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第9章 Freedom国の発展!

79話 ギルド上層部の陥落

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 ホーメインと幹部連中が席を立ちあがった時、ギルドの扉を叩く者がいたのである。ギイーと音を立て、開く扉から入ってくる人物がいるが、逆光で顔を見えなかったのである。

「ギルドマスターだな!」

「誰だ!まさか、Freedomか?」

 いきなり開いた扉から、入ってくる陽の光にホーメイン達は目を細くして、入ってきた人間の顔を確認しようとしていたのだった。

「Freedom?私達はFreedomではない!ギルド関係者だ!」

「なに?お前達今まで何をしていたのだ?早く仕事をしないか!」

 ホーメインと幹部達は、従業員だと思い入って来た人間を怒鳴るのだった。

「ホーメイン!そんな事を言っている場合じゃないよ!」

「なっ!お前!さっきからワシを呼び捨てにして無礼であろう!ワシはギルドマスターだぞ!」

「ああ!その肩書ももうすぐなくなり、只のおっさんになりますよ」

「何言っておる!ワシが只のおっさんになるわけなかろう!そんな冗談言ってないで早く働くのだ!」

「あんたは都合が悪くなると、そうやって話をそらせながら怒鳴るばかりだ!ホント無能な証拠だな!」

「な、なんだと!貴様はいったい誰だ!」

「やっぱり、わたしの顔は覚えていないか……まあ、あんたにとってわたし達は、自分に歯向かう者として左遷し出張所に飛ばした人間だ!覚えていないのも無理はないか……」

 ホーメインは、その顔に見覚えがあったのである。

「お前……確かテンペの町に偵察に送った、アプリコットの周りに引っ付いていた……」

「ようやく、思い出したようですね!」

 今は無き、テンペの町のギルドマスターが次々退任に追い込まれ、Freedomの監視役に送ったアプリコットの部下達二人と、ようやくホーメインは思い出したのである。

「お前達は、確か一度ギルドを退職し戻ってきた挙句、ギルドにいちいち反抗したからロゼンへと飛ばしたはず……何で貴様たちが本部に来ておるのだ!」

「今回、貴方には責任を取ってもらい、ギルドマスターを退任して頂きます!当然、上層部の皆さんにもね!」

「はははっは!何を馬鹿な事を言っておる!ワシはギルドの中で一番の権力者だ!そのワシを退任させるだと?馬鹿も休み休み言え!」

「馬鹿は貴方です!ギルドを好き勝手扱い、ギルドを崩壊させるつもりか!」

「ワシはギルドで一番偉いんだ!好き勝手やって何が悪い!その権利は当たり前だ!」

「その傲慢が、今のギルドの状況がなぜわからないのです!」

「なにをいっておる!この状況はお前達がいい案を出せず、Freedomを調子に乗らせることでおこったのだ!ワシのせいではない!」

「何を言っているのですか!ギルドの依頼料をごまかし従業員の給料を減らし、その一部を横領!証拠は挙がっているのですよ!」

「だからどうしたというのだ!ワシのギルドだ!どう扱おうと勝手ではないか!それにギルド規約で、総本部のギルドマスター!つまりこのワシはギルドマスターでいる限り罪にはとえん!」

 アーチェとモーリスは、ホーメインがそう言いだす事はわかっていたのである。

「ホーメイン!あんたはこの状況がちゃんとわかっているのか?まあ、そんなあんただから把握できないんでしょうね!」

「なんとでも言うがいい!ワシはギルドで一番偉いんだ!わしがいなければギルドは潰れるんだ。お前達は、ワシの言う事さえ聞いていればいいんだよ!」

「何を言っているのですか?ワシがいなければギルドは潰れる?あんたがいるからギルドがつぶれるんですよ!」

「なにを言う!ワシという頭が無ければ、ギルドは動かん!司令塔が必要なんだよ!」

 それを聞いて、アーチェとモーリスは笑ってしまったのである。

「何が可笑しい!強がりでもなんとでも言うがいい!ワシは、ギルドマスターから辞任などしない!」

「そうですか!それがいつまで持つか見ものですね!」

「はははは!何もできない自分が悔しいか!」

「そうですね……何もできないんじゃなく、何もしないのですよ!」

「はっ⁉何を言っておるのだ?」

「我々ギルド職員一同は、ギルドマスターであるホーメインが、自分から辞任を宣言しないとギルド業務の一切拒否します!」

「何を言っておるのだ?」

 そして、アーチェとモーリスの後ろにいた冒険者と生産者達も又、ホーメインを睨みつけ自分達の依頼報酬を不当に、引き下げた事について文句を言ったのである。

「俺達ギルド構成員もまた、ギルドマスターであるホーメインが辞任をしないと、依頼を一切受けない事にする!」

「何を言っているのだ!お前達は生活できなくなるのだぞ!」

「いいや!ここにいるアーチェ達に教えてもらったよ!報酬は町の人達から直接請け負う事にする!」

「ば、馬鹿な……」

 ここにきて、ホーメインは今の現状を把握したのである。

「ホーメイン!あんたは先ほど何もできないから悔しいと言いましたが逆です!ギルド職員一同は何もしない事で、貴方達ギルド上層部に責任を取っていただきます!」

 そういって、アーチェ達はギルドに宣言して、ギルドを出て行ってしまったのである。

「むぐぐぐ!なんて奴らだ!」

「ギルドマスターどうするおつもりですか?」

「放って置け!どうせ泣きついてくるのがオチだ!」

「本当に大丈夫でしょうか?現状はここだけではないのですよね?」

「そんな足並みがそろえれるわけないであろうが!」

「それはそうでしょうが……ギルド業務はどうすれば?」

「それもすぐに泣きついてきた者から、業務にあたらせればよいだろうが!各地のギルドにも、そう通達を与えればよい!」

 ホーメインの指示でその通りに動いたのだが、最終的には泣きつくのはギルドの方になる事を、今はまだホーメインは知らないのである。
 ホーメインは、職員や構成員の事にしか目がいっていなかったのである。そんな事は絶対にありえない事だが、それがわかったのは聖教国からの忠告があり、ホーメイン達を教会本部に呼び出したのである。

