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第9章 Freedom国の発展!

68話 マルシェイム聖教国の苦渋の選択

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 マルシェイム聖教国では、1週間会議を開き意見を出し合うのだった。

「聖女様、やはりここはギルドの方を優先した方がいいのでは?」
「司教!ちょっと待ってください!」
「司祭、なぜ止めるんだ?」
「ギルドを受け入れると言う事は、疫病を私達で何とかしないといけないのですが、本当に出来ると思いか?」
「それは、ギルドに依頼を出し冒険者達にも協力を!」
「そんな事したら、絶対に倒れる人間が続出し、冒険者達もいずれ聖都から去る事になるのですぞ」
「だったら、どうすればいいんだ!Freedomを迎え入れれば、今度は町の結界がなくなるのは明白だろう!それこそ冒険者だけでなく、民衆も移住する事になるのだぞ!」

 聖女アリサは、司教達の意見に何も言えなくなり、頭を抱えてしまうのである。ギルドは、あんな大きな結界装置を持ってはいけないが、錬金術士がいない事には結界装置を稼働させる事が出来ないのである。

 だが、ギルドの言う事を聞き依頼をだし、冒険者やクリーンを使える聖職者達に無理をさせ、体力の落ちた所にそんな仕事をさせると疫病に侵された場合、助からない状態に陥ってもおかしくないのである。
 そんな事は絶対に避けなければならないが、人員が足りない場合無理も承知で働いてもらわなければ、本当に大変な事となるのである。

 そして、聖教国は1週間と言う時間会議をして、ギルドを取る決断をしたのである。
 結局は、ギルドがいなくなると言う事は、冒険者や生産者達の仕事がなくなり拠点を移される事、スタンピードが起きた時、町の結界が無い状態で冒険者もいなくて、テンプルナイトや衛兵だけで対処をしないといけなくなり、ギルドが無い町には商人もいなくなり結局はゴーストタウンとなり、聖教国は大陸から無くなり、女神クローティアの存在はヒューマン社会から忘れられる事となるからである。

 聖女アリサと司教達は、沈んだ顔で肩を落とし、Freedom国に支店の断りを入れる為に訪問したのである。


 聖女達は、セバスに客室に案内されケンジを待っていたのであった。

「アリサさん、わざわざ訪問していただき申し訳ございません!ですが、支店を出すにはもう少し時間を頂きたいのですよ」

「ケンジさん……その事なのですが、やっぱりFreedom支店を聖教国に出して貰うのはお断りさせていただこうと思い、今日は訪問させていただきました……」

「そうですか……残念ですが聖教国がそのように決断したのなら、しょうがないですね!」

 ケンジは予想通りの言葉に、冷静に受け答えするのだった。

「本当に申し訳ございません!」

「あの一つ聞いておきたいのですが、この決断はやっぱりギルドからの圧力ですか?」

「な、何でそのことを?」

「ああ……やっぱりな」

「ご主人様、申し訳ありません。なんでそこでギルドが出てくるのですか?」
「そうよ、ケンちゃんなんでなの?」

「そりゃ当然ですよ!お二人とも、それは愚問というものですよ!」

「え?ムシュダルクさんは何でかわかるの?」

「いいですか?聖教国にFreedomが進出して、唯一困るのがギルド総本部なのですよ。他の町同様ギルドの売り上げがなくなるのです!今までは支店だったものが、ギルド本部を揺るがす事態になりかねません」

「「な、なるほど……」」
「ですが、聖教国がギルドの言いなりになるなんて、基本はお互い干渉なんか出来ないんじゃないの?」

「そりゃ、基本はな!だが、ギルドも必死にFreedomの進出を止めにくるよ。聖教国に進出したら、確実に自分達の魔道具が売れなくなり、経営が傾くのがわかっているんだからな!」

「でも、何で国が?ギルドの言う事を聞くような強い感じだとは思えないんだけど……」

「おいおい!マイは何を言ってんだよ。ギルドは腐っていても大陸中に拠点を置く最大の組織じゃないか!組織とはいえ、Freedom以外の国より、権力も実力もある組織だよ」

