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第10章 Freedom国、経済の中心へ!
59話 元テンプルナイト達
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ケンジが、部屋でくつろぎ本を読んでいると、マイと共にムシュダルクが慌てて部屋に入って来た。
「あなた、大変よ!すぐに来て頂戴!」
「な、なんだよ!俺は今日は休暇だ。最近忙しかったんだから、それ位許してくれても良いだろ?」
ケンジは、この2ヶ月間4つの町からの救援要請で、休みなしで働いていた。取り敢えず、町の結界だけでもと思い支店を飛び回り、色んな手続きをしててやっと落ち着けた所だった。
「お願い!大変なのよ……」
「そ、そうです!聖教国の事で重要な情報が入りました!」
「ムシュダルクさんまでなんだよ?それに聖教国なら外交問題じゃ……」
「そうではありません!たった今、聖教国のテンプルナイトが到着して、ケンジ様に面会を望んでいるのです!」
「はぁあ?なんでテンプルナイトだけで、フリーの町にやって来るんだよ!」
「だから、あなたにお願いしているんじゃない!」
ケンジは、マイ達に言われてすぐに謁見の間に顔を出した。そこには、テンプルナイトのヴァンデイン率いる部下達がいた。
「ケンジ様、お久しぶりでございます。このたびはいきなりの訪問に対応して頂きありがとうございます」
ヴァンデインは、丁寧な言葉遣いでケンジに挨拶をした。
「お久しぶりですね。それで今日は聖女様はいないのですか?」
「はい!今日はケンジ様にお願いをしにきました」
「はっ?お願いってなんだ?交渉事なら外交官に代わるから待っていてくれ!」
「ケンジ様!ちょっとお待ちください!」
「な、なんだよ?」
「今回、我々元テンプルナイトは聖教国を出て、Freedom国の騎士団として在籍をしたいのでございます」
「はぁあ~~~~~⁉テンプルナイトが、聖教国を捨てたというのか?」
「いえ、違います!我々は聖教国を捨てたのではありません!あくまでも、女神クローティア様をお慕いして、女神様を追ってきたのです」
「どういう事だよ!女神クローティア様を追って来たって意味が分からん!女神クローティア様は、地上のどこでも感じれるものだろ?」
「いえ、今はもう聖教国では殆ど感じ取れる事は無く、ここFreedom国こそが聖教国というぐらい、女神様の気で満ち溢れているのです」
「いやいやいや……それは大間違いだ!女神様はそんな風に差別などしないよ。地上はどこも一緒だって!」
「いいえ、違います!我々元テンプルナイト一同は、今は聖教国では感じられなかった女神様の恩恵を感じ取れるほどに、力がみなぎっております!」
テンプルナイト達が、勘違いするのも無理はなく、Freedom国の土地は女神様の恩恵で満たされていた。これは各地の女神信者がこの土地に集結し毎日のようにお祈りをされていたからだ。
女神クローティアとケンジが友人関係であると、女神が降臨した時に周知の事実となった為、信者がFreedom国に集まってきた結果だった。
「それで、ヴァンデインさんは女神様を追ってといったが、ここの住人になりたいのか?」
「それもそうなのですが、今までケンジ様には無礼な事を言ったりやってきたことを謝罪したいと思い、こうして会ってもらいたかったのです」
「ああ!ヴァンデインさんには譲れない何かがあったんだろ?もう気にしてないから謝罪を受け入れるよ」
ケンジが謝罪を受け入れたことで、ヴァンデインや部下の隊長クラスの人間がホッとため息をついた。
「ありがたき幸せ!」
「それで、貴方達は聖教国を捨てたと言っていいのか分からないのだが、聖教国の事はいいのか?」
