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第10章 Freedom国、経済の中心へ!
70話 誘拐事件
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ケンジは、ギルとローゼリアに、マリとその両親を陰から見張らせていた。
「ケンジ様?いつまで、ギル達を護衛させておくのですか?」
「まあ、一週間ってとこだろうな……」
「一週間ですか?」
「多分だが、それ以上待っても何も事を起こさなければ、あの元貴族達は俺の言っていた事を分かってくれたと思ってもいいんじゃないかな?」
「学校の方は、校長に注意するように言っておきます」
「ああ!よろしく頼むよ」
ケンジは、ムシュダルクに注意してもらうようにお願いをした。そして、1週間が過ぎても元貴族達は動くことは無く、マリも学校では楽しく過ごせていることが分かった。
ケンジは、もう大丈夫だろうと思い、ギルとローゼリアを護衛の任務を解いた。
ローゼリアは、ケンジの役に立ったと思い、ご褒美を期待しつつケンジから声がかかるのを待っていた。しかし、それ以降何も声がかかる事が無かった事を、不審に思いローゼリアはケンジの所に行ったのだった。
「あの……ご主人様?」
「ん?ローゼリアか?この間はありがとな。あの両親たちは幸せだと聞いているよ」
「……」
ケンジの言葉は、任務が終わった時にギルと共に何回もお礼を言われていた。だが、ローゼリアはそれを望んでいた訳ではなく、システィナが特別にデートに誘ってくれたように、自分にもその特別な事を期待していた。
「どうした?何か問題があったのか?」
「ご主人様……いえ……だから」
「なんだ?何が言いたいんだ?」
「あたしにも、なにかご褒美はいただけないのでしょうか?」
ローゼリアは、勇気を出してケンジに自分の欲求を伝えたのだ。しかし、ケンジはローゼリアの方を向き、何事もなく平静を装い説明し出した。
「お礼は、何回もちゃんと言っただろ?」
「はい。それは聞きました」
「なら、その件に関しては終わりだ。これ以上我儘を言うな」
「そ、そんな……あたしは、任務が終わればご主人様と……」
「そういった事は、もうしないと言っただろ?」
「えっ?」
「俺は今まで、お前達を甘やかして来た。だが、それは今まで俺の部下が奴隷の立場の人間が多かったからだ。しかし、ここにきて奴隷じゃない部下が増えてきた事で、お前達の行動に疑問が生じてきている」
「そ、そんな……あたしはてっきり、システィナのようにデートに誘って貰えるとばかり……」
「もう、そういった報酬は期待しない様にしてくれ!」
「そんな……あたしは、それを期待してがんばったのに……」
「ローゼリア、お前はなにを想って任務に就いていた?俺は。お前にそんなに無理をさせていたか?」
「それは……」
ケンジは、ローゼリアには8時間勤務で、鳳凰騎士団斥侯部隊を派遣し交替させ無理をさせない範囲で、任務にあたらせていた。
当然、屋敷に帰ってきていた時には、一緒に食事をとり普段の生活とあまり変わっていなかった。
「ですが、あたしの通常任務は錬金薬士であって、偵察は特別任務では……」
「だったら、お前は偵察をしていた時も、通常任務をこなしていたと?」
「そ、それは……」
「お前達の任務の報酬は衣食住であって、ちゃんと報酬を支払っていると思うが不満なのか?」
「そんな訳ありません!」
「だったら、その要求はおかしいだろ?」
「そうじゃないのです!あたしはご主人様と、楽しく過ごしたいだけなのです!」
「お前は、今この地点でこの屋敷での生活は、なにかプラスアルファーが無いと楽しく思えないのか?」
「そういう事ではありません……」
「いいか?俺とお前の関係が恋人同士や、マイと同じく夫婦関係であったなら、デートもありうるだろう。しかし、お前は俺との関係を奴隷と望んだんだよ?」
「……」
「たぶんだが、こうして話している間でも世間一般の奴隷達の待遇は、ここの奴隷達とは全然違う待遇を受けているだろ?」
「それは……」
「多分だが、その奴隷達は任務を与えられたら8時間じゃないとおもう。一日睡眠時間は、3時間あればいい方で食事も奴隷食だ。その唯一の楽しみである睡眠も暖かいベットではなく、奴隷部屋に押し込まれている」
ケンジは、本来奴隷とはどういうものかと、コンコンと説明した。
「しかし、俺はそういう事をしたくないし、お前達を仲間だと思っている。だから、衣食住は貴族以上の暮らしを提供しているが、それだけでは不満というのか?」
「そういう事ではなく……あたしはご主人様と、楽しい時間が過ごしたかっただけで……」
「悪いな!俺も人間だ。そういうデートみたいな時間を作るならお前とではなくマイと作りたいよ。お前とは、仲間でありそういった関係ではないから、申し訳ないが諦めてくれ」
ケンジは、はっきりとそういった事はしないと断ったのである。それを聞き、ローエリアは肩を落とし、ケンジの部屋から出て行ってしまった。
