異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第8章 Freedom国の設立!

27話 預金

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 ケンジとマイの結婚式の打ち上げで、昨晩はどんちゃん騒ぎで、次の日はみんな二日酔いで起き上がる事ができなかった。

「主殿!だいじょうぶか?」

 さすが、ダンギ達ドワーフ族はぴんぴんしていて、二日酔いにはなっていなかったのだ。

「なんで、お前達は二日酔いじゃないんだよ……」

「がははははは!ドワーフ族が酒におぼれてどうすんじゃい!」

「ダンギ……もっと小さい声で……うっぷ……」

 周りを見ると、ドワーフ以外起き上がれない状態で、みんな呻き声を上げていたのだ。

「ご、ご主人様……今日は土の日で自分のスキルを伸ばす日ですが、今日は休ませてください……」

「私も動けません……」

「大丈夫だ……俺も動けん……」

「がははははは!みんなだらしないなぁ!」

「だから……ダンギもっと静かにしゃべってくれ……」

「ケンちゃん……できたらヒール頂戴……これは耐えられないわ……」

「あっ!」

 二日酔いで、判断が鈍っていたケンジは魔法で治す事を忘れていたのだった。ケンジは、ヒールを唱えたが、体力回復では二日酔いは治らなくて、状態異常を治すには※①【グレーターヒール】じゃないと体力は回復しないのだ。
 それか、セイラの神聖魔法である、※②【クリアランス】じゃないと状態異常は治らないのだ。

