上 下
563 / 619
第10章 Freedom国、経済の中心へ!

110話 壊滅

しおりを挟む
 盗賊達は、自分達のリーダーが呆気なく倒された事で驚愕し、自分達のアジトに助けを求めに引き返したのだ。
 そして、その場に残されたのが誘拐されたであろう女子供達だった。ハイドは、子供達が怖がらないように笑顔で近づいたのである。そして、怯える女性達に話しかけた。

「安心してくれ!君達は街道で襲われたのか?」

「いえ、私達は村で暮らしていたのです。そして、いきなりあいつ等が村を襲って……」

 女性達と子供はその場で泣き崩れたのだった。村の男達は惨殺され、村は焼き払われたとのことだった。

「ってことは、村はもうないのか?」

「えぇ……」

「それじゃあ、これからどうするんだ?」

「「「「「……」」」」」

 ハイドは、埒が明かないと見て、パメラの場所に連れて行くことにした。

「あの……この場所から離れないのですか?先ほどの奴らが……」

「大丈夫だよ。俺達はあいつ等を討伐に来ていて、今仲間があいつ等のアジトで暴れている最中だ。あれを、見て見な」

 ハイドが指さした場所には洞窟があり、先ほどの盗賊達が自分達のアジトに戻ったとたん火柱に包まれたり、火の矢で撃たれたりしていた。
 その後景は異様で、仲間がアジトに戻ったのに洞窟の中から無数の炎の矢に撃たれて、骨も残さず焼かれていくのだった。

「あれってどういう事……」

「まったく、デイニーを敵には回したくないわね……」
「今、魔法を撃っているのは仲間の一人だよ!見てわかると思うが、火属性に特化した魔法使いだよ」

 デイニーは、火属性の適性を持った魔法使いの3次職であるアークメイジであり、火属性の魔法しか使う事はできないが、火力という面では敵がいない程の高出力の火力を持った魔法使いだ。

 火属性の魔法しか使えない為、スペルブックには火属性の魔法しか入っていないが、デイニーが数年かけて開発した、オリジナルスペルも持っていて頼りになる存在なのだ。

 このオリジナルスペルは既存の魔法、例えばファイヤーアローだったら、詠唱時間をわざと長くすることでダメージ量を増やしたりすることだ。しかし、デイニーは詠唱のスキルを持ち無詠唱で魔法を唱えれるため、ダメージ量だけ増やすことが出来るのだ。

 つまり、本来なら盗賊が言った火傷で済むはずのダメージのはずが、黒炭になって消滅した理由はここにあったのであった。

「あの通り、あいつ等はもう終わりだ。ここの任務が終わったら、君達は大きな町へと送り届けよう!」

「ですが……」

「どのように暮らそうが問題ないと思うが、もし不安に思うのなら、NFGの窓口に相談してみたらどうだ?」

「わ、わかりました……」

 こうして、見張りをしていたハイド一行は新たな被害者たちを保護したのだ。そして、一方盗賊のアジトではロイ達が、盗賊をドンドン討伐していた。

「何よ!このアジトは?外から戻ってくる方が多いじゃない!」

「な、なんだ貴様は?」
「ここをどこと思っている!」
「女一人?」
「やっちまえ!」

「ファイヤーボール!」

「「「「「ぎゃああ!」」」」」」

 デイニーは、外から戻って来た盗賊達を一掃する為、洞窟の中から※①【ファイヤーボール】を撃ちこんだ。ファイヤーボールは盗賊が集まっている中心に着弾し、大爆発を起こし盗賊達を一掃した。
 そして、洞窟内からはロイ達には敵わず逃げてきた者達は、※②【ファイヤーアロー】で黒炭になって消滅していくのだった。




 そして、洞窟内ではロイとブンダスが盗賊達を追い詰めていた。

「おめえら!いったい何をやっている!」

「「「「「「大親分!」」」」」

 遂に、悪魔の群狼を束ねている親分がその姿を現したのである。その男は身の丈2m30は越えており、ハーフジャイアントかと思う程の肉体を持っていた。
 
「ロイ?アイツはまさか?」

「ああ!あの身体のでかさと目の傷!噂に聞いたことあるぜ」

「ほう!貴様らワシの事を知っているみたいだな!」

「お前みたいな悪党!知らない方がどうかしているぜ!ゴンズイーマ!」

 ゴンズイーマは大陸中に指名手配されている人間である。種族はヒューマンではなく、ボーグ族という極めて珍しい種族である。この種族が珍しいのは、少数民族であり戦闘民族だからだ。

 ロイとブンダスを前に、ゴンズイーマは背中に背負ったとんでもないでかいツーハンドソードを構えたのである。
盗賊達は、そのツーハンドソードを構えたゴンズイーマに歓声を上げて、場所を開けた。

