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第9章 Freedom国の発展!

113話 Freedom国の目標

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 ケンジは、部屋で静かに考え事をしていた。ミナレスから、この先一生涯奴隷からの解放を望まないと聞いたからだ。
 そして、その時他のみんなにも聞いた方がいいと聞き、ケンジはギル達から順に聞いていったのだ。

「なあ、ギル……いまちょっといいか?」

「あっ!はい。お前達はそのまま訓練を続けていろ!」

「「「「「はい!分かりました!」」」」」

 ギルは、新しく加入した奴隷達斥侯部隊の部隊長となり新人教育している。これはギルだけでなく、周りを見ると訓練場は、マードックが2刀流剣技を部下に教えていたり、システィナはタンカー育成に励んでいたりしたいた。

「主、お待たせいたしました。それで用と言うのは?」

「ああ!この間キキョウを復活させて時、俺は気絶してしまってすまなかったな……」

「主、何があったのですか?そんな事を謝らないでください。確かに主が目覚めなかった時は心配しましたが、こうしてもう元気になって一緒にいられるのです」

「いやな……俺は賢者の石を使ってお前達を奴隷から解放させたいと、今でも思っているんだよ」

「今のままでは、私は……いえ、私達は絶対にその命令には従いませんよ」

「あぁ!それはもうわかってるし、お前達に心配かけてまでやる事じゃないとわかったのでもうやらないよ」

「それではなにを?」

 ギルは、ケンジがもうやらないと言ってくれて安心した様子だった。

「その事で、ミナレスとも話し合ったんだよ。そしたら、ミナレスはなんて言ったかわかるか?」

「まあ……なんとなくわかる気もしますね。たぶんアイツの事だから解放しないでくれと、生涯主の奴隷として生きるとか?」

 ギルは、ミナレスの言ったことを言い当てたのだ。その上で、ギルも又同じ事をケンジに懇願してきたのだった。

「お前達は本当にそれでいいのか?奴隷と言う立場より、平民になって自由を手に入れたうえで、俺と付き合っていけばいいじゃないか」

「主……私達は確かに奴隷という立場であり、自由なんてありません。ですが、それはここにいるケンジ様という人物の奴隷となった場合、それほど重要視するところではないのですよ」

「それでも、それだけじゃないだろ?ギルだって、結婚とかしたいと思わないのか?」

「確かに、主以外の主人に奴隷紋が残らない状態で解放してくれると成ればすぐにでも、平民になれるように手続きするかもしれません。まあ世間でいう奴隷の主人が、そういう考えになるとは思いませんが……」

 ギルは、ケンジに奴隷からの解放を望まない理由を詳しく話し始めた。

「私は、システィナとゴブリンに殺されかけていたところを、主に救われ今日まで主の側でお仕えしてきました。最初は、主の考え方にカルチャーショックを受けたし、それはここにいる新しい者達も同じでしょう!」

「だが、こんな奴隷制度なんて俺には……」

「分かってます!最初主はわたし達を奴隷にするのを躊躇し、その後もお金が無いから十分に食わす事が出来ないと言い、奴隷の私達に謝罪までしていただきました。ですが、現実は服はいただけるし寝床は暖かいベット食事は奴隷食ではない1日3食の食事でした。そんな主に恩を感じ、私達は生涯を通して恩を返していきたいのです」

「だから、それは奴隷と言う立場じゃなくてもいいんじゃないんか?」

「それは違います……いや、他の者はどうか分かりませんし、それぞれの考え方があるから一概に全部がそうとは言えませんが、もし仮に私が平民となり結婚をしたとしても、家族を一に考えるとは今の段階ではないです!」

「オイオイ……そんな予想で自分の可能性を潰すなよ」

「今の段階では、そう言われてもしょうがないのも分かっています。ですが、解放されたいかと聞かれればしたくないと答えます」

「まじかよ……」

「もし、主の計画に口出しさせていただけるなら、これから犯罪奴隷に堕ちる以外の人間の為に、奴隷制度をなくす目標にして、そのプロジェクトに参加させていただけると私は嬉しいです」

「……」

 その話を聞いていたギルの部下達の中には、賢者の石で奴隷解放されるかもしれないと期待していた人間も、何人かいてその表情は色々だった。

 ギルの話では、ケンジがわざわざ賢者の石を使ってまで、奴隷解放する事はないと言うのだ。その労力をこれからのFreedomに注ぎ、経済の中心都市にして貧困をなくし、又働き手を雇い借金奴隷をなくさせた方が、ケンジのこれからの目標に近づけるといいきったのである。

