336 / 619
第9章 Freedom国の発展!
1話 それぞれの想い
しおりを挟む
ケンジは、Freedom国に移住を決めた、生産者達に仕事を振り分けた。まず、農家をやりたいという者には土地を貸し出した。
「ケンジ様!貸していただいた土地なのですが、お金が全然ないのです……」
「とりあえず、お金が出来てからでいいよ。今は、みんなで我慢する期間だ!」
それを聞いた、農家の人達は感謝したのである。ケンジは、まず生産者達が生産力を上げてくれるまで待つつもりでいたのである。
「ケンジ様!わたしも農家をやろうと思うのだが、器具を貸し出してもらえないだろうか?」
「「「「「えっ?」」」」」
その場に残った、人間すべてが驚いたのである。
「ムシュダルク様!本気ですか?」
「ケンジ様!私に、様はもう止めてくださいませんか?私はすでに平民で、今は自分の家族を食わせていけるかどうかの人間です……」
「あの……ムシュダルクさん。申し訳ないですが……貴方には多分農家は無理かと思います……今まで、貴族で暮らしていたのでノウハウがありません」
「そんな事を言われても、私達も生活がある!なんとかしてこの状況を……」
「まあ、待ってくださいよ!俺の提案を、聞いてからでも遅くはないと思いますよ」
ケンジは、ムシュダルクの言い分を遮って、話を続けるのである。
「俺は、最初ムシュダルクさんは、絶対王都に移住すると思ってたんですよ。だけど、この国に移住すると聞いて驚いたのと、同時に嬉しく思ったんです」
「それは、私の方が嬉しく思ったよ。命を助けてくれたんだから……」
「で、俺は思ったんですが、ムシュダルクさんには今までの経験を活かせる、仕事をしてもらった方がいいと思いまして……どうです?この国の内政をやってみませんか?」
「はっ?」
「はっ?じゃなくて、今までやっていた内政ですよ。得意分野でしょ?ムシュダルクさんが、農家をやるより断然能力を活かせれると思うんですよ」
「ほ、本当にいいのか?私に取ったらありがたい事この上ないよ!」
「ですが、今までの様に給料が減ってしまうかもしれません……それでもいいですか?」
「何を言っているんだ!家族の命を救ってもらい、ここにきて、あんなに大きな屋敷までもう貰っている。これ以上我儘なんか言えるわけないよ」
ムシュダルク一家は、平民達から人気のある貴族だった為、抽選なんかさせず、町の中にあった一番大きな屋敷を貰っていたのである。
そして、屋敷の管理はムシュダルクを慕って、今までムシュダルクの家で働いていた使用人達も又、この国に移住していて、そのまま働きたいと言っていたのである。
「じゃあ、給金の事は後で話すとして、ムシュダルクさんには内政を頼んでもよろしいですか?」
「私としても、願ったりかなったりです。どうぞよろしくお願いします」
こうして、ケンジは最初不安に思っていた国づくりに関して、必要な人材が移住してくれた事により解決する事となった。
ケンジは、ムシュダルクが正義感のある貴族だったのもあり、すんなり信じる事が出来て、なによりこの国に入れるという事で善政をしてくれると思ったのだ。
すると、次は騎士団の面々が、ケンジに話しかけてきたのだった。
「ケンジ殿……我々は今まで、主君の為に町を守ってきた。今度はこの町を守らせてくれないか?」
「いや……この町に守衛は多分いらないだろう!」
「そ、それでは私達は何が出来る?自慢じゃないがこれまでこの仕事しかやってこなかったのだ……今更生産職など自信がない……」
「待て待て!言葉が足りなかったよ。貴方達は、これから作る街道を見回る仕事なんかどうだ?」
「それはどういう物なのですか?」
「この地域は、グランパス王国がまだ開発できなかった、土地なのは知っているだろ?
