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第9章 Freedom国の発展!

42話 新たな商品開発①

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 ケンジは、やっとゴタゴタが全部片づいたと思い、客室から錬金工房へと足を運ぶのだった。

「あら?ご主人様!どうかしたのですか?もう仕事時間は過ぎてますよ」

 そこには、ケンジがまだ名前を把握していない奴隷達が、作業終わりの整理をしていたのだった。

「いや……今日は、少し忙しくて錬金術のスキルを育てていなかったからな。ちょっとポーションを製作しようと思ってな……」

「それならば、明日頑張ってください‼今日は、もう休む事をお勧めします」

「ちょっとぐらい……」

「ダメでございます!ご主人様は、働き過ぎなので今日はもう部屋に戻ってゆっくりしてください!」

「どうしてもだめか?」

「私達奴隷みんなが、仕事を終わりにして片づけをしているのに、ご主人様が働くなんてあり得ないです!」

 周りを見ると、錬金工房で片づけをしている人間が全員頷いていた。

「はぁ……しょうがない……今日は諦めるか」

「はい!ごゆっくり休んでください。お疲れさまでした!」

 錬金工房にいた人間全員が、笑顔でお辞儀をして、ケンジを見送ったのだった。


 ケンジが、何もすることが無くなり部屋に行くと、そこにはエリスがケンジを待っていたようで、部屋の前で立っていたのだ。

「エリス!どうかしたのか?」

「ご主人様!」

 いきなりエリスは、ケンジの胸に飛び込んできたのだった。昼間の事もあり、ケンジはエリスの頭を撫でて、気持ちを落ち着かせたのだった。

「ご主人様……ごめんなさい……」

「いや、今日は大変だったな。エリスはよく頑張ったと思うぞ!」

 ケンジは、エリスを優しく見つめ、頭を撫で続けたのである。エリスは、ケンジの優しさに涙が止まらなかったのだった。

「ご主人様……わたくし本当は、マードン様について行きたかった……」

「ああ!分かっているよ」

「でも、あのままついて行けばアンギル家は……」

「ああ!エリスは自分の立場と、これからのアンギル家の為を想って決断をしたんだよ……」

「でも、わたくしは……」

「ああ!エリス、お前の立場は特別奴隷となってしまったが、お前はちゃんと貴族の誇りを、今もちゃんと持っているよ!胸を張れ!これで、マードン様もこれからの人生お前に負けない様に過ごしていけるんだからな!」

