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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

44話 フリーの町に待望の!

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 あれから、子供達は教師になつく様になっていた。子供達からしたら、こちらが騒いでも何も言わず教壇でブツブツ言っていた印象が強かっただからだそうだ。
 しかし、ケンジと話し合ってから教師達は、子供達に目線をあわせて、なぜそんなに騒いでいるのかと問題を一つ一つ解決していった。
 まだ問題は山積みだが、なんとか子供達は落ち着いたようだった。


 そして、銭湯の方も又、着実に完成に近づき、でかい湯船が完成し、周りにはヒノキ風呂や泡ぶろや電気風呂の設置、そして、琵琶湖を一望出来る岩風呂も作った。

「主……そんなに働いて大丈夫ですか?学校も急ピッチに完成させたのに!」

「ギル!俺はやっぱり、自分達の事をしていた方が元気が出るよ!」

「そうは言いましても、こんな大事業を主がメインにやらなくても……」

「でもなあ……風呂を国民達に味わってほしいんだよな!」

「確かに風呂の存在は、一日の疲れを取るのは最高ですものね」

「そうだろ?よくわかってんじゃないか!」

「それは、いつも風呂に入れていただいてますからね」

「それに風呂を広めたいのはそれだけじゃないんだぞ」

「えっ⁉他に何か?」

「便所を作って衛生面が比較的に上がっただろ?」

「それがどうかしたのですか?」

「風呂に入る事で、ティアナ達が作った石鹸で身体を洗う事で清潔になるんだ。今までなら汗臭い人間もいたが、それが限りなくいなくなるから、更に衛生面の向上がはかれるんだよ」

「な、なるほど……」

「それに、この風呂が広まったら……」

「広まったらどうなるのですか?」

「今は、フリーの町のこの一角だけだが、支店から他の国の人間も来れる様にするだろ?」

「そうですね」

「そうなると、又移住者が増えるかと思うぞ」

「どういう事ですか?」

「Freedom国の住民は、石鹸を買う事で24時間いつでも、この銭湯に来る事が出来るのは分かるな?」

「あっ!」

「しかし、他の国の人間は入りたくとも、夕方の5時までしか入れないんだよ。一回風呂を体験したら、次も入りたくなるのは分かるだろ?」

「た、確かに……」

「それと、支店からくるお客様には、石鹸以外に入浴料を頂くからな。そこにも差別化をはかろうと思っているんだよ」

「お金っていくら頂くのですか?」

「まあ、国民に負担にならない程の額だよ。それに、入場制限もつけないと銭湯がパンクしちゃうからな」

「な、なるほど……風呂の魅力にやられた人間が、移住してくるのはなんか分かる気がしますね」

「それに、なんたって一日の疲れがリフレッシュするんだ。風呂は、今まで上級貴族しか入れない物だったしな。多分流行るはずだよ」

 ケンジの事業計画はとことん、他国との差別化をはかるものだった。平民の子供が教育を受ける。今まで上級貴族しか味わえない風呂。そして、ケンジの頭の中には当然だがレジャーも入っていた。

 そして、それから月日が経ち、やっとフリーの町に銭湯が出来上がった。ケンジは、銭湯より学校の方が大事だと思い、学校を先に開校し、それから銭湯銭湯を完成させたのだった。
 これは、石鹸の在庫の問題もあった。バラとツバキの抽出にティアナとフィアナしかいない状態では、数が十分に供給できない状態だった。この事からもゴーレム(ガーデニング)タイプを、先に製作した事で銭湯の完成が遅れる事になった。

「ティアナ、フィアナ!石鹸はどのくらい製作できるようになった?」

「「ご主人様……」」

「なんだ?えらい暗いな……」

「ご主人様、ごめんなさい!」
「私達が悪かったです!許してください!」

 ティアナとフィアナは、ケンジの顔を見た瞬間涙を流し許しを乞うた。

「ああ!朝、マイに怒られてからベットメイキングの仕事を剥奪されたままだったもんな……マイには、許されないのか?」

「はい……あれから、何回も謝っているけど許してくれないのです」

「だったら、しょうがないな……」

「そ、そんな!」

「それに、マイが許してくれないから、俺がベットメイキングの仕事を剥奪したままにしているんじゃないぞ?」

「どういう事ですか?」

「まあ、そんな事どうでもいいじゃないか?」

「そんな事どうでもいいって!」
「ご主人様酷いです!わたし達は……」

「ああ!悪かったな……そういう意味じゃないよ!それよりそんな事をしていたら、またマイにどやされるぞ?」

「「えっ⁉」」

「いいか?お前達は何で怒られたんだ?俺への対応が雑だったからだろ?なのに、今も俺が質問した事には答えず、自分達の事ばかり言っていたら、全然反省していないと思われてもしょうがないんじゃないのか?」

「「あっ!」」

「確かに、俺もなあなあで接してきた部分があるし、俺自身は気にしていない。だが、お前達も解放を望まないと言ったんだ。マイの言う事が、正しいのは分かるよな?」

「「はい……」」

「それにな、もうお前達には、朝のベットメイキングは必要ないかと思うぞ?」

「「なっ!そんなことありません!」」
「あたし達は‼」

「まあ、待て!そんなに興奮するんじゃない!」

「「だってぇ!」」

「いいか?お前達にはもう、Freedomでやれる事が決まっているじゃないか?石鹸という、お前達自身の強みがあるだろ?」

「「それは……」」

「それにお前達は、ガーデニングを120.00レジェンダリーまで上げたんだ。これは、早々他人が真似が出来る物じゃないんだぞ?」

「「はい……」」

「それに、お前達は植物のエキス抽出という新たなスキルで忘れているかもしれないが、なんだかわかるか?」

「なにかってなんですか?」

「俺は、お前達にガーデニングを任せる時、薬草や癒し草の栽培の成功を頼んだはずだ!上手く行けば、月光草や癒しの四葉のクローバーなど、レアな植物の育成が出来るんじゃないかと期待しているんだぞ?」

「それは、覚えています!ですがレジェンダリーにスキルを育てても、まだ月光草どころか癒し草さえ栽培に成功できていないのです」

「だったら諦めるのか?」

「そんなことはありません!」

「だろ?お前達は、自分の強みを持ったんだ!いつまで、過去の業務に拘っているんだ?俺は、お前達にガーデニングで期待しているんだぞ?」

 ケンジの説明に、ティアナとフィアナは涙を拭き、ケンジに抱きついたのだ。二人は、ケンジの言う事は分かったのだが、やはりベットメイキングという仕事には誇りを持ってしていた事だったので、早々割り切れるものではなかった。

「お前達の言いたい事は分かるが、生産職は120.00からが勝負なんだぞ?今の段階では、栽培はできないが120以上になったら、それが可能になるかもしれないんだからな!」

「「はい……わかりました!」」

 二人は、ケンジの言いたい事を理解したのである。120以上になれば植物の抽出量も増えるはずだし、バラ園やツバキ園も拡大して、いつまでも落ち込んでいる場合ではなかったのだ。




 フリーの町の人間は、銭湯が完成したにもかかわらずまだ開かない事に疑問を持っていた。そして、国民達はギルドの窓口に相談に来ていた。

「なあ!何で銭湯はまだ開かないんだ?」
「そうだ!俺達たのしみにしているんだぞ?」
「そうよ!あたし達もあの石鹸や髪石鹸が早く使いたいんだけど……」

「申し訳ありません……もうしばらくお待ちしてもらいたいのです」

「だが、銭湯の工事は終わっているんだろ?」

「はい!それはそうなのですが、入浴料の問題が生じてしまっているのです」

「どういう事だ?入浴料って事は俺達が金を払うって事だろ?いくらにするかまだ迷っているのか?」

「ケンジ様が、そんな事で悩むはずがありません!」

「だよな……だったら?」

「入浴料は、タダなんですが……」

「ただで入れるのか?だったらすぐにでも!」

「落ち着いて下さい!」

 受付嬢は国民達を落ち着けて、石鹸セットを取り出した。それは石鹸をバラの形に装飾した物と、小動物の腸から作ったチューブ式のシャンプーのセットだった。

「なにこれ!可愛いい!」

 女性達にはバラの形をした石鹸に目を輝かし、チューブにはユリの花の絵が描いてあるシャンプーに黄色い悲鳴をあげたのだった。

「これは通常サイズで値段も高いのですが、入場料で買って頂く一回分の小さなセットがあるのです。その数が揃わないのです」

「それって、需要に対し供給が追い付かないって事か?」

「その通りです!皆様もお気づきでしょうが、北に拡がるバラ庭園とユリ庭園があるかと思いますが、あの花々が石鹸の材料になっているのです」

「ああ!あの庭園は知っているぜ。今デートスポット一押しだもんな!」
「そうよね!あの場所で告白されて、恋人同士になるカップルが増えているらしいもんね」
「だよな!」
「でも、あんな大量に育てているのにまだ足りないのか?」

「はい!製作方法は教えることはできないのですが、あれでも全然足りないと聞いております!」

「本当かよ!」

「Freedomとしては、今早急に製作しているのですが、まだもう少し時間がかかるようです。ケンジ様も、申し訳ないとおっしゃっていて、もう少しかかると言っておられました」

 国民達は、ケンジが謝罪していたと聞いて、それ以上文句を言う人間は出てこなかった。

「しょうがねえ……」
「ケンジ様が謝罪しているのであれば、これ以上何も言えねえよ……」
「そ、そうね……」
「無理言って、申し訳ありませんでした」

 国民達は、一斉に頭を下げてその聞いた事を広めてくれたのだった。受付嬢は、この冒険者や生産者、国民達の気づかいに感謝して頭を下げたのである。


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