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第9章 Freedom国の発展!

98話 聖教国の失態

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 Freedomでは、ケンジが新しいポーシュンを作れるようになった事が、話題に上がって湧き上がっていたのである。その日の夕食時には、その話題で賑わっていたのだった。

「ご主人様!リターンポーションという物が出来たと聞いたのですが?」

「ああ!凄いポーションもあったものだよな」

「ねえ!ケンちゃん、それってもう作ったの?」

「ああ!一本だけ作ったよ。結構、難易度高いポーションで5本ほど失敗してやっとできた感じだ」

 そういって、食卓にリターンポーションを乗せたのだった。

「これがリターンポーションなんだ?ケンちゃんが、5本も失敗するなんて本当に難しいポーションなんだね?」

「そうなんだよ!たぶん錬金スキルが、200.00になっても失敗する確率があるのかもな?」

「でも、これって世の中のヒューマン族が知ったら奪い合いになるんじゃないの?」

「多分な……」

「って事は、これって売り物にしないのよね?」

「なんだ?欲しいのか?」

「欲しいようないらないよな……変な気分になるアイテムだよね?」

「なんだ、それ?」

「う~ん……なんて言ったらいいのかな?このポーションが欲しくなる時って、多分なんだけどあたしの寿命が来た時だろうな……」

「それって……」

「えぇ、あたしの寿命は早くてあと60年先だけど、ケンちゃんにとって60年は短すぎる人生だよね?」

「まあ、そうだな……」

「だったらあたしは、まだケンちゃんと一緒にいたくなっちゃうから、このポーションが欲しいと思うのは、その時だろうなあ……」

「そっか……じゃあ、それまで大量に在庫を作っとかなきゃな!」

「でもね、それもちょっと違う様な気もするんだよね……」

「どういう事だ?」

「神様が、ヒューマンの寿命を約80年という時間を決めたんでしょ?だったら、その時間の中で一生懸命生きて、悔いのない人生を終えることが正解なのかなとも思うのよね」

「確かにそうとも言えるな……」

 マイの意見に、ギル達は感慨深い顔をしたのである。ギル達初期メンバーもまた、いずれはケンジより先に亡くなることになるのである。
 その時、自分はマイのような考えが出来るのか、自信が持てなかったのである。
 
「まあ、みんなもそんなに思い詰めんな!俺はみんなと、今からそんな事を考えながら生活なんかしたくないし、こういう事はなるようにしかならんからな!」

「「「「「はい!」」」」」

 その日の晩御飯はなんか、いつもと違い言葉を発さず食事が終わるのだった。

 そして、次の日からもケンジの目標であるのはあくまでもキキョウの蘇生の為であり、錬金術のスキルを伸ばす為に頑張るのであった。

「キキョウ……もうすぐだぞ!絶対に俺が蘇生してやるから……」

 ケンジは、独り言をいいながら気合を入れるのであった。次の日、Freedom店に驚く事が起きたのである。
 
「すまないが、ケンジ殿と面会がしたいのだが、よろしいでしょうか?」

「えーっと、あなた方はどちら様で、どのようなご用件でしょうか?」

「挨拶が遅くなって申し訳ない!私達はマルシェイム聖教国テンプルナイト団長、ヴァンデインと申す!聖女様のつかいで参った」

「少々お待ちください!」

 ウランは、急いでセバスとケンジの所に報告しに行くのだった。知らせを聞いたセバスは、ヴァンデインを客室へと案内しもてなすのだった。

 ケンジは、やっと国も動き出したと思い、ニヤリと笑顔を見せたのである。

「ご主人様!今、笑いましたがひょっとして……」

「ああ!ウランも気がついたか?」

「えーっと、テンプルナイト達の要件って蹄鉄なのですか?」

「ああ!それしかないだろ?俺はこいつらを、最終的にターゲットにしていたんだからな!」

「どういう事でしょうか?」

「テンプルナイト達は、どういう交渉するんだろうな?今から楽しみだよ!」

「どういう交渉って?」

「気になるなら一緒に来るか?その代わり決して驚いて口出しするなよ」

「はい!」

 ケンジは、ウランと一緒に客室に向かったのである。そこにはすでに、ムシュダルクやマイ達Freedomの重鎮達が揃っていたのである。

「お待たせしてすいません」

「こちらこそ、いきなりの訪問に対応して頂きありがとうございます!私はマルシェイム騎士団、テンプルナイト団長のヴァンデインと申す!以後お見知りおきを」

「それはご丁寧にどうも!俺はケンジと言います。それで今日は、聖嬢様のつかいできたと聞きましたが、何かありましたか?」

「先日、Freedomで販売された馬車の馬に使う蹄鉄の件なのですが、聖教国に卸していただきたいのです」

「なんで?お断りします!」

「そうですか!よろしくお願い……えっ⁉」

「要件が、蹄鉄ならお引き取り下さい!」

「ちょ、ちょっとお待ちください!何でですか?」

「反対に聞くが、なんで売ってもらえると思ったんだ?」

「それは、聖女様がFreedomの蹄鉄は、騎士団の騎馬隊に使えるというので、交渉しにまいりました」

「いやいや!そうじゃなくて聖教国での蹄鉄の使用理由じゃなく、先の戦争の事で俺の家族であるキキョウが、テンプルナイトに虐殺されたんだぞ?その謝罪を、あんたたちはまだFreedomにしてないんだぞ?」

