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第9章 Freedom国の発展!

38話 世界のバランス

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 グランパス王は、怒りに身が震えていたのだった。それもそのはずで、ケンジは一度王国の英雄とまで称えられたが、所詮は平民であり王族より下の立場なのである。
 王族からしたら、ケンジの行動はとてもじゃないが、受け入れがたいもので不敬罪になるのである。

「グランパス王の名のもとに、Freedom国に宣戦布告を……」

「国王!お待ちください‼それ以上は言ってはなりません!」

 そこで、グランパス王の息子の王太子が、大きな声を出したのだった。

「なんだ!キース‼お主はこの屈辱を止めると言うのか?」

「父上!その戦争はお待ちください‼」

「なぜだ!なぜ止める⁉」

「今、Freedom国と戦争を起こせば、それこそあの国の商品は王都には流通されなくなる事でしょう!そうなれば、やっと人口増加が認められた結果が、元に戻り財政難となるでしょう!」

「うぐっ!」

「そればかりか、一度生活水準が上がった平民達の不平不満が爆発し、暴動となったらどうするおつもりですか?」

「だが、あのケンジは王国を馬鹿にして……」

「そんなプライドは捨てるが得策です!父上は当初、Freedom国に対して不可侵で行くとおっしゃったはずです!私もその意見には賛成です。あの国は普通の国ではありません!」

「……」

「父上のプライドも大事ではありますが、ここは我慢をしていただき、あの国を利用し国力を上げた方がメリットが大きいはずです!」

 キース王太子は、かなり優秀で周りがよく見えている人物で、国王はもちろんの事、貴族達からも信頼されている人物であった。

「だが、このままあんな小国の言いなりになるのは……」

「父上!よくお考え下さい。もし戦争を起こしたとして、本当に勝ち目があるとお考えですか?」

「お前は何を言っておる!あんな5000人程度の小国が、我らグランパス王国が負けるどおりが、どこにあると言うのだ!」

「では、お尋ねします!あのケンジが、町やダンジョンを移動している時の従魔が、王国に攻め入った場合の対処法をお聞かせ願いたい!」

「何を言っておる!あの馬は確かに魔物ではあるが、たかがバトルホースではないか!そんなもの、王国騎士で十分で……」

「馬鹿な事を!国王よくお聞きください!あのバトルホースは上位変異種の魔物でございます!あの魔物は、SSランクの【ナイトメアバトルウォーホース】ですよ!」

「なっ⁉」

「仮に戦争を起こし、ケンジを討てたとしましょう!その結果、もし従魔であるあの魔物が従魔の枷がはずれ、スタンピードを起こした場合、王都だけでなく王国領が滅亡しても、おかしくない程の魔物なんですよ!」

「そ、それは、本当なのか⁉」

「いいですか?父上!あの国の対処法は、闇ギルドの判断が正しいです!悔しいのは私も同じですが、父上が当初判断したように、王国も又不可侵でいくのが正解です!」

 グランパス王は、奥歯を噛みしめキース王太子の言う事を考え、テーブルを思いっきり殴ったのであった。大きな音が鳴り、貴族達はビクッと体が跳ね上がるのだった。

「余の決裁を申し渡す……Freedom国の書簡にあった内容は、全面的に認め!以後、Freedom国の商品を利用し、国力を上げる事に尽力を注ぐ事とする!」

 この決定は、すぐさまFreedom国に謝罪として知らされたのである。その結果、ムシュダルクとランスロット達は、命を狙われることは無くなり、王国の闇は他言無用となったのである。
 そして、Freedom国にはいろんな商人や冒険者達が、拠点を移してきたのである。その中には、王国以外帝国や聖都教国、獣人国やエルフ国多種多様な国から移住してきたのである。
 なぜ、こんな事が起こったのか?その理由は、あのグランパス王国が5000人程の小国に謝罪した事、そしてその国の発明魔道具がないと立ちいかないという事が噂として広まったからである。

