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第8章 Freedom国の設立!
閑話① 裏切った者達の末路
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テンペの町を脱出した、ガルムンクス公を先頭に貴族達は上級ダンジョンのスタンピードから、テンペの町を見捨てて逃走していたのだ。
その最後尾にいたムシュダルク公もまた、恐怖に震えテンペの町を、民衆を犠牲にして逃げだしていたのだった。
「あなた……わたくし達だけで、逃げてしまって良かったのですか?」
ムシュダルクの妻であるジェシカが、旦那であるムシュダルクに提言をしていたのだった。
「今更、テンペの町に戻れるわけないではないか!戻ったらどうなるか……わかっておるのか?」
「ですが……」
「それ以上言う出ない!私は卑怯者だ……それはわかっておる!だが、私にはお前達が一番大事なのだ!分かってくれ……」
ジェシカは、正義感のあるムシュダルクがここまで辛い顔をしていたのを見て、それ以上何も言うことが出来なかったのである。
すると、前方で何やら騒がしくなっていたのが分かった。
「馭者!何かあったのか?」
「よくわからないのですが……前方で、騎士団長と貴族様の誰かともめているようです」
騎士団長ランスロットと、ガルムンクス公がもめているようだった。
「どうしたのだ!なぜ、止まる?早く逃げないと!」
「ガルムンクス公!申し訳ありません!我々はテンペの町へと戻ります」
「何を言っておる!お主達が戻ったら、誰が我々の護衛をするのだ!」
「我々は町の人達を見捨てて、このまま逃げる訳には行かないのです!」
「馬鹿な事を言うでない!貴族と平民の命どちらが大切だと思っておる!当然貴族に決まっておるだろうが!馬鹿な事言ってないで早く出発しろ‼」
団長は、ガルムンクスの言葉を聞き、これがこの国の貴族の実態なのかと奥歯を噛みしめるのだった。そしてもう我慢ならず、部隊に号令をかけたのだ。
「俺は、このまま町の人達を見捨てるわけにはいかない!俺に賛同する者は俺についてこい!」
団長は、颯爽に馬を操りテンペの町へと引き返して行ったのであった。それに賛同した、第1第2部隊が団長について引き返してしまった。それを見た、ムシュダルクは拳を握り震えていた。すると、妻であるジェシカは、旦那を優しく見つめ、そっとムシュダルクの手を握ったのだった。
「あなた……あなたの気持ちはよくわかるわ。わたくし達の事を一番に考えてくれてありがとうございます!でも、あなたのそんな顔は見とうはございませんわ!わたくし達は、あなたと一緒について行きとうございます」
妻は、強しとはよく言ったものである。その言葉に背中を押されたムシュダルクは、すぐに馭者に指示を出したのだった。
「馭者!騎士団長とテンペの町へと引き返すぞ!テンペの町へ行ってくれ!」
「だ、旦那様!本当でございますか⁉」
馭者は、ムシュダルクの人柄に感銘を受け、長年つかえていた人物だった。逃げる決断をした時も、ムシュダルクの気持ちも分かり何も言わなかったが、戻る決断をした主に嬉しくなり、大きな声を出し返事をしたのだった。
そして、その場に残ったのは貴族達と、騎士団第3部隊だけとなったのだ。
「くそおぉ!いったいどういうつもりだ‼」
「ガルムンクス公!大丈夫でございます。我々第3部隊がついております!」
第3部隊隊長、ハンスはこれに乗じて、貴族に取り入ろうとしたのだ。
「ふむ!お主に任せたぞ‼お主の名は何と申す」
「王国14騎士団、第3部隊、隊長ハンスと申します。これから、お見知りおきを」
「ふむ!あいわかった!王都についた時には、国王にこのたびの働きはちゃんと伝えておこう!」
「ありがたき、幸せ!」
「それじゃ!出発だ!皆のもの俺についてこい」
「「「「「おう!」」」」」
この、第3部隊ハンス達はエリート集団ではなく、冒険者から募集を募り成りあがった部隊だった。それ故に野心が人一倍あり、どんな事をしても成りあがってやると思っている人物だった。
「隊長……これがうまくいけば我々はまた……」
「そうだな!貴族様を無事に王都まで送り届けて、我らはまた一歩上がる事が出来るんだ!その為には周りを警戒しろよ!」
