異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
323 / 619
第8章 Freedom国の設立!

24話 ひと時の休息①

しおりを挟む
 数か月前にさかのぼるその日、ケンジはギルドの新しいルールにより、Fランクの仕事を受けれなくて、屋敷でボーっとしていた。
 今後の、冒険者や生産者達には罪悪感を覚え、何となく気落ちした事もあり、ギル達から数日はゆっくりしてくださいと釘を刺されてしまったのだ。

「ねえ、ケンちゃん……これからどうするつもりなの?」

「そうだな……やることは、そんなに変わらないんじゃないか?ただ、もうギルドには顔を出さないだけで、生活のサイクルは変わらないと思うよ」

「じゃあ、町の人達は困る事になるわね……」

「それなんだが……Fランクの仕事は、合間見てやっていこうと思うんだよ」

「え?どういうこと?」

 ケンジはマイに説明をする。

「まず、ギルに姿を消してもらってギルドの掲示板を見てきてもらい、埃の被ってそうな依頼を選別してもらい、その家に直接伺おうかと思うんだ」

「なるほど!でも、ギルドでもない人間がやっちゃって大丈夫なの?」

「もし依頼者に断られればやらないし、それにテンペの町だけしかこの方法は通じないだろうしな。他の町でやっても、顔を知られてなければ不信感しかないだろうから断られると思うよ」

「報酬金額はどうするつもりなの?」

「ギルドの取り分である1割を差し引いた金額で受けるつもりだよ」

 Fランクの報酬は安い分、ギルドの取り分も安くなっているのである。ただ、ランクの高い依頼は報酬も高い為、ギルドは容赦なく中間マージンを取っているのである。

「まあ、でも基本はもうFランクの依頼もするつもりはないし、俺の予想だとテンペの町の人達が、自らここに依頼を出してくると思うぞ」

「え?ケンちゃん、いくら何でもそんな事ありえないよ……」

「まあ、見てなって!その時が来たら依頼人の話を聞いて、本当に困ってそうなら俺達が動く事になると思うよ」

「そんな、馬鹿な……」

 マイは、ケンジの言う事に呆れ果てたのだった。いくらなんでも、ギルドから脱退した人物に依頼をしてくれと頼みに来る人間がいるとは思えなかったのだ。

 もし、そんな人間が増えれば、ギルドの存在意義が町の人達からなくなるのだ。どうせ依頼を出しても、また前みたいに放置され埃を被るのが関の山だと思われ、近所の人達の助け合いが生まれ、また平民とギルドの間に溝が生まれるのである。

「マイは、信じられないと思うかもしれないが、俺はきっとそうなると思っているよ。それに……」

「それに、何よ?」

「たぶん、テンペの町では町の結界も維持が出来なくなるしな……」

「なんでよ?依頼が半強制になったんだよ。インゴットは他の生産者から集まるんじゃないの?」

「上手くいけばいいんだけどな……生産者にパーティーの意識が少なすぎるんだよ。基本的に一人で採掘をして、護衛を雇うのが普通だと思っているだろ?」

「まあ、そうね。冒険者とは違うわね」

「特に、オリハルコンが採掘できる生産者となると、ベテランの域に入る生産者だ。良くも悪くも、職人という人物が多い為、これまでの常識にこだわる人間がおおいから、パーティーを組んで大人数で採掘なんて考えないだろ?」