「えぇ……」
「って事はだ!もし街道を作り、ここまでの道のりを作ったとしても、魔物が出現頻度があがり、人の往来が増えないと危険も起こりやすいだろ?」
「そういう事になりますね」
「だから、今から作ろうとしている、この町への街道の警備なんかどうだ?当然、今までの様に町の門を守るより、危険度は増えるがどうだ?」
ランスロットは、剣を握る事で町の役に立てるというなら、願がったり叶ったりという事で、すぐに承諾するのであった。
このイズモ大陸、つまり日本と同じ形をしている島国の街道は、聖都日本で言う東京から伸びていて、東海道と同じように伸びているのである。
そして、Freedom国は日本でいうと、滋賀県米原の辺りに位置する場所なので、町から南に街道を伸ばし、東海道と繋げてしまおうという計画をしていたのだ。
ランスロット達には、東海道から北に延びるこの町までの、街道をいくつか中間地点に兵舎を作る事で、安全に旅ができるようにしようとしたのである。
そして、まずはこの町に流通を起こす為に、伐採している大工職人達に、森を切り開くように指示を出したのだった。
ガイアースで、森を切り開く行為は、本当に大変な事業になる。その理由はまず魔物と盗賊による弊害である。
作業をしていると、木を切り倒す音により魔物が寄ってきてしまうのだ。それにより、工期が遅れ中々順調に進まないのである。そして油断をすると盗賊達に夜襲など受け、作業員に犠牲者が出ると人手が足りなくなるのだ。
そして、もう一つ厄介な事があるのだ。ガイアースでは地球と違い魔素のおかげで、材木だけでなく薬草や自生している素材が早いものだと1か月程で元通りになってしまうのである。
これは、採取する分にはありがたいのだが、反対に切り開くとなればこれほど大変な事はないのである。
森を切り開くには、まず伐採し木を切り倒し、この切り株を完全に掘り起こさないといけないのである。そうじゃないと魔素の影響で切り株から元通りに復活してしまうのである。
つまり、伐採の作業中に魔物に襲われ、怪我でもしようものなら、作業員が不足し作業工程が遅れ、その間に樹が元通りになってしまうのだ。
その為、普通は木を一本づつ切り倒して、そのたびに切り株を掘り起こし、ガーデニングのスキルを持っている者が、樹の根を完全に腐らせる作業工程をするのである。そうする事で、森は切り開く事が出来るのである。
「それじゃ!みんな、これから伐採はこの南の方向に向けて頼むぞ」
「ランスロット達は、交代で作業員達を護衛をよろしく頼んだぞ」
「分かりました!任せておいてください」
ケンジは、ランスロット達元王国騎士団にそのように指示を出すのだった。だが、この地域はまだ強力な魔物がいつ出てもおかしくないので、ギル達にも護衛指示を出すのだったが、本当に強力な魔物以外は、ランスロット達に任せるようにと言ったのだ。
これは、ランスロット達にもレベルアップをしてもらう為であった。街道が出来たあかつきには、街道を巡回してもらう為、少しでも強くなって貰わないといけないからである。
そして、次にケンジは鍛冶工房に行き、ダンギとシェムにランスロット達が、装備する武器と防具を作る様にと指示を出したのである。
ランスロット達が装備している物は、王国から支給されている物で、団長や隊長の装備品は青鉱石で作られたものだが部下の者は鋼鉄の鎧だったのである。
その為、ここでは少し攻撃力や防御力が物足りないと感じたのである。なので、部下の装備品をミスリルで作ろうと思ったのである。
そして、団長ランスロットと隊長の分は、ケンジ自らオリハルコンで作ろうと思ったのである。この装備があれば十分巡回ができる、力量を騎士団は持っていると判断したのである。
「主殿!ランスロットに、そんな上等な装備を与えるのか?」
「ああ!なんかおかしいか?」
