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第9章 Freedom国の発展!

1話 それぞれの想い

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 ケンジは、Freedom国に移住を決めた、生産者達に仕事を振り分けた。まず、農家をやりたいという者には土地を貸し出した。

「ケンジ様!貸していただいた土地なのですが、お金が全然ないのです……」

「とりあえず、お金が出来てからでいいよ。今は、みんなで我慢する期間だ!」

 それを聞いた、農家の人達は感謝したのである。ケンジは、まず生産者達が生産力を上げてくれるまで待つつもりでいたのである。



「ケンジ様!わたしも農家をやろうと思うのだが、器具を貸し出してもらえないだろうか?」

「「「「「えっ?」」」」」

 その場に残った、人間すべてが驚いたのである。

「ムシュダルク様!本気ですか?」

「ケンジ様!私に、様はもう止めてくださいませんか?私はすでに平民で、今は自分の家族を食わせていけるかどうかの人間です……」

「あの……ムシュダルクさん。申し訳ないですが……貴方には多分農家は無理かと思います……今まで、貴族で暮らしていたのでノウハウがありません」

「そんな事を言われても、私達も生活がある!なんとかしてこの状況を……」

「まあ、待ってくださいよ!俺の提案を、聞いてからでも遅くはないと思いますよ」

 ケンジは、ムシュダルクの言い分を遮って、話を続けるのである。

「俺は、最初ムシュダルクさんは、絶対王都に移住すると思ってたんですよ。だけど、この国に移住すると聞いて驚いたのと、同時に嬉しく思ったんです」

「それは、私の方が嬉しく思ったよ。命を助けてくれたんだから……」

「で、俺は思ったんですが、ムシュダルクさんには今までの経験を活かせる、仕事をしてもらった方がいいと思いまして……どうです?この国の内政をやってみませんか?」

「はっ?」

「はっ?じゃなくて、今までやっていた内政ですよ。得意分野でしょ?ムシュダルクさんが、農家をやるより断然能力を活かせれると思うんですよ」

「ほ、本当にいいのか?私に取ったらありがたい事この上ないよ!」

「ですが、今までの様に給料が減ってしまうかもしれません……それでもいいですか?」

「何を言っているんだ!家族の命を救ってもらい、ここにきて、あんなに大きな屋敷までもう貰っている。これ以上我儘なんか言えるわけないよ」

 ムシュダルク一家は、平民達から人気のある貴族だった為、抽選なんかさせず、町の中にあった一番大きな屋敷を貰っていたのである。
 そして、屋敷の管理はムシュダルクを慕って、今までムシュダルクの家で働いていた使用人達も又、この国に移住していて、そのまま働きたいと言っていたのである。

「じゃあ、給金の事は後で話すとして、ムシュダルクさんには内政を頼んでもよろしいですか?」

「私としても、願ったりかなったりです。どうぞよろしくお願いします」

 こうして、ケンジは最初不安に思っていた国づくりに関して、必要な人材が移住してくれた事により解決する事となった。
 ケンジは、ムシュダルクが正義感のある貴族だったのもあり、すんなり信じる事が出来て、なによりこの国に入れるという事で善政をしてくれると思ったのだ。

 すると、次は騎士団の面々が、ケンジに話しかけてきたのだった。

「ケンジ殿……我々は今まで、主君の為に町を守ってきた。今度はこの町を守らせてくれないか?」

「いや……この町に守衛は多分いらないだろう!」

「そ、それでは私達は何が出来る?自慢じゃないがこれまでこの仕事しかやってこなかったのだ……今更生産職など自信がない……」

「待て待て!言葉が足りなかったよ。貴方達は、これから作る街道を見回る仕事なんかどうだ?」

「それはどういう物なのですか?」

「この地域は、グランパス王国がまだ開発できなかった、土地なのは知っているだろ?