「ケンジ様!そのことで訂正をさせていただきたい。我々は聖教国に仕えていた訳ではございません!私達は女神様を主君とし、女神様の恩恵を頂き信者達を守る聖騎士なのです!」
「な、なるほど……」
「故に、女神様や信者のいなくなってしまった聖教国に縛られるものではなく、ここに女神様がいるのだから必然の流れなのです。聖教国を裏切ったのではなく、ここでこそ我々が力を奮える場所なのです」
「だが、貴方達は聖教国の騎士なんだろ?」
「はい!だからテンプルナイトは解散し、ここFreedom国の鳳凰騎士団に入隊させてもらいにきました」
「はぁあ⁉なんで、鳳凰騎士団に?」
「身勝手な話だとは思いますが、どうかこの願い聞き届けてもらいたいのです。我々は女神様に仕える聖騎士です。そして、その主君の気がこの国で強く感じ取れるのと、その信者達がここFreedom国に集結しているのです」
「だからって、なんで鳳凰騎士団に入隊しようとするんだよ?」
「そんなの当り前です!我が主君はこの国にいるのですから当然です」
「ヴァンデインさん、やはり貴方達は聖教国に帰った方がいい!女神様はある特定の地域にいるんじゃなく、イズモ大陸……いや、この星ガイアース全てを見てくれているんだよ」
「そんな事はあるまい!ケンジ様は女神様と友人であられる。そして、ここFreedom国に女神様の気が満ち溢れているとなれば、この土地に女神様はおられるに違いない!」
「そのように思うのは勝手だが、実際女神様はこのガイアースをお創りになった方だ!そんなえこひいきな事をするとは思えない」
「ケンジ様!どうしても我々が鳳凰騎士団に入隊するのは駄目なのでしょうか?やはり、今までのご無礼を許してはいただけないのでしょうか?」
「謝罪は受け入れたと言っただろ?それはもう関係ないよ」
「だったら!我々を受け入れてくれてもいいではないですか?」
「こういっては何だが、貴方達では鳳凰騎士団には入隊はできないんだよ。だったら、貴方達は聖教国に戻りテンプルナイトとして生を全うした方が良いと思うんだよ」
「何で入隊できないのですか?」
「前に、極級ダンジョンで親善試合をした時に言ったかもしれないが、鳳凰騎士団の入隊条件には、最低でも100レベルという決まりがある!」
「「「「「はぁあ⁉」」」」」
代表で、面会に来ていたヴァンデインをはじめ、隊長クラスの人間はケンジの言った条件に、変な声が出てしまった。
「テンプルナイトの団長であるヴァンデインさんでも、その条件を満たしていないだろ?」
「ば、馬鹿な!入隊させたくないからと言って、そんな事を言うなんて卑怯ではないか!どこの世界に、100レベルを超えるような人間が存在するんだ!」
「信じられないのも無理はないが、鳳凰騎士団の兵卒の人間は全て100レベルオーバーだ。これは嘘でも、何でもないよ」
ケンジの真剣な目に、嘘はないと確信したヴァンデイン達は二の句が告げなかった。
「申し訳ないが、君達では鳳凰騎士団に入ったら足手まといになる……それならば、聖教国で今まで通りテンプルナイトとして活躍した方が良いと思うんだよ」
「それはできない!ここに、女神様が存在しているならば私達は……」
「さっきも言ったように女神様はある特定の地域にいることは無い。これは本当の事だよ。だから、君達はここFreedomに拘る必要はないはずだよ?」
「しかし!」
「それに、鳳凰騎士団は女神クローティアを君主として崇めてはいない。あくまでも、この国の国民を守るために存在している騎士団なんだよ?」
「はあ?国民とは平民の事ですか?」
「この国は貴族や王族はいない!だから、当然平民ではなく国民と言って、それを守るために存在しているんだよ」
「えっ⁉ケンジ様を君主に、騎士団が存在しているのですよね?」
「俺も、国民の一人という認識だ。それらを守るために存在していると考えてくれ!」
「ですが、鳳凰騎士団はケンジ様の奴隷だったはずです。でしたら、鳳凰騎士団はケンジ様を守っているのでは?」