「主は、私達は奴隷だからと言って不憫に思われているかもしれませんが、奴隷で不憫なのはケンジ様以外の、主人を持った奴隷と思って行動した方がいいかと思います!」

「そういって貰えてありがたいと思うが、奴隷に堕ちるという事自体が不幸と思うのだが?」

「それは、貴族様達に騙され冤罪で堕ちたようなセイラや、幼いころに盗賊に攫われたりした者なら不幸だと思いますが、借金が出来てしまったのは自分の責任だから、しょうがないと割り切った方がいいですよ」

「そういうものなのか?」

「私はそう思います。それに奴隷の労働力はこの世界に必要とも思えますしね。そう簡単に奴隷制度が無くなるとも思えません!」

「そういうモノなのか?」

「まあ、そうですね。それにこの奴隷制度も、この世界では悪い事ばかりではないんですよ」

「どういう事だ?」

「どう言っていいのか分かりませんが、犯罪抑止力になっているのも事実なのです。悪い事をしたら奴隷に堕ちるとか、借金で生活ができなくならないように、一生懸命働くとか色々あるのですよ。この世界は物騒で……下手をすれば、100ドゴンで命が奪われるような世界です」

「確かに……」

「ですが、そんな事で命を奪うような人間はほんの一部であり、殆どの人間は100ドゴンで奴隷に堕ちるのは嫌だと考えちゃんと働くのです」

「それは普通に考え当り前だろ?」

「ですが、奴隷制度の根源はそこにあるのです。奴隷に堕ちなければ、働くより人から奪った方が早いと考える人間が多かったのの事実です。そして、現在人を殺して金品を奪うのは盗賊ぐらいになったですよ」

「……」

「そして、その後借金で首がまわらなくなった人間が、犯罪に走る傾向が増えたため借金奴隷が出来たのです。人々は借金を作らない様に頑張る事となったのです」

「そんな経緯で奴隷制度が……」

「ですが、主の計画は人々の暮らしを豊かにして、一部の人間だけが得をしないようにする事です。特に平民達が飢えに苦しまなくなる事で、借金奴隷をなくそうとするものです」

「うん」

「生活が豊かになれば、精神的に楽になり頑張れば、今までにない暮らしが出来ると希望が出来るのです。ですが、他の町の平民の暮らしは頑張っても、その日を食べるのがやっとの家族もいっぱいいるのです」

 ギルの説明では、そんな世の中で希望が持てず自殺する人間もいるし、盗賊になる人間もいっぱいいると説明されたのだ。
 それをなくそうとするケンジの計画を手伝いたいと言うのが、ギルの目的というか願望であった。

「それに、主の奴隷となった者は基本嫌々指示に従う事はないですよ。中には奴隷に堕ちたことで、人間不信となり言う事を聞かない人間(奴隷)もいますが、ここの待遇が良すぎてすぐに主に感謝しますしね」

「ならいいんだが……」

 ケンジは、ギルにそう言われて周りで訓練している人間達を見たのだが、システィナやマードックやプリムの部隊全員、ケンジに頭を下げていた。
 ケンジは、ギル達の考えが一般的であリ、自分がおかしいのかと首を傾げるしかなかったのだ。



 そして、ケンジは訓練場を後にして、Freedom店の方に向かったのである。

「俺の考え方がおかしいのか……そんなはずはないと思うんだけどな……」

「ご主人様!何をブツブツ独り言を言っているのですか?」

「ご主人様、元気ない……まだ調子戻らないのですか?」

 ケンジは、訓練場から出てFreedom店に向かうところ、ティアナとフィアナに会ったのだ。

「あっ、ティアナとフィアナか?ああ、ちょっとな……」

「調子悪いなら部屋で休んでください‼」

「いや、調子はもう大丈夫だ!心配はいらないよ」

「じゃあ、何を悩んでいるのですか?」

 ティアナとフィアナは、ここFreedomで農業とガーデニングの責任者となっていて、自分達の地位を確立していた。こうやって、ケンジと話していても部下の人間が水の量や肥料を聞いてきて、アドバイスを送って指示を出していたのである。

