異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

57話 女神の気配

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 王国の貴族達や聖教国の幹部達は、自分達が選ばれた民だと今だ思っていて、勉学や戦闘教育は自分達の為にあると誤解していた。
 平民達に、教育を行っても無駄だと思い込んでいて、孤児院の人間に教育しても、時間の無駄だと思い込んでいたのだ。

 会合が終わり、ギルドマスターに幹部達が、王国や聖教国の言う事を鵜呑みにしないほうが良いと意見を言ったのである。




「ギルドマスター!王国や聖教国はもう終わります!」

「何を言っておる。終わるって何だ!」

「今回の会合を見てそう思いました。ギルドはもう、独自の考え方で動いた方がよろしいです!」

「何を⁉」

「いいですか?ケンジ様が役に立たない孤児院の人間を、内政の仕事に雇うと本気で考えているのですか?」

「そ、それは……だが、孤児院の人間だぞ?ギルド構成員の中でも、文字は読めない計算も出来ない人間ばかりじゃないか……」

「それは過去の事です!教育を受けてこなかったからしょうがないと考えるべきです。ですが、教育を受けて変わったとしたらどうするのですか?」

「そんな、変わるものなのか?それにお前達の言う様に、ギルドが独自で動くとはどういう事だ?」

「それは……」

「考えもなしに独自で動くと言ったのか?」

「ですが、ギルドが国に頼っていても、このまま空洞化の進んだ国を頼ってもどうしようもないと考えます!だったら、Freedomになんとか進出させてもらった方が!」

「どうやってだ?ケンジは、国に入れないと言ったんだぞ?」

「いえ?入れないとは言っていません!」

「どういう事だ?」

「Freedom国の外交官は、ギルドのメリットを示せと言いました。つまり、Freedom国のギルドにはないものを示せれば、まだ可能性はあると思います!」

「そんなものがあると思うのか?魔道具は、次々売り物にはならなくなるし、新しいモノを生み出せるわけでもないし……」

「それを、帰ってから検討するのではないですか?とにかく、今は王国や聖教国に乗るのは反対です!」

 ギルド幹部達は、ギルドマスターに自分達の考えを訴えたのだ。

「だが、王国や聖教国から離脱するのか?」

「今のヒューマン国は泥船です!沈みゆく船に、ギルドを乗せる訳にはいきません!」

 ギルド幹部達はきっぱり言い切ったのだ。しかし、ギルドマスターはいまだ悩んでいた。国から離れて、本当に大丈夫なのかと。もし、数年経って王国の言う通り、Freedomの内政がやはりだめになった場合、王国から離れた後では、今度は王国に取り入る事は出来なくなる事を恐れて決断が出来なかった。

「しかし……会合で言ってた通り、数年先王国や聖教国が持ち直した場合、今度は王国や聖教国に取り入ることはできなくなるぞ?それでも本当にいいのか?」

「あたし達は、そうならないと確信が持てました!」

「何故だ?理由を申してみよ!」

「王国や聖教国が、なにかしら行動を起こしたのなら持ち直すかと思いますが、Freedom国が自滅するのを待っている感じでした。あたし達は、Freedom国が自滅するとは考えられないからです!」

「……」

「そんな消極的な他力本願な案なら、自滅していくのは王国や聖教国だと思います。ならば、ギルドがやる事は何かしらの強みを見つけ、Freedom国に取り入った方が良いと思います」

 アーチェ達の説得に、ギルドマスターも折れるしかなかった。そして、ギルドは本部に帰り早速会議を開くことにした。




「お前達、これは一体どういうことだ?」

「はい!このままでは、数年で王国と帝国はさらに縮小し、最悪Freedom国に吸収合併するでしょう!」

 ギルドでは、あの会合から半年間統計を取り続け、平民達の意見を聞いていた。聖教国はもう滅亡は確実とまで言われていたからだ。

 王国や帝国の平民達は、これ以上税金が上がるなら国を出るしかないなと結論付けていた。しかし国は、もう少し我慢すればFreedom国が自滅すると期待だけして、なんの対策も取れていないのが実状だった。
 そうして、国民達は無理をしてでも移住する人間が後を絶たず、財政難になるので税金を上げないとどうしようもなくなってきたのだ。

 そして、聖教国では信者は当然、聖教国でなくてもFreedomに行けば、女神クローティアの気がより感じ取れるようになってきたと噂が広まっていた為、マルシェイム聖教国の平民達は移住していくのだ。


 その影響で、遂にテンプルナイト達が動き始めたのである。テンプルナイト達は、女神クローティアを信仰した聖騎士であり、聖女を君主として仕えている訳ではない。
 その為、テンプルナイトもまた、お暇を貰い次々脱退者が続出しだしたのである。前の段階では、団長ヴァンデインは聖教国は、人々を導く存在として強くなくてはならないと考えていたが、しかしすでにその考えはなかった。