「はっ!分かっております!」
このハンスという人物は野心はあるが、横暴ということは無く、部下には慕われていたのである。ただ、ランスロット達のように、主君の為に役立つ考えはなく、全て自分の為に行動しているのである。
この辺りは、ケンジと同じで冒険者としての考えが強いのである。今回も、テンペの町に戻り、無駄死にはまっぴらごめんという考えで、貴族であるガルムンクスに取り入り、更なる出世を望んだのである。
ガルムンクス一行は、王都に向かっていたのだが直接向かうと、上級ダンジョンの方向に向かう事となり、それではスタンピードに向かう事となる為、迂回しざるを得なかったのだ。その為、時間が余計にかかる事となっていたのだ。
「ハンス隊長!あれはいったい何でしょうか?」
「どうした?」
ハンス隊長が、進行方向を見て、顔が青ざめたのである。
「そ、そんなバカな……」
その先には、大量の魔物がこちらに向かって進行してきて、砂煙が舞い上がっていたのである。行進を、止めたのを不審と思ったガルムンクスは、馬車の外を覗いたのだった。
「ハンス何をやっておる!早く進まぬか!」
「ガルムンクス公!これは無理でございます!魔物どもが前方から……」
「なんだと⁉スタンピードは、上級ダンジョンだったのだろう!」
「そのように、聞いております……だけど……前方から……」
「馭者、何をやっておる!早く引き返すのじゃ!」
「は、はい!」
馭者達は、パニックになりながら馬車をUターンさせるのだが、馬も又野生の勘で危機が迫っている事が分かりパニックに陥り、上手く操縦が出来なくなってしまったのだ。
「ガルムンクス公!何をやっているのですか!早くこの場からお逃げください!」
「わかっておる!馭者何をやっておる。はやくせんか!」
「わかっているのですが、馬が言う事を聞いてくれなくて……」
ハンス隊長は、この時もうこのままこの場にいても助からないと思い、騎士団に指示を出したのだった。
「皆の者!このままでは全滅だ!我らだけで逃げるぞ!」
「ば、馬鹿な事をいうでない!儂等、貴族を守らぬか!逃げずに立ち向かえ!儂達を逃がす囮になるのじゃ!」
「ガルムンクス公!悪いなぁ。俺達は正規の騎士団じゃない!貴族の為に犠牲はご勘弁だ」
「き、貴様ぁ~~~~~!このまま逃げて見ろ王都についた時、どうなるかわかっているのか?」
「ああ!生きていられたらな。だが、それももう無理な話だ。じゃあな!」
「こ、こら!待て!待つのだ!」
ハンスは馬を反転させ、敵前逃亡を図ったのである。それをみた貴族達は馬車の中から何が起こっているのか訳が分からず、パニックを起こしている。
そして、馭者は馬車から飛び降りて馬車を捨てたのだ。走って逃げるつもりのようだ。だが、その時にはもう間に合わなくて、魔物達に生きたまま食われたのだった。
「ぎゃああああああああ!」
「やめろぉ~~~~~~!」
貴族の馬車は、あっという間に魔物達に包囲され、中級ダンジョンからの魔物達に襲われてしまったのである。
中級ダンジョンの魔物といえば、ゴブリン、オーク、オーガの集団である。貴族や馭者の男性達は、生きたまま拘束され、ゴブリン達は弄び、目玉をくり抜いたり、爪をはいだり、噛みついたりして喜んでいたのであるそして、最後は内臓を引き出され、絶命したのである。
そして、言うまでもないが貴族の女性達は、オーク達に捕らえられ苗床となったのは言うまでもなく、スタンピードの行進は止まらなかったのだ。後から後から魔物が途切れないのである。
貴族の女性達は、オークの交尾に耐えられなくなり正気を失い、気が狂ってしまったのである。そして、最後には脳の血管が切れてしまい絶命してしまったのである。
オーク達は動かなくなった人間は用はないと思い、その場に捨ててしまったのだ。そして、その集団で立場の弱いウルフやワーム系の魔物の餌となってしまった。
テンペの町の、民衆を捨てた貴族達は、まさか中級ダンジョンもスタンピードが起こっていたとは思いもせず、回り道をした結果、自ら死地に向かって全滅してしまったのである。
馬を走らせながら、逃げ切っていた第3部隊は、これからの事を話していたのだ。
「隊長!これから、どうしたらいいですか?」
第3部隊は、何が起こっているのか、本当にわからなかったのである。
「ひょっとしたら、我々は勘違いしていたのかもしれないな……」
