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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

14話 極級ダンジョン⑥

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「あの愚か者め!あれほど油断をするなと言っておいたのに!」

「ご、ご主人様どうかしたのですか?」

 ダンジョンマスターは、歯ぎしりをして無言で地面を見つめていた。その様子に、羽の生えた少女は少し後づ去りしたのだ。

「ぐぐぐ……一体どうなっているのだ……」

「ま、まさか……ダークマスターが負けたのですか?」

「ああ!そのまさかだ!いったいどうなっているのだ?エンジェル!お前は、私にアドバイスをくれたのではないのか?」

「そ、それは……」

「7000年前に封印された時、次はダンジョンの強化より魔物の強化をしたら、人間は手出しできないと言ったではないか?それがこのざまはなんだ?」

「ですが、実際この7000年と言う時間で、人間どもはダンジョンに入る事さえ出来なかったではありませんか?それも、スタンピードを起こせるまであと少しだったんじゃ!」

「だが、実際はどうだ?あんなに呆気なく、ダンジョンを攻略してきているではないか?このままでは、じきにここまでやって来るぞ?」

「分かりました!次の階層はエンシャントリッチです。奴が時間稼ぎをしている間に、8階層の獣王を9階層の龍王の部屋に移してください」

「8階層はどうするのだ?8階層にはポイントを使い罠の階層にするのです」

「それより、獣王と竜王をタッグを組ませた方が守りは強力になるはずです!しかし、ポイントはコアをコピー出来る分だけは残しておいてください‼」

「なんだと?ここを脱出するのか?」

「ご主人様が死ななければ、いくらでも再帰がはかれます!ダンジョンマスター様は不老です。死なない事だけを、考えていればいいのです!」

「わ、わかった……」

 この時、エンジェルは竜王と獣王が破れる事となれば、自分にも勝ち目は無いと思っていた。エンジェルは、自分の主を逃がすために、時間稼ぎをすればいいと思っていたのだ。



 一方ケンジ達は、7階層のボス部屋の前に来ていた。いつも通り、マードックが一番手に部屋に突入し、その後に全員が部屋に入った。ボス部屋は、どういう仕組みになっているかわからないが、パーティーが全員入ると自動的に閉まり、鍵がかかってしまうのだ。
 マードックが、部屋の中心に骸骨がローブを着て佇んでいるのを発見した。すると、いきなりマードックに呪文をとばしてきたのだ。

「カース!」

「ぐは!これはいったい……」

 マードックは※①【カース】に掛ってしまったのだ。カースにかかると、全体的にステータスが下がり本来の実力が出せなくなる呪いである。

「カッカッカッカ!」

 骸骨は、自分の歯を鳴らし笑っているようだった。そして、すぐさま次の魔法を唱え始めた。

「クリエイトアンデット!」

 骸骨の周りの地面がぼこぼことなり、スケルトンが何百体とでてきた。只の※②【クリエイトアンデット】ではないようだ。スケルトンの中には巨大な剣を持ったスケルトンもいて、低級アンデットだけではなかったのだ。アンデットウォーリアを始め、レイスやグールにバンパイアまでいたのである。

 ケンジは、こちらが行動するまでにあの骸骨は、3つ目の魔法を唱えようとした事に驚愕した。ケンジは、大量のアンデットを見て※③【ホーリーフィールド】を唱えようとした。これを張ればアンデット達は弱り、こちらに有利に戦えるからだ。

 それを見た骸骨は一瞬ケンジより早く魔法を完成させた。※④【マジックミサイル】骸骨の手のひらから魔法の矢が飛び出し、ケンジとセイラとオリヴィアとデイニーとパメラの後方支援に命中させたのだ。

「ゥぐ!」

「「「「「きゃっ!」」」」」

 ケンジ達が、パーティー全員にバフやマードックのカースを解除する為に唱えた魔法をブレイクされてしまった。 

 ケンジは、この骸骨に恐怖した。こちらが1回行動する間に、4回目の魔法を発動したのだ。

「ストレングス」

 スケルトンウォーリアに、腕力アップの魔法を唱えたのだ。ケンジがキャストブレイクを受けたことに、ギル達も驚いた。ケンジは物理攻撃には強いが、魔法攻撃にはノーダメージとはいかなかった。

「どうなっているんだ?4回魔法を撃ってきた……」

 ツバキ達が、押し寄せるアンデットにスパイダーネットを出し、行動を止めようとしたのだが、それと同時に骸骨は※⑤【ファイアーウォール】を唱えたのだ。すると、ツバキ達の前に炎の壁が現れ粘着糸を燃やしてしまった。
 ハヤテも又、睡眠や麻痺ブレスを吐いたのだが、骸骨は相手にしなかったのである。アンデット相手に睡眠や麻痺など効かない為、問題ないと判断したのだろう。

 そして、ケンジ達が魔法支援をしようとすると、マジックミサイルが飛んでくるのだ。その間もプリムやシスティナやロイ達は、アンデット達の進行を止める為に必死で戦っていた。

「こ、こいつはやべえ……」

 アンデットは、ファイヤーウォールを突き抜け、火だるまになりながらも、こちらに向かって襲ってきたのだ。

「みんな!前を開けて!」

 プリムが、槍を振りかぶり、前方に向かって薙ぎ払った!

