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第10章 Freedom国、経済の中心へ!
47話 100年先を見据えて
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銭湯と学校が出来た事で、フリーの町の噂が広まった。Freedom国領の、他の町ホーチュン・ホープ・ホネストでも、学校を作ってほしいと要望が出てきたのだ。
銭湯は、親達と一緒に行動する事で転移マットに乗るので心配はいらないが、学校に通う為に子供だけで町を移動する事には親は難色を示したからだ。
「ケンジ様!フリーの町以外の町から、学校の建築要請が来ております」
「もう少し、それは待ってもらってくれ」
「どういう事ですか?こんなに要請が来ているのに、予算の事を心配しているのなら大丈夫ですよ?」
「ムシュダルクさん、それはどういう意味ですか?」
「どういう意味ってそのままですよ。国民の意思で公共の物を作るんですよ。税金で賄う事になるのですから……」
「それって、税金を上げるって事ですか?」
「そりゃそうですよ!そうじゃないと学校の予算だなんて……」
「馬鹿な事を言わないでくれ!そんな事をしたら本末転倒じゃないか!」
「何が馬鹿な事ですか!平民達が望んでいる事なのですよ?だったら、その予算に協力させるのは当たり前じゃないですか!」
「ああ!確かにムシュダルクさんの言っている事は正解かもしれない!だけど、学校に通わしたいが出来ない親御さんはたくさんいるんだぞ?その為の子供援助支給金制度だ。それなのに、税金が上がったら意味がなくなるじゃないか!」
「だったら、どうやって3つの町に学校を建てるというのですか?それに、学校を建てたらフリーの町のように教師も雇わないといけないのですよ?」
「安易に税金を徴収するのは愚策そのものだろ!それを考えるのが、俺達の役目だろ?国民の血税を何だと思っているんだ!」
「しかし……」
「いいか?国民が、学校を建ててくれという要望はありがたい事だよ!しかし、要望があったからといって、すぐに実行に移して税金を引き上げたら、国民はどう思うと思う?」
「どう思うも何も、平民達の意見を反映するのはFreedom国ぐらいですよ。こっちは、平民の要望を聞きいれたんです。税金を上げても文句など言える訳ないですよ!」
「そう!文句は言えないがそれだけ国民にとっては大事なんだよ!ムシュダルクさん、あなたの言っている事は分かるし理解もしよう!だが、国民の声を聞いたんだから、文句を言わず無理にでも税金を納めろ!という考え方は止めた方がいい!」
「だったらどういうやり方をしろと!」
「ムシュダルクさん。貴方は元王国の貴族だった頃は、民衆に寄り添った考えの貴族だったはずだ。だったら税金が上がったら、国民がどう思うか想像出来るんじゃないのか?」
「それは分かりますが、平民が国の事業に要望を出してきたんですよ?だったら、税金を取るのは当たり前じゃないですか?」
「当たり前じゃない!」
ケンジが大きな声を出した。それにムシュダルクは驚き、目を見開くのだった。
「ムシュダルクさん、大きな声を出してごめんなさい!」
「あ……いえ……」
「ムシュダルクさん、Freedom国の税金は、他国より高いのは分かるよね?」
「はい!ですが、これだけ色んな優遇処置があるから、それもしょうがない事かと……それに高いと言っても、殆ど変わらないのも事実です」
「いいかい?国民は納得して、税金が高くてもこの国に移住してくれて税金を納めてくれているんだよ。なのに、国民達が要望したからといって、それは当たり前だと言い、税金を高くしたら不満が募る!もし、高くするのなら民意を募ってから高くするべきだ!」
「なんですって!ケンジ様は、町に学校を建てたいから税金を上げてもいいかと平民達にお願いをしろと?」
「ああ!」
「そんなバカな事を!」
「馬鹿な事じゃないよ。学校を建設したから税金を増やしますじゃ、国民は納得しないよ」
「納得も何も、平民達が学校の建設を望んだのですよ!その建設費用は金の生る木があるとでもいうのですか?」
「そうはいっていない!国民の望みを、叶えたから金を出せ!って言っては、後だしジャンケンで卑怯だと言っているんだよ!」
「卑怯……」
「いいですか?このFreedom国は他国の考え方は通用しません!先ほどから、ムシュダルクさんは平民とばかり言ってますが、正しくは国民だ!これは、ムシュダルクさんはもちろんこの俺の立場も同じ国民ですよ」
