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第9章 Freedom国の発展!

51話 王国の怒り

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 宰相は、Freedom国のケンジに面会する為に、部下3人を引き連れやってきていたのである。

「今日は、面会に応じていただきありがとうございます」
(チッ……何で儂がこんな奴の為にこんな下手に出ねばならんのだ!)

 宰相は、心の中で舌打ちしながら、国王の言う通りに自分を演じながら挨拶をしたのである。

「いいえ!お久しぶりでございます。今日は、いったいどういったご用件でしょうか?」

 ケンジは、久しぶりに王国側の人間と話し合いに応じ、にこやかな笑顔で対応をしていたのだった。そして、その横にはムシュダルクも同席していて、宰相の知らない顔の人間も数名いたのである。

「ケンジ殿、申し訳ないのだが……あれをどうにかできないだろうか?」

「あれとは、どういった事でしょうか?」

「王族貴族だけ、ここの商品を倍額にするという事です」

「あのペナルティーは、貴方が闇ギルドになんかに、暗殺の依頼を出そうとしたからですよ」

「……」

「あれから、そんなに期間も経っていないのに、なんでその事が解除して貰えると思ったのですか?」

「それはそうだが、貴族が平民より不遇扱いにされているのが問題なのだ!」

「何で問題なのですか?」

「そんなのは当たり前であろう!貴族は平民より偉いのだからな」

「何で偉いのですか?貴族が勝手に公言しているだけでしょう?」

「「「「なっ⁉」」」」
「無礼者!」
「不敬である!」

「気を悪くしたら謝ります!ですが俺の意見も聞いてもらえますか?」

「な、なんだ?」

「貴族達は、生まれながらにして貴族であって、それが何で偉いのですか?誰かに選ばれた訳ではないでしょ?」

「何を言っておる!生まれながらにして貴族だという事は、神に選ばれたって事ではないか?」

「いやいやいや……神が選んで貴族にしたわけじゃないよ!ただの偶然だよ。貴族だから平民より偉いというより、平民の為に政治をちゃんと行なえる貴族が偉いんだよ!」

「バカな!なぜ貴族が、平民の為に働かなくちゃならんのだ!」

「そりゃ、国民がいて初めて国は成り立ち、その税金で貴族は食っていけるからだろ?俺からしたら、そういう意味からしたら平民の方が偉いと思うよ」

「そんなわけあるか!貴族が国の事を考え、国を動かしているからこそ、平民は安全に生活が出来るんだろうが!」

「なんだ。ちゃんとわかっているじゃないか?貴族は安全に平民が暮らせる国を作り、その結果税収ができて貴族が食っていけるんだろ?」

「ああ!そのとおりだ!」

「だったら、持ちつ持たれつでどっちが偉いとか、平民が偉くないっていう考え方はおかしいだろ?」

「なっ……」

「それにもう一度確認のために言っておくが、今回うちの商品が貴族達に売る時倍額になっている原因は、貴方達が思い通りにならないからと言って、闇ギルドに俺達を始末させようとしたからだ!」

「そ、それは……」

「それに、俺は王国の秘密を暴露せず、王国の人口を増やすために協力をしているだろ?俺達の商品をまかなうのは今は少し辛いとは思うが数十年もしたら、今の子供達が成長し税収が増えて、貴方達の給金が増えると思うが違うのか?」

「……」

「俺は、王国に命を狙われたが王国の為に、役に立っていると思うぞ?だが、なんのペナルティーもなしに、王国の貴族や王族の為に動きたくないから、金をとっているだけだ!そのあたりをごっちゃに考えたらだめですよ」

「確かに、お主の命を狙ったよ!だが、それはお主が王国の命に従わなかったからだ!お主にも落ち度があろう!」

「なんで、俺が貴方達の命に従わなくてはいけない?それこそお門違いだよ!俺は俺で、もうこの国の責任者だ!グランパス王国の国民じゃないんだぞ?」

「それは、王国の方が大きな国で!」

「いやいやいや……それなら王都の結界に使用するインゴットを用立てている、Freedom国の方が立場的にも上でしょ?いう事を聞かないからと言って、逆切れする方がおかしいでしょ?」