「いや……そうじゃないんだが、もし与えてどこかに雲隠れとかされたらどうするんだ?」
「その装備は、それだけ価値のある装備だぞ!」
「ああ……なるほどな!だが、俺はこの国に来た住人達を信じるよ。この装備は、与える物じゃないし支給品だよ。もし、それで裏切るような事があれば窃盗になるし、この国にはもう入れなくなるから諦めもつくよ」
「まあ、主殿がいうのならいいんだけどな」
「まあまあ!最初から俺も、他人を疑って付き合ったりはしないよ」
「主らしい考え方だな!がははははは!」
そういって、ケンジとダンギ達は笑っていたのだった。
鍛冶工房で働き、少し休憩していたケンジに、近づいてくる人物達がいたのである。
「あ、あの……ケンジ様、少しよろしいでしょうか?」
近づいてきたのは、テンペの町で働いていたギルド職員達であった。
「ん?どうかしたのか?」
「私達を、ケンジ様の店で雇っていただけませんか?接客なら私達でも出来ると思います!」
元ギルド職員達だけが、この国に来てやる事が決まっていなかったのである。ギルド職員達はテンペの町ではケンジに迷惑ばかりかけていた為、話しかけづらかったので、困った事があれば相談してくれと言われたが出来ないでいたのだ。
だが、自分達に農家などはできないし、かといって騎士団の様に町を守る事も出来ないのだ。このままでは何もできない事となり、勇気を出してケンジに頼み、店で働かせてくれるようにお願いしに来たのだった。
「申し訳ない!店で働かせることはできない!店の商品は秘密事がいっぱいあるのは、君達も知っているだろ?」
「だけど、私達に出来る事と言えば、店で働く事ぐらいしか……お願いします!私達を店で働かせてください!」
「それは、本当に勘弁してくれ!君達が、俺の奴隷となるというのなら、店の従業員になってもらうんだが、それは嫌だろ?」
「そ、それは……それでは私達は、ケンジ様に見捨てられるのですか?」
「いや、どうしようかと悩んでていたのだが、やっぱりこれしかないと思ってたんだよ」
「えーっと何をすればよろしいのですか?」
「この町で流通が始まったら、最初はこの店と行商相手の、窓口業務をやってみないか?」
「えーっと……どういう事でしょうか?」
「つまりだな!初めは売り上げという物はないんだが、行商相手にこの町で作られた野菜とか、冒険者が取ってきた素材などがあるだろ?それらを行商に販売するんだ」
「はい!」
「そして、これからこの町に移住してくる、一般市民や冒険者生産者が出てくるだろ?」
元ギルド職員達は、興味津々でケンジの説明を聞いていたのだ。
「そうなると、暮らしの為に素材を売りに来る者達がいるはずだ!その買い取り業務として、俺の店で働いてはどうかとおもうんだ」
「それって、ケンジ様の商品は売る事はできないという事ですか?」
「そういう事となるな。要はこの国で、君達はギルドにいた時と、同じ業務をしていく事となる」
「「「「えっ?」」」」
「前に、流通が始まれば、ギルドが進出してくると言っていただろ?」
「言ってましたね」
「先に君達が、独自にギルドと同じシステムを、やればどうかと思ってな」
「本当によろしいのですか?」
「要は、町に人が住み始めたら、ギルドという存在は必要不可欠となる。最初は、この町の住民達からの買い取り業務だけだが、そのうち移り住む人間が多くなってくるはずだ!」
その説明を聞き、元ギルド職員達は興奮してくるのだった。
「そうなった時、今までの様にギルドとして働いてくれたらどうかと思ってな。俺も、今あるギルドがこの国に進出してくるのは避けたいところなんだ」
「た、確かに!私達も、もうあのギルドでは働きたくないし、ケンジ様の提案に乗らせていただいてもよろしいですか?」
「ああ!よろしく頼む」
「ありがとうございます!」