「えぇ……」

「って事はだ!もし街道を作り、ここまでの道のりを作ったとしても、魔物が出現頻度があがり、人の往来が増えないと危険も起こりやすいだろ?」

「そういう事になりますね」

「だから、今から作ろうとしている、この町への街道の警備なんかどうだ?当然、今までの様に町の門を守るより、危険度は増えるがどうだ?」

 ランスロットは、剣を握る事で町の役に立てるというなら、願がったり叶ったりという事で、すぐに承諾するのであった。

 このイズモ大陸、つまり日本と同じ形をしている島国の街道は、聖都日本で言う東京から伸びていて、東海道と同じように伸びているのである。
 そして、Freedom国は日本でいうと、滋賀県米原の辺りに位置する場所なので、町から南に街道を伸ばし、東海道と繋げてしまおうという計画をしていたのだ。
 ランスロット達には、東海道から北に延びるこの町までの、街道をいくつか中間地点に兵舎を作る事で、安全に旅ができるようにしようとしたのである。

 そして、まずはこの町に流通を起こす為に、伐採している大工職人達に、森を切り開くように指示を出したのだった。


 ガイアースで、森を切り開く行為は、本当に大変な事業になる。その理由はまず魔物と盗賊による弊害である。

 作業をしていると、木を切り倒す音により魔物が寄ってきてしまうのだ。それにより、工期が遅れ中々順調に進まないのである。そして油断をすると盗賊達に夜襲など受け、作業員に犠牲者が出ると人手が足りなくなるのだ。

 そして、もう一つ厄介な事があるのだ。ガイアースでは地球と違い魔素のおかげで、材木だけでなく薬草や自生している素材が早いものだと1か月程で元通りになってしまうのである。

 これは、採取する分にはありがたいのだが、反対に切り開くとなればこれほど大変な事はないのである。

 森を切り開くには、まず伐採し木を切り倒し、この切り株を完全に掘り起こさないといけないのである。そうじゃないと魔素の影響で切り株から元通りに復活してしまうのである。
 つまり、伐採の作業中に魔物に襲われ、怪我でもしようものなら、作業員が不足し作業工程が遅れ、その間に樹が元通りになってしまうのだ。
 その為、普通は木を一本づつ切り倒して、そのたびに切り株を掘り起こし、ガーデニングのスキルを持っている者が、樹の根を完全に腐らせる作業工程をするのである。そうする事で、森は切り開く事が出来るのである。

「それじゃ!みんな、これから伐採はこの南の方向に向けて頼むぞ」

「ランスロット達は、交代で作業員達を護衛をよろしく頼んだぞ」

「分かりました!任せておいてください」

 ケンジは、ランスロット達元王国騎士団にそのように指示を出すのだった。だが、この地域はまだ強力な魔物がいつ出てもおかしくないので、ギル達にも護衛指示を出すのだったが、本当に強力な魔物以外は、ランスロット達に任せるようにと言ったのだ。
 これは、ランスロット達にもレベルアップをしてもらう為であった。街道が出来たあかつきには、街道を巡回してもらう為、少しでも強くなって貰わないといけないからである。

 そして、次にケンジは鍛冶工房に行き、ダンギとシェムにランスロット達が、装備する武器と防具を作る様にと指示を出したのである。
 ランスロット達が装備している物は、王国から支給されている物で、団長や隊長の装備品は青鉱石で作られたものだが部下の者は鋼鉄の鎧だったのである。
 その為、ここでは少し攻撃力や防御力が物足りないと感じたのである。なので、部下の装備品をミスリルで作ろうと思ったのである。

 そして、団長ランスロットと隊長の分は、ケンジ自らオリハルコンで作ろうと思ったのである。この装備があれば十分巡回ができる、力量を騎士団は持っていると判断したのである。

「主殿!ランスロットに、そんな上等な装備を与えるのか?」

「ああ!なんかおかしいか?」

「いや……そうじゃないんだが、もし与えてどこかに雲隠れとかされたらどうするんだ?」

「その装備は、それだけ価値のある装備だぞ!」

「ああ……なるほどな!だが、俺はこの国に来た住人達を信じるよ。この装備は、与える物じゃないし支給品だよ。もし、それで裏切るような事があれば窃盗になるし、この国にはもう入れなくなるから諦めもつくよ」

