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第10章 Freedom国、経済の中心へ!
83話 ギルドの葛藤
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ケンジは、久しぶりに見るアーチェ達の姿をみて、驚きを隠せなかった。見るからに睡眠がとれてなくて、目にはクマが出来てやつれていた。
「二人とも久しぶりだね」
「「お久しぶりです……」」
アーチェ達の後ろにいた、ギルド職員も同様にやつれていて、返事をするのが精一杯のようだった。
「早速、本題に入らさせていただいてよろしいでしょうか?」
「その前に、ちょっと会わせたい人間がいるんだがいいかな?」
「会わせたい人間?」
「ランスロット、あいつ等を連れてきてくれ!」
「はっ!」
ランスロット達鳳凰騎士団が、王国支部のギルド上層部を縛り上げた状態で連れてきて、アーチェ達の前に引き渡したのだった。支部のギルドマスター達は、呻き声を上げてジタバタしていた。
「こ、これは……いったい!」
アーチェ達は、目を見開き驚いて言葉も出なかった。
「君達の仲間である元ギルド職員が、うちの国に難民として流れてきた時に情報をいくつか聞いて、こいつらがうちの国に潜伏してたんだよ」
「潜伏してたって……そんな簡単に見つかるモノでもないでしょ?」
「うちの国に、潜伏したのがこいつらの愚かな所だよ。それで、こいつ等がギルドの金を着服していたことも聞いているよ」
「そ、それで、そのお金はどこに?」
「ちょっと待ってくれ!押収品は、今持ってきているから」
すると、後から鳳凰騎士団がギルドマスター達の押収品の金や私物をリアカーに乗せて持ってきたのだった。その押収品を見た、アーチェ達は笑顔がこぼれたのだった。これらの資金が戻ればまだなんとか、ギルドは持ち直す事が出来ると思ったのだった。
「こいつらの処分は、ギルドでやってくれたらいいからよろしくな」
「は、はい!なにからなにまでありがとうございます!」
処分をギルドに任せると聞いた、支部のギルドマスター達は慌てたのである。Freedomで罪を裁かれるならまだいいわけがたつが、ギルドの方で罪を罰せられると罪が重くなると思ったからだ。
「ん~~~!んん~~~!」
ギルドマスター達は、必死でケンジに訴えかけていたのだった。そして、一人のギルドマスターが何とか猿轡を解き、大声でケンジに訴えたのだった。
「ケ、ケンジ殿!わたし達も仕方がなかったのだ!罪を裁くのなら、Freedomでお願いしたい!」
「何を言っているんだ。お前は!」
「そうです!黙りなさい!」
「私達は、Freedom領で捕まった。だから、引き渡す事なんて普通じゃ考えられん!」
「お前達にそんな選択権は無いよ」
「しかし、我々もやりたくてこんな事をやったんじゃない!王国は衰退し、ギルドも何とか維持を続けて頑張っていたが、どうしようもなかったのだ!」
「だから、ギルドの金を着服して、Freedomに逃げてきたというのか?」
「そ、そうです!ワシ等もやりたくてやったのではない!」
「馬鹿な事を!お前達のおかげで、ギルドはどうなったと思うんだ?アーチェ達の顔を見てみろ!今まで必死に何とかしようとしてそれでももうどうしようもなくて、Freedomに金銭の援助に来たのが丸わかりじゃないか?」
「なっ⁉なぜ……」
「ゥぐっ……」
「いいか?お前達は、いつも自分勝手で自分さえ良ければいいと考えているから駄目なんだよ。迷惑をかけたことを後悔しながら裁かれるがいい!」
ケンジの言葉に、捕らえられた支部の幹部達は、その場に崩れ落ちたのだった。
「それで、アーチェさん話は脱線したが、その話は資金援助だと思うが本題と言うのを聞こうか?」
「い、いえ……この押収品があれば、まだ何とか持ち直す事が……」
ケンジは、アーチェの言葉に眉をしかめたのである。その様子にアーチェ達も言葉に詰まってしまった。
「あ、あの……ケンジ様は何か言いたいことが?」
「いや……あんた達が、それでいいなら俺から言う事は何もないよ」
「そんな気になる言い方をしなくても!」
「いやいや、俺からしたら所詮は他人事だ。そちらから何かを提案された事に対してなら、合意か拒否するかのどちらかだよ?この押収品で、何とかできるのなら俺達には関係の無いことだ」