 つまり、グランパス王国という大国が、Freedom国に依存し立場的には、上位と証明されたからである。
 今、この地点に置き、Freedom国が安全であると証明された事と同じであり、強い国に移住を決めるのは当然と結果であった。

 そして、Freedom国にギルドの参入もあったのだが、すでにFreedom店がその役割を担っていて付け入るスキがなくなっており、ギルドがFreedom国に出店できなかったのも大きい点の一つである。
 多かれ少なかれ、ギルドへの不満があった冒険者や生産者達は、ここFreedom店の良心的な買取やサポートに満足していたのである。
 依頼が失敗した時の、違約金は報奨金の1割であり、ギルドのように7割というような事がないのである。冒険者達の武器が壊れた時のサポートもあり、レンタルサービスもFreedom店にはあるのだ。
 これには冒険者達も感動したのである。武器防具が無くなれば、冒険家業は成り立たないが、初心者の時はどんな事で失うかわからないのである。本来なら自分で買うしかなく、それがもとで奴隷に落とされる事もあるぐらい厳しい生活になるのだ。
 武器があれば、再起する可能性が格段と上がり、冒険者達から感謝されるぐらいのサポートであった。
 
 これらの事で、移住してくる平民や拠点をFreedom国に置く冒険者や商人が増えてくると、経済がまわり出し、最初この国に移住を決めた、テンペの町の住民達にしていた配給やサポートは打ち切っても良くなったのだ。
 そして、ケンジが驚いたのは商会が、続々と出店し始めてきて本店をこの町にしてきたのである。当然だが、メイガン商会もFreedom国が本店となり、出店し始めたのだった。

「坊主!ひさしぶりだな!」
「父さん!この国の王様ですよ!坊主なんて言ったら……」

「ガンスさん、お久しぶりです!メイガンさんもお久しぶりです」

「父のご無礼お許しください!」

 息子のメイガンは、恐縮し頭を下げるのだった。

「メイガンさんやめてくださいよ……ガンスさんとは、いつも通りの関係の方が俺も嬉しいですし、堅苦しいのは俺も望んではいません」

「さすが!坊主はわかっているなあぁ!がははははは!」

 ガンスは、ケンジの言葉に大笑いしていたのだった。

「それで、今日はどうかしたのですか?メイガンさんまで、訪問するとは驚きです」

「坊主!お主にはハラハラさせられすぎだよ!王国相手にいくらなんでもやりすぎだぞ!まあ、上手くいったからいいものだが……」

「えっ?ガンスさんも内容を知っているのですか?」

「まあ……大体はな。それによりグランパス王国より、Freedom国が立場が上だと言う事も、世間では噂になっておるよ」

「はぁ⁉どういう事ですか?」

「なんだ?当の本人は気づいておらんのか?最近、商会がいや商会だけでなく生産者や冒険者が、続々とこの国に移住してきてないか?」

「ムシュダルクさんどんな感じですか?」

「ええ!たしかに住人増加してますよ。外壁側の土地が、ドンドン買い手がつき売れていっております。その土地に家も建設され、大工職人も又新たな住人として増え、経済がまわってきておりますよ」

「言ってみたらだな!この国が商人の間では経済の中心になると、考えが出ておるぐらいなんだ!」

「まだまだ、小さい国ですよ?」

「坊主!商人の目をなめちゃいかんぞ。いずれこの国は発展するはずだ!その為に、わし達は報告に上がったんだからな!」

「報告ってどういう事ですか?」

「メイガン商会は、この国Freedom国に本店を移す事にした報告だよ」

「えっ⁉本店って移動って出来る物なの?本店って、一番最初に作った店が本店って事でしょ?」

「何を言っておるのだ!本店とは、一番売り上げが上がっている支店の事じゃないか!メイガン商会は、今は帝国領ブリュンガスの店が本店となっておるが、今では王都の支店の方が抜きそうなんだぞ」

「だったら、王都が本店なんでしょ?」

「いいや……近い将来、ここFreedom国メイガン商会が本店となるよ。間違いなくな!」
「それで、これからは私メイガンが帝国領からこの国に来る事となり、本店を取り仕切る事となったので挨拶しに来た次第です。これからもどうぞよろしくお願いします」