 エリスは、ケンジに言ってもらいたい事を言ってもらい、抱きつき号泣して甘えていたのだった。そして、エリスはその日はケンジの部屋で一晩過ごしたのだった。




 次の日、ティアナとフィアナが、ケンジの部屋のルーティンをしに入ってきたのである。

「「ご主人様失礼します!」」

「二人ともおはよう!」

「「ご主人様おはようございます!」」
「エリスも早く起きなさい!朝ですよ」

「あ……ご主人様おはようございます。二人もおはよう。少し寝坊してしまったわ……」

 エリスは、そそくさ服を着て部屋を出て行ってしまったのだ。それを見た、ティアナとフィアナは呆然としてたのだった。

「エリスが、普通に起きて部屋を出て行った……」
「ご主人様が……女性を普通に抱いた……」

「ば、馬鹿!お前達はまたそんな事を!」

「「だって!」」

「だってじゃない!俺だって成長はするんだ!」

「ご主人様にしたら遅い成長ですね。ぷぷぷぷ!」

 ティアナの、馬鹿にした態度がムッと来たケンジは、ティアナの頭を手加減してゲンコツを落とした。

「いった~~~~い!ご主人様酷いです!」

「お前がいらんこと言うからだ」

「お姉ちゃんって……一言……多い……」

「だって、朝あんなふうに、すぐに動けたのフィアナだけだよ!」

 ティアナの言葉に、フィアナの顔が一瞬にして真っ赤になった。

「お姉ちゃんの馬鹿!いきなりそんな事言わないでよ!」

 フィアナは、恥ずかしさのあまり部屋の隅で小さくなって、顔を手で覆っていたのだった。

「ったくもう……後は頼んだぞ。俺は顔を洗ってくる!」

 ケンジも、この雰囲気に耐えられなくなって、部屋をそそくさと出て行き逃げ出したのだった。



 その日のお昼、ケンジは錬金術を一区切りして庭に出て、町の西側にある琵琶湖を眺めて、ゆっくりしていたのだった。

「旦那様、こんなところで何をしているのですか?」

 リンダとマーサが、ケンジがボーっとしていたのを見かけて、話しかけて来たのだった。

「リンダとマーサか!今日はずっと錬金術をやっていてな。目盛りや量りをしてて、目が疲れたから湖を見てただけだよ」

「旦那様ってホントすごいですね!」
「ホントそうですよ!生産スキルは、人生を掛けて一つか二つグランドマスターなれたら成功者というのに、もう何個もグランドマスターになって、本当にすごいです!」

「ああ……二人ともありがとな!で、二人はこんなとこで何をしてたんだ?」

「洗濯ですよ!ここも人数が増えましたからね。ミナレス達だけでは、大変になって来たから私達が手伝っているんですよ」

「はっ?手が足りてないのか?ちょっと、ミナレスをここに呼んできてくれ!」

「いえ……手が足りてないってことは無くて、私達が交代でやれば十分まかなえる事であって……」

「お前達は、店の売り子担当だろ?そんな事はいいから!呼んできて!」

「「はい……」」

 リンダとマーサは大人しくなって、ミナレスを連れてくるのだった。するとケンジが、要件を言おうとする前に、ミナレスが謝罪してきたのだった。

「ご主人様!ごめんなさい!」

 ケンジは、びっくりして目を見開くのだった。すると、リンダとマーサも一緒になって頭を下げていたのだった。

「お前達は何で、頭を下げているんだ?」

「だって、ご主人様が怒っていると言って、わたしを呼び出すんですもの……」

「ミナレス!お前は意味も分からず、俺に謝罪しているのか?」

「だって、リンダとマーサが、わたしを呼んで来いと言って、ご主人様が怒っているというから……」

「って事は、お前は取り敢えず謝罪しておけば、俺の機嫌が直るから形だけでもいいから、態度を示しておけばいいと思っているんだな?」

「そんな事は!」

「でも、この状況はそれしか思えないんだが!それに、リンダとマーサお前達もなんで俺が怒っていると、勝手な判断をするんだ?」

「「そ、それは……」」
「でも、旦那様は家事の手が足りてない事を知った時に、有無も言わさずミナレスを呼んで来いと……」

「ああ、そうだよ!俺は呼んで来いと言っただけで、怒るとは一回も言ってないはずだ!」

「それは……でも、あの状況なら何か失敗してそのことを……」

「ああ!ミナレスは確かに、俺に報告するのをしていなかったよ。それに対しては失敗だ!」

「だったら、やっぱり怒られるんじゃないですか……」

「ああ!それに対して注意するつもりだったよ。だけど、俺が今言っているのは、何で理由もわからず謝る態度を見せたかという事だよ」

「そ、それは、わたしは奴隷だから、先に謝罪した方がいいと思ってしまって……」

「ふ~ん。ミナレスとの、付き合いはもう何年一緒になるんだ?」

「もうすぐ5年になるかと……」

「その5年という月日で俺は、お前を奴隷として扱ってたんだ……」

「そういう意味ではなく!ご主人様には、貴族様以上の生活を与えてくれて……立場上奴隷という事なんです!」

「そっか!分かったよ……」

「ご、ご主人様!」

 ケンジの言葉を聞き、ミナレスは焦り大きな声で否定したのだった。

「ミナレス!お前、今晩俺の部屋に来て、夜の奉仕してくれ!」

 まさか、ケンジが女奴隷として扱うなんて思いもしなくて、ミナレスは呆然としてしまったのだ。

「どうした?返事は?」

「「旦那様!夜の奉仕ならわたし達が!」」

 ケンジは、リンダとマーサの二人を手を向けて、少し黙ってなという様なジャスチャーをして、二人を黙らせた。

「ミナレス!もう一回聞くぞ?俺は今まで、この5年間こういった要求を、お前に強要した事があったのか?」

「いえ……ありません……」

「仕事は、他のみんなよりは少し遅くなってはいるが、交代制で休みは他のものより多く与えて、衣服類も平民と同じような格好、ベットも用意しているはずだ」

「はい……」

「今回、お前を二人に呼んで来いと言ったわけは、なぜ家事の手が足りなければ、俺に相談しないんだ?」

「それは……」

「なあ、ミナレス黙ってたら分からないよ。こうして俺の意見を聞き、それで自分が悪いと思ったら謝罪するんだ!自分が悪くないのに謝ったら、それは反対に馬鹿にしていることになるんだぞ?」