「わ、分かりました。今回の事は本当にありがとうございます。引き続き、馬車の蹄鉄のお付き合いは、これまで通りよろしくお願いいたします」
「ああ!それに関しては納品数を発注してくれれば問題はないよ。こちらこそよろしくお願いいたします」
アーチェとモーリス以外の人間は、これで何とかなると思い笑顔で帰還した。アーチェとモーリスは、ケンジの最後の顔がどうしても引っかかり、ギルドに帰ってから眠れない日が続いた。
帰還した後、横領した幹部達はギルドを潰しかけたという大罪で全員処刑されてしまった。そして、王国領にはギルドが一切なくなってしまったのである。王国領のギルドを建て直す事が出来なかったのである。
この事に、グランパス王国はギルドに苦情を申し立てることになった。
「これはどういうことだ!早くギルドを元にもどしてくれ」
「そうは言いますが、王国はもう国として機能していないじゃないですか?おかげで、王国支部のギルドがつぶれたと言っても過言じゃないんですよ?」
「それを国のせいにするのか?」
「だったら、住みやすい国にして人口を増やしていただきたい!」
「それが出来たなら苦労はせんわい!」
「逆切れですか?そのせいで平民達の暮らしはどんどん苦しくなって、若い人間はグランパス王国を見限り、Freedomに移住しているんじゃないですか?」
「それじゃ、町の結界はどうするつもりだ‼このままでは結界がきれてしまう
だぞ?」
「今のギルドにそれを何とかしろと?無理に決まっているではないですか?」
「馬鹿な事を……無責任すぎる!」
「貴方達がそれを言うのですか?」
「何を言っておる。今は結界の事を!」
「大体もっと貴方達がしっかりしていれば、国の経済がまわりギルドがつぶれる事は無かったのです。私達からすれば貴方達の方が無責任と言うものです!」
「なっ⁉貴様ぁ~!不敬罪に処すぞ!」
「ふん!何か言えばすぐに不敬罪といえば、こちらが言いなりになるとでも思っているのですか?」
「な、なんだと!」
「ここは、グランパス王国ではありませんよ。貴方達の国ならば通用しますが、ここは魔人族が治める領地です。その土地で、私達を処分したら貴方達が罪人になるのでは?」
「ぐうううう……」
「とにかく、今のギルドは王国のせいで窮地に立っているのです!そこまで余裕がないのです!」
「だったら、契約違反としてギルドを訴える!訴えられなかったら、すぐさま結界の準備を整えろ!」
「ゥぐ……」
契約違反として訴えられることはギルドとしても予想していた。だが、実際の所ギルドにそこまでの余裕がなかったのだ。
押収品でなんとかできると思っていたのだが、予想に反して王国支部の赤字が他の支部を圧迫していたのである。
「いいか?もう一度言う!すぐさま王国にギルドを開設するんだ!」
「そんな凄まれても、ギルドではどうしようもないのです。王国支部のせいで、本部がガタガタで王国支部を又開設するには、数年の時間がかかるのです」
「馬鹿な!数年だと?そんなに待てるわけなかろう」
「では、ギルド開設の援助を、グランパス王国がしてください!」
「何を言っておる!ギルドは国とは関係ない独自の組織じゃないか?何で王国が協力せねばならん!」
「ですが、王国も間接的に、ギルドを潰した原因の一つでもあるのですよ」
「そんなのこぎつけではないか?」
「ギルドが、今王国にギルドを開設すれば、ギルド全体が揺らぎかねません。申し訳ないですが、30ほどの町の為に、大陸中にあるギルドを潰すわけにはいけないのです」
「むぎぎぎ!お主達は、グランパス王国を切り捨てるつもりか!」
「そうではありませんが、実際の所王国より自分の事で精一杯なのです!」
「では、契約金は返していただこう!それが出来ないのであれば、ギルドの再開は無理でも、結界だけは張っていただく!」
「そ、それは……」
「こっちも譲歩しているのだ!まずは、王都から結界を張っていただく。結界が切れる期間はあと2週間だ。それでも、出来ないとなれば契約金を返してもらう」
王国の使者は、そのように言い残し、国へと帰っていったのである。これには、ギルドも流石にお手上げ状態だった。ここで王国の要望を聞くと、本当にギルドの経営は立ち行かなくなり、潰れるしかなかったのだった。
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「ん~~~!んん~~~!」
