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第9章 Freedom国の発展!

85話 調味料

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 ケンジは、ギルドマスター達と部屋の中でなんの話も進展しない状態だった。ケンジは正直な話、ギルドに構っている暇など無いのである。こんな時間があれば、錬金術のスキルを伸ばして、早くキキョウを復活させたいと思っていたのである。

「あの……申し訳ないのですが、意見も出ないみたいなので、お引き取りして貰ってもいいですか?」

「ケンジ様!それではFreedomの商品は?」

「いや……俺達にとってなんのメリットもない相手に対して、俺達だけがそちらの要望を聞く事なんてしないよ」

「そ、そんな……」

「1週間かけて出した答えとは、ギルドが当たり前にやる事であって、俺に関係ない事だったからな……まあ、聖教国から見放されない様に頑張れ!何か案が出たのならまたなんでも聞くからな」

 ケンジからしたら、それしか言いようがなかったのだ。もっと新生ギルドからは、納得できるような意見を聞きたかったのである。そして、ケンジはギルドマスター達にお帰りを願ったのである。



 ギルドが帰った後、ムシュダルク達はケンジに意見を求めてきたのだった。

「ケンジ様!ケンジ様は、ギルドを本当にどのようにしたいのでしょうか?あれなら本当に潰してしまって、Freedomの範囲を広げてしまった方がよろしいのでは?」

「そう簡単に言うなよ……Freedomの活動範囲なんて、ヒューマン領のまだ一部だぞ。大陸にはまだドワーフ領やエルフ領魔族領など、大陸の広さは果てしないんだ。ギルドには頑張ってもらわないといけないだろ?」

「ケンジ様は今回、ギルドにはどのようにしてほしかったのですか?」

「ムシュダルクさんも、その様子じゃ全然わかっていないみたいだね……」

「ケンジ様の考える所に、理解が追い付かないのですよ……寄り添うようで突き放す態度で何が何やら……あれならもう聖教国の町の結界を、Freedomでやってしまった方がいいかとおもいますが!」

「いやいや……そんなことをしてしまえば、王国領や帝国領の町の結界も請け負ってくれと、国の方から要請が出てきて、本当にFreedomは手が回らなくなるだろ?」

「ではどうするのですか?」

「だからな、ギルドは町の結界に目が行き過ぎているんだよ」

「そりゃ目が行くでしょ?今のギルドではとてもじゃないですが、インゴットを用意する事が大変なんですから!」

「だからダメなんだよ!いいか?例えばだな平民の困っている事を考え、商品の提案があるから、Freedomと共同で製作してくれないか?と持ちかけるならわかるよ?」

「はい……」

「それで、ギルドと共同って事は儲けは折半だが、Freedomに6割とか渡すからインゴットをもう少し安くしてくれとかだな。交渉はいくらでも出てくるだろ?」

「その商品はどんな案で?」

「それはギルドの考える事だよ!」

「そんな簡単に発案できるなら、苦労はないでしょう?」

「最初から無理というのならそれまでだな!そんなギルドなら前と変わらないでしょ?それなら潰れてしまった方が良いよ」

「そしたら、Freedomが大変になるのでは?」

「なんで?ギルドがつぶれるのは勝手で、Freedomの責任じゃないよね?」

「それはそうですが、現状国がFreedomを頼ってくるのはあきらかじゃないですか?」

「頼ってくるのは別に構わないよ。そこから国と一からの交渉だ!ギルドに巻き込まれての交渉じゃないから、反対に自分が有利に交渉できるからやりやすいよ」

「な、なるほど……」

「ムシュダルクさんも覚えていてほしいが、俺が、他人の為に動いているように思っているみたいだが、そんな事は全くないから!」

「ですが、どう見てもそのようにしか……」

「いや、最終的に俺自身が納得いくように自分の為に動いているから!その過程で、平民達も幸せになれるようにしているだけだからな」

「何かよくわかりませんが、ケンジ様には何か譲れないものがあるという事があるのはわかりましたよ」

 その会話を、聞いていたムシュダルク達は、ケンジを優しい目で見つめていたのだった。

「なんだ……その自分達は、わかってますからっていうような目は!」

「分かってます分かってますから!」

「なんかムカつくんだが……」

「で、ケンジ様、ギルドはどうするつもりなのですか?何か策はあるんでしょ?」

「いや……なにもないよ?自分達の事、Freedomの事しか考えてないよ」

「えっ?嘘でしょ?ダリアから聞いてますよ。Freedomで砂糖をどうにかできないって話してたんでしょ?」

「それはしてたけど、それのどこにギルドと関係があるんだ?」

「またまた!」

 ムシュダルクは、ケンジ様もお人が悪いと言わんばかりの顔で笑っていたのだった。

「なんだよ!その顔は!何もかも分かってますって顔をするな!」

「ケンジ様!いつも通り水面下で動いて、ギルドを助けてしまうのでしょ?」

「なっ⁉」

「その砂糖を流通させ、ギルドを通して大陸中に販売させようと思っているのでは?砂糖は高価ですので、もし流通させることが出来たら、莫大な資産ができますからね!」

 ムシュダルクは今までケンジが『出し惜しみは知っている者の特権だ!』という言葉だけで、今回もそれだと決めつけ、話を勝手に進めてしまっていたのだった。

「ムシュダルクさん!勝手に盛り上がっているところ、申し訳ないが……サトウキビを、この土地で育てるのは無理だよ!」

「えっ……」

「それに、サトウキビは火の国の最南端の土地から持ってこないといけないイネ科の植物だ!俺が行くだけでも、相当な日数がかかるんだよ。だから、もう諦めようと思ってたんだよ」