「団長!このままではマルシェイム聖教国は……」

「みんな聞いてくれ!俺はテンプルナイトを解散させようと思う!」

「「「「なっ⁉」」」」」
「解散させてどうしようというのですか?聖教国を見捨てるおつもりですか?」

「みんなよく聞いてくれ!俺達は誰に仕えている?聖女様か?マルシェイム聖教国か?」

「それは……」

「そう!我々は女神クローティア様を信仰していて聖教国ではない!聖女様は道を誤られた故に、聖教国はもう人々を導く力はもうないと判断しざるを得ない!」

「では、団長はどうするおつもりですか?」

「そんなの決まっているだろう!今、人々を導く国はFreedom国ではないか!ケンジ様は、女神クローティア様の友人でもあられる。その為、聖教国にいた人間も、Freedom国にある教会には女神様の気が近くに感じられるそうだ!」

「で、では!」

「そうだ!今、この地点で聖教国とは名ばかりであり、本当の女神様はFreedom国にいらっしゃるのだ!」

 実は、女神クローティアはどの教会でも感じ取れるが、聖教国の信者達がFreedom国に移住してしまったので、強く感じ取れるようになってしまっただけである。
 その証拠に、聖女アリサは今も変わりなく女神クローティアの言葉を聞くことが出来るのだ。

「団長は、Freedom国に向かうおつもりですか?」

「私は、女神様を信仰し国を守ってきたつもりだ‼だが、マルシェイム聖教国には女神様を信仰しそれを広める力はもうないと判断した!だから、Freedom国に頭を下げ、鳳凰騎士団に入隊をさせてもらおうと思う」

 ヴァンデイン団長は、テンプルナイトは女神と共にあると信じ、今まで聖教国にいた。しかし、ここにいたって信者達はドンドンFreedom国に移住し、熱心な信者ほど早々にFreedom国に移住してしまったおかげで、女神様の気が聖教国で感じられなくなってしまったのだ。

「我々も、団長についていきます!」

「当たり前だ!その為にテンプルナイトは解散させるつもりなんだからな!テンプルナイトは、全員女神様を信仰し女神様の為に戦う聖騎士なんだ!」

 テンプルナイト団長ヴァンデインはその日のうちに、聖教国に解散そして国を出る手続きを取ったのである。

 それに、驚いたのが聖女率いる大司教達、教会幹部であった。

「ヴァンデイン何を言っておる!テンプルナイトを解散させるだと!」

「えぇ!我々テンプルナイトは解散させる事にしました!」

「馬鹿な事を!お主達がいなくなったら、聖教国はどうなると思っている!」

「大司教こそ、何か勘違いなされているのでは?」

「勘違いとはなんだ!」

「聖女様もよくお聞きください!我々は、聖教国を守っていたのではありません!女神様を信仰して、人々を導けるこの国を信じていたからこそ、この国の騎士として働いていました!しかし、今の聖教国は名ばかりで、女神様が離れて行ってしまわれた」

「だからこそ!この国を盛り立てて行かなければならんのだろう!」

「いいえ!違います。我々は、女神クローティア様の名のもとにある騎士団であり、聖教国に仕えている訳では断じてない!」

「ま、まさか!貴方達……」

「聖女様!長年お世話になりました。我々はマルシェイム聖教国に代わるFreedom聖教国に移住し、女神クローティア様の名のもとに騎士団を続けていくつもりです!」

「「「「「ば、バカな‼」」」」」」

「貴方達……マルシェイム聖教国を裏切るおつもりですか?」

「裏切る?何を言っておいでか!我々は最初から、女神様の名のもとに騎士をしていたのです。裏切るなどと片腹痛い」

「「「「「なっ!」」」」」

 ヴァンデインの言葉に、聖女をはじめ大司教達は言葉を失った。そして、ヴァンデインはこういったのである。

「もし、仮に裏切る裏切らないというのなら、我々聖教国が女神様から見捨てられたのだと思います!我々は道を誤った!Freedom国にばかり面倒事を押し付け、町をいや信者を見捨てたことで、聖教国が女神様に愛想を尽かされたのです」

「だとしたら、貴方達はここを去っても、女神様に受け入れられるとは……」

「我々は、女神様に許しを請うつもりでここを離れるつもりです!何年かかるかわかりませんが、絶対に許してもらうつもりです」

 聖女達は、ヴァンデイン達テンプルナイトの瞳を見つめ愕然となった。今の自分では、テンプルナイト達を引き止めるなど到底できない事に!
 
 そして、一週間後全てのテンプルナイトが、聖教国からいなくなった事が聖教国に広まったのである。これにて、聖教国にはテンプルナイトに上がる前の、只の騎士団しかいなくなり町の人達に不安が広がった。


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