元ギルド職員達は、ケンジの提案に乗りお礼を言い、買い取り業務を始めたのである。農家からは出来たばかりの野菜類や果物、冒険者達からは魔物の素材や秘薬や薬草などを買い取り、ケンジの店で他の町から買い物に来た、お客様に販売という流通が出来上がるのである。
Freedom国の中では、八百屋の経験者や服屋など、肉串の屋台等次々と出来上がっていくのである。Freedom国の中で、どんどん流通が発展していく事となるのだ。
「ケンジ様!貸していただいた土地なのですが、お金が全然ないのです……」
「とりあえず、お金が出来てからでいいよ。今は、みんなで我慢する期間だ!」
それを聞いた、農家の人達は感謝したのである。ケンジは、まず生産者達が生産力を上げてくれるまで待つつもりでいたのである。
「ケンジ様!わたしも農家をやろうと思うのだが、器具を貸し出してもらえないだろうか?」
「「「「「えっ?」」」」」
その場に残った、人間すべてが驚いたのである。
「ムシュダルク様!本気ですか?」
「ケンジ様!私に、様はもう止めてくださいませんか?私はすでに平民で、今は自分の家族を食わせていけるかどうかの人間です……」
「あの……ムシュダルクさん。申し訳ないですが……貴方には多分農家は無理かと思います……今まで、貴族で暮らしていたのでノウハウがありません」
「そんな事を言われても、私達も生活がある!なんとかしてこの状況を……」
「まあ、待ってくださいよ!俺の提案を、聞いてからでも遅くはないと思いますよ」
ケンジは、ムシュダルクの言い分を遮って、話を続けるのである。
「俺は、最初ムシュダルクさんは、絶対王都に移住すると思ってたんですよ。だけど、この国に移住すると聞いて驚いたのと、同時に嬉しく思ったんです」
「それは、私の方が嬉しく思ったよ。命を助けてくれたんだから……」
「で、俺は思ったんですが、ムシュダルクさんには今までの経験を活かせる、仕事をしてもらった方がいいと思いまして……どうです?この国の内政をやってみませんか?」
「はっ?」
「はっ?じゃなくて、今までやっていた内政ですよ。得意分野でしょ?ムシュダルクさんが、農家をやるより断然能力を活かせれると思うんですよ」
「ほ、本当にいいのか?私に取ったらありがたい事この上ないよ!」
「ですが、今までの様に給料が減ってしまうかもしれません……それでもいいですか?」
「何を言っているんだ!家族の命を救ってもらい、ここにきて、あんなに大きな屋敷までもう貰っている。これ以上我儘なんか言えるわけないよ」
ムシュダルク一家は、平民達から人気のある貴族だった為、抽選なんかさせず、町の中にあった一番大きな屋敷を貰っていたのである。
そして、屋敷の管理はムシュダルクを慕って、今までムシュダルクの家で働いていた使用人達も又、この国に移住していて、そのまま働きたいと言っていたのである。
「じゃあ、給金の事は後で話すとして、ムシュダルクさんには内政を頼んでもよろしいですか?」
「私としても、願ったりかなったりです。どうぞよろしくお願いします」
こうして、ケンジは最初不安に思っていた国づくりに関して、必要な人材が移住してくれた事により解決する事となった。
ケンジは、ムシュダルクが正義感のある貴族だったのもあり、すんなり信じる事が出来て、なによりこの国に入れるという事で善政をしてくれると思ったのだ。
すると、次は騎士団の面々が、ケンジに話しかけてきたのだった。
「ケンジ殿……我々は今まで、主君の為に町を守ってきた。今度はこの町を守らせてくれないか?」
「いや……この町に守衛は多分いらないだろう!」
「そ、それでは私達は何が出来る?自慢じゃないがこれまでこの仕事しかやってこなかったのだ……今更生産職など自信がない……」
「待て待て!言葉が足りなかったよ。貴方達は、これから作る街道を見回る仕事なんかどうだ?」
「それはどういう物なのですか?」
「この地域は、グランパス王国がまだ開発できなかった、土地なのは知っているだろ?