「どういうことですか?」
「あんなに慌てて脱出したんだ!情報が誤って伝わったのかもな。本当は、上級じゃなく中級が溢れたのかもしれない」
「なるほど!だったら王都への道は上級ですが、一直線に向かえますね!」
「そういう事だ!」
第3騎士団は、貴族を見捨て王都の方向、つまり更なる地獄にその身を向けたのである。
「隊長!もう魔物達は見えなくなったし、そろそろ馬を休ませた方がよろしいかと」
「うむ!確かにそうだな!全体止まれ!少しこの場で休憩だ」
馬を止めた時、馬はぜぇぜぇ呼吸をしてもう一歩も走れないという様子で疲れ切っていたのだった。
「ハンス隊長、どのくらい休憩しましょうか?」
「そうだな。2時間ぐらいでいいんじゃないか?どのみち、スタンピードはテンペの町の人間の気配におびき寄せられ、ここにはこないだろ」
「わかりました」
この休息が、第3部隊の命運を分けてしまったのである。まさか二つの場所で、スタンピードが起こるなんて思いもしていなかったハンスは完全に油断していたのである。
更なる恐怖は近づいていたが、油断していたハンス達は見張りは立てていたが、大部分の人間は仮眠を取ってしまったのである。
ハンス達は疲れていた事もあり、眠ってしまっていたのだ。そして、絶叫で目が覚めたのだ。
「ぎゃああああああああ!」
「な、なんだ⁉今の叫び声は?」
ハンスは飛び起きたのである!するとそこにはヘルベアやマンティコア、ブラッディータイガーなど、見た事もない魔物が眼前にいたのだ。
「これはいったい……」
ハンスは何が起きているのか理解できなかったのだ。地上に絶対いるはずもない、いたとしても同時に同じ場所に存在しない魔物ばかりなのだ。
「ハンス隊長お逃げください!ここはもう……ぐふっ!」
部下の一人は、血を吐き出し絶命したのだ。そして、周りからは自分の部下の叫び声がこだましていたのである。ハンスは部下の一人を抱きしめ、立ち上がろうとした瞬間、首から上がなくなったのだ。
ブラッディータイガーに、頭を丸かじりされハンスも又瞬殺され一旦助かった第3部隊は、上級ダンジョンのスタンピードに遭遇してしまい全滅してしまったのである。
そして、上級ダンジョンのスタンピードも又、テンペの町へと向かい、これからテンペの町との長い攻防となるのである。
その最後尾にいたムシュダルク公もまた、恐怖に震えテンペの町を、民衆を犠牲にして逃げだしていたのだった。
「あなた……わたくし達だけで、逃げてしまって良かったのですか?」
ムシュダルクの妻であるジェシカが、旦那であるムシュダルクに提言をしていたのだった。
「今更、テンペの町に戻れるわけないではないか!戻ったらどうなるか……わかっておるのか?」
「ですが……」
「それ以上言う出ない!私は卑怯者だ……それはわかっておる!だが、私にはお前達が一番大事なのだ!分かってくれ……」
ジェシカは、正義感のあるムシュダルクがここまで辛い顔をしていたのを見て、それ以上何も言うことが出来なかったのである。
すると、前方で何やら騒がしくなっていたのが分かった。
「馭者!何かあったのか?」
「よくわからないのですが……前方で、騎士団長と貴族様の誰かともめているようです」
騎士団長ランスロットと、ガルムンクス公がもめているようだった。
「どうしたのだ!なぜ、止まる?早く逃げないと!」
「ガルムンクス公!申し訳ありません!我々はテンペの町へと戻ります」
「何を言っておる!お主達が戻ったら、誰が我々の護衛をするのだ!」
「我々は町の人達を見捨てて、このまま逃げる訳には行かないのです!」
「馬鹿な事を言うでない!貴族と平民の命どちらが大切だと思っておる!当然貴族に決まっておるだろうが!馬鹿な事言ってないで早く出発しろ‼」
団長は、ガルムンクスの言葉を聞き、これがこの国の貴族の実態なのかと奥歯を噛みしめるのだった。そしてもう我慢ならず、部隊に号令をかけたのだ。
「俺は、このまま町の人達を見捨てるわけにはいかない!俺に賛同する者は俺についてこい!」
団長は、颯爽に馬を操りテンペの町へと引き返して行ったのであった。それに賛同した、第1第2部隊が団長について引き返してしまった。それを見た、ムシュダルクは拳を握り震えていた。すると、妻であるジェシカは、旦那を優しく見つめ、そっとムシュダルクの手を握ったのだった。
