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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

106話 雷神

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 盗賊達は、久しぶりの獲物に沸き上がっていた。

「おらぁ~!ちゃっちゃと歩くんだよ!」

「くっ!」

「親分!今度の女は使い物にならないようにしないでくだせえよ!」

「がはははは!俺はこの冒険者の女を貰うから後の女は、お前達で好きにしろ!」

 それを聞いた子分達は更に沸き上がったのだった。

「「「「「さすが親分!」」」」」」

「がはははは!俺は優しいだろ?」
「「「「「へい!」」」」」

「お前は、俺がずっとかわいがってやるから覚悟しろよ?へっへっへ」

「むうううう!」

「おめえも可哀想にな!親分はオーク並みに絶倫だぜ!げへげへげへ」

 その言葉を聞き、護衛の女戦士は血の気が引き逃げようと暴れたのだった。しかし、両足は歩く程度の歩幅で拘束されていて、両手は後ろで結ばれてしまい逃げることが出来なかった。採取士の女性達は、涙を流す者や下を向き絶望した者ばかりだった。

「がはははは!活きの良い娘は、こっちも願ったり叶ったりだ!せいぜい抵抗してくれよ!

「んん~~~~~~!もがもがもが!」

「何言っているかわからねえなあ!ホント楽しみだぜ!」

 それを聞き女戦士は、自分の無力さに涙が溢れたのだった。その時だった。盗賊達に、炎の矢が次々に刺さったのだ。

「「「「「ぎゃああああああああ!」」」」」

 辺り一面は、阿鼻叫喚の光景が広がった。盗賊達は火だるまとなり次々息絶えたのである。

「おめええらあ!」

 盗賊のリーダー格の男は周りを見回した。すると、そこにはフルプレートを装備した、冒険者が立っていたのである。

「やっと見つけたぜ!」

「こんな真似をしたのは貴様かぁ~~~~!」

「馬鹿な事を!俺は剣が本業だよ。デイニー!女性達は任せた!」

 デイニーと呼ばれた女性は、すぐさま囚われた女性達の周りに、※①【ファイヤーウォール】を張り巡らせて、盗賊から守ったのだった。

「もう大丈夫よ!そこから動かないで!」

 捕らえられた女採取士、女冒険者達はその後景に驚いた。自分達の周りに炎の壁が立ちはだかり、盗賊達から引き離されたのである。
 それも、このファイヤーウォールは高レベル魔法使いの物とすぐにわかった。炎の内側にいる自分達には熱さが感じないのである。しかし、炎の外側にいる盗賊達は近づいただけで燃え上がり、必死で火を消そうとしていたのだ。

「ロイ、ブンダス、女性達はもう大丈夫!遠慮なく遠慮なくやってしまいなさい!」

「誰がリーダーだ!おめえじゃねえよ!」

「つべこべ言わずやっておしまいなさい!」

「又やっているよ……」

「ハイド……それ以上言わないほうが良いよ……」

「だけど、パメラよう……あいつ等いつもあんな感じで……」

「ハイド何か文句あるの?」

「デイニー、何にもありません!」

「何ごちゃごちゃ言ってやがる!皆の者やってしまえ!」

 盗賊のリーダー格の男は、部下達にはっぱをかけけしかけたのだった。子分達も、たった5人にいいようにやられた事にムカつき、一斉に跳びかかったのだ。

「へっ!俺達に勝ちたきゃ、今の人数の10倍でも足りやしねえよ」

「だな!」

 ロイとブンダスは、余裕の笑みを浮かべ、盗賊達の攻撃を避けまくり、攻撃が全く当たらなかったのである。

「どうした?そんなものか?」

「何だ?こいつら!全然当たらねえ……」

「ぐわ~~~~~!」
「ぎゃああ!」
「ぐはっ!」
「や、やめてくれ……」
「お、俺達が悪かった!」

「ダメだ、貴様達はこの辺りで好き勝手やっていた。どうせこのまま、生きながらえても害悪でしかねえよ!」

 ロイは、盗賊達の泣き言も聞かず斬り捨てたのだった。その剣さばきは流れるように美しく、又隙が全くなかったのである。
 もう一方ブンダスと呼ばれた戦士はタンカーみたいで、何十人と同時に攻撃しても楯で薙ぎ払わられ、まったくダメージが通らなかったのだ。