「馬鹿な事を!私は貴族ではありません国民と言われればそうですが、ケンジ様はこの国の代表であり王族です!」
「違う!Freedom国は、そういった階級制度は廃止するつもりだ!俺はこの国の代表だが、国民は全員同じ人間であり同じ立場だ!唯一違うとあげるとしたら犯罪奴隷だけだよ!」
「そんな事が、納得できるわけ……」
「いいですか?よく聞いて下さい!国政をしているから、何をやってもいいという訳ではないんです!話を戻しますが、この国の国民に対してのケアは他の国に比べれば充実しています」
「そんな事は当たり前です!だからこそ、大陸中から人間が集まってきているのです!」
「だからといって、国民を騙すようなかたちで税金を上げて見ろ!国民は、この国は何かあればすぐに税金をとるといい、またどこかの国に移住してもおかしくないんだぞ?」
「だったら、この国は税金を貰うかたちで、国民に遠慮しながら国の政策をしろと?」
「それは違う!今回の事にしても、すぐに税金を増やすというのではなく、もっと他の予算を見直したり、色々やってそれでも無理なら、それを国民に打ち明けたうえで、堂々とした態度で税金を徴収しろと言っているんだよ」
「そんな徴収今まで聞いた事……」
「無いのは当たり前だ!そんな国があるなら王権制度じゃないからな!」
「だったら、他の町に学校を建設するのは当分無理ではないですか?それこそ、国民の支持率が下がるのではないのですか?」
「だから、なんでそんな極端なんだよ。これからどうするのか検討に入るんだろ?俺の考え方はこうだ!まだフリーの町で、学校教育は始まったばかりだろ?」
「はい……」
「そして、今は未来ある子供達だけが、授業を受けているんだ。大人達も又、授業を受けたいと言ってきているんだろ?」
「ま、まさか!」
「そのまさかだよ!大人は稼ぎもある。負担にならない程度に授業料を取るんだよ!」
「ですが、お金を払ってくれると思いますか?」
「払ってくれなきゃしょうがない!その人が勉学に対して軽く考えている証拠だよ」
「だったら、税金を払ってもらうしか!」
「だから、そんなに答えを急ぐ事ない!学校制度は始まったばかりだ!そんな早く結果が出るわけないだろ?」
「だったら、どうすれば?」
「いいか?学校を卒業した人間は、まだ孤児院の子供達だけだ。その子供達が活躍しだしてからが勝負だと思わないか?」
「そ、そうか!孤児院の子供といえば、今までは冒険者にしかなれなくて、文字が読めない子供達ばかりだった!」
「その子供達が、自分達よりいい職についてその能力を発揮したら、金を払ってでも学校に通いたいと思うんじゃないか?」
「た、たしかに!」
「一つ言っておきたいがムシュダルクさん、あなたは本当に頼りになる人だ!だが、これからはもっと先を見据えてほしい。目先の利益じゃなく、国民の為に100年先を見据えた政策をよろしく頼む!」
「100年先ですと⁉」
ムシュダルクは、ケンジの要望に驚き目を見開くしかなかった。それも当然であり、100年先など自分はもう死んでいない。そんな先の事など次世代の人間に任せ、自分は今この時を考えればいいと思ったからだ!
「ケンジ様!何で100年先の事まで考えないといけないのですか?こういっては何ですが、100年先の事はその時代の人間が考える事であり、私達は今この時の事を考えるべきです」
「やっぱり理解できないか?」
「当たり前です!何で私達が!」
「まあ、聞いてくれよ。Freedom国は、今にない国づくりをしているはずだよな?だったら、先の事も考えながら国づくりしないと、すぐにまた元に戻ってしまうと考えれないか?」
「そ、それは……」
「100年先といったら、ムシュダルクさんの孫やひ孫が生きる時代だ!その孫達が、自由に生きていける国づくりは、本当に無駄だと言うのか?」
「……」
「いいかい?100年経つと、今生きているヒューマンはまずいないが、貴族はまだまだいるかもしれないと思わないか?そんな人間達が又勢力を伸ばし、国民達が暮らしにくい世界になったらどうなる?」
「ですが、ケンジ様がいれば……」
「それは違うな!しっかりした地盤が出来て強固な国になる!王国にしても聖教国にしても今はどうだ?ガタガタじゃないか!」
「それは、ケンジ様が出現した事で、今までの常識が狂ったからです」
「だからだよ!もし仮に、100年後の世界に俺より凄い人物が現れた時、この国はどうなる?王国と同じ道を辿ると思わないか?Freedom国は、今はまだ建国して数年だ!100年経っても、王国には全然及ばない年数だ。だったら、政策は100年先を見据えてやるのが当たり前じゃないか!」