「何だ?あのでかい剣は!」
「ブンダス!気をつけろ!まともに受けたらただじゃすまないぞ」

「悪魔の群狼にたてついた事を後悔して死ねぇ~~~~~!」

 ゴンズイーマは、その大きな剣をあり得ないスピードで振り回した。しかし、ブンダスは冷静にその太刀筋を見極め、盾に角度をつけて弾いたのだ。

「な、なにいいい!」

 ブンダスは、ニヤリと笑いゴンズイーマを挑発した。

「ウドの大木!お前の実力はせいぜいそんなもんだよ!」

「き、貴様ぁ~!俺を誰だと思っている!」

 ゴンズイーマは、今まで自分の剣を弾かれたことがなかった。そのパワーとスピードで、自分の敵は一撃で粉砕してきたのだ。ゴンズイーマは、その長身から繰り出す剣の連打で、ブンダスに反撃をさせなかった。

「どうした?先ほどから受けに徹してばかりではないか?」

「へっ!もっと気合のいれた攻撃はできないのか?そんな事じゃ何時まで経っても俺をやれねえぞ!」

「ぬかせ!これで終わりだ!インフィニティーブレイク!」

 ゴンズイーマは、3次職ロキが使う事が出来るアクティブスキル※③【インフィニティーブレイク】を仕掛けた。このスキルは、相手の盾を吹き飛ばしそのまま剣を振りぬく事で、相手に通常の5倍ダメージを与える必殺技だったのだ。

「ブンダスゥ!」

 ロイは、ブンダスがやられてしまったと焦ったのだ。ゴンズイーマは、その長身で剣を振りかぶり地面にたたきつけ、砂埃が舞い上がり二人の姿が見えなくなったのだ。

「そんな攻撃、わざわざ盾で受けるわけねえだろ」

 ブンダスは、ギリギリのところで身体を横にズラし、盾で受けることなく回避したのだった。そして、ブンダスはゴンズイーマに※④【シールドラッシュ】を繰り出した。

 ゴンズイーマは、ブンダスのシールドに叩きつけられ、その巨体が壁にたたきつけられたのだ。

「ロイ!今だ!」

「分かってるって!メガストライク!」

 ロイは、壁にたたきつけられたゴンズイーマに向けて突進した。この※⑤【メガストライク】という技は敵に向かって突進することで、通常ダメージの6.5倍のダメージを与える必殺技である。
 そして、ロイも又ヘルナイトという3次職であり、ケンジ製作の装備を持っていた。

「ぐおおおおおおおおおおおお!」

 ロイの剣は、ゴンズイーマの腹に刺さっていた。盗賊達はそれ見て信じられなかったのだ。親分にダメージを与えた人間は初めて見たからだ。どんな敵にもその鋼の肉体の前では無力であり、最後にはインフィニティーブレイクで粉砕し敵を退けていた自分達のリーダーが、胴体が真っ二つになって反対に殺されてしまったのだ。

「う、うわ~~~~~!お、親分がやられたぁ!」

 盗賊の一人が叫んだのをかわぎりに、生き残っていた盗賊は出口に向かって逃げ出したのである。

「へっ、お前達をそう簡単に逃すわけないだろ?」

 ロイ達は、逃げる盗賊の方向に回り込み、逃がさなかった。

「ゆ、許してくれ……」
「お、俺達が悪かった……」
「このまま捕らえてくれていいから殺さないで……」

「お前達は、今までそう命乞いをした人間を助けたのか?見逃したことがあるのか?」

「そ、それは……」

「自分達の命が危なくなったら助けてくれだと?ふざんけんな!」

「頼む!俺達は死にたくねえ!」
「そうだ!俺達はまだ……」
「頼む殺さないでくれ!」

 ロイ達は、土下座して命乞いをしていた盗賊達を無造作に剣を突き立てた。

「ぐわああああああ!」
「や、やめてくれ!」
「ぎゃあああああ!」

「お前達は、このまま逮捕されて、国へと突き出したとしても処刑は確定だよ!だったら、このまま死んだ方が無駄がなくていい!」

 その言葉に、盗賊達は必死に逃げ出したのである。ロイ達から必死に逃げ出した盗賊達は出口で待ち受けていたデイニーに焼かれたのはいう間でもなかった。


*-----*-----*-----*-----*-----*

 この話で出てきた魔法とスキル一覧

※①【ファイヤーボール】
火属性魔法   3階位
消費MP    15
詠唱速度    1.5秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    一瞬
効果対象    1人
効果範囲    半径1m×(レベル×10分の1)最大半径10m
(任意に調整可能)
必要秘薬    虹パール1個
備考欄
 この魔法は、炎の球を作り出し打ち出す魔法。命中した起点を中心に、
最大半径10mの範囲で大爆発させることが出来る。ダメージは
爆発に巻き込まれた範囲内にいる人間一人につき、(1~10)×2分の1
レベル。
 職業レベル30魔法スキル35.00でで使う事が可能。

