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第9章 Freedom国の発展!

102話 聖教国からの要請

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 ケンジは、錬金術のスキルを伸ばしている合間に、製作していた採掘士タイプのアンドロイド(AIゴーレム)が完成したのである。
 イチカとよく似た顔であり、髪と瞳の色は名と同じように綺麗なブルーであり、肌は褐色で細見というより筋肉質タイプで身長も高く、姉御といった印象を受けるアンドロイドを作ったのである。

 名前は、採掘士なので宝石の名前にしたのである。そして、アンドロイドには経験を吸収する以外にも、新しい機能を神鋼魔石で取り付けたのである。
 その効果は収納BOXである。何でも吸収するという特性を生かし、巷で流通しているマジックバックより収納量が多く入るようにしたのである。
 普通は大きいサイズでは2tまでが最大なのだが、サファイアのBOXは20tまで収納可能である。

 ケンジのように、無限収納ではないが採掘に行く場合、転移マットで採掘場に行く為、BOXが満杯になればすぐに帰ってこれるので十分な大きさである。

「やっと完成だ!」

 その言葉と共に、アンドロイドは目を覚ましたのだった。

「主様、おはようございます!」

「ああ!おはよう。これからよろしく頼むよ!君の名前はサファイアだ」

「サファイア……」

 サファイアは、名前が気に入ったらしく無表情な顔から一転、二カッと笑顔を見せたのである。これは、サファイアの中にある神鋼魔石が、コミニュケーションとしての経験を吸収して笑顔になったのである。

「主様!私は今から何をしたらいいのですか?」

「まずは、今日一日お前の姉妹を紹介するから長女のイチカに、このでの生活を教えてもらってくれ!それで、当分の間採掘部隊に加わり、初級ダンジョンに採掘に向かってくれるか?」

「わかりました!」

 ケンジは、サファイアを連れて、兵舎に向かいイチカにサファイアを紹介したのである。

「イチカ、いるか?」

「ご主人様、何でこんなところに?用があるなら呼び出してくれれば伺いましたのに」

 そういった、イチカは自分にそっくりの女性を見て笑顔となったのである。

「お前の姉妹で、名前はサファイアと言うんだ。今日一日ここでの生活を教えてやってくれ。そして、落ち着いたらロイ達に紹介して、初級ダンジョンに参加させてやってくれ」

「わかりました。ロイ達は今、初級ダンジョンに採掘部隊の護衛として出かけているので、帰って来たらそのように伝えます」

「ああ!よろしく頼む」

 ケンジは、サファイアの顔を見てイチカの言う通りにして、採掘を頑張るようにと伝えて別れるのだった。

「イチカ姉さん、よろしく頼みます!」

「サファイア、緊張しなくていいから……もっと気軽にしてくれたらいいよ。わたし達は姉妹なんだから!」

 イチカはニコッと笑顔で話しかけるのだった。その同じ顔の笑顔を見て、サファイアも緊張が解けた様に笑顔となるのだった。



 それから、一ヵ月後聖教国から、聖女と司教達テンプルナイトの団長の訪問があったのである。

「ケンジ様!いつになったら蹄鉄を卸していただけるのですか?」

「いつになったらと言っても、まだ一ヵ月しか経っていないじゃないか。前も言ったが、平民の需要が落ち着いたらと言ったよね?」

「それは言いましたが、全然落ち着く様子が無いではありませんか?」

「それは俺に言われても、どうしようもないじゃないか!需要があるんだから、それほどまでに便利な道具と言う事だよ」

「だからと言って……」

「それに、国に卸すとなると数がそれなりになるんじゃないのか?」

「ええ!とりあえずは1万個の受注をしたいと思います!」

「だよね……申し訳ないが、一気にそれだけの数を受注となると、とてもじゃないが供給が追いつかん!」

「そ、そんな……」

「申し訳ないが、平民達の供給で手いっぱいだよ。いつになるかわからんが待っててくれないか?」

「でしたら、今月1000セットでは無理でしょうか?」

「聖女様、話しを聞いてましたか?生産が追いつかないと言っているのですよ?」

「無理を言っているのは重々承知しています……ですが、この辺りの地域のダンジョンが、本当に危なくなっているのです」

 Freedomの地域も周辺の魔物は積極的に間引いているから、だいぶんと街道に出てくる魔物が減ってきてはいたが、ここ関東地区も魔物の被害が多くなってきていたのである。
 その為、マルルドの町以外の町に、万が一の為に伝令や援軍を送るために蹄鉄の納品をしてほしかったのである。

「そんな事を言われても、生産が間に合わないのだからしょうがないじゃないか!」

「ですが……スタンピードが起こったら、いち早く行動をしたいのです!それには、Freedomの蹄鉄が必要なのです!」

「じゃあ、平民達は我慢をしろと言うのですね?」

「それは……」

「いいですか?この蹄鉄の利用方法は、平民達の生活が豊かになる方を俺は優先したいと言っているのですが、それを貴方達は強引に曲げろと言っているのを理解してますか?」

「そうは、言っていません!その一部でも騎馬隊の方に売ってほしいとお願いしているのです」

「そのお願いを、俺は生産が追いつかないと説明してお断りしたと思うが?」

「だから、そこは少し無理を聞いてくれても!」

「なんで、俺達Freedomが自国でもない事に、無理をしなくてはいけないんだ?」

「えっ⁉」

「何を驚いてんだ?他国の事は貿易相手としか思ってないのは当り前だろ?」

「何を言っているのですか?商品が売れたら、それだけ売り上げが上がり儲かるではありませんか?」

「何を言っているのか解らないですね。そんな一時的に入るはした金の為に、無理をするのは愚行ですよね?」

「はした金って、どういう事ですか?」

「いいですか?騎馬隊に利用する蹄鉄1万セットで300万ドゴンの売り上げです。無理を聞くから値上げをしても500万ドゴンです。たかがその程度の利益なんですよ?」

「それは……」

「俺は、その1万セットを農家の人達に売った方が、後々どれだけの有益か分かっているつもりですよ。食生活が豊かになり、餓死する人がどれだけ減るか!その子供達が育ち、家族を持ち人口が増えていくのです」