「旋風陣!」

 プリムの放った※⑥【旋風陣】はアンデットの大群を巻き込んでなます切りにしてしまい、プリム最大の範囲攻撃が炸裂した。
 竜巻に巻き込まれたアンデット集団は、竜巻の中でエアカッターでみじん切りにされ、グールやゾンビ下級アンデットは全滅したのだった。

「プリムナイスだ!」

 ケンジは、プリムの旋風陣を壁にして、ホーリーフィールドを張ったのだ。これにより、アンデットなど邪悪な対象は弱まり、他の者は聖属性のおかげでアンデットからの耐性があがるのである。

 セイラも、旋風陣を利用してマードックのカースを解除した。デイニーもまた、この好機を逃さずファイヤーボールを撃ちこんだ。

 アンデットに苦痛は無いが、やはり火属性の魔法がよく効き激しく燃えたのだ。やはり、ファイヤーウォールと違いファイヤーボールは着弾した時爆発するのでアンデットは燃えるだけでなく衝撃も受け跡形もなく消え去った。

 そして、マードックはセイラのおかげでカースが解除されいつもの実力が復活していた。アタッカーとしての実力が開花して、アンデット集団を次々斬りつけ消滅させていった。

 システィナとブンタスとロイは、スケルトンウォーリアの相手をして注意を引いていた。骸骨はスケルトンウォーリアに強化を施し、システィナ達でも苦戦を強いられていた。

「なに?この重い攻撃……ロイ、ブンタス絶対まともに受けちゃ駄目よ!」

「「分かっている!」」

「こんなのまともに受けたら腕が持たない!」

 骸骨はアンデットが少なくなってきたら、またすぐにクリエイトアンデットを唱えて戦力の補充をするのだ。

「主!なんだあの骸骨は!」

「あいつは、エンシャントリッチだ!」

「エンシャントリッチ?なんだよそれ?」

「リッチの上位変異種だ!神にも近い存在で魔法の超越者だ!」

「か、神だと……」

 ケンジの言う通り大魔導士が、魔法の研究の為不老不死の身体を手に入れ長年研究し、今の力を手に入れたリッチである。
 不老不死と言っても、長年研究をし自分の魂を護符に封じ込める事で、死なないようにしているだけである。その護符を破壊しないと、完全に殺す事はできないアンデットなのだ。

「くっそおぉ~~~!キリがねえ……アンデットを破壊しても次々生まれやがる!」

 その時、セイラがターニングアンデットを唱えたのだ!部屋全体に聖なる気が充満し、アンデット達は消滅してしまったのだ。
 そして、部屋に残ったのは、エンシャントリッチと強化されたスケルトンウォーリアだけとなった。

「セイラ!ナイスだ!」

 マードックは、セイラに大声で褒めて、ダッシュでエンシャントリッチの懐に飛び込んだ。

「ライトニング!」

 マードックが、エンシャントリッチに攻撃を仕掛ける前に、魔法が完成し手から稲妻が走った。

 マードックは、やばいと思ったがセイラが作ってくれた攻撃のチャンスを無駄にしたくなくて、ダメージを受けながらも攻撃を繰り出した。

「ぎゃあああああああああ!」

「ぐはああ~~~~~!」

 マードックとエンシャントリッチはともにダメージを受け悶絶し、マードックは雷に撃たれ黒い煙を噴いた。しかし、ここはオリヴィアがすかさず回復魔法を飛ばし、全回復させたのだ。反対にエンシャントリッチは、腕を飛ばされ、マードックはニヤリと笑うのだった。