「立場上奴隷だが、鳳凰騎士団は町や国民が災害などに巻き込まれない様に守るための騎士団だよ」
「そんなバカな……」
「申し訳ないが……テンプルナイトの君達では認識が違いすぎる為、鳳凰騎士団へ入隊を認める訳にはいかないんだよ。君達はあくまでも女神様を崇め女神様の為に動くだろ?」
「それは当然です!」
「鳳凰騎士団に入隊したら、国民の為に動いてもらわないと困るんだよ。それに、今入隊してもらってもヴァンデインさんは2軍の兵卒と同等の扱いになる。そうなれば貴方の部下に示しがつかないだろ?」
「ぐっ……」
「申し訳ないが、そうなればここにいる隊長クラスの貴方達では、本当に一生をかけて3軍から2軍に上がるので、精一杯になると思うんだよ。そういう事にあれば、女神様の為に戦う事は出来ないと思わないか?」
ケンジの言葉に、隊長クラスの人間達は下を向いて顔を上げることができなかったのである。
「そ、それでも!私達は……女神様を想い、聖教国を出てこの国の騎士団に入ろうと思って!」
「その気持ちは聞いてて分かるよ。だが、鳳凰騎士団の団長はランスロットだ。ヴァンデインさんに比べたら実力が全然違う。鳳凰騎士団に入れば、上司は奴隷の身分であるランスロットになるんだぞ?」
「なっ⁉そんなバカな‼」
「この国に平民とか奴隷など関係ないよ。全員が国民という立場だ。俺も含めてな。そういった拘りも捨てる事も出来ないだろ?」
「そ、それは……ですが、貴族や平民という立場がないというのは分かりましたが、なぜ国民が奴隷と同じ立場なのでしょうか?」
「俺も、全ての奴隷が国民と同じ立場だとは思わないよ。盗賊や犯罪を犯した人間が奴隷に堕ち、犯罪奴隷と国民が同じとは思っていないからな。しかし、貴族達に冤罪に巻き込まれ、犯罪奴隷になった人間は国民と同じ立場だとも思っている」
ヴァンデインは、そういう人間もいるという事は知っていた為、反論するような事はしなかった。
「それは分かりますが……」
「このFreedom国で、他国での常識は通じないからそれだけは分かってほしい。それも、この国はまだ出来上がったばかりで、試行錯誤しながら成り立っている。だから、今自信を持ってやっていることも数年先には間違っていたこともあるだろう!」
「それでは、へいみ……いや、国民達は困ることになるのではないのですか?」
「今までは、国があって国民達は生活できるというスタンスだった。しかし、この国では反対だ。国民がいてこそ国は成り立つとかかげている!国民がどうしたら生活しやすいか?どうしてほしいのか?そういった意見を聞きそれを元に政策は行われるんだ」
「そんな事ができるわけ!」
「いいか?今まで貴族は自分の生活を豊かにする為に税金を徴収していた。だから、今Freedomという国が出来たことで、国民は他国を見限ったと思わないか?」
「そ、それは……」
「税金は国民の血と汗の結晶だ。そのお金を国民の為に使う事で、国民が困るわけないと思わないか?」
「だが、先ほど今この時自信を持ってやっている政策も間違っていてなくなる事もあると……」
「そりゃ、俺だって人間だ!間違う事もあるだろ?その時は、国民に正直に話し国民に許しを得ることになるさ。だけど、極力そうならない様に努力するからこそ、国民の信頼を勝ち取れるんだと思うよ」
「そんな……国のトップがへいみ……国民に気を遣うだなんて……」
「まあ、話が変な方向に向いてしまったが、君達の意識改革が出来ないうちに鳳凰騎士団に入隊は諦めてくれ!俺としては、君達は聖教国に帰ってテンプルナイトとして生活した方が幸せだと思う」
「ば、馬鹿な!もう聖教国に帰れるわけないではないか!」
「だったら、この国の国民になり生活することは構わないが、鳳凰騎士団に入隊したいというのは諦めた方がいい」
