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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

90話 グランパス王国の失態

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 ケンジが、謁見の間に姿を現したのだった。そうして、ケンジはランガスを見てため息をついたのだった。

「ふぅ~、ランガス……お前はいったい何をやっているんだよ?」

「えっ⁉」

「えっじゃないよ。お前の役目は王国の連中を、納得させて引き取ってもらう事だろ?煽るだけ煽って、国民の命を危険にさらす事じゃないんだぞ」

「す、すいません!まさか、あんな事を言われるとは……」

「わははは!ケンジ殿、話を聞いていたなら分かるだろ?平民の命を……」

「キース王……貴方も変わられたな。前はもっと平民の事を考えて、カリスマがあったのに残念だよ」

「何を言っておる!わしは、グランパス王国の国王だぞ!」

「ああ、そうだな……その考え方は、前国王アースフォングランパス国王陛下のようだな」

「な、なんだと?ワシが父上のようだと?」

「まあ、その原因は貴方の後ろにいる貴族のせいだとは思うが、俺がもっとも嫌いな考え方だよ。自分の思い通りにならないと見るや、人質を取ったり権力を振りかざしして、無理やり自分の言う事を聞かせるだなんてな」

「わしは、父上とは違うやり方で、王国を建て直していた!父上と一緒にするでないわ!」

「はっ!王国を建て直していた?どこをどう見たら建てなおっているんだ?」

「だから、こうしてNFGを王国に再建してくれるように交渉を!」

「交渉?あのやり方が王国の交渉なのか?」

「ぐっ……それは、そのにいるランガスが聞き分けのないことを!」

「ほう!じゃあ、Freedom国からしたら、王国は聞き分けの良い行動をしているというのだな?」

「そ、それは……」

「俺は、国の事で手一杯だから、何度も断っているのにとうとうこうして強引に訪問までしたのは聞き訳が良いと、キース国王は言い張るんだな?」

 ケンジは、キース国王達を睨みつけた。

「そ、それは、こちらとしてももう後がないのだ!ギルドが町に存在しなければ、国として経済がまわらぬ!」

「だったらなぜ、もっと元ギルドの意見を聞き寄り添わず、自分達の意見を押し通した!お前達王国のせいでギルドは立ち行かなくなり潰れたんだぞ」

「だが、町の結界が切れれば町は滅亡してしまうではないか?それに我が国は、町の結界の費用をギルドに支払ったのだぞ!」

「だから、自分達の都合だけでギルドを潰し、他の国はどうでもいいと言うのか?」

「そんな事は言っておらん!」

「同じ事だよ。無理をさせたらギルドがつぶれるのは分かっていたはずだ!ギルドがつぶれてなくなれば、国の経済がまわらないと言ったのに、なぜそのことに気づかない!」

「そ、それは……」

「普通なら、もっと寄り添ってともに生き残る案を出し合ってもいいだろう?」

「「「「「……」」」」」

「いいか?よく考えろ。お前達が無理をさせたせいで、ギルドは潰れてその後始末を、Freedom国がやっている」

「そ、それは……」

「そんな迷惑をかけられた国の為に、Freedom国が王国の為に真っ先に行動を起こすはずがないだろう。違うか?」

「むぐぐぐぐ……」

「俺から、今ここでハッキリ言ってやる!王国に対して1年間は絶対に動かん!」

「「「「「「なっ!」」」」」」
「それでは、王国は……滅亡してしまう!」

「キース王!お前は前国王とは違うんだろ?お前なりのやり方で王国を建て直してみろよ」

「それが出来るなら、ここにはきておらん!もう後がないんだ!だから、頼む!NFGを王国領に!」

 キース国王は、ケンジに対して弱音を吐いた。宰相達ももう万策尽きた状態であり、ケンジに対して頭を下げた。

「国王自ら、国の建て直しは無理と言うのか?」

「このまま、町にギルドが存在しなければ、平民達は暴走するほどもう限界に近づいています……」

 この世界で、平民が暴走することはまずない。それほどまでに貴族の権力が大きいからだ。貴族に対して反抗すれば死は絶対であり助かる事は100%皆無であり、反抗した平民の家族はもちろん、関係のない血筋は全部処分されるからだ。