※②【ファイヤーアロー】
火属性魔法   2階位
消費MP    5
詠唱速度    1秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    一瞬
効果対象    1つの対象
効果範囲    レベル×1m
必要秘薬    なし
備考欄
 この魔法は炎の矢を生み出し撃つ事が出来る。対象は一つで5レベル
上がる事で矢が一本増え、最大10本の矢が撃てるようになる。
 一本のダメージは、レベル×10でトロールなど討伐する時、傷口を焼き
再生できないようにする為、よく使われる魔法である。
 魔法使い職業レベル10魔法スキル10.00で使用可能。

※③【インフィニティーブレイク】
 3次職アタッカーのアクティブスキルのひとつ。
このスキルは、相手の盾を吹き飛ばす事と、そのまま剣を振りぬく事で、
相手に通常の5倍ダメージを与えるアクティブスキル。

※④【シールドラッシュ】
 タンカー職のアクティブスキルの一つ。
このスキルは、盾で相手の体を浮かし盾でその体をプッシュすることで
弾き飛ばすスキル。ダメージは殆ど与えないが一定の確率で脳震盪を
起こさせる。

※⑤【メガストライク】
 ナイト系職があつかえる。このアクティブスキルは敵に向かって
突進することで、通常ダメージの6.5倍のダメージを与える必殺技で
ある。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

召喚勇者の餌として転生させられました

猫野美羽
ファンタジー
学生時代最後のゴールデンウィークを楽しむため、伊達冬馬(21)は高校生の従弟たち三人とキャンプ場へ向かっていた。 途中の山道で唐突に眩い光に包まれ、運転していた車が制御を失い、そのまま崖の下に転落して、冬馬は死んでしまう。 だが、魂のみの存在となった冬馬は異世界に転生させられることに。 「俺が死んだのはアイツらを勇者召喚した結果の巻き添えだった?」 しかも、冬馬の死を知った従弟や従妹たちが立腹し、勇者として働くことを拒否しているらしい。 「勇者を働かせるための餌として、俺を異世界に転生させるだと? ふざけんな!」 異世界の事情を聞き出して、あまりの不穏さと不便な生活状況を知り、ごねる冬馬に異世界の創造神は様々なスキルや特典を与えてくれた。 日本と同程度は難しいが、努力すれば快適に暮らせるだけのスキルを貰う。 「召喚魔法? いや、これネット通販だろ」 発動条件の等価交換は、大森林の素材をポイントに換えて異世界から物を召喚するーーいや、だからコレはネット通販! 日本製の便利な品物を通販で購入するため、冬馬はせっせと採取や狩猟に励む。 便利な魔法やスキルを駆使して、大森林と呼ばれる魔境暮らしを送ることになった冬馬がゆるいサバイバルありのスローライフを楽しむ、異世界転生ファンタジー。 ※カクヨムにも掲載中です

森に捨てられた俺、転生特典【重力】で世界最強~森を出て自由に世界を旅しよう! 貴族とか王族とか絡んでくるけど暴力、脅しで解決です!~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 事故で死んで異世界に転生した。 十年後に親によって俺、テオは奴隷商に売られた。  三年後、奴隷商で売れ残った俺は廃棄処分と称されて魔物がひしめく『魔の森』に捨てられてしまう。  強力な魔物が日夜縄張り争いをする中、俺も生き抜くために神様から貰った転生特典の【重力】を使って魔物を倒してレベルを上げる日々。  そして五年後、ラスボスらしき美女、エイシアスを仲間にして、レベルがカンスト俺たちは森を出ることに。  色々と不幸に遇った主人公が、自由気ままに世界を旅して貴族とか王族とか絡んでくるが暴力と脅しで解決してしまう! 「自由ってのは、力で手に入れるものだろ? だから俺は遠慮しない」  運命に裏切られた少年が、暴力と脅迫で世界をねじ伏せる! 不遇から始まる、最強無双の異世界冒険譚! ◇9/25 HOTランキング(男性向け)1位 ◇9/26 ファンタジー4位 ◇月間ファンタジー30位

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依
ファンタジー
主人公である小野田博俊(おのだひろとし)は女神ミーレヌのせいで死んでしまい、 異世界であるミストラルに転移してもらう。  そこには研磨という職業は無く、博俊は研磨でお店を開き、魔法と掛け合わせて 楽しく儲けて生活する物語。  研磨で新しい効果を生み出し、時には笑い時には悲しみありの長編小説。に、 したいとおもいます(*^-^*)

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜

西園寺若葉
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...