「それは、ご丁寧にありがとうございます」

「ケンジ様も、これからたいへんですよ!」

「ちょっとメイガンさん!その様と言うのは……今まで通り君でいいですよ。なんか変な感じです!」

「それはいくらなんでも、この国の王様に、ケンジ君なんて言えないですよ……」

「……それで大変って、どういう事ですか?」

「他の商会も続々この国に、本店を移してくるって事ですよ!」

「はっ?」

「その為の、挨拶がたくさん来ると言う事です。本店を移すと言う事は結構大変ですからね!」

 ケンジは、こうなる事を全然予想していなかったのである。そして、この事がまたギルドとの交戦が始まる事を!




 そして、話は変わるが、Freedom店ではちょっとした騒ぎが起こっていたのだった!

「エリス……やっと見つけた!」

「えっ⁉マードン様?どうしてここに?」

「どうしてって!お前をずっと探していたからに決まっているだろ!お前の主人に会わせてくれ!」

「会ってどうするおつもりですか?」

「そんなの当然!お前を引取り、俺の物に!」

「マードン様、このままお帰りになってください!わたくしは今のご主人様に恩義を感じ、これから先もずっとこのまま仕えとうございます!わたくしの事は諦めてください!」

「ば、馬鹿な!お前は元貴族だったはず、なのに……こんなところで働かされ、幸せなはずないだろうが!俺の側にきたら、今までのように貴族の暮らしをさせてやる!これ以上の暮らしをさせてやるから一緒に来るのだ!」

 マードンは、エリスの手首を掴もうとして、連れて行こうとしたのだった。その時、店の結界が働きバシッと音が鳴り、マードンの手が弾かれたのだった。

「痛っ‼なんだ?エリス、お前何をやったのだ?」




「申し訳ございません!貴族様少しよろしいでしょうか?」

 ユエティーが、マードンとエリスの間に割って入るのだった。

「この店では、従業員に暴力や誘拐など、出来ぬように結界がございます」

「無礼者が!この私が誘拐など!ちょっと手を引っ張ろうとしただけで……」

「今、連れ去ろうとした為、結界が作動したしだいです。お気を付けを!」

「むぐぐぐ!」

「一応警告はしておきますが、暴力はおやめくださいね。暴力を繰り出した瞬間、転移させられ牢屋に閉じ込められますので注意してください」

「なっ!貴族を牢屋にだと、不敬罪に処すぞ!」

「いえ!あくまでも、そちらが何もしなければ何も起こりません!」

「むぐぐぐ!生意気な!奴隷のくせしやがって!」

「エリスのお前の主人と会わせろ!交渉したい!」

「マードン様止めてください‼わたくしはこのままで幸せなのです。今のご主人様に生涯尽くしとうございます!」

「エリス‼お前の今の立場は特別奴隷だ!ここからは主人との話し合いだ。お前の意思がどうこう等関係ない」

「……」

「そこのお前!エリスの主人に会わせてくれ!もし都合が悪いのなら、日を改めても良いが!」

 ユエティーは、この貴族マードンはただ傲慢でない礼儀をわきまえた貴族だと判断したのであった。今までなら、奴隷が言う事を聞くのが当たり前だと、暴れて牢屋に転送されていたのだが、こちらの都合を聞いてきたのである。

「貴族様、少々お待ちください……今すぐに、主に連絡させていただきます。こちらへどうぞ!」

「ユエティー!わたくしは、どんな事があろうとも……」

「待ちなさい!この貴族様は、日を改めるとまで礼儀をしてくださいました。それならば、私達がここでどうこうするのではなく、ご主人様にお目通りをして頂いた方が、お互い納得して頂けるという物です!」

「うむ!奴隷にしては、わかっておるではないか!そういう事なら、さっきの無礼はなかった事とし、許して遣わそう!」

 ユエティーは、この貴族マードンを客室に案内し、ケンジを呼びに行くのであった。



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