「えぇ……」
「って事はだ!もし街道を作り、ここまでの道のりを作ったとしても、魔物が出現頻度があがり、人の往来が増えないと危険も起こりやすいだろ?」
「そういう事になりますね」
「だから、今から作ろうとしている、この町への街道の警備なんかどうだ?当然、今までの様に町の門を守るより、危険度は増えるがどうだ?」
ランスロットは、剣を握る事で町の役に立てるというなら、願がったり叶ったりという事で、すぐに承諾するのであった。
このイズモ大陸、つまり日本と同じ形をしている島国の街道は、聖都日本で言う東京から伸びていて、東海道と同じように伸びているのである。
そして、Freedom国は日本でいうと、滋賀県米原の辺りに位置する場所なので、町から南に街道を伸ばし、東海道と繋げてしまおうという計画をしていたのだ。
ランスロット達には、東海道から北に延びるこの町までの、街道をいくつか中間地点に兵舎を作る事で、安全に旅ができるようにしようとしたのである。
そして、まずはこの町に流通を起こす為に、伐採している大工職人達に、森を切り開くように指示を出したのだった。
ガイアースで、森を切り開く行為は、本当に大変な事業になる。その理由はまず魔物と盗賊による弊害である。
作業をしていると、木を切り倒す音により魔物が寄ってきてしまうのだ。それにより、工期が遅れ中々順調に進まないのである。そして油断をすると盗賊達に夜襲など受け、作業員に犠牲者が出ると人手が足りなくなるのだ。
そして、もう一つ厄介な事があるのだ。ガイアースでは地球と違い魔素のおかげで、材木だけでなく薬草や自生している素材が早いものだと1か月程で元通りになってしまうのである。
これは、採取する分にはありがたいのだが、反対に切り開くとなればこれほど大変な事はないのである。
森を切り開くには、まず伐採し木を切り倒し、この切り株を完全に掘り起こさないといけないのである。そうじゃないと魔素の影響で切り株から元通りに復活してしまうのである。
つまり、伐採の作業中に魔物に襲われ、怪我でもしようものなら、作業員が不足し作業工程が遅れ、その間に樹が元通りになってしまうのだ。
その為、普通は木を一本づつ切り倒して、そのたびに切り株を掘り起こし、ガーデニングのスキルを持っている者が、樹の根を完全に腐らせる作業工程をするのである。そうする事で、森は切り開く事が出来るのである。
「それじゃ!みんな、これから伐採はこの南の方向に向けて頼むぞ」
「ランスロット達は、交代で作業員達を護衛をよろしく頼んだぞ」
「分かりました!任せておいてください」
ケンジは、ランスロット達元王国騎士団にそのように指示を出すのだった。だが、この地域はまだ強力な魔物がいつ出てもおかしくないので、ギル達にも護衛指示を出すのだったが、本当に強力な魔物以外は、ランスロット達に任せるようにと言ったのだ。
これは、ランスロット達にもレベルアップをしてもらう為であった。街道が出来たあかつきには、街道を巡回してもらう為、少しでも強くなって貰わないといけないからである。
そして、次にケンジは鍛冶工房に行き、ダンギとシェムにランスロット達が、装備する武器と防具を作る様にと指示を出したのである。
ランスロット達が装備している物は、王国から支給されている物で、団長や隊長の装備品は青鉱石で作られたものだが部下の者は鋼鉄の鎧だったのである。
その為、ここでは少し攻撃力や防御力が物足りないと感じたのである。なので、部下の装備品をミスリルで作ろうと思ったのである。
そして、団長ランスロットと隊長の分は、ケンジ自らオリハルコンで作ろうと思ったのである。この装備があれば十分巡回ができる、力量を騎士団は持っていると判断したのである。
「主殿!ランスロットに、そんな上等な装備を与えるのか?」
「ああ!なんかおかしいか?」
「いや……そうじゃないんだが、もし与えてどこかに雲隠れとかされたらどうするんだ?」
「その装備は、それだけ価値のある装備だぞ!」
「ああ……なるほどな!だが、俺はこの国に来た住人達を信じるよ。この装備は、与える物じゃないし支給品だよ。もし、それで裏切るような事があれば窃盗になるし、この国にはもう入れなくなるから諦めもつくよ」
「まあ、主殿がいうのならいいんだけどな」
「まあまあ!最初から俺も、他人を疑って付き合ったりはしないよ」
「主らしい考え方だな!がははははは!」
そういって、ケンジとダンギ達は笑っていたのだった。
鍛冶工房で働き、少し休憩していたケンジに、近づいてくる人物達がいたのである。
「あ、あの……ケンジ様、少しよろしいでしょうか?」
近づいてきたのは、テンペの町で働いていたギルド職員達であった。
「ん?どうかしたのか?」
「私達を、ケンジ様の店で雇っていただけませんか?接客なら私達でも出来ると思います!」