「……」

「その結果、無茶をして犠牲になり採掘士がいなくなるのが心配だな」

「でも、それなら護衛を強化するでしょ?」

「たしかに、Aランクの冒険者を護衛にできた者はいいんだけどな、それが出来ない採掘士もいるだろ?」

「た、確かに……だったら、その人達は地上で採掘したらいいんじゃない?」

「そこで、ネックになるのが、あのギルドのルールなんだよ」

「あ……」

「採掘士達は、まあ採掘士だけじゃなく……ギルド構成員は身分証を没収されない為に無茶をするだろ?言ってみたらギルドはブラック企業と同じになるんだよ」

「……」

「そんな組織に、誰が頼って依頼を出すと思う?これから、仕事も雑になってくると思うぞ。なんせ、構成員達は数をこなさなきゃいけないんだからな」

「ケンちゃん、これからどうなるの?」

「どうにもならんよ……なるとしたら取り返しのつかないなんか凄い問題が起きて、その責任が明らかになったら、元に戻るとしか言いようがないな」

 ケンジの説明に、マイはうつむいてしまったのだった。ケンジが何をどこまで考えていた事が分かり、マイまで気持ちが暗くなったのであった。
 


 それを見た、ケンジはアタフタして、話題を変える為マイに話しかけた。

「なあ、マイ?さっき俺に言ったよな?」

「なにを?」

「そうなっても、俺のせいじゃないって……」

「うん……」

「って事は、マイのせいでもないよな?だからそんなに落ち込むな!」

「そんなこと言われても!こんな話の後に気にするなって無理だよ!」




「なあ、マイ?これからはすることもないだろ?」

「いきなりなによ?」

「もう、ギルドの依頼も受ける事ないし、言ってみれば魔物の素材というより、食材を取りに行く目的になるじゃないか?」

「まあ、そうね」

「って事は、今まで見たいにシスティナ達と毎日出かけることは無いだろ?」

「そういうことになるね」

「今まで、ゆっくりしてなかったし、久しぶりに二人でどっか行かないか?」

「えっ!」

 ケンジのお誘いで、マイは一瞬に元気になったようだった。それもそ当然で、ケンジと二人でお出かけするのは、いつもマイから誘っていたのだ。

「いつもごめんな……だけどもう厄介事は来ないだろうし、これからは自分の好きに出来そうな感じもするし、これからはマイとの時間も優先的に作っていきたいと思うんだ。だめかな?」

