期１０年で良かったのに、この一ヵ月で１２年になっちまったな。逆らうと刑期が伸びるというのがまだわからんのか？これでは学習能力がないと言われてもしょうがないだろ？」

「ムぐ……」

「まあ、いい！４５番貴様の刑期は１２年と２ヶ月になった。これからも励めよ！がはははははは！」


「そ、そんなバカな‼」

「馬鹿も何もねえよ！いいか？いい事を教えておいてやろう！４５番、後一回逆らったら特別反省房行きになるからな？」

「な、なんだそれは！」

　バッカンが敬語も使わずしゃべった事で、管理官はいきなり鞭ではたいた。裁縫工房に大きな音が鳴り響いた。

「ぐはあああああああ！」

「貴様ぁ！誰がため口を聞いていいと言った！」

　バッカンは、この世の地獄を味わう事になる。こうして、今までやりたい放題人生を謳歌していた元貴族達は、本当の意味で抹殺されていくのである。