異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

19話 異変

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 マイは、ケンジの計画に納得できなくて訳を聞いた。ケンジはマイの言葉を聞き、そんなのは想定内だと言う様に笑ったのだった。

「あなた、何を笑っているのよ!どう考えても4次職になんかなれないし、物理的に無理じゃないのよ!」

「まあ、待てってば!そんなに興奮するなって……」

「だって、あなた!あなたは、ハイヒューマンっていう種族でまだまだ寿命があるけど、あたしはあなたみたいに長く生きられないのよ?」

「そんなのわかっているよ!」

「わかってたら、なんでそんな計画たてるのよ!」

 ケンジは、マイの顔を見てニヤリと笑い、懐からポーションを取り出した。

「俺達にはこれがあるだろ?」

「そ、それって!」

「そう!リターンポーションだよ。これがあれば、マイの心配事はなくなると思わないか?」

「な、なるほど!これなら1年に一回だけ使用すれば、肉体年齢は維持できる!」

「そういう事だ!リターンポーションの素材は訓練中に極級ダンジョンに潜れば、いくらでも採取できるし問題はないだろ?」

「た、確かに!それなら4次職にもなれるし、あなたとの子供を授かれると思うわ」

「そういう事!」

「でも、改めて考えるとあなたって、本当に非常識を可能にするわよね……」

「改めてそんな事言うなよ!」

「でも……そんな中で改めて思ったのは、ヒューマン族にはどう考えても4次職にはなれないわね。3次職になれれば御の字だわ……」

「そんな事はないだろ?実際3次職は俺達のほかにもいるだろ?」

「3次職で活躍っていう意味でだよ」

「だが、セバスはアサシンだ。なれる人間は実際いると思うけどな……」

「だから、言っているじゃない。そんなのは本当に一握りの人間だよ。若いころからその道だけを目指して、そのスキルの才能があったって事だよ」

「まあ、そう言われたらそうなのかもな」

「そうとしか言わないわよ!でも、そういう計画だったのね?」

「ああ!たぶんこれで4次職には難なくなれると思うぞ。神の涙も作れば、俺がダンジョンにいけない時も安心だしな!」

「ちょっと待ってよ!ダンジョンでは神の涙は使えないよ!」

「えっ⁉あっそうか……死んだら瞬時に肉体は消えちゃうんだったな……」

「そんな重要な事忘れないでよ!」

「悪い……そのあたりは何とかできるか考えてみるよ」

「そんな方法あるの?」

「いざとなったら、賢者の石で何とかできると思うし大丈夫だろ」

「ホント、あなたって非常識を地で行くのね……」

「そんなに非常識非常識っていうなよ!」

「あなたは、これぐらい言い続けないと理解できないから丁度いいと思うわよ」

「ったく……最近マイは口が悪くなってきたよな……」

 ケンジが、ブチブチ言う姿を横目で見て、クスリと笑うマイだった。



 それから、2か月が過ぎたころ極級ダンジョンでは異変が起こり始めていた。ケンジ達も又、1週間に一回ほどのペースで極級ダンジョンに潜っていたのだが、魔物のランクと数が落ち着いてきたのを確認していた。
 そのころになると、飛龍騎士団やテンプルナイト達だけで、前のように普通に間引けるようになっていた。

「これはどういうことなんだ?ケンジ様が、魔物を頻繁に間引いてくれて、出現数に対して討伐数が上回って来たのか?」

「そうかもしれませんね?これでスタンピードの心配は回避されたのでは?」
 
 このころになると、テンプルナイトを連れることなく、王国騎士団だけでダンジョン内を周回できるようになっていた。しかし、飛龍騎士団だけの場合は3パーティーは必要で連合を組まないといけなかったのだが。

 1パーティーで周回する場合は、テンプルナイトを5人いれる事は当然の編成だったのだが、これはしょうがない事だった。

 そして、テンプルナイトだけの編成での連合ならば、2階層の入り口辺りも周回可能になっていた。テンプルナイト達も又この異変には気がついていた為、国に報告を上げていた。