ローゼリアが出て行った部屋では、ケンジは一人になり頭を抱えていた。ケンジも又、本来はこういう事などしたくなかった。ローゼリアの望みは、特別報酬と言っているがそういったきっかけを作らないと言いだせ無いことくらい重々承知していた。
だが、もう今までと同じではFreedom国としてやってはいけないのだ。奴隷ではない一般人の職員を雇わないと、国として回らず今までのケンジの立場で動くと歪みが出てきてしまうからだ。
本来なら、ローゼリアの我儘を聞いてもケンジとしては何の問題が無いが、それをやると一般従業員から苦情が殺到してくる。
「主……今、よろしいですか?」
部屋の外から、ギルの声が聞こえてきた。
「ギルか?どうかしたのか?」
「失礼します……先ほどのローゼリアの事なのですが……」
「まさか、お前まで?」
「いえ、私達年配というか、初期メンバーの奴隷はそういう事をもう理解しています」
「そうか、ありがとな……」
「ただ、初期メンバー以外の奴隷達なのですが、やはり……主のここに至っての行動があまりに代わり過ぎなのと、日頃からのコミニュケーション不足で主の心の内が理解できていないのです」
「そうか……ちなみに初期メンバーというのは、テンペの町でしかFreedom店を開いていなかった頃のメンバーか?」
「大体、そんなところでしょうか……」
「そうか、わかったよ」
「ですが、ローゼリアの方は心配しなくてもいいかと思います。私達もこの間まで甘えていて、こんな事は言えないのですが、筆頭奴隷として奴隷達をまとめてみせますので安心してください」
「ああ!よろしく頼むな」
「はい!」
ギルは、そう言って部屋から出ていくのだった。ギルは、その夜各部門のリーダーと奴隷会議を開き、色んな事を話したのだった。
おもに自分達の立場をわきまえ考え直す事を、自分の部下に伝えると言う事だった。ギルも又、斥侯部隊の隊長という立場で、ローゼリアに説明したのだった。
そして、それから3週間が経ったある日事件が起きた。学校で行方不明者が出たのである。
学校では、二日続けてその人物が無断で学校に来ない事を不審に思い、教師が家庭訪問を行ったがその家族が留守だったので、その日はなにもせず引き返したのだった。
しかし次の日も、その生徒が学校を休み再度家庭訪問をしたが、家の中に人の気配がしないので、周りの人に行方を聞いたのだが、誰も知らないといわれて引き返すしかなかったのだ。
そして、学校側としては衛兵に通報するしかなくそのままとなった。衛兵達も、一般の事件として処理をして報告書としてあげただけである。
そして、ようやくその報告書がケンジのもとに挙がってくることになり、ケンジはその報告書を見て顔が青ざめる事になった。そして、至急学校責任者と衛兵達を呼び出す事にした。
「ケンジ様?いつまで、ギル達を護衛させておくのですか?」
「まあ、一週間ってとこだろうな……」
「一週間ですか?」
「多分だが、それ以上待っても何も事を起こさなければ、あの元貴族達は俺の言っていた事を分かってくれたと思ってもいいんじゃないかな?」
「学校の方は、校長に注意するように言っておきます」
「ああ!よろしく頼むよ」
ケンジは、ムシュダルクに注意してもらうようにお願いをした。そして、1週間が過ぎても元貴族達は動くことは無く、マリも学校では楽しく過ごせていることが分かった。
ケンジは、もう大丈夫だろうと思い、ギルとローゼリアを護衛の任務を解いた。
ローゼリアは、ケンジの役に立ったと思い、ご褒美を期待しつつケンジから声がかかるのを待っていた。しかし、それ以降何も声がかかる事が無かった事を、不審に思いローゼリアはケンジの所に行ったのだった。
「あの……ご主人様?」
「ん?ローゼリアか?この間はありがとな。あの両親たちは幸せだと聞いているよ」
「……」
ケンジの言葉は、任務が終わった時にギルと共に何回もお礼を言われていた。だが、ローゼリアはそれを望んでいた訳ではなく、システィナが特別にデートに誘ってくれたように、自分にもその特別な事を期待していた。
「どうした?何か問題があったのか?」
「ご主人様……いえ……だから」
「なんだ?何が言いたいんだ?」
「あたしにも、なにかご褒美はいただけないのでしょうか?」
ローゼリアは、勇気を出してケンジに自分の欲求を伝えたのだ。しかし、ケンジはローゼリアの方を向き、何事もなく平静を装い説明し出した。
「お礼は、何回もちゃんと言っただろ?」
「はい。それは聞きました」
「なら、その件に関しては終わりだ。これ以上我儘を言うな」
「そ、そんな……あたしは、任務が終わればご主人様と……」
「そういった事は、もうしないと言っただろ?」
「えっ?」
「俺は今まで、お前達を甘やかして来た。だが、それは今まで俺の部下が奴隷の立場の人間が多かったからだ。しかし、ここにきて奴隷じゃない部下が増えてきた事で、お前達の行動に疑問が生じてきている」
「そ、そんな……あたしはてっきり、システィナのようにデートに誘って貰えるとばかり……」
「もう、そういった報酬は期待しない様にしてくれ!」
「そんな……あたしは、それを期待してがんばったのに……」
「ローゼリア、お前はなにを想って任務に就いていた?俺は。お前にそんなに無理をさせていたか?」