ケンジは、ヴァンデイン達の事を国民と認めたが、聖騎士としての地位は認めようとしなかった。これには、ヴァンデイン達は納得がいかず、ケンジと向き合ったまま時間が過ぎ去っていったのである。
「あなた、大変よ!すぐに来て頂戴!」
「な、なんだよ!俺は今日は休暇だ。最近忙しかったんだから、それ位許してくれても良いだろ?」
ケンジは、この2ヶ月間4つの町からの救援要請で、休みなしで働いていた。取り敢えず、町の結界だけでもと思い支店を飛び回り、色んな手続きをしててやっと落ち着けた所だった。
「お願い!大変なのよ……」
「そ、そうです!聖教国の事で重要な情報が入りました!」
「ムシュダルクさんまでなんだよ?それに聖教国なら外交問題じゃ……」
「そうではありません!たった今、聖教国のテンプルナイトが到着して、ケンジ様に面会を望んでいるのです!」
「はぁあ?なんでテンプルナイトだけで、フリーの町にやって来るんだよ!」
「だから、あなたにお願いしているんじゃない!」
ケンジは、マイ達に言われてすぐに謁見の間に顔を出した。そこには、テンプルナイトのヴァンデイン率いる部下達がいた。
「ケンジ様、お久しぶりでございます。このたびはいきなりの訪問に対応して頂きありがとうございます」
ヴァンデインは、丁寧な言葉遣いでケンジに挨拶をした。
「お久しぶりですね。それで今日は聖女様はいないのですか?」
「はい!今日はケンジ様にお願いをしにきました」
「はっ?お願いってなんだ?交渉事なら外交官に代わるから待っていてくれ!」
「ケンジ様!ちょっとお待ちください!」
「な、なんだよ?」
「今回、我々元テンプルナイトは聖教国を出て、Freedom国の騎士団として在籍をしたいのでございます」
「はぁあ~~~~~⁉テンプルナイトが、聖教国を捨てたというのか?」
「いえ、違います!我々は聖教国を捨てたのではありません!あくまでも、女神クローティア様をお慕いして、女神様を追ってきたのです」
「どういう事だよ!女神クローティア様を追って来たって意味が分からん!女神クローティア様は、地上のどこでも感じれるものだろ?」
「いえ、今はもう聖教国では殆ど感じ取れる事は無く、ここFreedom国こそが聖教国というぐらい、女神様の気で満ち溢れているのです」
「いやいやいや……それは大間違いだ!女神様はそんな風に差別などしないよ。地上はどこも一緒だって!」
「いいえ、違います!我々元テンプルナイト一同は、今は聖教国では感じられなかった女神様の恩恵を感じ取れるほどに、力がみなぎっております!」
テンプルナイト達が、勘違いするのも無理はなく、Freedom国の土地は女神様の恩恵で満たされていた。これは各地の女神信者がこの土地に集結し毎日のようにお祈りをされていたからだ。
女神クローティアとケンジが友人関係であると、女神が降臨した時に周知の事実となった為、信者がFreedom国に集まってきた結果だった。
「それで、ヴァンデインさんは女神様を追ってといったが、ここの住人になりたいのか?」
「それもそうなのですが、今までケンジ様には無礼な事を言ったりやってきたことを謝罪したいと思い、こうして会ってもらいたかったのです」
「ああ!ヴァンデインさんには譲れない何かがあったんだろ?もう気にしてないから謝罪を受け入れるよ」
ケンジが謝罪を受け入れたことで、ヴァンデインや部下の隊長クラスの人間がホッとため息をついた。
「ありがたき幸せ!」
「それで、貴方達は聖教国を捨てたと言っていいのか分からないのだが、聖教国の事はいいのか?」
「ケンジ様!そのことで訂正をさせていただきたい。我々は聖教国に仕えていた訳ではございません!私達は女神様を主君とし、女神様の恩恵を頂き信者達を守る聖騎士なのです!」
「な、なるほど……」
「故に、女神様や信者のいなくなってしまった聖教国に縛られるものではなく、ここに女神様がいるのだから必然の流れなのです。聖教国を裏切ったのではなく、ここでこそ我々が力を奮える場所なのです」