「それは本当ですか?」

「はい!報告によりますと、今まで1階層しか行けなかったのですが、連合を組んだら2階層に行けた報告が上がってきております」

「そうですか……それは良かったです!」

「聖女様、テンプルナイト達を帰還されてはいかがでしょうか?」

「そうですね。前に編成人数でいけるのならそうしてください。これは王国とFreedom国にも、報せてください」

「わかりました」

 この報告に王国も了解したのだが、Freedom国はその報告に異論を出したのである。そして、ケンジはここマルシェイム聖教国の教会本部に出向いていた。そこには王国の上層部である宰相と侯爵達も又集まっていた。

「ケンジ様!異論があるとはどういう事でしょうか?魔物は確かに減り、テンプルナイトだけなら2階層の入り口にまで行けるようになっているのですよ」

「それは分かっていますが、もうちょっと待った方がいい!」

「聖教国の予算は無限ではないのです!前のようにいけるのなら、予算を極級だけに振り分けれないのです!」

 司教達、聖教国の内政に携わっている上層部に、ケンジは反発されたのだ。

「いや、ダンジョンは確かに落ち着いているのだが……」

「だったら、何ようでそのような事を!」

「このまま、テンプルナイトや飛龍騎士団を撤退した場合、万が一の場合本当に騎士団は、全滅してもおかしくないんだぞ!」

「何を言っているのだ?飛龍騎士団でも前のように周回できるようになってきているんだぞ?それに我が国も、又その予算で苦しいのだ!Freedom国は、予算を組まなくてもいいから分からないようだが、本当に苦しいのはわかってくれ!」

「それは、貴方達が鳳凰騎士団の協力を断ったからだろ?」

「うぐっ!」

「宰相様!今はそんなことを言ってもしょうがないではないですか?それよりも、ケンジ様の意見も聞いてみない事には……しかし、聖教国もこれ以上は本当に苦しいのです!騎士団を今までのように、倍の数を駐留させるほどの意味はあるのですか?」

「俺が悪かったよ。ちゃんと説明するから聞いてくれ!ダンジョンは確かに大丈夫だが、地上の方が俺は気になっているんだよ!」

「「「「「はぁぁ⁉」」」」」

 ケンジの説明に、王国と聖教国の人間すべてが呆気にとられたのだ。

「ケンジ様!そんな事本気でおっしゃっているのですか?」

「ああ!本気でいっているよ」

「馬鹿馬鹿しい!何を言っておるのだ!地上の魔物なら、飛龍騎士団だけでも十分に対応できるではないか!」

「宰相様、聖女様本当に嫌な予感しかしないのです!どういう訳かわからないのですが、地上の魔物の生態系?が変わってきているのが分からないのですか?」

「「生態系?」」
「どういうことですか?」

「確かに、ここの所ダンジョン内は魔物の数が減ってきています。だけど、反対に地上の魔物は増えてきているのですよ!」

「ば、馬鹿な!そんなはずがある訳……」

「宰相様!確かに飛龍騎士団から、そう言った報告が上がってきております!」

「侯爵殿それは本当か?」

「はい!ですが、その魔物達は飛龍騎士団だけで、十分対処可能と報告は上がっています」

「ケンジ様!今の報告を聞いたか?このまま倍の数を駐留させるには十分な理由にはならんとみるが?」

「だから、もうちょっと様子を見た方がいいと!実際魔物の数と、今まで見なかったようなランクの魔物が出現しているのは確認されているはずです!」

「ケンジ様。ちょっとよろしいですか?」

 聖女が話に横やりをいれてきた。

「ケンジ様の心配は分かるのですが、こういっては失礼ですが……地上の魔物で飛龍騎士団で対処できるのです。これ以上ランクが上がったとしても、テンプルナイトがいるではありませんか?」

「それはそうだが、今起こっている魔物の集まりは、今までに無い事が起こるような気がするんだよ!」

「話にならんな!気がするだけでは十分な理由にならんだろ?それに聖女様の言う様に、地上の魔物でテンプルナイトが負けるような事があれば、それは世界の滅亡と言ってもおかしくないぞ!」

 こういった場合、今までの経験で人間は動く事をケンジは痛感したのである。そして、それ以上の事が起こった場合、この人達はどう弁明するのだろうとケンジは頭を痛めた。
 ケンジとマイは、その後の事を簡単に予想できた。王国と聖教国の騎士団は全滅して、この人達は想定外の事が起こったと言い、上辺だけの謝罪をするのだろうと……


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