異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

87話 Freedom国の立ち位置

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 ギルドが、今までライバルだと思っていたFreedomギルドに吸収された事は大陸中に激震を起こした。

「な、何でFreedomギルドに吸収されないといけないんだ?」
「これからあたしたちはどうなるのよ!」
「まさか、クビって事ないよな?」
「そんなのわかんないわよ!」

 ギルドの内部は騒然となっていた。これからの自分の生活が、どうなるのか不安に思うのはしょうがない事だからだ。
 ギルド本部からの知らせは連日各支部に行われた。そして、一番に報告されたのは、今までと同じように働いてくれと言う事だった。

 そして、ケンジはギルドの社名をギルドから、NFG(ネオ・フリー・ギルド)と変えた。当然、NFG本部はフリーの町となり、そこから発信される事になる。
 そして、NFGには各支部に転移マットが設置される事になる。鳳凰騎士団が6人が護衛につき魔導士達が、各支部に遠征することになり、各町のNFGに着くと、鳳凰騎士団魔道部隊の一人が転移マットを設置して帰っていくのである。
 次の日には、交代要員の鳳凰騎士団が、その転移マットを通じて、次の町に向けて出発していった。後日、その転移マットを使って、ケンジがギルド本部長と共に訪れることになる。
 その際に、これからのNFGの事を説明をすることになり、ここで問題が浮上することになる。

「これから、このギルドはFreedom管轄の組織となる為、ギルドマスターは廃止となり、今までギルドマスターは支部の事を好き勝手決めていたが、Freedomの決定に従ってもらい幹部も廃止します」

「どういうことですか?」
「それでは、わたし達はクビとなるのですか?」
「そんなの認められる訳!」

「まあ、待ちなよ!まずはこっちの話を聞いてもらいたい」

「「「「「ゥぐぐぐ……」」」」」

「今まで、ギルドのシステムだとギルド支部は、ある意味その支部だけで成り立ち、ギルドマスターを頭に活動をしていた事で、ギルドマスターは支部の個人事業主のような立場になっていた」

「「「「「……」」」」」

「それ故に、権力者となって本部が目の届かない事をいい事に、好き勝手やっていたことが判明した」

「だから、わたし達をこの機にクビにするつもりなのか?」
「我々は、今まで苦しい中経営を続けてきたのだ!」
「「「「「そうだ!そうだ!」」」」」

「いやいや……それを、この新しいNFGでやって貰ったら困るって話なんだよ。今までのギルドは、それを見逃してきたことが普通だったが、Freedomが介入してそれを続けると横領や賄賂などしたら、これからは貴方達を犯罪者として、Freedom国が訴えると言っているんだよ」

「どういう事だ?」

「つまり君達は、ギルドマスターや幹部の呼び方は廃止、NFGの支部長を中心に働いてもらいたいという事なんだよ」

「だったら、今までと同じように働けるという事ですか?」

「そういう事だ!ただし、これからは好き勝手に絶対やらせない!」

 ケンジの言葉を聞き、支部長達はホッとした様な表情を浮かべた。なら、今まで通りにここの権力者のままだという事に笑顔が漏れたのである。

「一応、忠告は入れておくが、今までのように思っていたら後悔するからな。俺は、今までの不正をあえて目をつむり、君達をそのままの地位にしておくんだからな?NFGで同じように不正をした時は、前のギルドでの不正も合わせて罰するから気をつけろよ?」

「分かっています……」
「温情を頂き感謝します」

 元ギルドマスターや幹部連中は、とりあえずその場を乗り切るために、ケンジに服従したのだった。
 
 そして、意外だったのは他国の対応だった。Freedom国が介入した新生ギルドの存在なのに、他国の敷地内にNFGが存続できたのだ。
 当初ケンジは、Freedom支店のように城壁外に建て直さないと思っていたが、平民達にはギルドは必要で今まで通りに売り上げの税金を納めてくれたら問題はないと言ってくれたのだ。
 他国も、ギルドの負債を肩代わりできるようなFreedom国を、敵にまわしたくないと判断したようで納得したようだった。
 もし、駄々をこねてギルド自体が、自分の国から撤退される方が問題だったのかもしれないと、ムシュダルク達は思っていた。

 そして、この状況に一番焦っていたのが、グランパス王国である。まさか、Freedomが大陸最大の組織までも飲み込むとは思ってもいなかったからだ。
 そして、いつまでたってもNFGが、王国領にギルドを進出させない事にあった。

「ケンジ様、一時はどうなるかと思いましたが、なんとか形にはなりそうですね」

「ムシュダルクさん……安心するのは全然早いですよ。これからが大変なんだから!」

「ですが、元ギルド幹部達は、素直に従っているではありませんか?」

「馬鹿な事を!あいつ等がそう簡単に素直に従うわけないだろ?まあ、アーチェ達のようなクーデターを頑張った人間は、ギルドを良くしようと思っていたが、元ギルドマスター達は何も改心なんかしていないよ」