「だが、貴方達は聖教国の騎士なんだろ?」
「はい!だからテンプルナイトは解散し、ここFreedom国の鳳凰騎士団に入隊させてもらいにきました」
「はぁあ⁉なんで、鳳凰騎士団に?」
「身勝手な話だとは思いますが、どうかこの願い聞き届けてもらいたいのです。我々は女神様に仕える聖騎士です。そして、その主君の気がこの国で強く感じ取れるのと、その信者達がここFreedom国に集結しているのです」
「だからって、なんで鳳凰騎士団に入隊しようとするんだよ?」
「そんなの当り前です!我が主君はこの国にいるのですから当然です」
「ヴァンデインさん、やはり貴方達は聖教国に帰った方がいい!女神様はある特定の地域にいるんじゃなく、イズモ大陸……いや、この星ガイアース全てを見てくれているんだよ」
「そんな事はあるまい!ケンジ様は女神様と友人であられる。そして、ここFreedom国に女神様の気が満ち溢れているとなれば、この土地に女神様はおられるに違いない!」
「そのように思うのは勝手だが、実際女神様はこのガイアースをお創りになった方だ!そんなえこひいきな事をするとは思えない」
「ケンジ様!どうしても我々が鳳凰騎士団に入隊するのは駄目なのでしょうか?やはり、今までのご無礼を許してはいただけないのでしょうか?」
「謝罪は受け入れたと言っただろ?それはもう関係ないよ」
「だったら!我々を受け入れてくれてもいいではないですか?」
「こういっては何だが、貴方達では鳳凰騎士団には入隊はできないんだよ。だったら、貴方達は聖教国に戻りテンプルナイトとして生を全うした方が良いと思うんだよ」
「何で入隊できないのですか?」
「前に、極級ダンジョンで親善試合をした時に言ったかもしれないが、鳳凰騎士団の入隊条件には、最低でも100レベルという決まりがある!」
「「「「「はぁあ⁉」」」」」
代表で、面会に来ていたヴァンデインをはじめ、隊長クラスの人間はケンジの言った条件に、変な声が出てしまった。
「テンプルナイトの団長であるヴァンデインさんでも、その条件を満たしていないだろ?」
「ば、馬鹿な!入隊させたくないからと言って、そんな事を言うなんて卑怯ではないか!どこの世界に、100レベルを超えるような人間が存在するんだ!」
「信じられないのも無理はないが、鳳凰騎士団の兵卒の人間は全て100レベルオーバーだ。これは嘘でも、何でもないよ」
ケンジの真剣な目に、嘘はないと確信したヴァンデイン達は二の句が告げなかった。
「申し訳ないが、君達では鳳凰騎士団に入ったら足手まといになる……それならば、聖教国で今まで通りテンプルナイトとして活躍した方が良いと思うんだよ」
「それはできない!ここに、女神様が存在しているならば私達は……」
「さっきも言ったように女神様はある特定の地域にいることは無い。これは本当の事だよ。だから、君達はここFreedomに拘る必要はないはずだよ?」
「しかし!」
「それに、鳳凰騎士団は女神クローティアを君主として崇めてはいない。あくまでも、この国の国民を守るために存在している騎士団なんだよ?」
「はあ?国民とは平民の事ですか?」
「この国は貴族や王族はいない!だから、当然平民ではなく国民と言って、それを守るために存在しているんだよ」
「えっ⁉ケンジ様を君主に、騎士団が存在しているのですよね?」
「俺も、国民の一人という認識だ。それらを守るために存在していると考えてくれ!」
「ですが、鳳凰騎士団はケンジ様の奴隷だったはずです。でしたら、鳳凰騎士団はケンジ様を守っているのでは?」
「立場上奴隷だが、鳳凰騎士団は町や国民が災害などに巻き込まれない様に守るための騎士団だよ」
「そんなバカな……」
「申し訳ないが……テンプルナイトの君達では認識が違いすぎる為、鳳凰騎士団へ入隊を認める訳にはいかないんだよ。君達はあくまでも女神様を崇め女神様の為に動くだろ?」