「マードック!攻撃はちゃんと当てなさい!」

「姉貴!あれで十分だ!」

「何言ってんのよ!」

 マードックは、エンシャントリッチの腕を狙っていた。いや、腕に握られた杖を狙ったと言ってもいい。

「ぐぁああああああ!」

 エンシャントリッチは、悔しそうに腕を押さえていたのだ。そして急いで杖を拾いに行こうとしたが、プリムにその行く手を阻まれたのだ。

「そこをどけ!鳥人間め!」

「喋った?このガイコツも喋るの?」

「我が低級のアンデットと思ったのか!愚か者め!」

 エンシャントリッチは、プリムに向けて威圧したのだ。威圧したと言うより高位アンデットの特殊能力でフィアの効果が発動していた。

 プリムは一瞬たじろぎはしたものの、レベルが高かったためなんとか踏みとどまったのだ。

「貴様ぁ……どういう事だ⁉」

 エンシャントリッチは、自分の※⑦【フィアオーラ】に耐える者がいるとは思わなかった。プリムが行く手を阻んでいる間に、ツバキが落ちた杖を粘着糸で拘束してしまった。

 マードックはこの杖を怪しいと思い、エンシャントリッチから奪おうとして、腕を飛ばしたのだ。マードックの思惑通り、この杖が亡くなった事で、エンシャントリッチは魔法を唱えるとき詠唱が遅くなったのである。

 これにより、魔法使いであるエンシャントリッチは、アタッカーであるマードックとプリムに懐に簡単に入られ、魔法を使う事が出来なくなった。エンシャントリッチは、二人の攻撃で身体はバラバラになり、ダンジョンに吸収されてしまったのだ。

 この部屋のダンジョンボスが、倒されてしまってはスケルトンウォーリアもなすすべがなくなり、マイに切り刻まれダンジョンに吸収されてしまったのだ。


*-----*-----*-----*

 この話で出てきた魔法とスキル一覧

※①【カース】
闇属性魔法   5階位
消費MP    40
詠唱速度    3.5秒
効果時間    レベル×1分
効果対象    一人
効果範囲    なし
必要秘薬    アビスの葉・マンドラゴラの根 各3個
備考欄
 この魔法は対象の人物に掛けると全ステータスが65%低下する強力な
魔法である。ダメージも移動速度、魔法の威力全てが低下してしまう。
魔道士職業レベル50と魔法スキル80以上で使用可能

※②【クリエイトアンデット】
邪属性魔法   5階位
消費MP    40
詠唱速度    5.5秒
効果時間    永久
効果対象    なし
効果範囲    なし
必要秘薬    アビスの葉・マンドラゴラの根・魔水の苔 各5個
備考欄
 この魔法はアンデットを召還することが出来る。術者のレベルで召還
出来るアンデットの種類が決まり、数もレベル×10体である。
魔道士職業レベル50と魔法スキル80以上で使用可能

※③【ホーリーフィールド】
聖属性魔法     6階位
消費MP      45
詠唱速度      60秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間      レベル×1分
効果対象      一個所
効果範囲      術者を中心に半径1m×レベル
必要秘薬      紫水晶・高麗人参・ケサランパサラン各10個
備考欄
 聖属性魔法で、術者を中心に聖域を創り出す魔法。邪悪な者のステータスを
65%低下させ、仲間の耐性を50%増やす。
魔道士職業レベル65魔法スキル100.00で使用可能。

※④【マジックミサイル】
無属性魔法   1階位
消費MP    5
詠唱速度    0.75秒
効果時間    一瞬
効果対象    ミサイルの数(3レベルごとに一発)=敵の数
効果範囲    目視できる範囲
必要秘薬    虹パール1個
備考欄
 無属性ダメージの攻撃魔法でダメージは1~4ダメージ×レベル値
つまりケンジの場合、一発501~504ダメージになる。
 そしてミサイルの数は166発のミサイルが出せるのである。
 本来の使い方はダメージ量が少ない為、対魔法使いの魔法で詠唱している
魔法使いに当ててキャストブレイクによく使われるのである。
 魔法使い職レベル1魔法スキル0.01で使用可能。

※⑤【ファイアーウォール】
火属性魔法   5階位
消費MP    35
詠唱速度    5.75秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    レベル×10分
効果対象    なし
効果範囲    レベル×1mまでの範囲
必要秘薬    虹色パール5個
備考欄
 この魔法は術者から5mの距離に炎の壁を創り出す。炎の大きさは
1レベル増える事に1mの長さ最大10m高さ5mの火の壁を創り出す。
魔道士職業レベル50と魔法スキル80以上で使用可能

※⑥【旋風陣】
 竜巻を前方に打ち出し嵐の中に閉じ込めエアカッターでなます切りに
して上空に舞い上がらせ落下させる技

※⑦【フィアオーラ】
 上級アンデットの能力であり、個人よりレベルの高いクリーチャーには
効果がなく、レベルの低い者は80%の確率で恐怖を覚え身体が動かなく
なる。リフレッシュの魔法で解除可能


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