「へえ!平民は暴走ってすごい事だな」

「普段なら騎士団もいますが、今の王国に平民の暴走を鎮圧できる力はありません……だから、ギルドを町に開設は絶対してもらいたい!」

「苦しい国の状況でも、お前達は見栄を張り、平民達に苦しい思いをさせるからそうなるんだ!」

「頼み申す!どうか王国領にNFGを!」

 キース国王は、Freedom国民を楯に取っても無駄なのは分かっていた。元飛龍騎士団団長が、鳳凰騎士団の入団試験を受けても雑兵となっていたのは情報を手に入れていたからだ。

 ただ、こうしてケンジに国の状況を説明して助けてほしかったからだ。

「その頼み事は絶対に聞き入れない!」

「そっ!そんな!」

「あんた達でどうにかしなよ!俺達Freedomは、ギルドの建て直しがあるんだ」

「ケンジ殿!」

「いいかい?Freedomは、大陸中にあるギルドを再建しているんだぞ?あんた達は、自分の国グランパス王国だけじゃないか!」

「で、ですが!」

「今、Freedom国がグランパス王国にNFGを再建したら、人員の整備やら色んなことを目に掛けなきゃならん!それに、王国の国民の人数は減っていてすぐに黒字になるとは思えん!」

「だが、外貨の習得はできるはず!」

「馬鹿な事を!外貨が習得できても赤字になれば元も子もないだろう!何で、そんな思いまでして真っ先に王国を、Freedom国が建て直さなきゃならん!」

「そ、そこを何とか!このままでは、グランパス王国が消える事になる。ワシの代で王国を絶やす事はできん!」

「それも時代の流れだ!形あるものはいつかは無くなる」

「「「「「馬鹿な事を申すな!」」」」」

 ケンジの言葉に、王国関係者全てが大きな声を出した。しかし、ケンジは冷静に反応した。

「そんなバカな事か?」

「当たり前であろう!王国はもう1000年以上続く国だぞ?」

「たかが1000年じゃないか?」

「な、なんだと……」

「人間に取ったら1000年は永久と思う程永いが、エルフに取ったら千年はたかがそのエルフの人生だ」

「エルフと一緒にするでないわ!」

「まあ、一個人と国を一緒にするのは違うかもしれんが、1000年と言うのはそれだけの事だよ。これが1万年とか言うのならたいしたもんだが、千年じゃ潰れるべきして潰れるって事だよ」

「ムぐぐぐ……」

「そんなに悔しいなら、王国だけで建て直してみなよ」

「それが出来たのなら、ここにはきてないと言っただろうが!」

「だろ?国王自ら千年続いたと言っている割に、もう諦めているじゃないか?俺から言わしたら、その地点で建て直すとかじゃなく違う決断をした方がいいとおもうよ?」

「違う決断だと……」

「ああ!」

「それってまさか?」

「ここまで言ったんだ。もう察しはついてんだろ?」

「馬鹿な!王国も、帝国や聖教国のようにしろと言っているのか?」

「嫌なら、グランパス王国で頑張ればいいことだよ!俺達、Freedomが介入する事じゃないんだからな」

 ケンジの言葉を聞き、キース国王はその場に崩れ落ちた。そして、宰相達上級貴族はわめき叫んでいた。

「「「「「なんたる!無礼な!」」」」」」

「宰相さん!無礼はあんた達ですよ。この国に助けを求めに来ておいて、いざとなったら飛龍騎士団を、あんなふうに利用した策を立てたのはあんた達上級貴族だろ?」

「うっ……」

「あんた達が、いつまでも時代の流れを掴まず、今までと同じような事ばかりやっているから、王国は滅亡するんだよ!」

「王国がこうなったのは、ワシ達のせいと申すのか?」

「俺から言わしたら100%そうだね。キース国王は10年前前任と交代した時は、こんな考えをする人間じゃなかったはずだ。前任の王に間違っていることは進言し、部下からの信頼が厚かった人物だった」