「えぇ!ケンジ様でも無理なのですか?」

「そりゃ、俺にだって無理な事はあるよ!特に、植物なんてその土地や気候気温や土の種類、色んな事が重なり合って、自生しているんだからな」

「ケンジ様なら、そういった条件を乗り越えて、栽培を可能にするのかと……そして、ギルドの事も何とかしてしまうのではないかと思ってました」

 ムシュダルクは今回も又、ケンジが不可能を可能にしてしまい、ギルドを救ってしまうと思っていたのである。だが、ケンジはギルドを利用して販売網を広げるのは、Freedomにとってありだとも考えるのだった。神鋼魔石を使わず、食料や調味料なら全然問題はなかったのである。

「だけど、ムシュダルクさんの言う通り、ギルドが大陸中にある事を、利用してFreedomの商品ではなく調味料とか、販売網を広げるのはありだよな」

「やっぱり!何かいい案があるのですか?」

「まあ、神鋼魔石を使わない何かを考えてみるよ!」

 ケンジがそういうと、ムシュダルク達はやっぱりケンジ様はやさしいという様な目をして、ケンジを見て微笑むのだった。

「だから、そんな自分達はわかってますみたいな目が止めろって!」

 ケンジはなんかすごく恥ずかしくなって、部屋から出て行ってしまったのだった。そして、ケンジは錬金術をしながら、砂糖の事ばかり考えていたのだった。

「飛行機でも、作るしかないのかなあ……」

「ご主人様!飛行機って何ですか?」

「うわぁ~~~~~!」

 ケンジが考え事をしてたら、ダリアがケンジの顔の近くに寄ってきていたびっくりして、後ろに仰け反り椅子と一緒に後ろに倒れてしまったのである。

「きゃっ!ご主人様、大丈夫ですか?」

「痛ったたた……何だよいきなりびっくりするだろ!」

「だって、ご主人様ったらポーションを作っているのに、ボーっとして危険でしたから……」

 ケンジは考え事をしていたため、ヒールポーションの分量がめちゃくちゃで、何やら怪しいどす黒いポーションが出来上がっていたのである。

「うわぁ~~~~~!なんだこれ?」

「ご主人様、錬金術をしている時は、集中しないと危ないですよ!」

「あっ!悪い……考え事をしていて……」

「ところで、さっき言ってた飛行機ってなんですか?」

「ああ!サトウキビの事を考えていて、持ってくるのに時間がかかるから、空を飛ぶ速い乗り物を作るしかないのかなあって思ってな……」

「えっ⁉空を飛ぶ乗り物ですか?」

 ダリアの話を聞き、周りで作業していた錬金術士達も、興味津々で話しに加わってきたのである。それもそのはずで、空を飛ぶは魔法で術者のみで可能ではあるが、ガイアースでの乗り物といえば馬車である。Freedomでもハヤテが引く事で信じれない速さで旅は出来るが空を飛ぶことはないのである。
 錬金術士達の頭の中では、馬車が空を飛んでいる想像しか出来ず、頭の上にクエッションマークが沢山出ていたのには、ケンジには可笑しくてしょうがなかったのである。

 ただ、ケンジにしたら人を乗せて、空を飛ぶだけの推進力を得るにはどれだけのエネルギーがいって、沖縄までそのエネルギーが持つのかが全然わからなかったのである。
 当然、ケンジ一人で行くと言ってもギル達は許してくれないだろうし、そうなると一人乗りではなく、10人は余裕で乗れるようにしないといけないのだ。そんな重量のある乗り物を作っても、長時間は飛べないと想像できたのである。

「なあ、ダリア……もし飛行機という空を飛べる乗り物が出来たとして、その乗り物は俺一人しか乗れないとなった時、俺だけで火の国に行ってくると言ったらどうなると思う?」

「そんなの絶対ダメですよ!仮に私達、留守番組が許したとしても、ギル達は絶対に許しませんよ!当然、私達も許可は出しませんし、その話をした地点でギル達の監視が強まりますよ!」

「だよなあ……」

「当たり前じゃないですか!」

 ケンジの言葉に、ダリアはフーっとため息をつくのだった。

「もし、ご主人様が火の国に行くのなら、ギル達がついていくのは絶対なので暴走しちゃ絶対ダメですよ!」

「あぁ……わかってるよ!でも、そう考えると砂糖は諦めるしかないな……別の事を考える方が早そうだな……」




 そして、それから1週間が過ぎた頃、ケンジは厨房に入って来て、ミナレスに調理場を借りていたのだった。

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