「で、では……」

「まあ、3ヶ月後の覆面調査員が、実態を暴いてくれるとおもうよ」

「覆面調査員?」

「まあ、それは後日のお楽しみと言う事で、他にもやることはいっぱいあるよ」

「ですが、とりあえずは鳳凰騎士団達が、NFGに転移マットを設置していかないと話になりませんよ」

「まあ、そうなんだがとりあえず、そろそろ王国側から使者が来るはずだぞ?」

「た、確かに……ケンジ様はどうするつもりなのですか?」

「王国にも潰れてもらう事にするよ。ヒューマン国は、Freedom統一国家とするつもりだよ」

「……」

 ケンジの言葉に、ムシュダルク達はその場から動けなくなった。

「どうやって、王国を解散させるのですか?」

「そんなの今の王国なら簡単だよ」

「はぁあ?」

「いま、王国内にはギルドが無い状態なんだ!当然、中規模以下の町には商会も存在していないし、Freedom支店もメイガン商会のある町にしか存在していないんだよ」

「ですが、Freedom支店が存在している地点で、なんとかやっていけるのでは?」

「まあ、無理だな。今は今回分の結界が機能しているが、中規模以下の町ではドンドン不満がたまっていくから崩壊すると思うぞ?それに、王国ではNFGの開設を待ちに待っているはずだ」

「ひょっとして、ケンジ様は王国領に開設しないおつもりですか?」

「そりゃ、アーチェ達を困らせギルドを廃止させた原因の国だぞ?それに、そのおかげでFreedomに迷惑をかけたんだ。その責任は取って貰わないといけないだろ?」

「王国も、厄介なお人を怒らせたものですね……同情しますよ」

「クックック……まあ、アーチェ達の敵は俺が晴らしてやるよ。それで、アーチェ達はどうしている?」

「それなら、大丈夫かと思いますよ?久しぶりに、アプリコットに逢えて話が弾んでいたみたいですしね」

「そっか!なら、他の連中も自分のやれる事を見つかるはずだな」

「まあ、今のところ大丈夫です」

 


 それから、NFGの開拓は急ピッチに進んでいくことになった。しかし、王国ではなかなかNFGの開設が行われない事に、苛立ちが起こっていた。

「どういう事だ?なぜ、新しいギルドは王国領に来ぬのだ?」

「そ、それが申請をしているのですが、忙しいとかやることがあると言って、王国は後回しだと……」

「そんな馬鹿な事があるかぁ!王国領にはギルドが存在していないのだぞ?まず、王国領に開設するのが常識であろう!」

 キース国王は、宰相や公爵に怒鳴り散らしていた。これには宰相達は困り果てたのだった。自分達はNFGに対して開設要請を何度も要請していたのだが、当のNFGがそれに答えてくれないだけだからだ。

「キース王、そんなに怒鳴らないでください。我々もNFGの対応には困っているのです。これは我々のせいではありません」

「何を言っておる!王国内にはギルドが存在していないんだぞ。なんで、そんな余裕をかましているんだ!もっと、危機感をもって交渉してこい!」

「何を言っているのですか?我々も必死に交渉しています!」

「だったらなぜNFGは要請に答えぬ!国内にギルドが無いと、本当に暴動が起こってもおかしくないのだぞ!」

「分かっております!だから、我々も……」

 キース王が、苛立ちを覚えていたのも無理はなかった。交渉しているとはいえ、いつもNFGにははぐらかされている節があったからだ。
 今のゴタゴタが済んだらすぐに開設に取り掛かれると思うとか、善処するとか言うのだが、現実的にいつ取り掛かかれるとか、具体的な案が全然あがってこないのである。

 これには、とうとう王国側がしびれを切らして、面会を申し込んで来たのだった。

「ケンジ様……グランパス王国から面会の要請がありました」

「そっか……相当王国は焦り始めているようだな」

「そりゃそうですよ!まさか、ここまで放って置かれるとは、向こうも思っていなかったと思いますよ」

「じゃあ、あと半年は放って置いてくれたらいいよ」

「半年先ですか⁉」

「ああ!半年先だ」

「半年も伸ばして、王国は大丈夫なのですか?」

「まあギリギリってとこだろうな……そこから交渉に入るから、半年は無理と書簡を送っておいてくれ!」

 ムシュダルクは、ケンジを怒らせるとここまで冷酷になるのだと震えあがったのだった。しかし、これはムシュダルクが感じたものであり、実際のところ、ケンジは貴族や権力者を排除させる為だけに動いていただけであった。

 今、ケンジはFreedomがどういう立ち位置に立とうとして、今まで平民や奴隷達が虐げられていた生活を少しでも水準を上げるために奮闘していたのだった。



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