「す、すいませんでした!」

「で、なぜ俺に相談をしなかったんだ?リンダとマーサは、店の方で販売という仕事を振り分けていただろ?」

「「それは!わたし達が‼」」

「いいからお前達は黙ってろって!俺は怒ってないから、ただその理由が聞きたいだけだから!」

「それは、洗濯だけが手が足りなくて、他の者達を交代でやっていただけたら、後は普通にまわせていたからです」

「だけど、それじゃ手伝っていた人間は、予定がずれ込み大変になるだろ?」

「だけど、洗濯の為だけに人手を補充するなんて、ご主人様にそんな迷惑をかけるだなんて……」

「お前なあ、へんな所で忖度してんじゃないよ!それを考えるのは俺の役目だろう」

「ですが……ご主人様は国の事や店の事で、本当に大変じゃないですか!洗濯の事で、わざわざ時間を取らせるなんて……」

「それが忖度っていうんだよ!何か困ったのならちゃんと報告しろ!そんなに俺は頼りないのか?」

「そんな事は絶対ないです!」

「だったら、ちゃんと報告しろ。リンダもマーサいいな?」

「「「はい……」」」

「それで、洗濯ってそんなに大変なのか?俺なら、クリーンの魔法ですぐなんだけど……洗濯ってどんな工程でやるんだ?」

 リンダ達の話しを聞き、ケンジは驚いたのだった。大きなタライに水を張って、手洗いしていたのだった。この方法は戦後、洗濯機が商品開発されるまでやっていた方法と同じであったのだ。

「本当にそんなことを、この家族の衣服を洗濯していたのか?」

 ケンジは、リンダの説明に絶句して、開いた口が塞がらなかったのだ。

「これでも、旦那様の水道のおかげで凄く楽になったんですよ」
「そうです!前は井戸から、滑車で水を汲み上げていたんですからね」
「町の主婦たちはそれだけでも楽になっているはずですよ!」

「ミナレス!こんなやり方をしてたら、手が足りないのは当たり前だ!本当にこういう事は相談しろよ!」

「ご、ごめんなさい!でも、洗濯だけで人員なんて相談できませんよ……」

 ケンジからしたら大変な作業だが、ミナレス達にはこれが普通であり、水道のおかげでだいぶんと楽になっていたのである。
 
「わかったよ!一日の洗濯で、どれくらいの人数が必要なんだ?」

「ご主人様!その為だけに、奴隷を購入するつもりですか?」

「だけど、これは必要な事だからな!何人必要だ?」

「わたし達が、頑張りますから!大丈夫です!」

「これから支店も増える!人員は、いくらいても無駄じゃないから!いいから何人だ?」

「1……いえ、5人いれば、まわると思います……」

 ケンジは、Freedom国に店を構えだしたばかりの奴隷商店に行き、廃棄寸前の奴隷を15人ほど契約したのである。そして、欠損して歩けない奴隷達を、馬車に乗せて屋敷に帰るのだった。

「君達には、ここで家事業務をやってもらいたい!」

「「「「「はい!」」」」」
「ご主人様の役に立ちたいと思います!」

 欠損奴隷だった全員を、ケンジは魔法で治し、奴隷達はいつものようにケンジに感謝し、涙を流しながら返事をしていたのだった。

「ご主人様……わたしは5人と言ったはずですが……」

「1……5人ほどいればって言ったじゃないか!」

「言ってません!1……いえ5人と言いなおしたんです!」

「まあ、いいじゃないか!あいつ等全員、掃除洗濯料理のスキルを持っている!あいつ等を頼んだぞ!」




 ケンジは、ミナレスの肩を叩き、錬金工房ではなく、鍛冶工房に入るのだった。



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