「それは当然です!」
「鳳凰騎士団に入隊したら、国民の為に動いてもらわないと困るんだよ。それに、今入隊してもらってもヴァンデインさんは2軍の兵卒と同等の扱いになる。そうなれば貴方の部下に示しがつかないだろ?」
「ぐっ……」
「申し訳ないが、そうなればここにいる隊長クラスの貴方達では、本当に一生をかけて3軍から2軍に上がるので、精一杯になると思うんだよ。そういう事にあれば、女神様の為に戦う事は出来ないと思わないか?」
ケンジの言葉に、隊長クラスの人間達は下を向いて顔を上げることができなかったのである。
「そ、それでも!私達は……女神様を想い、聖教国を出てこの国の騎士団に入ろうと思って!」
「その気持ちは聞いてて分かるよ。だが、鳳凰騎士団の団長はランスロットだ。ヴァンデインさんに比べたら実力が全然違う。鳳凰騎士団に入れば、上司は奴隷の身分であるランスロットになるんだぞ?」
「なっ⁉そんなバカな‼」
「この国に平民とか奴隷など関係ないよ。全員が国民という立場だ。俺も含めてな。そういった拘りも捨てる事も出来ないだろ?」
「そ、それは……ですが、貴族や平民という立場がないというのは分かりましたが、なぜ国民が奴隷と同じ立場なのでしょうか?」
「俺も、全ての奴隷が国民と同じ立場だとは思わないよ。盗賊や犯罪を犯した人間が奴隷に堕ち、犯罪奴隷と国民が同じとは思っていないからな。しかし、貴族達に冤罪に巻き込まれ、犯罪奴隷になった人間は国民と同じ立場だとも思っている」
ヴァンデインは、そういう人間もいるという事は知っていた為、反論するような事はしなかった。
「それは分かりますが……」
「このFreedom国で、他国での常識は通じないからそれだけは分かってほしい。それも、この国はまだ出来上がったばかりで、試行錯誤しながら成り立っている。だから、今自信を持ってやっていることも数年先には間違っていたこともあるだろう!」
「それでは、へいみ……いや、国民達は困ることになるのではないのですか?」
「今までは、国があって国民達は生活できるというスタンスだった。しかし、この国では反対だ。国民がいてこそ国は成り立つとかかげている!国民がどうしたら生活しやすいか?どうしてほしいのか?そういった意見を聞きそれを元に政策は行われるんだ」
「そんな事ができるわけ!」
「いいか?今まで貴族は自分の生活を豊かにする為に税金を徴収していた。だから、今Freedomという国が出来たことで、国民は他国を見限ったと思わないか?」
「そ、それは……」
「税金は国民の血と汗の結晶だ。そのお金を国民の為に使う事で、国民が困るわけないと思わないか?」
「だが、先ほど今この時自信を持ってやっている政策も間違っていてなくなる事もあると……」
「そりゃ、俺だって人間だ!間違う事もあるだろ?その時は、国民に正直に話し国民に許しを得ることになるさ。だけど、極力そうならない様に努力するからこそ、国民の信頼を勝ち取れるんだと思うよ」
「そんな……国のトップがへいみ……国民に気を遣うだなんて……」
「まあ、話が変な方向に向いてしまったが、君達の意識改革が出来ないうちに鳳凰騎士団に入隊は諦めてくれ!俺としては、君達は聖教国に帰ってテンプルナイトとして生活した方が幸せだと思う」
「ば、馬鹿な!もう聖教国に帰れるわけないではないか!」
「だったら、この国の国民になり生活することは構わないが、鳳凰騎士団に入隊したいというのは諦めた方がいい」
ケンジは、ヴァンデイン達の事を国民と認めたが、聖騎士としての地位は認めようとしなかった。これには、ヴァンデイン達は納得がいかず、ケンジと向き合ったまま時間が過ぎ去っていったのである。
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