ギルドマスター達は、必死でケンジに訴えかけていたのだった。そして、一人のギルドマスターが何とか猿轡を解き、大声でケンジに訴えたのだった。
「ケ、ケンジ殿!わたし達も仕方がなかったのだ!罪を裁くのなら、Freedomでお願いしたい!」
「何を言っているんだ。お前は!」
「そうです!黙りなさい!」
「私達は、Freedom領で捕まった。だから、引き渡す事なんて普通じゃ考えられん!」
「お前達にそんな選択権は無いよ」
「しかし、我々もやりたくてこんな事をやったんじゃない!王国は衰退し、ギルドも何とか維持を続けて頑張っていたが、どうしようもなかったのだ!」
「だから、ギルドの金を着服して、Freedomに逃げてきたというのか?」
「そ、そうです!ワシ等もやりたくてやったのではない!」
「馬鹿な事を!お前達のおかげで、ギルドはどうなったと思うんだ?アーチェ達の顔を見てみろ!今まで必死に何とかしようとしてそれでももうどうしようもなくて、Freedomに金銭の援助に来たのが丸わかりじゃないか?」
「なっ⁉なぜ……」
「ゥぐっ……」
「いいか?お前達は、いつも自分勝手で自分さえ良ければいいと考えているから駄目なんだよ。迷惑をかけたことを後悔しながら裁かれるがいい!」
ケンジの言葉に、捕らえられた支部の幹部達は、その場に崩れ落ちたのだった。
「それで、アーチェさん話は脱線したが、その話は資金援助だと思うが本題と言うのを聞こうか?」
「い、いえ……この押収品があれば、まだ何とか持ち直す事が……」
ケンジは、アーチェの言葉に眉をしかめたのである。その様子にアーチェ達も言葉に詰まってしまった。
「あ、あの……ケンジ様は何か言いたいことが?」
「いや……あんた達が、それでいいなら俺から言う事は何もないよ」
「そんな気になる言い方をしなくても!」
「いやいや、俺からしたら所詮は他人事だ。そちらから何かを提案された事に対してなら、合意か拒否するかのどちらかだよ?この押収品で、何とかできるのなら俺達には関係の無いことだ」
「わ、分かりました。今回の事は本当にありがとうございます。引き続き、馬車の蹄鉄のお付き合いは、これまで通りよろしくお願いいたします」
「ああ!それに関しては納品数を発注してくれれば問題はないよ。こちらこそよろしくお願いいたします」
アーチェとモーリス以外の人間は、これで何とかなると思い笑顔で帰還した。アーチェとモーリスは、ケンジの最後の顔がどうしても引っかかり、ギルドに帰ってから眠れない日が続いた。
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この事に、グランパス王国はギルドに苦情を申し立てることになった。
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「そうは言いますが、王国はもう国として機能していないじゃないですか?おかげで、王国支部のギルドがつぶれたと言っても過言じゃないんですよ?」
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「だったら、住みやすい国にして人口を増やしていただきたい!」
「それが出来たなら苦労はせんわい!」
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だぞ?」
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「貴方達がそれを言うのですか?」
「何を言っておる。今は結界の事を!」
「大体もっと貴方達がしっかりしていれば、国の経済がまわりギルドがつぶれる事は無かったのです。私達からすれば貴方達の方が無責任と言うものです!」
「なっ⁉貴様ぁ~!不敬罪に処すぞ!」
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「な、なんだと!」
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「では、契約金は返していただこう!それが出来ないのであれば、ギルドの再開は無理でも、結界だけは張っていただく!」
「そ、それは……」
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