(ケンジ様より凄い貴族って何だよ……私には、神しか思いつかんよ……)
ムシュダルクは、ケンジの発言に納得できたようなできないような、不思議な感覚だった。
銭湯は、親達と一緒に行動する事で転移マットに乗るので心配はいらないが、学校に通う為に子供だけで町を移動する事には親は難色を示したからだ。
「ケンジ様!フリーの町以外の町から、学校の建築要請が来ております」
「もう少し、それは待ってもらってくれ」
「どういう事ですか?こんなに要請が来ているのに、予算の事を心配しているのなら大丈夫ですよ?」
「ムシュダルクさん、それはどういう意味ですか?」
「どういう意味ってそのままですよ。国民の意思で公共の物を作るんですよ。税金で賄う事になるのですから……」
「それって、税金を上げるって事ですか?」
「そりゃそうですよ!そうじゃないと学校の予算だなんて……」
「馬鹿な事を言わないでくれ!そんな事をしたら本末転倒じゃないか!」
「何が馬鹿な事ですか!平民達が望んでいる事なのですよ?だったら、その予算に協力させるのは当たり前じゃないですか!」
「ああ!確かにムシュダルクさんの言っている事は正解かもしれない!だけど、学校に通わしたいが出来ない親御さんはたくさんいるんだぞ?その為の子供援助支給金制度だ。それなのに、税金が上がったら意味がなくなるじゃないか!」
「だったら、どうやって3つの町に学校を建てるというのですか?それに、学校を建てたらフリーの町のように教師も雇わないといけないのですよ?」
「安易に税金を徴収するのは愚策そのものだろ!それを考えるのが、俺達の役目だろ?国民の血税を何だと思っているんだ!」
「しかし……」
「いいか?国民が、学校を建ててくれという要望はありがたい事だよ!しかし、要望があったからといって、すぐに実行に移して税金を引き上げたら、国民はどう思うと思う?」
「どう思うも何も、平民達の意見を反映するのはFreedom国ぐらいですよ。こっちは、平民の要望を聞きいれたんです。税金を上げても文句など言える訳ないですよ!」
「そう!文句は言えないがそれだけ国民にとっては大事なんだよ!ムシュダルクさん、あなたの言っている事は分かるし理解もしよう!だが、国民の声を聞いたんだから、文句を言わず無理にでも税金を納めろ!という考え方は止めた方がいい!」
「だったらどういうやり方をしろと!」
「ムシュダルクさん。貴方は元王国の貴族だった頃は、民衆に寄り添った考えの貴族だったはずだ。だったら税金が上がったら、国民がどう思うか想像出来るんじゃないのか?」
「それは分かりますが、平民が国の事業に要望を出してきたんですよ?だったら、税金を取るのは当たり前じゃないですか?」
「当たり前じゃない!」
ケンジが大きな声を出した。それにムシュダルクは驚き、目を見開くのだった。
「ムシュダルクさん、大きな声を出してごめんなさい!」
「あ……いえ……」
「ムシュダルクさん、Freedom国の税金は、他国より高いのは分かるよね?」
「はい!ですが、これだけ色んな優遇処置があるから、それもしょうがない事かと……それに高いと言っても、殆ど変わらないのも事実です」
「いいかい?国民は納得して、税金が高くてもこの国に移住してくれて税金を納めてくれているんだよ。なのに、国民達が要望したからといって、それは当たり前だと言い、税金を高くしたら不満が募る!もし、高くするのなら民意を募ってから高くするべきだ!」
「なんですって!ケンジ様は、町に学校を建てたいから税金を上げてもいいかと平民達にお願いをしろと?」
「ああ!」
「そんなバカな事を!」
「馬鹿な事じゃないよ。学校を建設したから税金を増やしますじゃ、国民は納得しないよ」
「納得も何も、平民達が学校の建設を望んだのですよ!その建設費用は金の生る木があるとでもいうのですか?」
「そうはいっていない!国民の望みを、叶えたから金を出せ!って言っては、後だしジャンケンで卑怯だと言っているんだよ!」
「卑怯……」
「いいですか?このFreedom国は他国の考え方は通用しません!先ほどから、ムシュダルクさんは平民とばかり言ってますが、正しくは国民だ!これは、ムシュダルクさんはもちろんこの俺の立場も同じ国民ですよ」
「馬鹿な事を!私は貴族ではありません国民と言われればそうですが、ケンジ様はこの国の代表であり王族です!」
「違う!Freedom国は、そういった階級制度は廃止するつもりだ!俺はこの国の代表だが、国民は全員同じ人間であり同じ立場だ!唯一違うとあげるとしたら犯罪奴隷だけだよ!」