「ティアナもフィアナも、立派になっているんだな……」

「いきなりなんですか?」
「うん……やっぱりご主人様調子悪いのかも……」

「俺に取ったら、二人はまだ子供という印象が強いんだよ。なのに、こうして部下達に指示を出しているのを見るとな、感慨深いと言うかなんというか……」

「ご主人様!あたし達ももう成人しております」
「そうですよ……いつまでも子供あつかいしないでほしい……」

「二人とも悪かったよ。そんなつもりじゃなかったんだ」

「「まあいいですよ!許してあげます」」

 さすが双子の姉妹である。タイミングもばっちりシンクロして同じことを言うのだった。そして、ケンジは二人にもギルと同じ事を聞いてみたのだ。

「あたしも、出来る事ならご主人様の奴隷でいたいです」
「わたしも、このままご主人様に仕えたい……」

「自由は欲しくないのか?」

「あたし達は自由より、ご主人様の側でこうして時おり楽しくしゃべって、一緒にいたいです」
「ティアナと一緒の意見……」

「そうか!」

 ケンジは二人の頭を優しく撫でて笑顔を見せた。その笑顔を見た二人は満面の笑みでケンジに抱きつき、これからもずっと一緒にいる意思をしめしたのだ。

 そして、ケンジは、Freedom店に行きユエティー達にも、同じことを聞いたのだが、古参メンバーなほど解放されたくないと、真剣な目をされて訴えられたのだ。



 最後に、ケンジは頭を抱えマイの部屋に行き、事のあらましを説明して意見を求めたのだ。すると衝撃の事実を聞くことになる。

「ケンちゃんは自由人だからそう思うのよ」

「だって、自由に暮らした方が幸せじゃないか!」

「それは、ケンちゃんが店でも成功してるし、冒険者でも成功できるからだよ。普通は生産職でも、こんな上手くいく事がないからだよ」

「この、Freedom店は極端だが、普通の暮らしは出来るだろ?」

「ここは地球の日本じゃないよ……平民の日々の暮らしは、大人になるのだって選ばれた人間しかなれないような所なのよ。ケンちゃんが便器を販売するまで、疫病で子供が犠牲になるのが普通だし、健康で育っても親の手伝いで、井戸の転落事故で普通に死んじゃう世の中だったんだよ?」

「そ、それは……そうかもしれないが……」

「それにね……ケンちゃんにとったら信じられない事教えてあげようか?」

「なんだよ?」

「あたしの冒険者仲間では冒険者を引退して、ケンちゃんの奴隷になりたいって言う女性もいっぱいいるんだよ。あたしがそれだけはやめなって止めているから、そんな女性は現れていないだけなんだよ」

「はぁあ?……」

「ケンちゃんは、そんな願望で奴隷にはしないと言うでしょ?」

「当たり前だ!」

「そのことを説明して、女性達を奴隷になるのをとめていたんだからね!」

「でも、何で自分から奴隷になろうとするんだよ!」

「そりゃ、ケンちゃんがそれだけの甲斐性があるからだよ!ケンちゃんはもうFreedom国の王様だよ。ギルド構成員ならまだ、接点はあり側妻の地位を狙って言い寄る事も出来るけど、ケンちゃんは今はもう高嶺の存在で側妻になるんじゃなく、奴隷になってでも側にいたいと思う存在なんだよ」

「なんか、訳わからんな?」

「ケンちゃん、それだけこの世界で生きていくのは難しいと言う事よ。それならば、普通以上の生活が出来るなら、奴隷の方がいいってことなのよ」

「なるほど……」

「だけど、勘違いしないでほしいのはケンちゃんの奴隷で、古参メンバーは生活が苦しくなるから離れたくないと言っているんじゃないよ。ギル達は本気で、ケンちゃんを慕い人生を賭けて仕えたいと思っているんだからね」

「あっ、ああ!わかっているよ」

 ケンジは、最終的にマイの意見を聞き、奴隷解放を止めたのだった。そして、この時からケンジはFreedomを、大陸の商業都市にする目標を抱え実行に移していく事となる。



 そして、Freedomは10年後とんでもない事となるのだった。


*-----*-----*-----*-----*

 今回で第9章は終わりです。キキョウの復活やギルドの体制や国の在り方等
色々な事を解決しました。
 次からは閑話を挟み、10章が始まります。更に大きくなったFrredom
では、どういったことが起こるのか?大きくなりすぎたFreedomでは
どんな問題が勃発するのか作者自身も楽しみです。

 これからも読者様が楽しんでいけるように頑張って書いていきたいと思います。
どうぞ応援の程よろしくお願いします<m(__)m>


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