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第9章 Freedom国の発展!

閑話(115話) ギルド組織

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 あれからギルドは、ケンジの蹄鉄のおかげで馬車の利便性が更に広まる事になった。聖教国が、この蹄鉄があれば今までの4分の1の時間で、移動できる事と情報伝達の宣伝したのだ。
 これには、ギルドに不信感を持っていた人間も、ギルドが売り出した馬車を信じる事が出来た。
 国の騎馬隊が、その商品を使う事は信頼性が高いからだ。ギルドに不信感を持っていた人間は 馬車を新しくするとそれなりの金額を出費しないといけないので、行商や乗合馬車を生業としている人間にとって、今でも稼げるのに新しい馬車を購入するにはためらう事であった。

 しかし、軍のお墨付きとなれば話は別である。馬車の購入者が爆発的に増えたのだ。
 そして、早々に馬車を購入した人間は、今までかかっていた町への移動が半分の時間で行ける事と振動が抑えられた事で快適な旅が出来る事で差別化をはかり出したのだ。

 これにより馬車の値段も倍近く高くなったが、それでも利用する人間が増えたのである。倍の値段を払っても、お尻は痛くならないし、何より魔物や盗賊に会う確率が殆どなくなり、命の危険性が減ることになった。

「おお!お前もこっちの馬車にしたのか?」
「ああ!俺は隣の町だからな。一日で行けるのは楽だよ。」
「確かに野営をしなくなったのは大きいよな」
「ギルドが開発したこの馬車は本当にありがたいよ」
「俺も、この間子供が生まれたばかりだしよ。家内に馬車の料金は高いけどこっちにしろって言われちまったよ」
「たしかに、留守を守っているかかあは旦那の命は大事だものな!」

 そんな話し声が、馬車ではあちこちで聞こえていた。この馬車が増えたのもあって、女性が一人旅をしても安全に町の移動が出来るのも大きいのだ。
 中には、超特急馬車と言う名前で馬車の定員5名と言う馬車も現れ、極力馬車の重量を抑えて、一気に町の移動を可能とした馬車である。この馬車なら、今まで四日掛かっていた距離を1日で走破出来るのだ。

 このように、馬車の利用方法が格段と増え流通がスムーズに行われるようになった。


「ギルドマスター!凄いです!」

「アーチェ!もう少し静かにしたらどうなんだ……」

「そんな事を言っている場合ではありませんよ!馬車の予約注文が殺到して、3年先まで埋まってしまいました!」

「そ、それは本当か⁉」

「本当です!これを見てください‼」

「これはいったいなぜだ?」

「ケンジ様が、聖教国に蹄鉄を納品したおかげとも言えます。聖教国の騎馬隊に蹄鉄を使ったおかげで、宣伝効果になったみたいです」

「それで、今までギルドに不信感を持っていた人間が商品の信頼性を疑っていたことを払拭できたというのか?」

「それしか考えられません」

「本当に、ケンジ殿は凄い人物だな……ギルドはもっと早くこの才能に気づけていたなら、ギルド構成員として所属し続けてもらえたのに、本当に残念だよ……」

「私もアプリコット様についていこうとした時にケンジ様と会っていたのに、あの時にもっとちゃんとケンジ様の事を見ていたらと後悔してます」

 ギルドでは、ケンジを脱退させたことを後悔していたのだ。しかし、ギルドマスターはいつまでもそんな事を考えず、ケンジに負けない様にギルドを平民達の生活から無くてなならない組織だと思われる様に、次の案を出す事にしたのである。

「いつまでも後悔してもしょうがない!アーチェ次の商品の案は出たのか?それと、生産者ももっと集え。馬車の製作に人数を集めるんだ」

「それが、鍛冶の生産者が……」

「もっと頭を使うんだ。インゴットの不足で鍛冶を廃業した人間がいただろ?そういう人間を使うんだ!」

「ですが、廃業してしまった人間を使うのですか?」

「いいか?今までは廃業してしまった人間は信頼性が無いと言うのが常識で仕事をまわすことは無かったが、仕事さえあれば廃業しなかったという考えに変えるんだ」

「分かりました」

 ギルドも、ケンジの存在で今までとは違った考え方をして、下にいた人間を使う事で奴隷に落とさず報酬を払う事にした。
 それにより、生活が出来なくなる人間を減らす事にしたのである。そして、新しい案には魔道ギルドの人間を積極的に使い始めた。今までは新しい魔法の研究やスクロールの製作だけだったのを、頭の回転が速い魔法使いを企画提案者として雇ったのだ。

 これにより、魔法の研究の苦手な構成員も、別の方面で活躍できるようになった。新しい魔法を作れない魔法使いは、冒険者になるしかなかったが基本的にインドアな魔法使いは、進んで企画提案者に志願したのだ。

 ギルドは、今までの凝り固まった考えを一掃し、その分野で活躍できなかった人間を別の方法で使う事を覚える事で、ギルドを盛り立てたのである。

 すると、ギルドには平民から相談されるようになり、その相談事をヒントに商品を生み出す事が出来るようになった。そして、ギルドは苦情窓口を開設することにしたのだ。

「申し訳ないのだが、この鎌なんだが角度をもう少し緩やかにしてほしい」
「ワシはこの鎌の左手用が欲しいんだけどな」
「私は洗濯物を干すときに風で飛ばされない様に何か便利な物を!」

 このように、平民達が希望する商品のヒントが続々と舞い込む様になったのだ。この事でギルドは、ケンジの発明品をうらやむ事を止めたのである。


 ギルドは独自の路線で持ち直す事が出来るようになり、そして10年後、Freedom国のギルドに負けない組織となる。



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