異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

94話 ケンジの考え方

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 ケンジはFreedom統一国家で、足りない物は積極的に国民の意見を取り入れるようにしていた。一番ありがたいと好評だったのが、転移マットの存在だった。Freedom国内を移動する手段として、魔物や盗賊に襲われる心配がなくなったことにある。
 これにより、安全に多くの物産が流通させることが出来て、Freedom内であれば、その日にあがった新鮮な生魚が食べられるようになり、冷蔵庫のおかげで氷が手軽に手に入る事もあり、2・3日程の距離ならば他国に輸出できるようになっていた。

 この事で、冒険者は護衛の依頼が激減したが別に困ることは無かった。今までなら、遠くの場所にある採取物を取りに行くことが出来たり、魔物も狩りに行くことが出来ていたからだ。
 今までなら半年間旅をして、その魔物の素材を求める必要があったが、転移マットですぐにその地域に飛び、一日ゆっくり体を休め魔物を討伐し一日で帰ってこれるからである。

 そして、護衛依頼は完全になくなったわけでもなかった。これは、他国の行商人や他国に出かける行商人がいるからである。今までより遠くにある他国の物資を、Freedomに輸送できるようになり流通が盛んになっていた。

 そして、国民から数多くの要望があったのは銭湯だった。ケンジは、王都・帝都・聖都だった3大都市に銭湯を建設を開始した。
 これにより、国民の清潔度は一層上がり、石鹸の売り上げもとんでもない事になり、衛生面が飛躍的に向上した事にあった。神鋼魔石を使う品物以外は、ギルドでも販売される事になった為、石鹸と髪石鹸(シャンプー)はギルドの目玉商品となり、ギルドの販売網で他国にも売り出される事になったのだ。

 ただ、神鋼魔石を使った魔道具が、なぜギルドから販売されなかったかは、生産が追い付かなくなるからである。スキルがゴッズにならないと製作出来ない商品は、手分けできないのでしょうが無かったのだ。

「ケンジ様、銭湯の売り上げが凄い事になってますよ」

「まあ、そうだろうな。だけど、この銭湯のおかげで数年後税金がとんでもないことになると思うよ」

「確かにそうですね。これで国民の衛生面が格段と上がります。病気で死ぬ子供が少なくなり、その子供が育てば凄い事になりますからね」

「ああ!今まではFreedom国だけだったが、これからは3大大国の国民すべての税金があがってくることになるのだからな」

「やはり、ケンジ様は凄い方ですね」

「いきなりなんだよ?」

 ムシュダルクは、テンペの町で初めてケンジを見た時の事を思い出し、静かな口調で話し始めた。

「私は最初、テンペの町でケンジ様を見たとき、とんでもない若者だと思って思っていました」

「とんでもない?」

「えぇ!貴族やギルドマスターに反抗しまくる構成員がいると、噂に聞きまして若いなぁと……そんなに反抗する若者はすぐに制裁され、この世からいなくなると思っていたからです」

「なんだよそれ?」

「だけど、今までそういう若者は何人かいたのですよ?ですが、粋がっていただけで強大な権力の前では、なすすべもなく世の中から消えていたから、ケンジ様もいずれと思っていたのは、貴族の中でも私だけではなかったと思いますよ」

「まあ、俺を侮っていたやつらばかりだからな。だが、あんなあからさまに権力を行使するしか能のないやつに、そんな事にはならないよ」

「今なら、その言葉も納得はできますけどね。当時は、若者がまた命を無駄にとしかおもっていませんでしたよ。それに、Freedom国になって、ケンジ様の貴族や権力者嫌いは拍車をかけて酷くなってきていたでしょ?」

「実際の所どうしようかと思ってたぐらいだからな……」

「ケンジ様が、貴族を亡ぼすと言った時は、私はケンジ様が何を言っているのか分かりませんでしたからね」

「滅ぼすと言っても、貴族だった人間を死亡させるわけじゃないからな」

「でも、あの言い方は誰が聞いても、貴族の人間をどうにかするとしか理解できませんよ」

「貴族も、生まれた時からあんな傲慢で自分勝手な人間はいないんのは、俺だって分かっているつもりだよ。全ては貴族制度の中での教育がおかしいから、ああいった人間が育つんだよ。だったら、貴族制度をいっぺん白紙にする必要があると考えたんだよ」