「あなた……あなたの気持ちはよくわかるわ。わたくし達の事を一番に考えてくれてありがとうございます!でも、あなたのそんな顔は見とうはございませんわ!わたくし達は、あなたと一緒について行きとうございます」
妻は、強しとはよく言ったものである。その言葉に背中を押されたムシュダルクは、すぐに馭者に指示を出したのだった。
「馭者!騎士団長とテンペの町へと引き返すぞ!テンペの町へ行ってくれ!」
「だ、旦那様!本当でございますか⁉」
馭者は、ムシュダルクの人柄に感銘を受け、長年つかえていた人物だった。逃げる決断をした時も、ムシュダルクの気持ちも分かり何も言わなかったが、戻る決断をした主に嬉しくなり、大きな声を出し返事をしたのだった。
そして、その場に残ったのは貴族達と、騎士団第3部隊だけとなったのだ。
「くそおぉ!いったいどういうつもりだ‼」
「ガルムンクス公!大丈夫でございます。我々第3部隊がついております!」
第3部隊隊長、ハンスはこれに乗じて、貴族に取り入ろうとしたのだ。
「ふむ!お主に任せたぞ‼お主の名は何と申す」
「王国14騎士団、第3部隊、隊長ハンスと申します。これから、お見知りおきを」
「ふむ!あいわかった!王都についた時には、国王にこのたびの働きはちゃんと伝えておこう!」
「ありがたき、幸せ!」
「それじゃ!出発だ!皆のもの俺についてこい」
「「「「「おう!」」」」」
この、第3部隊ハンス達はエリート集団ではなく、冒険者から募集を募り成りあがった部隊だった。それ故に野心が人一倍あり、どんな事をしても成りあがってやると思っている人物だった。
「隊長……これがうまくいけば我々はまた……」
「そうだな!貴族様を無事に王都まで送り届けて、我らはまた一歩上がる事が出来るんだ!その為には周りを警戒しろよ!」
「はっ!分かっております!」
このハンスという人物は野心はあるが、横暴ということは無く、部下には慕われていたのである。ただ、ランスロット達のように、主君の為に役立つ考えはなく、全て自分の為に行動しているのである。
この辺りは、ケンジと同じで冒険者としての考えが強いのである。今回も、テンペの町に戻り、無駄死にはまっぴらごめんという考えで、貴族であるガルムンクスに取り入り、更なる出世を望んだのである。
ガルムンクス一行は、王都に向かっていたのだが直接向かうと、上級ダンジョンの方向に向かう事となり、それではスタンピードに向かう事となる為、迂回しざるを得なかったのだ。その為、時間が余計にかかる事となっていたのだ。
「ハンス隊長!あれはいったい何でしょうか?」
「どうした?」
ハンス隊長が、進行方向を見て、顔が青ざめたのである。
「そ、そんなバカな……」
その先には、大量の魔物がこちらに向かって進行してきて、砂煙が舞い上がっていたのである。行進を、止めたのを不審と思ったガルムンクスは、馬車の外を覗いたのだった。
「ハンス何をやっておる!早く進まぬか!」
「ガルムンクス公!これは無理でございます!魔物どもが前方から……」
「なんだと⁉スタンピードは、上級ダンジョンだったのだろう!」
「そのように、聞いております……だけど……前方から……」
「馭者、何をやっておる!早く引き返すのじゃ!」
「は、はい!」
馭者達は、パニックになりながら馬車をUターンさせるのだが、馬も又野生の勘で危機が迫っている事が分かりパニックに陥り、上手く操縦が出来なくなってしまったのだ。
「ガルムンクス公!何をやっているのですか!早くこの場からお逃げください!」
「わかっておる!馭者何をやっておる。はやくせんか!」
「わかっているのですが、馬が言う事を聞いてくれなくて……」
ハンス隊長は、この時もうこのままこの場にいても助からないと思い、騎士団に指示を出したのだった。
「皆の者!このままでは全滅だ!我らだけで逃げるぞ!」
「ば、馬鹿な事をいうでない!儂等、貴族を守らぬか!逃げずに立ち向かえ!儂達を逃がす囮になるのじゃ!」
「ガルムンクス公!悪いなぁ。俺達は正規の騎士団じゃない!貴族の為に犠牲はご勘弁だ」
「き、貴様ぁ~~~~~!このまま逃げて見ろ王都についた時、どうなるかわかっているのか?」
「ああ!生きていられたらな。だが、それももう無理な話だ。じゃあな!」
「こ、こら!待て!待つのだ!」