「どういう事よ?」

「今までの俺と、同じ戦法を取ったって事だよ!」

「……」

「分からないか?」

「うん……」

「ギルドはこう言ったはずだよ。聖教国にFreedomの進出を止めてほしい!もし、言う事を聞いてくれなかったら、ギルドはそうだな……魔人王国に移住するとね!」

 それを聞いた聖女達は、目を丸くして驚いたのである。

「何で知っているのですか⁉」

「そんなの簡単だよ!自分の言う事を聞かせる常套手段だよ」

「でも、何でギルドが出て行くと言うだけで、そんなに焦るのよ。ギルドの勝手にさせておけばいいじゃない!」

「マイ!お前はもっと頭を使った方が良いよ」

「むうう……」

「いいか?ギルドが出ていくとどうなる?」

「どうなるって……あたし達、Freedomの進出がやりやすくなるんじゃないの?」

「そうじゃない!俺達の考えじゃなく、聖教国の立場で考えるんだよ!国の結界が使えなくなるんだよ」

「あっ……」

「ったく……いいか?自分の思惑だけ考えると、足元をすくわれる事になるから、もっと周りをよく見るんだ!」

「は~い……」

 聖女達は、ケンジの話を聞き、呆気に取られていたのだった。そして、司教が話し始めたのである。

「ケンジ様……そういう事なので、支店の件はお断りさせていただきたいのです。Freedomが進出すると、我が聖教国は立ち行かなくなるのです」

「ああ!わかったよ」

「だが、俺達Freedomが進出させないという事で本当にいいんだな?」

「わ、わたし達は!」

「なんだ?」

「い、いえ……こんな事を言ってもしょうがありません……」

「まあ、言うも言わないも、アリサさん貴方の勝手だが、本当にそれで後悔しないんだな?」

 ケンジの言い方に、アリサはもちろんの事司教達もムッとした表情になったのだ。アリサ達は、この一週間会議を重ねどうしようもないと言う結論に達して、苦渋の選択をしているのに、そんな言い方をされれば腹が立つのも当たり前なのだ。

「ケンジさん!あなた方は何もわかっていません!町の結界が、無くなるとどういう事になるのか!」

「はぁ?そんなのはよく分かっているよ!俺もテンペの町は見てきたし、Freedomにはその町の人間が5000人ほど生活をしているんだぞ!」

「だったら!なぜそんな言い方を!」

「じゃあ、言い方を変えてやるよ!聖女も、その周りで支える司教達あんた達は馬鹿だ!精々ギルドに踊らされて聖教国を滅亡させてくれ!」

「「「「なっ!」」」」
「その言い方はあまりに無礼だろうが!」
「こちらは、貴方が女神クローティア様の友人だと言うから下手にでていて、こうして訪問して義理を立ててお断りを!」
「そうですよ!ギルドの結界システムがなくなれば、滅亡が早まるかもしれないのですよ!」

「ったく……だからギルドが調子に乗るんだよ!もう一度冷静になり考えなよ。俺の言葉が悪いのは、あんた達に活を入れる為なんだがな……」

「何を言っているのですか!ギルドに逆らって、町の結界がなくなったら元も子もないでしょう!」

「あんた達は、本当にそれしか見えなくなっているから考えが拡がらないんだよ!」

「それは、ケンジさんがギルドを必要としないから、そんな事がいえるのです!Freedom国が、普通じゃないのですよ!」

「そこまで答えが、出ているのにまだ気づかないのか?」

「何を言っているのですか?」

「あんた達聖教国は、ギルドと親交をかわしているのか?違うだろ?ギルドから、国民の命を天秤に掛けさせられ、強引にギルドの言う事を聞かされようとしているだけだろ?」

「それは、ギルドの立場が強いのでしょうがないですよ……」

「もう一度言うぞ!あんた達は、ギルドと親交を結んでいるのか?」

 ケンジは、アリサと司教達の目をじっと見つめるのだった!