「それはそうですが!スタンピードが起こったらそれ以前に街が無くなるのですよ?」

「それは貴方達兵士の仕事です!俺達を巻き込まないで頂きたい。俺達Freedom国も、自国の平民達がいるから、守るために頑張っているつもりだよ」

「うぐっ……」

「それともテンプルナイトたちはこの蹄鉄が無いと、国を守る自信はないのか?」

 その言葉に、テンプルナイト団長のヴァンデインが反応したのだった。

「なっ⁉無礼者が!わたし達テンプルナイトは、極級ダンジョンの一階層も侵入可能な騎士団だ!」

「だったら、他国が生産が間に合わないと断っているのに、無理をしろと自分勝手な命令するのは間違っているんじゃないのか?」

「それは……」

「それに俺は、販売を拒否したわけじゃないのはわかっているよね?」

「さっき販売は、できないと言ったではないか?」

「何を聞いているんだよ!平民達の需要が落ち着くまで待ってくれと言っただろ?そうなれば、余裕も出てくるから騎馬隊の分も生産可能と言ったじゃないか」

「だから、それでは間に合わないから騎馬隊の方に!」

「うん!貴方は話が出来ない人間とわかったよ。少し黙っててくれるかな?貴方と話しても時間の無駄だよ!」

「無礼者が!」

 テンプルナイト団長のヴァンデインが、席から立ち上がり顔を真っ赤にして、腰の物に手をかけたのだった。

「ヴァンデイン!何をしているのですか!」

 聖女アリサは、ヴァンデインの行動に顔が真っ青になったのである。

「ケンジさん、申し訳ございません!このような者を連れてきたのは間違いでした!」

 聖女アリサと司教達は、すぐさま頭を下げ、ヴァンデインの行動を謝罪したのである。

「いや、いいよ。謝罪を受け入れるよ。だが、そいつは早く団長から降格させた方が、マルシェイム聖教国の為だと思うよ」

「まだ、この私を愚弄するつもりか!」

「ヴァンデイン!貴方はもう黙りなさい!あなたがいては話がややこしくなります!」

「ゥぐっ……」

「ケンジさん!本当にどうにかなりませんか?1000セットが無理なら500セットだけでも!」

「聖女様……何でそんなにこの蹄鉄を?スタンピードなら町の結界があるではないですか?前と違って、今ではギルドも持ち直しているはずです」

「そ、それは……」

「錬成用のインゴットも、ギルドが契約通り用意してあるはずです。今まで通りテンプルナイトの実力があれば、スタンピードの脅威は、それほど心配しなくてもいいと思いますよ?」

「確かにその通りです!ですが近年ケンジさんも知っている通り、魔物の力が増しているのは、わかっているはずです!何かが起こってからでは遅いのです!」

「それはわかるよ。Freedomも聖教国には協力はしようとは思う。だが、生産量を増やせと安易に依存されては困るんだよ」

「ですが、スタンピードが起こりテンペの町のようになれば……」 

「そうならない様にってのはわかったよ!Freedom国は、まだ町が一つしかないからそういった苦労はないかもしれない……だが、生産が追いつかないから無理なものは無理なんだ!」

「……」

「そうやって黙りこくっているが、近年魔物が強くなっているスタンピードに対して、聖教国はどういった努力をしたんだ?」

「それは、町の結界や魔物の間引きに予算を組んで……」

「それはわかるよ!だが、それは何十年、何百年とやってきて今まで通りだろ?魔物が強くなってきたと認識しているのに、同じことをしててもこれは通例だからと言って、何もしないのであれば職務怠慢じゃないか!」

「そ、それは……」

「とにかく、Freedomは平民の需要が落ち着かなければ、軍に対しての販売は無理と断るよ」

「ケンジさん一つ聞かせてください。なんで生産が追いつかないのに、生産量を増やす為に人員を増やさないのですか?人員を増やせば……」

「人員は蹄鉄部門として仲間達が一生懸命働いているよ。当り前じゃないか!だけど、マジックアイテムである核の部分は、俺にしか扱えない物だからだよ」

「それは本当ですか⁉」

「誰にも扱えないから、ヒット商品なんだよ。誰でも製作可能なら、すぐに他の所からも売り出されるに決まっているだろ?」

「はい……」

「とにかく、今の段階では軍備に売ることは出来ないんだよ。だから、聖教国は自分で対応策立ててくれないか?」

「分かりました……」

 聖女達は気落ちして、Freedomを後にして帰っていき、ただ、テンプルナイト団長だけは、ケンジを睨みつけ帰還したのだった。

 ケンジは又、厄介事が起こりそうな予感がしてため息をついたのであった。


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