「ギルドマスター!わたし達がこんな事を言うまでもないのですが、本当に大丈夫なのでしょうね?」

「大丈夫です!そのうちギルド業務は……」

「ギルド業務の事など心配などしておりません!それは貴方達の問題です。わたし達に何の関係があるのですか?」

「えっ⁉」

「貴方という人は、本当に頭が悪い人ですね!」

「なっ!無礼な!」

「聖教国は、今のギルドなどどうでもいい存在です!」

「馬鹿な事を!ギルドがどうでもいい存在だと!ギルドが無ければ町の暮らしは!」

「何を言っているのですか!ギルド業務は停止しているではありませんか?それでも町の暮らしは、維持できています!そんな事より、わたし達の心配は町の結界の事です!」

「あっ……」

「忘れていたわけじゃないですよね?貴方と上層部だけでどうするおつもりですか?」

「そ、それは……他の町からインゴットを!」

「何を言っているのですか!近隣の町も、ギルドは活動していないではありませんか!」

「そ、それは……」

「今回、町の結界が無くなった時、ホーメインと幹部達にはそれなりの責任を取っていただきますよ」

「それはちょっとお待ちください‼もう少ししたら職員達が戻って……」

「ギルドの事情は、どうでもいいと言っているではありませんか!」

「そ、それは……」

「もし、聖教国がギルドに口を出すとするなら、ホーメイン!貴方は早く辞任いたしなさい!そうすれば、アーチェとモーリスという者がギルドを建て直してくれます」

「なっ!」

「そうすれば、ギルド職員はもちろん構成員達も戻って来るでしょう!もしこのまま、あなたがギルドマスターの座に居座り町の結界が切れた場合、聖教国はFreedomにインゴットの依頼要請をし、貴方達には違約違反として訴える事とします!」




 聖教国がホーメインを呼び出した時期、各町の領主達も又町のギルドマスターと幹部達を呼び出し、町の結界の事に追及していたのである。

 そして、ホーメインにとって信じられない事が起こるのである。各町のギルドマスター達の方が泣きを入れてきたというより、各町のギルドマスターがホーメインを裏切ろうとしてきたのである。

「ギルドマスター!各町から書簡がこんなにたくさん届いております!」

「なんて書いてあるのだ?」

 幹部達は、ホーメインに言われ手紙の内容に目を通したのである。

「こ、これは……」

「どうした?なんて書いてあるんだ?何かいい案でも書いてあったのか?」

「それが……ホーメイン様の辞任を求める声が……」

「な、なんだと!見せて見よ!」

 ホーメインは、幹部の言葉に冷や汗を流しながら手紙を奪い取り、目を通したのだった。

「なんて奴らだ!」

 手紙には、早く辞任してください!とかギルドマスターを交代せよ!等、誰一人としてホーメインを擁護するような内容は無かったのである。




 そして、ホーメインは最終手段を取ったのである。幹部達を引き連れFreedomに助けを求めたのである。

「ケンジ様!お願いします……我々ギルドを助けてください‼」

 ホーメインはFreedomに助けを求め、インゴットの援助を求めたのである。

「俺は、あんた達ギルドを絶対に許さないと言ったはずだ!援助といっても、インゴットのお金をギルドが払えると思えないんだが、その辺はどのように対処するつもりなんだ?」

「もう少し時間をくれれば、職員はもちろん構成員も泣きを入れてくるはず、そうなればまた、ギルドの機能が回復するはずなのだ!」

「そんな、馬鹿な事がある訳ないだろうが!それに、インゴットの援助をするのであれば、聖教国や他の国に援助した方がFreedomにとっても実益がある」

「なっ!ギルドは必要ないと申すのか?」

「いいや!ギルドは必要だと思うよ」

「だったら!」

「ギルドは必要だが、あんたが不必要なんだ!」

「何を言っている!ワシはギルドの頭なんだぞ!」

「確かにアンタは、ギルド総本部のギルドマスターだ。だが、誰一人としてあんたをギルドの頭と認めていないじゃないか!認めていたら、みんなが貴方の周り固めて協力するはずだろ?」

「そ、それは……」

「はっきり言ってやるよ!ギルド職員達が、あんたに泣きつくことは絶対にない!」

「ぐっ!」

「それに、俺はあんたに家族の一人を殺されているんだ」

「ワシが殺したわけではない!あれはテンプルナイトの斥侯部隊が!」

「直接殺したのはな!だが、あんたが先の戦争を持ちかけさえしなければ、俺はこんな悲しい想いはしなかったはずだ!だから、俺があんたを助けたり援助するなんて、俺の中にこれっぽっちもないよ!」

 ケンジの言葉に、ホーメインと幹部達は膝をつき、この世の終わりのような表情をしたのである。

「話がそれだけなら帰ってくれるかな?」

 ホーメイン達は、そのまま何も考えられない表情で、ケンジ達に追い返されてしまったのである。




 そして、ホーメインと幹部達はとうとう根をあげてしまい、アーチェとモーリスをギルド本部に呼び出したのである。


 その期間は、一ヵ月という短い期間であった。 


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 今日は、この後特別篇として2話更新します。どうぞ、よろしくお願いします<m(__)m>
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