ハンスは馬を反転させ、敵前逃亡を図ったのである。それをみた貴族達は馬車の中から何が起こっているのか訳が分からず、パニックを起こしている。
そして、馭者は馬車から飛び降りて馬車を捨てたのだ。走って逃げるつもりのようだ。だが、その時にはもう間に合わなくて、魔物達に生きたまま食われたのだった。
「ぎゃああああああああ!」
「やめろぉ~~~~~~!」
貴族の馬車は、あっという間に魔物達に包囲され、中級ダンジョンからの魔物達に襲われてしまったのである。
中級ダンジョンの魔物といえば、ゴブリン、オーク、オーガの集団である。貴族や馭者の男性達は、生きたまま拘束され、ゴブリン達は弄び、目玉をくり抜いたり、爪をはいだり、噛みついたりして喜んでいたのであるそして、最後は内臓を引き出され、絶命したのである。
そして、言うまでもないが貴族の女性達は、オーク達に捕らえられ苗床となったのは言うまでもなく、スタンピードの行進は止まらなかったのだ。後から後から魔物が途切れないのである。
貴族の女性達は、オークの交尾に耐えられなくなり正気を失い、気が狂ってしまったのである。そして、最後には脳の血管が切れてしまい絶命してしまったのである。
オーク達は動かなくなった人間は用はないと思い、その場に捨ててしまったのだ。そして、その集団で立場の弱いウルフやワーム系の魔物の餌となってしまった。
テンペの町の、民衆を捨てた貴族達は、まさか中級ダンジョンもスタンピードが起こっていたとは思いもせず、回り道をした結果、自ら死地に向かって全滅してしまったのである。
馬を走らせながら、逃げ切っていた第3部隊は、これからの事を話していたのだ。
「隊長!これから、どうしたらいいですか?」
第3部隊は、何が起こっているのか、本当にわからなかったのである。
「ひょっとしたら、我々は勘違いしていたのかもしれないな……」
「どういうことですか?」
「あんなに慌てて脱出したんだ!情報が誤って伝わったのかもな。本当は、上級じゃなく中級が溢れたのかもしれない」
「なるほど!だったら王都への道は上級ですが、一直線に向かえますね!」
「そういう事だ!」
第3騎士団は、貴族を見捨て王都の方向、つまり更なる地獄にその身を向けたのである。
「隊長!もう魔物達は見えなくなったし、そろそろ馬を休ませた方がよろしいかと」
「うむ!確かにそうだな!全体止まれ!少しこの場で休憩だ」
馬を止めた時、馬はぜぇぜぇ呼吸をしてもう一歩も走れないという様子で疲れ切っていたのだった。
「ハンス隊長、どのくらい休憩しましょうか?」
「そうだな。2時間ぐらいでいいんじゃないか?どのみち、スタンピードはテンペの町の人間の気配におびき寄せられ、ここにはこないだろ」
「わかりました」
この休息が、第3部隊の命運を分けてしまったのである。まさか二つの場所で、スタンピードが起こるなんて思いもしていなかったハンスは完全に油断していたのである。
更なる恐怖は近づいていたが、油断していたハンス達は見張りは立てていたが、大部分の人間は仮眠を取ってしまったのである。
ハンス達は疲れていた事もあり、眠ってしまっていたのだ。そして、絶叫で目が覚めたのだ。
「ぎゃああああああああ!」
「な、なんだ⁉今の叫び声は?」
ハンスは飛び起きたのである!するとそこにはヘルベアやマンティコア、ブラッディータイガーなど、見た事もない魔物が眼前にいたのだ。
「これはいったい……」
ハンスは何が起きているのか理解できなかったのだ。地上に絶対いるはずもない、いたとしても同時に同じ場所に存在しない魔物ばかりなのだ。
「ハンス隊長お逃げください!ここはもう……ぐふっ!」
部下の一人は、血を吐き出し絶命したのだ。そして、周りからは自分の部下の叫び声がこだましていたのである。ハンスは部下の一人を抱きしめ、立ち上がろうとした瞬間、首から上がなくなったのだ。
ブラッディータイガーに、頭を丸かじりされハンスも又瞬殺され一旦助かった第3部隊は、上級ダンジョンのスタンピードに遭遇してしまい全滅してしまったのである。
そして、上級ダンジョンのスタンピードも又、テンペの町へと向かい、これからテンペの町との長い攻防となるのである。
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