「そ、それは……」

「なのに、あんた達がこの10年で、キース国王に古い考え方を刷り込んだせいで、前国王と変わりない国王にしたことが原因だよ」

「馬鹿な!今まではその政策で上手く行っていたではないか!何が間違っているというのだ!」

「だから、馬鹿と言われるんだよ!今までと違う不確定要素が出てきた時代に、今までの政策が通じるわけないだろうが!」

「不確定要素だと?」

「Freedomに決まっているじゃないか!」

「……」

「今までの王族や貴族やり方を嫌って、国民達は王国を離れて行っただろ?その行先はどこだ?」

「……」

「お前達は自分達を優遇し、今だに自分達を選ばれた民だと思っているからそうなるんだ。昔からある事は知恵なり経験だが、状況によってそれらを活かさないから、王国は滅亡することになるんだよ」

「ぐうううう」

「で、今ならFreedom国に吸収させてやるぞ?そうすればグランパス王国は、Freedom国になるから俺が責任を持って建て直してやってもいい!」

「ば、馬鹿な事を!ここまで言われて吸収など!」

「それならそれで構わないよ。いずれ国民の不満は爆発し、あんた達貴族は断罪される事になるだけだ」

「むぐぐぐ!」

「それとも、ここでFreedomによって処刑される事を望むか?」

「何故、わたし達が!」

「キース国王!あんたの周りをよく見て見な?なんで俺が、ランガスに交渉を任せていたのに、ここ謁見の間に来たと思う?」

 キース国王は、周りを見回していたが何も変わったことは無かった。ケンジはキース国王の側に近寄り、地面に手をやった。

「こいつは、偵察用の虫型ゴーレムでな」

「はっ?」

「色んな使い道があるんだよ。ちょっとこれを見てくれるか?」

 ケンジは、ゴーレムの録画機能を再生した。するとそこには、キース国王と宰相達が、Freedom国民を飛龍騎士団に襲わせると言っていた時の映像が流れたのである。

「な、なんだと!」
「こ、これは一体どういうことだ?」
「馬鹿な……」

「これを証拠に、貴方達はFreedomに戦争を起こそうとしていたと、俺が訴えればそうなると思います?」

「これは、ケンジ殿に取り次いでほしいばかりに言った事で、本気で言った訳では!」

「本気で言ったかどうかなんて知らないですよ。こうして証拠はあるのですからね。裁判になれば言ったかどうか、水晶で確かめられ罪に問われるだけだよね?」

「そ、それは……」

「そして、こういった策略を練った宰相達、あなた方は問答無用で張り付けにされ、家族親戚も同様に罪に問われることに!」

「ま、待ってくれ!」

「待つって、何を?今更なかった事になんかならないのは、自分達が一番分かっている事でしょ?」

「ど、どうしたら?許して……」

「あなたが同じことをされたらどうしますか?普通、不敬罪とかで処刑されるんじゃないですか?」

「うううううう……宰相!貴様があんな案を出すからこうなっただぁ!どう責任を取るつもりだ!」
「私はただ……交渉が上手く行くと思い……」
「国王!おやめください」
「五月蠅い‼公爵も我に小さいころからこのようにしたらいいと言ってきたではないか!なのにこの様はなんだ!」
「国王お止め下さい!」
「五月蠅い‼宰相、お主はこの責任を詫びて自害するがいい!」
「国王、それはいくらなんでも……貴方もこの案に賛成したではありませんか?」

 ケンジは、呆れ果てて口を出さずにはいられなかった。

「あんた達いい加減にしろよ。こんなとこで言い争っている場合か?言い争うなら帰れ!目障りだ」

「帰れといわれて、帰れる訳がないのは分かっているはずだろが!ここで引いたら本当に王国いや、我らは平民達の暴動に!」

「そんな事、俺らに言われても関係ないよ。助かるには王国の復興は諦めて、Freedomに領地権利書を引き渡すだけだよ」

 ケンジの言葉に、キース王は黙り込んでしまった。その様子を見て宰相達貴族は、顔を真っ青にして固唾を飲んだのだった。


 
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