「まあ、主殿がいうのならいいんだけどな」

「まあまあ!最初から俺も、他人を疑って付き合ったりはしないよ」

「主らしい考え方だな!がははははは!」

 そういって、ケンジとダンギ達は笑っていたのだった。

 鍛冶工房で働き、少し休憩していたケンジに、近づいてくる人物達がいたのである。

「あ、あの……ケンジ様、少しよろしいでしょうか?」

 近づいてきたのは、テンペの町で働いていたギルド職員達であった。

「ん?どうかしたのか?」

「私達を、ケンジ様の店で雇っていただけませんか?接客なら私達でも出来ると思います!」

 元ギルド職員達だけが、この国に来てやる事が決まっていなかったのである。ギルド職員達はテンペの町ではケンジに迷惑ばかりかけていた為、話しかけづらかったので、困った事があれば相談してくれと言われたが出来ないでいたのだ。
 だが、自分達に農家などはできないし、かといって騎士団の様に町を守る事も出来ないのだ。このままでは何もできない事となり、勇気を出してケンジに頼み、店で働かせてくれるようにお願いしに来たのだった。

「申し訳ない!店で働かせることはできない!店の商品は秘密事がいっぱいあるのは、君達も知っているだろ?」

「だけど、私達に出来る事と言えば、店で働く事ぐらいしか……お願いします!私達を店で働かせてください!」

「それは、本当に勘弁してくれ!君達が、俺の奴隷となるというのなら、店の従業員になってもらうんだが、それは嫌だろ?」

「そ、それは……それでは私達は、ケンジ様に見捨てられるのですか?」

「いや、どうしようかと悩んでていたのだが、やっぱりこれしかないと思ってたんだよ」

「えーっと何をすればよろしいのですか?」

「この町で流通が始まったら、最初はこの店と行商相手の、窓口業務をやってみないか?」

「えーっと……どういう事でしょうか?」

「つまりだな!初めは売り上げという物はないんだが、行商相手にこの町で作られた野菜とか、冒険者が取ってきた素材などがあるだろ?それらを行商に販売するんだ」

「はい!」

「そして、これからこの町に移住してくる、一般市民や冒険者生産者が出てくるだろ?」

 元ギルド職員達は、興味津々でケンジの説明を聞いていたのだ。

「そうなると、暮らしの為に素材を売りに来る者達がいるはずだ!その買い取り業務として、俺の店で働いてはどうかとおもうんだ」

「それって、ケンジ様の商品は売る事はできないという事ですか?」

「そういう事となるな。要はこの国で、君達はギルドにいた時と、同じ業務をしていく事となる」

「「「「えっ?」」」」

「前に、流通が始まれば、ギルドが進出してくると言っていただろ?」

「言ってましたね」

「先に君達が、独自にギルドと同じシステムを、やればどうかと思ってな」

「本当によろしいのですか?」

「要は、町に人が住み始めたら、ギルドという存在は必要不可欠となる。最初は、この町の住民達からの買い取り業務だけだが、そのうち移り住む人間が多くなってくるはずだ!」

 その説明を聞き、元ギルド職員達は興奮してくるのだった。

「そうなった時、今までの様にギルドとして働いてくれたらどうかと思ってな。俺も、今あるギルドがこの国に進出してくるのは避けたいところなんだ」

「た、確かに!私達も、もうあのギルドでは働きたくないし、ケンジ様の提案に乗らせていただいてもよろしいですか?」

「ああ!よろしく頼む」

「ありがとうございます!」

 元ギルド職員達は、ケンジの提案に乗りお礼を言い、買い取り業務を始めたのである。農家からは出来たばかりの野菜類や果物、冒険者達からは魔物の素材や秘薬や薬草などを買い取り、ケンジの店で他の町から買い物に来た、お客様に販売という流通が出来上がるのである。

 Freedom国の中では、八百屋の経験者や服屋など、肉串の屋台等次々と出来上がっていくのである。Freedom国の中で、どんどん流通が発展していく事となるのだ。

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