「それは……」
ケンジは、ローゼリアには8時間勤務で、鳳凰騎士団斥侯部隊を派遣し交替させ無理をさせない範囲で、任務にあたらせていた。
当然、屋敷に帰ってきていた時には、一緒に食事をとり普段の生活とあまり変わっていなかった。
「ですが、あたしの通常任務は錬金薬士であって、偵察は特別任務では……」
「だったら、お前は偵察をしていた時も、通常任務をこなしていたと?」
「そ、それは……」
「お前達の任務の報酬は衣食住であって、ちゃんと報酬を支払っていると思うが不満なのか?」
「そんな訳ありません!」
「だったら、その要求はおかしいだろ?」
「そうじゃないのです!あたしはご主人様と、楽しく過ごしたいだけなのです!」
「お前は、今この地点でこの屋敷での生活は、なにかプラスアルファーが無いと楽しく思えないのか?」
「そういう事ではありません……」
「いいか?俺とお前の関係が恋人同士や、マイと同じく夫婦関係であったなら、デートもありうるだろう。しかし、お前は俺との関係を奴隷と望んだんだよ?」
「……」
「たぶんだが、こうして話している間でも世間一般の奴隷達の待遇は、ここの奴隷達とは全然違う待遇を受けているだろ?」
「それは……」
「多分だが、その奴隷達は任務を与えられたら8時間じゃないとおもう。一日睡眠時間は、3時間あればいい方で食事も奴隷食だ。その唯一の楽しみである睡眠も暖かいベットではなく、奴隷部屋に押し込まれている」
ケンジは、本来奴隷とはどういうものかと、コンコンと説明した。
「しかし、俺はそういう事をしたくないし、お前達を仲間だと思っている。だから、衣食住は貴族以上の暮らしを提供しているが、それだけでは不満というのか?」
「そういう事ではなく……あたしはご主人様と、楽しい時間が過ごしたかっただけで……」
「悪いな!俺も人間だ。そういうデートみたいな時間を作るならお前とではなくマイと作りたいよ。お前とは、仲間でありそういった関係ではないから、申し訳ないが諦めてくれ」
ケンジは、はっきりとそういった事はしないと断ったのである。それを聞き、ローエリアは肩を落とし、ケンジの部屋から出て行ってしまった。
ローゼリアが出て行った部屋では、ケンジは一人になり頭を抱えていた。ケンジも又、本来はこういう事などしたくなかった。ローゼリアの望みは、特別報酬と言っているがそういったきっかけを作らないと言いだせ無いことくらい重々承知していた。
だが、もう今までと同じではFreedom国としてやってはいけないのだ。奴隷ではない一般人の職員を雇わないと、国として回らず今までのケンジの立場で動くと歪みが出てきてしまうからだ。
本来なら、ローゼリアの我儘を聞いてもケンジとしては何の問題が無いが、それをやると一般従業員から苦情が殺到してくる。
「主……今、よろしいですか?」
部屋の外から、ギルの声が聞こえてきた。
「ギルか?どうかしたのか?」
「失礼します……先ほどのローゼリアの事なのですが……」
「まさか、お前まで?」
「いえ、私達年配というか、初期メンバーの奴隷はそういう事をもう理解しています」
「そうか、ありがとな……」
「ただ、初期メンバー以外の奴隷達なのですが、やはり……主のここに至っての行動があまりに代わり過ぎなのと、日頃からのコミニュケーション不足で主の心の内が理解できていないのです」
「そうか……ちなみに初期メンバーというのは、テンペの町でしかFreedom店を開いていなかった頃のメンバーか?」
「大体、そんなところでしょうか……」
「そうか、わかったよ」
「ですが、ローゼリアの方は心配しなくてもいいかと思います。私達もこの間まで甘えていて、こんな事は言えないのですが、筆頭奴隷として奴隷達をまとめてみせますので安心してください」
「ああ!よろしく頼むな」
「はい!」
ギルは、そう言って部屋から出ていくのだった。ギルは、その夜各部門のリーダーと奴隷会議を開き、色んな事を話したのだった。
おもに自分達の立場をわきまえ考え直す事を、自分の部下に伝えると言う事だった。ギルも又、斥侯部隊の隊長という立場で、ローゼリアに説明したのだった。
そして、それから3週間が経ったある日事件が起きた。学校で行方不明者が出たのである。
学校では、二日続けてその人物が無断で学校に来ない事を不審に思い、教師が家庭訪問を行ったがその家族が留守だったので、その日はなにもせず引き返したのだった。
しかし次の日も、その生徒が学校を休み再度家庭訪問をしたが、家の中に人の気配がしないので、周りの人に行方を聞いたのだが、誰も知らないといわれて引き返すしかなかったのだ。
そして、学校側としては衛兵に通報するしかなくそのままとなった。衛兵達も、一般の事件として処理をして報告書としてあげただけである。
そして、ようやくその報告書がケンジのもとに挙がってくることになり、ケンジはその報告書を見て顔が青ざめる事になった。そして、至急学校責任者と衛兵達を呼び出す事にした。
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