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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

63話 滅亡の連鎖

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 聖教国がなくなった事は、大陸中に衝撃が走った。まさかの女神を信仰する国がなくなるとは思いもしなかったのだ。
 そして、聖女はこの時から行方を眩ましてしまった。残った大司教や教会本部の人間は、Freedom国に身を寄せ内政に携わる者や、国に関わることにつかれた者は商売を始める者等多種多様であった。

 王国でもこの噂はあっという間に広がり、平民達は明日は我が身と思っていた。危機感のあった平民達は、少し生活は苦しくなるかもしれないが、無理をして王国から出国しだすのだった。

 そして、Freedom国ではケンジと鳳凰騎士団魔道部隊が活躍し、聖教国領にある中規模以下の町に飛び、聖教国は滅びFreedom国になった事を報せたのである。
 その際に、転移マットを設置し、町の人達にFreedomでは、中規模以下の町に予算を組めない事を報告し、全員を大きな町に移住してもらう事をお願いしたのである。

「皆さんには申し訳ないが、Freedom国の首都フリーの町・ホーチュン・ホネストのどこかに移住してもらいたい。その際に、貴方達は難民として国からの救済処置を受けてもらい、その間に自立できるようになってもらいたいんだ」

「あの、ケンジ様……私達は、この町で暮らしてきました。この町はどうなるのですか?」

「貴方達には本当に申し訳ない……今、Freedom国は聖教国領の全ての町をフォローすることが出来ないんだよ。だから貴方達国民の命だけを救いたいと思い、大きな町に移住をしてもらいたいんだよ」

「もし、それを拒否した場合はどうなるのでしょうか?」

「この町で好きに生きていくことになるが、Freedom国は一切関知することはない。本当に申し訳ないが、そこまでFreedom国に余裕はないんだよ」

 ケンジは、正直に国の状況を話し、町の人達の理解を求めたのである。

「わ、分かりました……Freedom国領の主都に移住させてもらいます」

 町の人達は、ここにいても国からの援助は無くなり、魔物に怯えながら生活することはできないと判断し、住み慣れた町を捨て移住を決断した。

「あの……ケンジ様、向こうの町に着いたらどうすれば?」

「まずは窓口に行き、難民申請を出し援助金を受けてくれ。それで半年の間生活援助金を受け取れる。半年の間に町で職を探してほしい!それ以上の援助も国として予算が組めない……そして、身分証明はギルドの窓口で作ってもらい、そこで職の紹介を受けてくれたらいい。生活援助金は本当にギリギリだから、早く職を見つけてほしい!」

「ほ、本当に生活の補償金が頂けるのですか?」

「何回も言うが半年だけだぞ?職が決まれば、そこで打ち切られるからな」

 町の人達は、ケンジに感謝した。移住するお金も転移マットでタダでしてもらい、その上向こうでの生活の保障が半年もつけてもらえるからだ。
 町の人達は、聖教国がつぶれて愕然としたが、結果Freedom国民になれた事に歓喜したのだった。

 ケンジは、魔道部隊と共に手分けをして、半年かけて中規模以下の町の住民を移住させた。この行為は国民達にとって本当にありがたいことであり、ケンジの国王としての支持率は爆上りとなった。

「このまま、Freedom国はヒューマン国の代表になりそうだな!」
「いやいや、代表も何も今や王国も帝国も見る姿ないぜ?」
「それに聖教国のように、ギルドもかろうじて王国や帝国に滞在しているような感じだしな」

 Freedom国民はそのように噂しており、事実ギルドの本部は魔人国に拠点を移し、ヒューマン国に見限った感じだった。
 今やギルドは、魔人国・獣人国・ドワーフ国・エルフ国に重点を置き、その4か国の売り上げを伸ばそうとしてやっきになっていた。流石、この辺は大陸最大の組織だけあるとケンジは思っていた。



 そして、Freedom国では、第一回ファッションショーも開催され大成功に終わっていた。セレブ達には本当に大好評であり、最新のファッションを手に入れることが出来て大満足だった。

「ねえ!見て見て!これいいでしょう?」
「ホントすてきねぇ。わたくしも行きたかったわ」
「ねえねえ!その服いつ一般販売されるの?」
「何でも、半年後だって言ってたわよ」
「ホントに?たのしみだわぁ~~~~~」

 Freedom国の町では、奥様方の井戸端会議でもりあがっていた。そして、ギルド受付嬢達も又、出勤してきて更衣室で、制服に着替えをする時に受付嬢同士で自慢をしあっていた。今回仕事で、ファッションショーに行けなかった女性達が羨ましがっていた。