「ですが、それに気づけたからと言って、実行に移せる人間はケンジ様位ですよ」

「まあ、実際はこれからだよ。貴族や権力者だった人間がこのまま素直に、この国の方針に従うとは絶対に思えないからな」

「まさか?統一国家となったFreedomに逆らう人間がいるとは……」

「いやいや……そうじゃないよ。あいつ等もそこまで馬鹿じゃないよ」

「でしたら……」

「あいつ等はある意味頭の回転は速いよ」

「えっ?ケンジ様は先ほど馬鹿だと……」

「なにか、策略や政策に関しては馬鹿なんだよ。ただ、自分が楽をしたり金を収集することに関しては、ずる賢い頭を持ち合わせているって事なんだよ」

「って、事は?」

「そうだ!この国の隙間を狙って成りあがろうとする輩が増えるって事だよ」

「でも、そんな隙間があるとは思えないのですが?」

「あるじゃないか!この国の抱えるでっかい隙間が」

「どこにそんなでかいモノが?」

「わからないか?」

「????」

「ギルドだよ……」

「何でギルドが?」

「忘れたのか?問題のギルドマスター達や幹部の存在を!」

「あっ……」

「俺が心配するところはあの問題人物たちだよ。多分あいつ等は、貴族だった人間と繋がっているはずだよ」

「だったら、今すぐ対処を!」

「ムシュダルクさん……貴方も、もうちょっと色々考えた方がいいよ」

「なっ⁉」

「あなたは、もうちょっと変化球を覚えた方がいい。じゃないと、足元をすくわれる事になるからな」

 ムシュダルクは、ケンジにダメ出しをされて言い返そうとした。

「ですが、それが分かって何の行動も起こさないというのは?」

「いやいや……今動いてどうすんだよ!」

「どういう事でしょうか?」

「こういうのはな。全体をぶっ潰した後が重要なんだ。ムシュダルクさんは、貴族制度が無くなったからと言って問題が全部解決したと思っているのか?」

「そ、それは……」

「だろ?今度はギルドの膿を出し切り、それと同時に元ギルドマスターに賄賂を送る元貴族の逮捕が目的だよ」

「なっ⁉」

「そのためには、すぐに行動を起こして巨悪を闇に潜らせたら一番駄目な行動なんだよ!」

「では、どのように?」

「だから、俺は3ヶ月後の覆面調査員を送るからちょっと待てと言っただろ?」

「あっ……た、たしかに!」

「俺の予想では、今度の3ヶ月後の調査では何も出ないと思う」

「だったら今、調査をしたら未然に防げるかと!」

「そうじゃない!あいつ等はずる賢いと言っただろ?ここで一度泳がせることにする。そして、本当に悪い人間だけが、そのあと安心して好き勝手に動きだすから、そこを一網打尽にする」

「な、なるほど……」

 ケンジは、ムシュダルクの反応を見て、ムシュダルクは良くも悪くも真っ直ぐな人間であり、善政をさせておいた方がいいと思ったのだった。 ムシュダルクには、国民の生活がよくなる政策をさせておいた方がよく、腹の探り合いのような事は向いていないのだ。