「なっ‼何で、王国の方がしたなんだ⁉」

「冷静になって考えてくれよ!言ってみればもう、Freedom国は独自で経済がまわっているんだぞ?支店を閉めても、やっていけるのはあきらかだ!」

「なんだと……」

「そうなったら王国はどうなる?」

「それでは、王国との約束を違えるつもりなのか!」

「そうなったら、困るだろ?俺達は王国無しでも全然困らないよ。この状況からして、Freedom国がグランパス王国より、立場が上なのは一目瞭然だよな?」

「うぐっ……」

「俺は、貴方達のした事を目をつむり、貿易を続けているんだ。感謝こそされ、不平不満をぶつけられるいわれはないよ」

「本当に、そんな態度を続けるのだな?」

 宰相と部下である3人は、下を向き顔を真っ赤にして、震える声でケンジに訊ねて来たのだった。

「そんな態度も何も、反対になんで俺が王国側に、従順になると思ったんだ?」

「よくわかったわ!後悔してももう遅いぞ!この事は、国王にしっかり報告させてもらう!」

 宰相達は、勢いよく席から立ち上がり、憤慨しグランパス王国に帰っていくのだった。


 そして、その日のうちにFreedom国であった事を、詳細にグランパス王国に報告され、グランパス王国は聖国と帝国の計画に乗ったのである。



 部屋に残ったケンジとムシュダルク、セバスにマイそして、新しい顔の人物で話し合いが再開されたのである。

「ケンジ様!何であんな事を?」

 新しい顔の人物が、声を出して焦っている様子だった。この人物3人は、グランパス王国の元貴族である。ムシュダルクを追って、家族でFreedom国にやって来た者達であった。貴族とはいえ、下級貴族で土地も与えられていなかった貴族である。
 王国では、ムシュダルクの人柄に好意を寄せて、右腕のように働いていたのである。そして、今回の件でムシュダルクはFreedom国に亡命の噂が聞こえ、この3人は話し合い貴族位を王国に返還し、ムシュダルクを追ってやってきたのである。
 宰相は、この3人の顔を知らなくても当然だったのだ。貴族位が全然違う為、顔を見た事がなかったからである。

「なんでって?じゃあ聞くけど、なんで王国に従順になくてはならないの?」

「なんでって、王国が怖くはないのですか?」

「立場はさっきも言った通り、こっちの方が上だよ?アルバンさん達も、話を聞いていてわかっているだろ?」

「それはわかりますが、これからどうするのですか?」

「ゴルゴンさんは、何がわからないのですか?」

「何がって……分からない事ばかりですよ」

「王国の事は、放って置いてかまわないよ。欲しい商品があるなら買いに来るでしょ?ゴルゴンさん達は、今まで通り、ムシュダルクさんと協力して、内政をしてくれたら問題はないですよ」

「ですが、王国側がこのまま引き下がるとは……」

「アンジェさん、それは俺が考える事だよ。あっちがどういう行動をとるかわからないが、行動を起こした時こうやって話し合いをしたらいいんだよ」

「ケンちゃん、でも本当に大丈夫なの?」

「大丈夫も何も、無条件に王国の言いなりになんかなりたくないよ」

「今までは、ギルド組織相手だったけど……今度は、国が相手なんだよ?ケンちゃんが何を考えているのか、ちゃんとムシュダルクさん達に説明しなさいと言っているの!」

「えっ?」

「ケンちゃんの事だから、何らかの作戦というか、この後何が起きるのか予想があるんじゃないの?それを、説明して対応策を考えないと不安で、ムシュダルクさん達が働けないよ」

「ああ……そういう事か……」

「そうですよ!ケンジ様の実力を疑う訳じゃないですが、一人より二人!大人数で考えた方が、良い案が出るかもしれませんし!」

「言った方が、不安になるかもしれないがいいのか?」

「それはいったい……どういう事なのでしょうか?」

「王国との、戦争が始まるって事だよ……」

「「「「「……」」」」」

「ケンちゃん、どうするつもりよ!」

「だから言ったじゃないか!不安の方が大きくなるって!だけど、安心していいよ。防衛システムは、城壁の上にもう20台出来上がっているし、この国に近づく事すらできないよ。エクスプロージョンの球の備蓄も、保存箱に大量にダリアが製作してくれているからな」

「本当に、大丈夫なのですか?」

「ムシュダルクさんまでなんだよ……まあ、見ていてくれよ!テンペの町の、スタンピードより楽勝だと思うよ!」

 ケンジはこの時、裏で糸を引いているのが、ギルドとは思ってもいなかったのである。そして、1ヶ月後のある日から支店にお客が一人もやってこなくなり、王国から通達が来たのである。

『Freedom国に告ぐ!これまでグランパス王国への、不敬は許されべき事!よって、Freedom国は粛清される国と判断!』

 とだけ、警告文が送られてきたのだった。

 それと同時に帝国から、商会の本店を自国に抱え込み、他の国は迷惑極まりないとの抗議文が送られてきて、聖国からは魔獣を手なずけ、他の国を恐怖に陥れる国は、その昔魔王と同じ手口である!邪悪な国と判断し、王国帝国に助力し、Freedom国は人類の敵とみなし、粛清すると送られてきたのであった。

 これより、3国はFreedom国を断行し、世の中の為にFreedom国を滅ぼすと3国同盟を結ぶ事と相成った!と大陸中に発信されたのである。



 その宣戦布告を、受け取ったFreedom国ではパニックが起きていたのだった。

「おい!どうすんだよ?この国やばいじゃねえか?」
「だよな?3国から睨まれたんじゃ……」
「俺達も今のうちに、この国を出るか?」
「だが、この暮らしは手放したくねえよな……」
「俺達冒険者は徴兵募集があるはずだから、この暮らしを守りたいものはギルドに掛けあって見るか?」
「お前、3国相手の人数に立ち向かうつもりなのか?」
「だが、この国が無くなるなんて考えたくない!」
「命あっての物種じゃねえか!」