「むぐぐぐぐ!一体どういうことだ!相手はたった二人だぞ!」

「親方!あれは鬼神の生まれ変わりですぜ!」

「何を馬鹿な事を!悪魔の群狼に勝てる奴などいねえ!お前達もっとしっかりしねえか!」

「まあ、無理だな!悪魔の群狼は今日で壊滅だよ!」

 ロイは盗賊達を斬り捨てながら、全滅を公言したのだった。

「貴様たちは一体……何者なんだ!」

「悪党に名乗る名はないが特別だ!冥途の土産に俺達の名を覚えていけ!」

 ロイは、リーダー格の男を斬り捨てながら自分達の名を言った。

「俺達は、Freedom遊撃隊!【雷神】だ!」

「Freedom遊撃隊……だ……と……ぐはっ!」

 リーダー格の大男は、ロイの剣に倒れたのだった。

「おい!ロイ……お前、こいつは倒したらダメだろ?1人は生け捕りにしないとアジトがわかんねえじゃねえか!」

「大丈夫だ!」

「何が大丈夫だ?みんな殺しちまってどうすんだよ?」

 ロイは、ブンダスに責められたが視線を移し、誰もいない方向に話しかけた。

「そこに隠れている奴出てこい!素直に出てきたら殺さねえ!」

 すると、草陰から盗賊が一人観念して、両手を上げて出てきたのだった。

「こ、殺さねえでくれ……」

「俺達の言う事に素直に答えたらな!」

「何でも言う!だから、殺さねえでくれ!」

 ロイは、生き残った盗賊の1人を拘束しアジトの位置を聞いた。すると、この先に悪魔の群狼のアジトがあるとのことだった。

「へっへっへ!お前達、アジトに行って後悔することになるぞ!」

「なんでだよ!」

「ここに出向いていたのは、全体の3分の1もいないからさ!群の本体には親分がいて下さるしな!行って後悔しやがれ!」

「はっ!さっき聞いてなかったのか?俺達をどうにかしたいのなら、この人数の10倍を連れてこい言って行っただろ?」

「そんな馬鹿な事を信じれるわけねえだろ!」

「何で馬鹿な事なんだ?」

「ここには50人いたんだぞ?それの10倍といやぁ500人だ!お前達5人で、500人なんて相手出来る訳ねえだろうが!」

「ほう!盗賊のくせに、計算が出来るとは偉いじゃねえか!しかし、お前の計算は間違っているよ」

「なんでだよ!50人の10倍なら500人じゃねえか!」

「それはあっているよ。俺が間違っていると言ったのは、俺一人で最低500人用意しろと言ったんだよ。つまり、雷神のメンバーは5人!5人を相手にするのなら、最低2500人じゃ相手にもならんよ!」

「ば、馬鹿な事を……」

 ロイは、盗賊の絶句した顔にニヤリと笑った。




「パメラ!捕らえられた女性達は無事か?」

「当たり前じゃない!盗賊の死体も全部焼き払ったわ!」

 パメラは、捕虜になっていた女性達に向き直って話し始めた。

「申し訳ないけど、貴方達だけで森を抜ける事は可能?」

 パメラの質問は、女性達にとって無理難題だった。採取士の女性達は10人近くいて、護衛の女戦士は一人だった為、いくらこの森が安全な方だと言っても、オークやゴブリンが出現したら貞操の危機である。

「ちょっと私達だけでは、この森から抜けるのは無理です……」

「だよな……」

「へっへっへ!俺達が戻らなければ、親方達は不審に思ってどこかに雲隠れしちゃうかもな!」

「うるせえ!いらんこと言うな!」

「げふっ!」

 盗賊は、一矢報いたいばかりにいらんことを口走り、ロイに殴られ吹っ飛んで脳震盪を起こし気絶してしまった。

 普通なら、この女性達を町まで送り届けて、またこの場所に舞い戻る事をするのが常識だが、ロイ達はケンジから指示を受けていた。
 Freedom国領をまわり、盗賊を見つけだし討伐してほしいと!雷神のメンバーはケンジの指示通り、転移マットを使い町の周辺を巡回し、NFGに出た盗賊の討伐依頼を優先的にこなしていたのである。

「君達、申し訳ないが一緒に盗賊のアジトに来てもらえるか?」

「「「「「えっ⁉」」」」」

「俺達は、この国の王ケンジ様の言いつけで、盗賊を退治に各地を回っているんだよ」

「ですが、私達がいては……」

「そのあたりは安心してくれ!必ず君達の安全は約束する。このままでは盗賊が、本当に雲隠れしてしまう恐れがあるから、退治してしまいたいんだ」

「わ、分かりました……私達に選択できる余地はないし、命を救われた事もありますし、貴方達の指示に従います」

「そ、そうか!助かるぜ。俺達は奴隷だから、主人であるケンジ様の指示に従わなきゃいけないから、本当に助かるぜ!」

「「「「「えっ⁉」」」」」
「もし、私達が指示に従わなかったらどうなっていました?」

「そりゃ、あんた達でこの森を抜ける事になっていたよ」

「「「「「「……」」」」」」

「まあ、でも指示に従ってくれて本当によかったよ。あははははは!」

 捕虜になっていた女性達は、心の中で選択肢はなかったじゃんと思って、顔を青くしていたのだった。

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※①【ファイヤーウォール】
火属性魔法   5階位
消費MP    35
詠唱速度    5.75秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    レベル×10分
効果対象    なし
効果範囲    レベル×1mまでの範囲
必要秘薬    虹色パール5個
備考欄
 この魔法は術者から5mの距離に炎の壁を創り出す。炎の大きさは
1レベル増える事に1mの長さ最大10m高さ5mの火の壁を創り出す。
 ダメージは特殊で、炎に触れる事で術者の職業レベル×10ダメージが
炎に触れていると10秒ごとに持続ダメージ
 3次職になると炎のシェルターとして結界の効果としても利用できる。
魔道士職業レベル50と魔法スキル80以上で使用可能
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