「あっ……」

「ですが、それはもう水に流したから、聖教国に色々アドバイスをしてくれて、ギルドからの圧力から救ってくれたのではないのですか?」

「いやぁ……加害者側って、ホント都合の良い様に解釈するんだよな……俺がいつ、キキョウの事を許すと言ったんだ?俺が聖教国に我慢をして何も言わないのは、仮にもティアさんを信仰している国だからだよ」

「……」

「本当なら、叩き潰し隊ぐらいなんだよ?それでも、あんたらは文句言えない事を俺達Freedomにやったんだよ?」

「うぐっ……だったらなんで、聖教国を援助してギルドから救ってくれたのですか?」

「俺は、聖教国を救ったんじゃないよ。聖教国を利用して、ギルドを建て直したんだよ。その結果、救ったのは聖教国ではなく民衆達だよ」

「なっ!」

「いいかい?貴方達はなんか都合の良い様に解釈しているようだが、俺は聖教国から謝罪を受けた覚えはないよ?俺が聖教国に協力した理由は、只単に都合が良かっただけだ」

「……」

「Freedomの商品を取引するなら、ちゃんとやることをやってからにしてくれよ!貴方達は、また都合の良いように考える節があるから、言っておいてやるが先の戦争が終わって謝罪せずにもう1年半が経っているから、その辺をちゃんと考えて行動しろよ?」

「申し訳ございません……」

「分かったらとりあえず、聖女アリサさんに今回の事をよく考えてもらってください!」

 ケンジは、そのように騎士団長に言い伝えて、Freedomから帰ってもらうのだった。

 テンプルナイト達が帰った後、ウランはケンジに聞いていた事と違うのでどういう事なのか聞いていたのだった。

「ご、ご主人様!さっきのは一体どういうことですか?黙っていてくれと言われたので何も言いませんでしたが、訳が分からないですよ!」
「あたしも、ケンちゃんの行動が分からないわね……」
「ケンジ様、どういう事か説明してもらえませんか?せっかく蹄鉄を国が買いたいと言ってきたのに、負い返してしまうなんて!」

「みんな、落ち着いて!こんなのいつもの事じゃないか?それに、みんなは聖教国の事をこのまま許せるのか?」

「それはそうだけど……」

「いいかい?聖教国はギルドに追い詰められていたから、俺は色々アドバイスを送ったけど、あくまでもそれは利用してギルドをどうにかしたかっただけで、聖教国を許したわけじゃないよ」

「それは、さっき聞いていたので分かりますが、もしもですよ?聖教国が蹄鉄はもういらないと言ったらどうするのですか?」

「そんな事があるわけないじゃないか?あいつ等は騎士団の騎馬隊に、俺の商品を使いたいと言っているんだぞ!」

「ですが……」

「いいか?騎馬隊に使った場合、機動力が上がりどれだけ戦力が上がるかわかっているのか?それだけじゃない、伝令や援軍を送るだけでも、今までの半分の時間……いや、あの馬力に一人しか乗馬してないから四分の一の以下の時間ですむことになるんだぞ?」

「確かに……」

「そんなアイテムを、卸してほしいと言われて、はい!そうですかっていえるかよ!」

「な、なるほど……」

「まずは聖教国には、謝罪してもらってから交渉だよ。王国と帝国には前の国王には辞任してもらい、謝罪もちゃんとしてもらっただろ?」

「な、なるほど!」

「聖教国にも、ちゃんと謝罪してもらわないといけないだろ?」

 ケンジの説明に一同納得したようだった。



 そして、テンプルナイトが帰還して驚いたのが、聖女や司祭達だったのである。

 まさか、ケンジが聖教国の事をまだ許してなかった事に驚いたのである。聖女達は、ケンジがギルドから救ってくれたとばかり思っていたのだ。その為、都合の良いように考えていて、謝罪にFreedomに訪れていなかったのである。
 そして、ヴァンデインの報告に背筋が凍ったのである。この一年半で、騎士団は復活しつつあったが、Freedomに攻められた場合、とてもじゃないが抵抗などできないからである。そして、そんな相手に一年半ずっと謝罪していなかったのである。

「ケ、ケンジさんは、聖教国を許してくれてはいなかったのですか?」

「はい……そのように言っておられました」

「では、なぜFreedomは攻めてこないのですか?」

「それは、女神クローティア様を信仰している国だから、攻めていないだけで女神様の顔を立てていると……本来なら、謝罪もしないような国をこうして放って置く事などしないそうです……」

 聖女と司祭達は、顔を真っ青にして冷や汗を流したのである。こんな交渉など最初から通るはずもなく、一年半という年月を放って置いて、今更どのような謝罪をしたらいいのか頭を痛めたのだった。


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