「「「「あっ……」」」」

「ったく……ようやく気付いたのかよ!下手に出ているのなら、なぜ俺を頼らないんだ?」

「ですが……町の結界なんて、ギルド以外に頼れるなんてないでしょう?」

「だったら、Freedom国は町の結界が無いとでもいうのか?」

「そ、それは……」

「いいか?ギルドは全体を見て聖教国は8都市しかないと思い、ギルドを撤退しても他の国からの売り上げを考えて強気に出ているんだよ!これが聖教国でなく、グランパス王国ならどうなるかわかるか?」

「どうなるのですか?」

「絶対撤退なんて、言葉は言わないよ!そんな数の町から撤退なんかしたら、反対に自分達の首を絞めることになるからな!」

「でも、Freedomが進出すればギルドは撤退し、町の結界は無くなるのですよ?」

「だから、そればかり考えるから駄目なんだよ!要は町の結界システムは、城壁と一緒になっていて動かす事は出来ないんだろ?」

「それはそうですが、錬金術士がいなくなると言う事ですよ?錬成してヒイロカネを生み出さなければ、それに結界の核となる聖属性の魔石も採掘士がいなくなると、手に入れれなくなるではないですか?」

「ホント……あんた達は親交した相手の情報を手に入れようとはしないんだな?ギルドの代わりは、Freedomに委託したらいいだろ?聖属性の魔石そして、ヒイロカネの相談は一度でも俺にしたのか?」

「そんな!ヒイロカネは錬金術士じゃないと、手に入れれないではないですか?」

「なんで、そうやって自分で決めつけるんだよ!」

 ケンジはそう言って、机の上にヒイロカネのインゴットを並べるのだった。それを見たアリサ達は、顎が外れた様に口を大きく開けて、驚き固まってしまったのである。

「な、なんでこんな大量に、ヒイロカネがあるのですか!」

「俺はティアさんと友人なんだぜ!普通とは違うんだよ!だから、ギルドなんか必要ではないし、自由に生きれるんだよ」

 ケンジはクローティアと友人と言い、自分で採掘できるとは言わなかったのである。クローティアと友人と明言しておけば、勝手に勘違いすると思ったからだ。

「聖女様!これならギルドを切っても何とかなるのでは?」

「待て待て待て!何で、あんた達はそう極端なんだよ!いいか?ギルドの必要性は、町の結界だけじゃないだろう?経済や色んなことを考えないといけないだろうが!」

「た、確かに……」

「ギルドが撤退したら、一時的にだが経済がまわらなくなるのはわかるだろ?」

「は、はい!」

「だから、あんた達はFreedomが進出するのは断った程で、話は進めるんだ!」

「えっ⁉そしたら、Freedomがこの地に支店を置けないのでは?」

「はっ?なんで?聖教国領マルルドの町の中に支店を置くわけじゃないんだぜ?城壁外に支店を建てるんだ!誰にも文句はいわれないよ!」

「あっ!」

「だけど、形としてはギルドの顔を立てて断った程にしたら、聖教国のせいじゃないだろ?」

「な、なるほど!」

「いいか?交渉術なんて騙し合いみたいなものなんだよ!ギルドの言う通りなんかしてみろよ!便器の代わりになる魔道具なんて、いつまでたっても出来ないよ!」

「ケンジさん!何でそれを?」

「ギルドのやりそうな事だよ。どうせ冒険者の聖属性の持つ者と冒険者に依頼をさせ時間を稼ぎ、その間に便器に代わる魔道具を開発するから、Freedomの進出を止めさせろと言われたんだろ?」

「そ、その通りです!」

「だけど、その口車に絶対に乗ったらだめだぞ!国の為に、魔道具を開発していると言う理由で、開発資金まで取られる事になるぞ!」

「「「「なっ⁉」」」」

「いいか?この事で聖教国は、ギルドに一つ貸しを作った事を利用するんだよ」

「どういう事ですか?」

「あんた達は、真面目な人間じゃなくクソ真面目なんだ!だからな、今回ギルドの言う事を聞いた代りに、ギルドを利用してやるんだよ!」

「でも、どうやって?」

「だからな……」

 ケンジは、聖女と司教達に今後の案を提案し、その場にいた者はケンジの提案に、身の毛が震えるのを感じるのだった。そして、聖女達はギルドに一泡ふかす事を承諾したのである。


 
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