「ううん。全然だめじゃないよ!すっごく嬉しい!」

「そっか、じゃあこれから王都の町にでも行ってみるか?」

「うん!」

 マイはすぐさま、出かける支度をしたのだった。

「セバス!今日は遅くなるから、晩御飯は抜きで頼む」

「え?どこに行くつもりですか?今日はゆっくりするはずじゃ……」

「いやな……もうギルドの事も考える事も無くなったし、ちょっと出かけてくるよ」

「そうですか。それもようございますね。ごゆっくりしてきてください」

 すると、セバスはギル達にその旨を伝えに行くのだった。これに慌てたケンジは、セバスを引き止めるのだった。

「セバス!ちょっと待てどこに行くつもりだ?」

「どこにって、ご主人様が王都に出かけるなら、護衛が必要じゃないですか?ギル達の誰かを……」

「今日はそれは勘弁してくれ。護衛はいらないよ」

「それはだめでございます!誰か一人でも引き連れてもらわないと!」

「いや、だから……今日はいつもと違ってだな」

「セバス、どうかしたのか?」

「あ!ギル丁度いいところに!ご主人様が王都に行くというのに、護衛はいらないというんです」

「主……前も言いましたが、やっぱり我々の誰かを一人は連れて行ってください!主は、もう前のような立場ではなく、一国の王なんですよ」

「いや……だからな……今回はそういうんじゃなく……」

「今回はと言うけど、やっぱりご主人様はもう、一人で出歩くような存在では……」

 ケンジが二人に説明をしようとしていたが、その騒ぎを聞きつけオリヴィア達も又、自分達を護衛にと言ってきて収拾がつかなくなってきたのだ。

「ケンちゃん!お待たせって!まだ用意できてないじゃん……」

 マイが現れた事に、みんなが一斉にマイを見て、いつもと違う服装に呆気にとられるのだった。

「「「「「ご主人様!そうならそうと言ってくださいよ!」」」」」

「なっ!」

「そういう事なら、私達も反対はしませんよ!」

「セバス、何言ってんだよ!説明しようとしたら頭ごなしに反対したんじゃないか!そしたら、みんなが集まってきて、勝手に騒いでたんだろ!」

「ケンちゃん、もういいから早く支度してきなよ。時間がもったいないよ」

「ああ、悪いな!もう少し待っててくれ!」

「うん!わかった」





 ケンジが、マイに急かせれ支度しに、部屋に入っていくのだった。ケンジがいなくなった、その部屋は急激に温度が下がったような感じがしたのである。

「さてと、みんなには少し話があります!」

「マ……マイ様、ちょ、ちょっと待ってください……私達はただ……」

「いいから!正座!」

 マイは、すぐにデートに出かけることが出来なくて、セバス達に威圧を抑えることが出来なかったのだ。そして、ケンジの支度が終えるまで、コンコンと説教を受ける事となり、セバス達は普段温厚なマイにない一面を見て、ここで一番怒らせてはいけないのは、マイだと悟ったのである。

「あなた達は、ケンちゃんの事となると、見境が亡くなるのはどうにかした方が……」

 その時、正座を10分近くさせられて足がしびれてきた、マードックとシスティナが足を組み直そうとして、お尻を持ち上げた瞬間、マイの指弾が飛んできたのだ。

「あなた達!誰が足を組み直していいと言ったの?」

「「ひっ!す、すいません‼」」

(こ、怖ぇ~~~~マイさん怖え……)
(ご主人様、早く戻ってきてください……)

 その様子を見て、セバス達は久しぶりに自分達は奴隷だと認識し直したのだった。ケンジは急いで支度をして、その時間は15分程度だったのだが、セバス達にとって1時間にも2時間にも感じてたのは言うまでもなかったのだ。

「マイ!お待たせ!ってお前達どうしたんだ?」

 ケンジが、ロビーに戻ってきた時には全員顔が真っ青になっていて、腰を浮かせたいが浮かせることが出来なくてピクピクしていたのだ。

「ケンちゃん、そんなこと良いから早くいこ(笑)」

「あ、ああ……じゃあ、お前達後はよろしくな……」

 ケンジとマイは転移マットに乗り、王都へデートに出かけたのだった。そして、後に残されたセバス達は、やっと解放され足を崩したのだ。



 その、光景を見ていたティアナ、フィアナ、サーシャは震えながら抱き合っていたのだった。


しおりを挟む
感想 223

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたおっさん、実は最強の癒しキャラでした

鈴木竜一
ファンタジー
 健康マニアのサラリーマン宮原優志は行きつけの健康ランドにあるサウナで汗を流している最中、勇者召喚の儀に巻き込まれて異世界へと飛ばされてしまう。飛ばされた先の世界で勇者になるのかと思いきや、スキルなしの上に最底辺のステータスだったという理由で、優志は自身を召喚したポンコツ女性神官リウィルと共に城を追い出されてしまった。  しかし、実はこっそり持っていた《癒しの極意》というスキルが真の力を発揮する時、世界は大きな変革の炎に包まれる……はず。  魔王? ドラゴン? そんなことよりサウナ入ってフルーツ牛乳飲んで健康になろうぜ! 【「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」1巻発売中です! こちらもよろしく!】  ※作者の他作品ですが、「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」がこのたび書籍化いたします。発売は3月下旬予定。そちらもよろしくお願いします。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

隠れジョブ【自然の支配者】で脱ボッチな異世界生活

破滅
ファンタジー
総合ランキング3位 ファンタジー2位 HOT1位になりました! そして、お気に入りが4000を突破致しました! 表紙を書いてくれた方ぴっぴさん↓ https://touch.pixiv.net/member.php?id=1922055 みなさんはボッチの辛さを知っているだろうか、ボッチとは友達のいない社会的に地位の低い存在のことである。 そう、この物語の主人公 神崎 翔は高校生ボッチである。 そんなボッチでクラスに居場所のない主人公はある日「はぁ、こんな毎日ならいっその事異世界にいってしまいたい」と思ったことがキッカケで異世界にクラス転移してしまうのだが…そこで自分に与えられたジョブは【自然の支配者】というものでとてつもないチートだった。 そしてそんなボッチだった主人公の改生活が始まる! おまけと設定についてはときどき更新するのでたまにチェックしてみてください!

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...