 民衆達は、命の心配をしてどのように身を振り分けるのか各自、騒然となっていたのだった。

「ケンちゃん!どうするつもりなの⁉相手は王国だけじゃないじゃない!」

「ああ……まさか、こんな手に出るとは俺も思わなかったよ。あははははは!」

「なんで、笑っているのよ!」

 ケンジはマイの言葉に、笑いを止めて一点を睨みつけるのだった。その顔には怒りを滲み出していて、マイはもちろんムシュダルクも震え上がったのだった。

「主!この日の為に、俺達は鍛えていたんだ!あんな奴ら、俺達が蹴散らしてやるよ!」

「マードック!お前達はまだ待機だ……」

「なんでだよ!この国のピンチだぜ。こんな時にこそ……」

「お前達が出たら、攻めてきた兵士達をみんな殺しちゃうからな!それだけは阻止して欲しいんだよ」

「なに言ってんだよ!」
「そうですよ……主!いったい何を考えているのですか?殺さないと、こっちが殺されるのですよ!」

「ギル!お前達には、3国が敗走した後、3国に攻め入る時に活躍してもらうから安心しろ!」

「「「「はいっ?」」」」」

 ケンジの言葉に、そこにいる全員から変な声が出たのである。

「はいっ?ってなんだよ!あんな烏合の衆、この国の防衛システムだけで十分だよ!」

「ご主人様!何を言っているのですか?相手は3国ですよ?」

「ああ!分かっているよ。だから防衛システムで十分なんだよ!それよりもシスティナ達は、町の人達に情報をまわし安心させる事に、尽力を注いでほしいんだよ」

「え?」

「一番怖いのは、町の人達の不安からくる暴動だよ。だから、ムシュダルクさんと一緒に、町の人達に安全性を説いてほしいんだよ。日頃の護衛で、町の人達はお前達の強さはわかっているし、自信もって安全だと言ってほしいんだよ」

「ですが、我々の言葉で、町の人達が安心するとは……」

「だから、ずっと前に防衛システムの実演をやったことがあっただろ?あれを思い出してくれと、一緒に説明するんだよ!」

「あっ!」

 ケンジは、防衛システムの大砲が出来た時に、スタンピードが起きた時、町はこの大砲で守れる事を実演していたのである。その時の光景は町の人達の目に焼き付いているのである。その噂がよび大陸一安全と思い、人々が移住してきていたのである。

 そのことと、日頃のムシュダルクの善政と一緒に説明をして、何の心配もいらない事を説明してくれと、ケンジは指示を出したのである。
 ギルドには、冒険者達からの協力があったのだが、それらを全て断り本当にこの国は安全だという事を、アピールしたのである。

「おい……徴兵募集が本当になかったよ……」
「それに、スタンピードが起こったとしても、ギルド構成員に危険な事は、やらせないと言われちまった……」
「こんな事ってありうるのか?俺達だって、Aランクだしそこそこ使えると思うのだが……」
「だが、それだけこの国は、安全だという事なのか?」
「馬鹿な‼相手は3大大国なんだぞ?」
「だけど、あの防衛システムで、十分な気もするのも分かるような……」
「確かに、俺がこの町に攻め入る時に、あの防衛システムがある町には絶対行きたくないよな……」

 町の人達が、驚いた事はこの町が戦地となるにも係わらず、行商人や移住してくる人間が増えていた事である。外の情報が全く入らなくなる事がなく、王国にいるならこっちの方が良いと言って、連日人間がやって来るのである。
 これにより、Freedom国内のパニックが減ってきたのである。




「ご主人様!この戦争わたし達に戦闘させてもらえませんか?」

 そのように、進言してきたのはツバキ達だった。ケンジは断ろうとしたのだが、ツバキ達は涙を流していたのだった。

「なんで、泣いているんだよ?」

「わたし達は、そんなに危険で邪悪な魔物ですか?わたし達は悔しいのです……」

「そんなことは無いぞ!お前達は、人間の為にしっかり働き、役に立つ物を作っていたんだからな!」

「だったら、なぜ聖国はわたし達を邪悪だと言い、攻めてくるのですか?わたし達は、ご主人様の足を引っ張っているではないですか!」

「そんな事は無い!おかしいのはあいつ等の方で、ツバキ達は本当に役に立っていたんだよ」

「だったら、戦闘面でもご主人様の役に立ちたいです!お願いします!わたし達に出撃のご命令を!」

「お前達には、ギルと一緒に、斥侯部隊として出撃してもらう!いいか?斥侯であり情報の収集だけだぞ?アイツらが、ここに来た時見つからない様に報告をしてくれ!」

「分かりました!」



 そして、半年後Freedom国の正面には、見渡す限りの兵士の姿で、平原が埋め尽くされていたのだった。


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