元ギルド職員達だけが、この国に来てやる事が決まっていなかったのである。ギルド職員達はテンペの町ではケンジに迷惑ばかりかけていた為、話しかけづらかったので、困った事があれば相談してくれと言われたが出来ないでいたのだ。
だが、自分達に農家などはできないし、かといって騎士団の様に町を守る事も出来ないのだ。このままでは何もできない事となり、勇気を出してケンジに頼み、店で働かせてくれるようにお願いしに来たのだった。
「申し訳ない!店で働かせることはできない!店の商品は秘密事がいっぱいあるのは、君達も知っているだろ?」
「だけど、私達に出来る事と言えば、店で働く事ぐらいしか……お願いします!私達を店で働かせてください!」
「それは、本当に勘弁してくれ!君達が、俺の奴隷となるというのなら、店の従業員になってもらうんだが、それは嫌だろ?」
「そ、それは……それでは私達は、ケンジ様に見捨てられるのですか?」
「いや、どうしようかと悩んでていたのだが、やっぱりこれしかないと思ってたんだよ」
「えーっと何をすればよろしいのですか?」
「この町で流通が始まったら、最初はこの店と行商相手の、窓口業務をやってみないか?」
「えーっと……どういう事でしょうか?」
「つまりだな!初めは売り上げという物はないんだが、行商相手にこの町で作られた野菜とか、冒険者が取ってきた素材などがあるだろ?それらを行商に販売するんだ」
「はい!」
「そして、これからこの町に移住してくる、一般市民や冒険者生産者が出てくるだろ?」
元ギルド職員達は、興味津々でケンジの説明を聞いていたのだ。
「そうなると、暮らしの為に素材を売りに来る者達がいるはずだ!その買い取り業務として、俺の店で働いてはどうかとおもうんだ」
「それって、ケンジ様の商品は売る事はできないという事ですか?」
「そういう事となるな。要はこの国で、君達はギルドにいた時と、同じ業務をしていく事となる」
「「「「えっ?」」」」
「前に、流通が始まれば、ギルドが進出してくると言っていただろ?」
「言ってましたね」
「先に君達が、独自にギルドと同じシステムを、やればどうかと思ってな」
「本当によろしいのですか?」
「要は、町に人が住み始めたら、ギルドという存在は必要不可欠となる。最初は、この町の住民達からの買い取り業務だけだが、そのうち移り住む人間が多くなってくるはずだ!」
その説明を聞き、元ギルド職員達は興奮してくるのだった。
「そうなった時、今までの様にギルドとして働いてくれたらどうかと思ってな。俺も、今あるギルドがこの国に進出してくるのは避けたいところなんだ」
「た、確かに!私達も、もうあのギルドでは働きたくないし、ケンジ様の提案に乗らせていただいてもよろしいですか?」
「ああ!よろしく頼む」
「ありがとうございます!」
元ギルド職員達は、ケンジの提案に乗りお礼を言い、買い取り業務を始めたのである。農家からは出来たばかりの野菜類や果物、冒険者達からは魔物の素材や秘薬や薬草などを買い取り、ケンジの店で他の町から買い物に来た、お客様に販売という流通が出来上がるのである。
Freedom国の中では、八百屋の経験者や服屋など、肉串の屋台等次々と出来上がっていくのである。Freedom国の中で、どんどん流通が発展していく事となるのだ。
10
お気に入りに追加
2,454
あなたにおすすめの小説
おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~
暇人太一
ファンタジー
大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。
白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。
勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。
転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。
それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。
魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。
小説家になろう様でも投稿始めました。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!
本条蒼依
ファンタジー
主人公クロスは、マスターで聞いた事のない職業だが、Eランクという最低ランクの職業を得た。
そして、差別を受けた田舎を飛び出し、冒険者ギルドに所属しポーターとして生活をしていたが、
同じパーティーメンバーからも疎まれている状況で話は始まる。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる