異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

28話 ギルドの給料

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 ギルドに就職が決まった40人は、次の月から働いてもらう事になった。そして、ここガイアースの世界では、一家4人家族が1ヶ月暮らしていく為には、大体大銀貨10枚ほどで生活が出来る。つまり10万ドゴン稼げれば普通に生活できるのだ。

 ケンジは、この40人の給料を一人8万ドゴン支払う事に決めた。これは、魔物に囚われていた女性達も同額だった。

「ケ、ケンジ様!一人8万ドゴンって多すぎではないですか?」

「そうか?だったらどれくらいなら普通なんだ?」

「最初は5万ほどでいいかと思います!」

 ムシュダルクは、ケンジにアドバイスを送った。マイも又、5万でも多い位だと助言してきたのである。

「わかった!じゃあ5万ドゴンでよろしく頼む!」

「分かりました」

「その代わりに住宅手当で3万ドゴン、半年に一回ボーナス支給3ヵ月分、年昇給10%、勤続40年で退職金1000万ドゴンにしてやってくれ」

「はぁあ~~~~~?何ですか?その好待遇は⁉」

「ギルド受付嬢や職員は、人気の職業なんだろ?だったら頑張れば、貴族並みの生活が出来るんだよと思わせなきゃやってられんだろ?」

「それにしても、いくら何でもやりすぎですよ!」

「いいか?ギルド職員は町の為に頑張ってもらっているんだぞ。それにギルドは、Freedom店とは違い24時間営業だ。ウラン達も3交代で頑張ってもらっているのは知っているよな?」

「はい……」

「そういった所で頑張ってもらうんだから、給料も多く出してやらないと不満が大きくなるというものなんだよ?給料が多ければ、自分達の仕事は町には欠かせない物だと自覚が出来て頑張ることが出来るからな!」

「ケンジ様の言いたい事は分かりますが……しかし、いくら何でもこれは……」

「あ、そうそう!ギルド職員で家の持っていない人間もいるだろ?」

「それは、当然いるかと思いますが……」

「その人達は、当然宿屋暮らしだろ?」

「それは当然ですよ!野宿するわけにはいきませんからね……」

「寮に暮らしたいと希望する者は、住宅手当は抜いておいてくれ」

「寮なんてどこにあるのですか?」

「ギルドの近くに、空き地を取って置いただろ?そこに寮を建てるつもりだから。それまでは、住宅手当を出してやってくれ!」

「住宅手当に3万ドゴンは多すぎですよ!」

「宿屋っていくらくらいだった?」

「普通の一人部屋で1泊1500ドゴンほどですよ。お金をケチる人なら1000ドゴンですね」

「そっか!じゃあ住宅手当は8000ドゴンにしておいてくれ。寮に住む人間は、寮のお金で1泊500ドゴンを給料から差し引いておいてくれ。それなら宿屋より半額で住めるからお得だろ?」

「分かりました……」

 

 次の日、ギルドに就職が決まった者達がギルドにやってきた。

「あの……少しよろしいですか?」

「ああ!貴方達はギルドの面接に受かった方々ですね」

「はい!そうです……来月からよろしくです!」

「私達こそよろしくお願いします!それで何か用ですか?」

「あの……給料の事なのですが、大体いくら頂けるのか教えてほしくて……」

「ああ!そういう事ですか?ギルドマスターに聞いてまいります。奥の部屋でお待ちください」

 そして、新入社員たちは客室に案内され、ギルドマスターのウランから説明されて、その待遇の良さに驚きを隠せなかった。

「来月の初任給は、5万ドゴンからスタートになります」

「えっ⁉そんなにいただけるのですか?」

 新入社員達は、独身の為3万ドゴンほどだと思っていた。しかしこの後のウランの言葉に驚愕した。

「貴方達は、住むところはどういたしますか?」

「どうするって?」

「今、大工職人の親方が、この近くに寮を建てているのです。入居希望なら用意いたしますよ」

「えええ!住むところも用意して頂けるのですか?」

「ええ!ケンジ様が必要だろうと言う事で、建設開始したのですよ。1ヶ月後には完成予定ですので、それまでは各自宿屋で過ごす事になります」

「本当ですか?是非にでもよろしくお願いします!」

「ただ、寮に住むことになると、給料から一泊500ドゴン差し引かれる事になります」

「え?500ドゴンで住めるのですか?」

「はい!しかし宿屋の方が住み慣れている場合、宿屋の手当も支給されるみたいです」

「はぁあ?それってどういう事ですか?」

「ケンジ様の説明によると住宅手当という事みたいです。ただ、宿屋の一番安い部屋の半額で、15日分ほどの値段で8000ドゴンが支給されるようです」

「そんなに、優遇してもらえるのですか?」

「それだけじゃありませんよ!ボーナスは年に2回あり3か月分支給です。年昇給10%で、ただし年昇給は50年までです」

「それは凄い!本当に働き甲斐がある!」

「そして、最後に勤続40年で退職金は1000万ドゴンらしいです」

 それを聞いた新入社員達は、驚き開いた口が塞がらなかった。もしずっと働けたら老後は安泰悠々自適に生活できると思った。

「なんでも、ケンジ様が言うには福利厚生というものらしいです。私も初めて聞いたのですが、職員達が安心して働ける処置らしいです」

「す、素晴らしい!まさかそんな事まで考えてくれるだなんて……私は一生を通してギルドで働きます!」

「ケンジ様が、一生懸命町の人達の為に働いてくれたら安いものだと言っておられました。これからよろしく頼みますね!」

「「「「「はい!私達は、ケンジ様の為に働きたいと思います」」」」」

「多分、ケンジ様は自分の為により、Freedom国民の為に働いて欲しいと言うと思います。だから、そのつもりでよろしくお願いします」

「「「「「分かりました!」」」」」

 ケンジはここにも配慮していた。給料を多く与える事で、仕事にやる気を出させるのと別に、上下関係をハッキリさせる事にあった。給料が多い事で、ウラン達上司から指示が出ても、わだかまりが多少あっても従ってくれるだろうとケンジは考えたのだ。

 それから、数人が自分の給料の事について聞きに来た。そのたびに新入職員達は、待遇の良さに驚いたのだ。ここで疑問に思うのだが、この世界は自分が働く時に自分の待遇について聞かないのだ。
 これは暗黙の了解みたいなもので、面接時には聞かない様になっている。そして、面接に受かってから個別で聞いてきたり、仲間内で聞いてくる事が多い。

 雇い主があって従業員という形が絶対であり、前もっていくら出すから働いてくれというのは、ギルドの掲示板であり、長期で街中で働く場合は何故か面接で受かってから発表される事になる。

 Freedomのように、このように高額給料はまず無く、普通はその職種の初任給が決まっているからだ。

「なんだよ……この給料は!」
「本当なのかな?」
「だが、ちゃんとギルドマスターが提示してくださったんだぞ?」
「ホントそうよね?あたしあの時、上司が奴隷だからって拘りを捨てて、あの場所に残ったのは正解だったわ!」
「確かにそうね。これならあたしギルドでがんばれるわ!」

 そうして、賑やかに新入職員達は自分の家に帰っていった。




 そして、次の月からギルドは新しいメンバーが入社し、体制がスタートする事になった。
 新しく雇った40人と、エンペラー戦で救った女性達50人ほどの奴隷じゃない人間がギルドで働きだした。
 
 新しく雇った人間の中には男性も20人ほど雇っていた。ギルド職員の男性は本当にもてる事になる。ここギルドで働く事で高給取りとなり、一般女性から言い寄られる事が増える事になったのだ。
 
 これには、あの時自分から働かないと決めた人間は、大いに後悔する事になったのは言うまでもない。その為、もう一回面接をやってほしいという人間続出した。

 しかし、ケンジはその要望には応じず、次いつ募集があるかわからないが、その時に受けてほしいと丁寧に説明した。

 ギルド受付嬢は、綺麗どころばかりであり、日頃から努力して自分磨きをしている人間ばかりだった。
 その為、冒険者達は今まで以上に、受付嬢の気を引くために張り切ったのだ。今までは、ケンジの奴隷が業務していた為、受付嬢はケンジの資産だったが、これからは自分が頑張れば、もしかしてチャンスがあるのかもしれないので、ギルドのホールは冒険者達が盛り上がる事になった。

 それを見た、受付嬢達はフッとため息をついた。

「ホント男って馬鹿ね……」
「ホントそうよね!でも……」

 受付嬢達は、苦笑いを浮かべたと同時にニヤリと笑った。このFreedomギルドは、高ランク冒険者しかいない為である。この地点で、この男達の誰かを落としたら玉の輿に乗れるからである。
 冒険者達はCランク程で、十分資産を得る事が出来る為、自分の家も買うことが出来るほど稼ぐ職業だ。
 Cランクでさえそれぐらい稼ぐのに、ここFreedomの冒険者は普通にAランクがいる為、どれほど稼ぐのかは言う間でもなく、受付嬢達の目は獲物を狙うかのように光ったのである。

 今度は、それを見た男職員達が、フッとため息をついたのは言うまでもない。

「女って怖ぇな……」
「だな……」

 そんな感じで、ギルドは新たにスタートする事になった。




 しかしこんな、平和な日常を壊す出来事がそれから2か月後に起こることになるとは、この時誰もまだわからなかった……


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