「ケンちゃん、ヒールじゃ治らない……うっぷ……」

「そっか、ヒールじゃHP回復だけだもんな……」

 ケンジは、そう言って※③【エリアグレーターヒール】を唱えたのだった。

 その魔法を唱えると、範囲魔法で術者を中心に、範囲内にいる全員が回復する高等魔術である。唱え終わると、全員が普段の様にシャキッとするのだった。

「おおお!すげぇ!主ありがとう」
「「「「ありがとうございます!」」」」

 マードックが、真っ先にお礼を言った後、次々にお礼を言うのだった。ケンジは、そのまま部屋を出て行こうとしたのだ。

「ケンちゃんどこ行くの?」

「いや……なんかまだ二日酔いの感覚が少し残っている感じだから、風呂に入ってすっきりしてくるよ」

「「「「「えええええ!朝から風呂に入るのですか?」」」」」」

「何でそんなに驚くんだよ」

 ガイアースでは、風呂に入るなんて上級貴族くらいしかない。それも、一日の疲れをとる為なので、朝一番に風呂に入るなんて信じられない行為だったのだ。

「でも、朝一から風呂なんて!」

「風呂に入るというよりシャワーを浴びてくるだけだ」

「ケンちゃん、この世界ではそれでも贅沢な事なんだよ」

「でも、このハウスですぐ沸かせるし、お湯もすぐに出るしそういうもんでもないだろ?」

「それもそうよね……じゃあ、あたしも入ろっと!」

「えっ?一緒に入るつもりか?」

 ケンジの言葉にマイの顔が一瞬に火が出たように真っ赤になるのだった。

「ケ、ケンちゃんの馬鹿……いきなり何言うのよ……別々に決まってるでしょ」

「そ、そっか……悪い、つ、ついな……」

「な、なにがついなのよ。ケンちゃんのエッチ!」

 さすがに新婚夫婦である。朝からイチャイチャが止まらないのであった。

 その場に残されたギル達は、ケンジ達の変わり様に唖然としていたのだった。

「マイさんが、あんなに変わるとは……」

「マードック!シーッ‼あんた昨日の事を忘れたの?」

 オリヴィアのセリフに、マードックは慌てて口を押えるのだった。

「やべぇ……またあの説教を受けるとこだった……」

 部屋を出て行ったマイが、ひょこっと顔を出しニコッと笑ったのだった。それに気づいたマードックはサーっと血の気が引いたのだ。

「マードック、オリヴィア聞こえたからね。後であたしの部屋にいらっしゃい。分かったわね」

 マードックはマイの笑顔を見ているはずなのに、目が全然笑っていない事に気づき、ガクッと膝を折り謝罪したのだった。

「マイさん!すいません……」
「マイさん、何でわたしもなんですか?」

「いいから、後で部屋にいらっしゃい!」

 有無も言わせないマイに、二人はこの世の終わりの様にその場で動けなかった。

「ケンちゃん、いこ」

「お前達、本当に懲りないな……まあ、しっかり怒られな」

「「主(ご主人様)。そんな……」」

 ケンジとマイは、二人を置いて風呂場にいくのだった。その後、マードックとオリヴィアが喧嘩になったのは言うまでもない。


 それから、マイはケンジにべったりで新婚生活を満喫し、ケンジも又毎日が違って見え、いつもニコニコしていたのだった。




 そんな中、テンペの町の生産ギルドに用事があり、顔を出さないといけない事になったのだ。ケンジとマイは、怠いと思いつつ、一緒に顔を出す事にしたのだった。
 ギルドに現れたケンジの姿を見て、受付嬢は安心した様子で話しかけてきたのだった。

「ケ、ケンジ様!もう少しで追放になるとこでしたよ。来ていただきありがとうございます!」

「ん?何を言っているんだ?」

「えっ?ギルドに顔を出したって事は、Aランクの依頼を受けにきたのですよね?」

「いや、違うよ。ギルドカードに入っていた預金があるだろ?」

「ええ?預金はちゃんとギルドカードに預けられていますよ」

「その預金を引き出しに来たんだよ」

「はぁあ?なんで引き下ろすのですか?」

「だって、このままだと追放になったら、預金入れたままだと追放されたら引き下ろせなくなり、勿体ないじゃないか」

「何を言っているのですか?だったら追放されないように、依頼を受けるのが普通じゃないですか?」

「って言うかさ……何で俺が、ギルドの思い通りに行動すると思っているかが疑問なんだが」

「でも、追放されたら町の行き来が、不便になるんですよ?」

「まあ、実際の所ギルドの利用価値なんてそれだけだしな」

「そっ、そんな!」

「それならもう追放されて、厄介事のない生活にしたいんだよ。ギルドに強制されて依頼をこなすのも癪にさわるしな」

「……」

「だから、もう俺達はギルドには関わらない生活を送り、自分の店だけに重点を置く事にしたんだよ」

「ちょ、ちょっと待ってください!俺達ってどういうことですか?」

「そりゃ、当然マイもギルドを追放されるって事だよ」

 受付嬢が、冒険者ギルドの方を見るとやっぱり、ギルド中が騒めいていたのだ。

「ケンジ様!お願いです。脱退など言わずに依頼を受けてもらえませんか?」

「いやいやいや……あんた達が勝手にルール変更をして、Fランクの依頼を受けれないようにしたのに、何勝手な事を言っているんだよ」

「ですが、ケンジ様達にギルドを脱退されたら……」

「いや。何か勘違いしてないか?俺達は、脱退するんじゃなく追放されるんだよ?」

「ですが、さっき!」

「うん?俺達はギルドを辞めるなんて一回も言ってないよな?ただ、ギルドがFランクの仕事を受けさせてくれないから、ルール上追放になるだけで、俺達は脱退申請してないだろ?」

「そ、それは……」

「でだ、俺達は追放になる前に、ギルドカードに預けているお金がもったいないから引き出すのは当然の事だろ?だから早く引き出してほしいんだ」

 たしかに、ケンジ達は脱退申請をしていない、これは脱退の意思が無い事であり、ギルドの方がケンジ達を追放するのだ。
 もし、ケンジ達を脱退させてくなければ、ルールを元に戻し阻止するしかないのだが、これはギルドマスターが決めた事であり、ギルドマスターも又総本部の決定に従っているだけなのだ。 


 このルール変更は、ケンジに断られた総本部の役員の案であり、建前上あのように言ったのだが、本当の所ケンジをターゲットにしたルール変更だった。ギルド総本部は、構成員は誰でもギルドからの追放は誰もが嫌がると思っていた為、ケンジの様に自ら追放になろうとする者がいるとは思ってもいなかったのだ。
 
 そして、ケンジ達を脱退させないようにするには、今から総本部にこの事を伝えないとルールは元に戻らず、数か月の時間を要する事となり、今からではもう遅いのだ。

 そして、ケンジとマイの預金はとんでもない金額であり、このようなギルドにとって優秀な人材を手放すのは莫大な損失なのである。
 この預金は、他の者が手出しすることはできなくて、ギルドカードに収納されているだけであり、手続きをすればすればすぐに全額用意できるのだ。ギルドが、地球の銀行の様にこのお金を使い、ギルド運用していればすぐには用意する事が出来なくて更にピンチになっていたであろう。

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「なんで?あと、1か月弱依頼を受けなければ、俺達は追放されるんだろ?そうなる前に、お金を引き出しておきたいだけなんだよ」

「それって、もうギルドを脱退する気満々じゃないですか?」

「いや、だから脱退じゃないだろ?俺達は嫌だが追放されるんだよ」

「いやなら、依頼を受けてくださいよ!」

「だから、言っているじゃないか。ギルドの強制依頼なんて受けたくないって!Fランクの依頼なら受けたいが、ギルドのルールで受けれないだろ?もし、俺達の追放を阻止したいなら、ルールを元に戻したらいいだけだ」

「ケンジ様はSランクじゃないですか?そんなFランクなんか受けずにAランク以上を受けてくれたら、報酬も高額ですしギルドも助かるんだからそっちを受けてください!」

「だから、嫌だって言っているだろ。もしこのまま、引き出してくれないなら詐欺としてギルドを訴えるぞ」

 ケンジの言い分はもっともである。ギルドが人のお金を故意に引き出さなければ、窃盗となりギルドが犯罪組織となるのである。
 受付嬢は、ケンジの脱退を阻止したいが、結局自分達が決めたルールに首を絞める事となるのだった。

 ケンジとマイは、ギルドカードの預金を全て引き出し、その額は人生を何周もする事が出来るぐらいで、笑顔で家に帰るのだった。

*-----*-----*-----*-----*

 この話で出てきた魔法一覧

※①【グレーターヒール】
聖属性魔法     6階位
消費MP      65
詠唱速度      60秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間      一瞬
効果対象      一人
効果範囲      なし
必要秘薬      紫水晶・高麗人参・黒大蒜各10個
備考欄
 聖属性魔法でかなり上の位である回復魔法。ガイアースでこの魔法が使用
可能なのは教会の位の高い司教の位についている人間だけである。
HPはMAXで回復し体力も回復する魔法。欠損は治らない。
魔道士職業レベル50魔法スキル100.00で使用可能。

※②【クリアランス】
神聖魔法     5階位
消費MP     25
詠唱速度     1.5秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間     一瞬
効果対象     ひとり
効果範囲     なし
必要秘薬     なし
備考欄
 状態異常の仲間を治療する魔法。この魔法は毒とかパラライズ、沈黙等
殆どの状態を治す事ができて便利である。
 唯一、治せないのは呪いだけであり、MP消費が高いのが欠点だろう。
クレリック、プリースト職業レベル60信仰心スキル50.00で使用可能。

※③【エリアグレーターヒール】
無属性魔法   8階位
消費MP    100
詠唱速度    120秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    一瞬
効果対象    一人×レベル(最大100名)
効果範囲    術者を中心に半径5m
必要秘薬    紫水晶50・高麗人参・黒大蒜25個
備考欄
 聖属性魔法の為、使い手がほとんどおらず、複数人を治療する魔法。
教会に行っても、使ってもらう事が出来きない。それは使い手がおらず
それほど高位魔法なのだ。
大魔道士職業レベル120、魔法スキル120.00、書写100.00
以上で使用可能

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