「今回、仕事でいけなかったのが残念でしょうがなかったわ……」
「あたしは休みだったから参加できたけど本当に良かったよ」
「モデルさんが、音楽にのって舞台を練り歩いてキラキラしてて、今度は自分もモデルをやってみたいって思ったもん!」
「へえ。そんなに素敵だったんだ」
「ホント、毎回参加したいくらい素敵だったよ」

 ガイアースには、こういったイベントがなかった為新鮮だった。闇ギルド主催によるオークションは、そういったイベントになるが内容が全然違い、華やかさや高揚感がまったくないのだ。
 ただ、舞台上に商品が順に出てきて競り落とすだけであり、ファッションショーのような音楽に乗せて舞台をウォーキングし、商品をよく見せる演出が無いので、このファッションショーは大盛況で、半年後の商品の宣伝に大いに役立つ事となった。

「ケンジ様!ファッションショーは大成功です」

「そうか。ならよかったよ」

「次の開催に問い合わせが凄いですよ。次は一ヵ月後でしたよね?」

「それなんだが、今回の商品一般販売は半年後だろ?だから、次回のファッションショーは半年後にしてくれ!」

「なるほど……一ヵ月後にしたら先行販売した商品を買えなかった人達が、不満が出るという訳ですな?」

「そういう事だ。ファッションショーは毎月行っているのに一般販売が半年後になれば、もっと早く販売して欲しいとなってくるからな」

「在庫が、もっと早く出来るならいいんですけどね……」

「そんな無理をする事ないからな」

「ですね」

 そして、このイベントのおかげで、学校の予算が組めるようになったのはいう間でもなかった。子供達はのびのびと勉学に励む事が出来て、子供達の楽しみは給食だった。
 学校に通うと給食が出て、日頃肉などめったに口にすることが出来ないのに、給食には肉のおかずや甘味のデザートも出るのである。
 子供達は、たんぱく質がとれるしデザートを食べることが出来て、給食の為に学校に来る子供達もいる程人気のメニューだった。それに、親たちも又、子供達のご飯一食分が浮く為ありがたかったのだ。

 しかし、学校の建設はいっぺんにはできず、まずは第二都市であるホーチュンの町から順に建設していく計画をケンジは計画書を提出した。すると、ムシュダルクがケンジの計画書を却下しだし、その意見に他の内政をしている人間も賛同したのである。

「ケンジ様……もう少しお待ちください!」

「うん?どうしてだ?」

「今この状況で動くと、本当にFreedom国は崩壊する可能性がでてきています」

「ど、どういうことだ?何が問題なんだ?」

「いえ、今は直接どうこういうものではありません!ですが、今は予算を使うのではなく、貯めておいた方がいいでしょう」

「なんで?」

「聖教国が滅亡し、難民が爆発的に増えたのは理解していますね?」

「それは当然だ。もしかして、救済援助金が足りないのか?」

「いえ……今は大丈夫ですが、情報が入ってきているのです」

「情報って何の?」

「王国と帝国が、そろそろやばい事になるという情報です!」

「なっ⁉王国と帝国も、一年ぐらいしかもたないのか?」

「えぇ……もし仮に、聖教国と同じ状態になった時、ケンジ様は民衆をお救いになりますよね?」

「それは当然だ!」

「でしたら、それを見越して今は予算を使うのではなく、貯めておくべきです。今、教育事業も大切ですが、予算を使った場合、国がなくなった民衆が助けを求めるのは絶対Freedom国です」

「た、確かに……」

「その時予算がなければ、Freedom国は滅亡の危機となります」

「ムシュダルクさん、ありがとう!ムシュダルクさんや他人達の言う通りだ。そのように予算を貯めておいてくれ」

「いえ、これもケンジ様の指導の賜物です」

「俺の指導?」

「前にケンジ様は、私達に政治を携わる者は100年先を見通して政策しろと言って頂きました。まだ、私達では100年先は無理ですが、情報を元に頑張る所存でございます」

「そっか。ありがとう!これからもよろしく頼む」

 ケンジは、ムシュダルク達にお礼を言い、学校建設の企画書を破いた。それに対して、ムシュダルクはもちろん今年入って来たばかりの新人達もこの国の内政に携われる事に意欲を示したのだ。
 上司の言う事が絶対の世の中ではなく、ここFreedomでは自分達の意見が反映される事に感動したからだ。そして、新人達はよりやる気を見せ笑顔となった。



 ケンジは、その笑顔を見てもう大抵の事は任せることが出来ると思い微笑んみ会議室から退出した。しかし、退出した後、ケンジから笑顔が消え、王国と帝国の滅亡がこんなに早くなるとは思っておらず、次の対策を考えるのだった。


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