「そんな事が、納得できるわけ……」
「いいですか?よく聞いて下さい!国政をしているから、何をやってもいいという訳ではないんです!話を戻しますが、この国の国民に対してのケアは他の国に比べれば充実しています」
「そんな事は当たり前です!だからこそ、大陸中から人間が集まってきているのです!」
「だからといって、国民を騙すようなかたちで税金を上げて見ろ!国民は、この国は何かあればすぐに税金をとるといい、またどこかの国に移住してもおかしくないんだぞ?」
「だったら、この国は税金を貰うかたちで、国民に遠慮しながら国の政策をしろと?」
「それは違う!今回の事にしても、すぐに税金を増やすというのではなく、もっと他の予算を見直したり、色々やってそれでも無理なら、それを国民に打ち明けたうえで、堂々とした態度で税金を徴収しろと言っているんだよ」
「そんな徴収今まで聞いた事……」
「無いのは当たり前だ!そんな国があるなら王権制度じゃないからな!」
「だったら、他の町に学校を建設するのは当分無理ではないですか?それこそ、国民の支持率が下がるのではないのですか?」
「だから、なんでそんな極端なんだよ。これからどうするのか検討に入るんだろ?俺の考え方はこうだ!まだフリーの町で、学校教育は始まったばかりだろ?」
「はい……」
「そして、今は未来ある子供達だけが、授業を受けているんだ。大人達も又、授業を受けたいと言ってきているんだろ?」
「ま、まさか!」
「そのまさかだよ!大人は稼ぎもある。負担にならない程度に授業料を取るんだよ!」
「ですが、お金を払ってくれると思いますか?」
「払ってくれなきゃしょうがない!その人が勉学に対して軽く考えている証拠だよ」
「だったら、税金を払ってもらうしか!」
「だから、そんなに答えを急ぐ事ない!学校制度は始まったばかりだ!そんな早く結果が出るわけないだろ?」
「だったら、どうすれば?」
「いいか?学校を卒業した人間は、まだ孤児院の子供達だけだ。その子供達が活躍しだしてからが勝負だと思わないか?」
「そ、そうか!孤児院の子供といえば、今までは冒険者にしかなれなくて、文字が読めない子供達ばかりだった!」
「その子供達が、自分達よりいい職についてその能力を発揮したら、金を払ってでも学校に通いたいと思うんじゃないか?」
「た、たしかに!」
「一つ言っておきたいがムシュダルクさん、あなたは本当に頼りになる人だ!だが、これからはもっと先を見据えてほしい。目先の利益じゃなく、国民の為に100年先を見据えた政策をよろしく頼む!」
「100年先ですと⁉」
ムシュダルクは、ケンジの要望に驚き目を見開くしかなかった。それも当然であり、100年先など自分はもう死んでいない。そんな先の事など次世代の人間に任せ、自分は今この時を考えればいいと思ったからだ!
「ケンジ様!何で100年先の事まで考えないといけないのですか?こういっては何ですが、100年先の事はその時代の人間が考える事であり、私達は今この時の事を考えるべきです」
「やっぱり理解できないか?」
「当たり前です!何で私達が!」
「まあ、聞いてくれよ。Freedom国は、今にない国づくりをしているはずだよな?だったら、先の事も考えながら国づくりしないと、すぐにまた元に戻ってしまうと考えれないか?」
「そ、それは……」
「100年先といったら、ムシュダルクさんの孫やひ孫が生きる時代だ!その孫達が、自由に生きていける国づくりは、本当に無駄だと言うのか?」
「……」
「いいかい?100年経つと、今生きているヒューマンはまずいないが、貴族はまだまだいるかもしれないと思わないか?そんな人間達が又勢力を伸ばし、国民達が暮らしにくい世界になったらどうなる?」
「ですが、ケンジ様がいれば……」
「それは違うな!しっかりした地盤が出来て強固な国になる!王国にしても聖教国にしても今はどうだ?ガタガタじゃないか!」
「それは、ケンジ様が出現した事で、今までの常識が狂ったからです」
「だからだよ!もし仮に、100年後の世界に俺より凄い人物が現れた時、この国はどうなる?王国と同じ道を辿ると思わないか?Freedom国は、今はまだ建国して数年だ!100年経っても、王国には全然及ばない年数だ。だったら、政策は100年先を見据えてやるのが当たり前じゃないか!」
(ケンジ様より凄い貴族って何だよ……私には、神しか思いつかんよ……)
ムシュダルクは、ケンジの発言に納得できたようなできないような、不思議な感覚だった。
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