「まあ、いいや……適材適所と言う言葉もあるしな。ムシュダルクさんには、政に専念してもらったほうがいいかもな」

「申し訳ございません……」

「まあ、気にするなって!得て不得手は個人差だしな。俺みたいに基本的に、他人を信じていない人間だから出来るという事もあるんだからな」

 ケンジは、自虐を織り交ぜて、ムシュダルクに笑いながら言ったのだった。

「他人を基本的に信じてない?」

「ああ!俺にある判断材料は基本的に3つだけだよ」

「3つの判断材料?」

「1つ目はマイやムシュダルクさん、ギル達がこのグループに入る。2つ目は貴族や権力者達だな!そして3つ目はこの国で生活する国民達のような人間達だ!」

「それって?」

「一つ目は好きな奴で信頼を置ける人間。二つ目は俺が大っ嫌いな人種。3つ目は俺に対して人畜無害な関係のない人間だ!」

「ですが、普通はそれが……」

「だが、俺は基本ムシュダルクさん達しか信頼をしてないよ。ギルドで働いている人間で、ギルドマスターだった人間は疑ってかかっている」

「そ、それは……」

「ムシュダルクさんは、アーチェ達をどう見ている?」

「アーチェ達は、ギルドで一生懸命改革に精を出して頑張っていると思いますよ」

「俺は、まだまだだと思っている。信頼はまだしてないよ?」

「どういう事ですか?」

「改革しているのは認めるが、やっていることは今までと一緒だという事さ」

「えっ⁉」

「つまりだな。ギルド本部に身を置いているにもかかわらず、自分の事だけで精一杯という事だよ。先ほども言った通り、元ギルドマスター達の事を全然考えていないということさ!」

「????」

「わからないか?」

「申し訳ありませんが……何を意図としているのか……」

「アーチェ達は、前の経験を全然活かしてないという事だよ。そんな人間は俺は信頼などできないってことだよ。本当なら、もっと支部に目を向け、支部を建て直していかないといけない」

「それって……」

「そう!ムシュダルクさんが前もって対処と言ったことを、本部の人間が定義に上げないといけないって事だよ。だが、そういう事は一切Freedomにあがってこないだろ?」

「た、確かに……」

「だから、Freedomがギルドをいつまでたっても目を離す事が出来ないんだよ」

「でも、それならば本部の責任者は、アプリコットじゃないですか?」

「だから、Freedomがこうして動けているんじゃないか!覆面調査員の案はアプリコットの発案だぞ?」

「えええ!」

「だったら、アプリコットが先陣を切ってギルドの議題に上げればいいじゃないですか?」

「だから言っているじゃないか。俺は基本他人を信じていないってな。ギルドの膿を出し切るには、こうする方法が一番いいんだよ」

「だけど、それならギルドはいつまでたってもFreedomにおんぶに抱っこはしょうがないことなんじゃ……」

「いいかい?膿を出す方法は、この方法だけじゃないのは分かるよね?」

「どういうことでしょうか?」

「要は改革をしようとしている人間が、自ら動き目を光らせるという事だよ。要は、ムシュダルクさんのような善政を一生懸命に自ら動ける人間が動く事だよ」

「そ、それは……ですが、私はケンジ様の言う事に従っているだけで……」

「その、悪い事は絶対に駄目と言い切る心が大切なんだよ」

「しかし、今はギルドは建て直しの最中だ!アプリコットにも言っているが、一時的にあいつをギルドの頭に置いているだけだよ」

「あっ……確かに、アプリコットに議題の進行を任せても素直に言う事を聞くのは、アーチェとモーリスぐらいだけかも……」

「そういう事だ!だから、俺はアプリコットには、ギルドの様子を見ているだけにして、気になった事を俺個人に報告してくれと言ったんだ」

「なるほど……そうじゃないと、ケンジ様がギルドの内部の事を、詳しく分かるはずがないですものね」

「だから、アーチェ達がそれらの事を気づき注意して、Freedomに報告するのがベストなんだ。そうすることで人員は確保し、本当に悪い人間だけ追放できるんだよ」

「本当に悪い人間だけ?」

「たぶんこのままでは、元貴族の人間に巻き込まれる人間が出てくるはずだよ?」

「どういう事ですか?」

「人間というのは、それほど欲望に弱いということで、NFGになって心機一転頑張ろうとしている人間は多いと思うが、元貴族達の賄賂に心が揺れる人間は少なからずいるって事だよ」

「それでは、元貴族の人間に毒されるという事ですか?」

「まあ、アーチェ達には気の毒な結果になるが、俺にとってはたいした事ではないからな。それに、そんな誘惑に打ち勝てないのなら、この先に待ち受ける誘惑に絶対負けると思うから、今のうちに脱退した方がいいとおもうよ」

「ケンジ様は……では、私には私のできる事を、提案させていただきましょうか?」

 ムシュダルクは、ケンジのドライな態度に少し考えたが、自分は口を出さないほうが良いと思い、自分の発案を報告したのだった。


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