310 / 619
第8章 Freedom国の設立!
11話 Freedom、町への一歩
しおりを挟む
次の日の朝、ティアナとフィアナがケンジを起こしに、部屋に入って来たのだった。
「「失礼します」」
「ご主人様!朝ですよ~~~って、あああ!」
「エリス!大丈夫ですか?」
ケンジの横には、目覚めていたエリスがいたのだが体力のすべてを出しきって、二人に目で訴えかけていたのだった。
「エリス、大丈夫ですか?」
二人は、ケンジに持ってきていた、ピッチャーに入れた水をエリスに与えたのだった。
エリスは、腰が抜けていて自力で起き上がれなくて、フィアナが抱きかかえ、水を少しづつ与えるしかなかった。
「ご主人様!起きてください‼」
「んっ……ティアナ、おはよう……」
「おはようじゃありません!エリスが!」
「あっ……」
「ご、ご主人様……おはよう…ございます……」
ケンジは、急いでグレーターヒールを唱えるのだった。グレーターヒールのおかげで、エリスの体力は全て回復した。
「「ご主人様!」」
「いつになったら、普通にできるようになるのですか!」
「ス、スマン……」
エリスは、目の前で起こっている事が信じれなかったのだ。奴隷であるティアナとフィアナが、主人であるケンジを、正座させて叱っているのである。
本当に、昨日言っていた事は本当の事で、主人と奴隷の立場だが、仲間の関係でいたいと言っていた事が、目の前で起こっていたのだ。
「エリス‼大丈夫だった?」
「ご主人様!エリスに謝ってください!」
「ティアナ!ご主人様に何を言っているの⁉」
「エリス……大丈夫?……」
「ええ!私ならもう大丈夫よ。」
「そう……ならよかった……」
ケンジは、素っ裸で土下座してエリスに謝罪したのだった。ケンジは服を着させてくれと思ったが、そのまま謝罪したのだった。
「ったく……ご主人様は、なんでもっと女の子を、大事にしてあげないんですか!」
「いや……そ、その……」
「いや、その、じゃありません‼」
「ご主人様……そんなんだから、他の女性達が奉仕したくても勇気が出ない……わかっていますか?」
「……」
「エリスもわかったでしょ?昨日、ご主人様の所に行くなら奉仕はもうちょっと待ってって!」
「そう……初心者にはご主人様の相手は一人では無理……下手したら本当に死んじゃう……」
「ちょっと、二人ともそれは言いすぎなんじゃ」
「「ご主人様!」」
「確かに、死ぬかと思ったわ……」
「エリスまで、そんなこと言うないだろ」
「いえ、ご主人様、いったん止めてと言ったらやめてくれなきゃ、本当に死んじゃいます。本当にやめてください!朝までノンストップって酷すぎます!」
「だって……エリスは俺好みの女性だから、つい夢中になってしまって……」
「えっ!」
エリスは、ケンジのセリフに顔を赤らめたのだった。
「「ご主人様!」」
「ス、スマン……」
ティアナとフィアナは、システィナ達の時も一緒の状態になっているだろ!と思ったのだが、ケンジの為と思い、それは言わないでおいたのだ。
ケンジからしたら、なんてできた娘達だろと思って感謝しつつ、3人に何回も頭を下げたのだった。
そして、朝食時に大工メンバーから、一つ目の屋敷が出来たと報告があったのだ。ついに町の第一歩が完成したのだ。ケンジは、新しく入って来た仲間達を移動させたのである。
建物は、女性専用の建物にしたので新しく入って来た女性達をそちらの建物に移動してもらったのである。
その建物の、一階部分には大浴場も設置してもらっていて、堀の水から水道を引き蛇口をひねるだけで風呂に水をためることが出来るのだ。
そして、ケンジはこの日の為に試作の湯沸かし器を発明していたのだ。この湯沸かし器は、平民には売ることが出来ない為、自分達専用魔道具になるのだ。
「ご主人様、これって何ですか?」
「風呂の湯沸かし器だよ。ここはハウスのおかげで誰でもすぐに入れるが、新しく作った方は、発明しないといけないだろ?」
「でも、魔道具なんてご主人様の魔力量があって初めて作動するもんじゃ……」
「そんな巷にあるような、効率わるい魔道具と一緒にするな!」
「す、すいません……」
「これは、画期的なんだぞ。火の魔石を神鋼魔石で加工することによって、熱を吸収するんだ」
「ケンちゃん、熱なんてわざわざ入るたびに火を起こすつもりなの?」
「そんな面倒なことするわけないだろ。このプレートは外に設置するんだ。」
「ま、まさかそれって!」
「そうだ!ソーラーパネルの代わりになるんだよ。」
「ご、ご主人様?ソーラーパネルってなんですか?」
「ようわな、このパネルで太陽の熱を貯めて、神火魔石に熱を貯め込むというシステムだよ。そして、風呂を沸かす時にこのボタンを押すと自動で40度になるという魔道具だ!」
「そ、それはすごい!」
「でも、ご主人様……太陽の陽って言いましたが、雨の日は使えないのですか?」
「オリヴィア、いいところに気がついたな!そこも大丈夫だ!エネルギーが満タンになればこのソーラーパネルは、
一時機能を停止するんだが、貯蓄したエネルギーは1週間作動する事が出来るんだ」
みんな、その説明を聞いて呆気にとられるのである。1週間分のエネルギーが太陽の陽で賄えるなんてとんでもない発明なのだ。その発明にみんなは、歓声を上げケンジをたたえるのだった。
「ご主人!この商品も店で売るのか?」
「いや……ダンギ、この商品は売る事はしないよ」
「なんでじゃ?わしはこの商品を売りたいと思うんじゃが?」
「シェムも落ち着けって!この商品は今までの様に売れはしないよ」
「「「「「なんで?」」」」」
「そんなの当り前だ!平民には役に立たないからな。」
「「「「「「ええ?みんな風呂に入れると喜ぶと思うのですが?」」」」」」
女性達は、ケンジの売れないという説明にいっせいに否定してきたのである。
「よく考えろ!湯沸かし器だけ買ってどうするつもりなんだ?」
「「「「あっ……」」」」
「そういう事だ!これを販売しても貴族、それも上流貴族しか買わないだろ。」
「た、確かに……」
風呂は、このガイアースでは贅沢なもので、湯沸かし器の魔道具はあるにはあるが、魔力がとんでもないほど必要で、魔法使いを雇い湯を沸かすのである。そんなことが出来るのは当然、貴族ぐらいしかおらず下級貴族や平民は、井戸の水で体を洗ったり汗を拭くのである。
そして、ケンジの作った魔道具を売れば誰でも手軽に風呂に入れるのだが、平民の家に風呂のスペースなんかないのである。
そんな大きな家に住んでいる平民など皆無な為、この魔道具を売ったとしても喜ぶのは貴族ぐらいなのだ。
「そんな訳で、俺は貴族の為だけに商品を売るつもりはないので、この商品は売らない!」
「ご主人様!なんで貴族をそこまで毛嫌いするのですか?」
言葉を発したのは、やはりエリスだった。
「エリス、元貴族のお前には悪いが、俺は貴族や権力者が嫌いなんだ。そりゃ会ってもいない、貴族に対してそんな事を言うのは失礼かもしれないが、今まで会った貴族や権力者の傲慢な態度には辟易していてな」
「そんな、全員が全員そんな人ばかりではないです。ご主人様こそ、それは差別というものです」
エリスの言う事はもっともである。昨日の夜、エリスはケンジに差別するなと言われたばかりなのだ。
「確かに、エリスからしたらこれは差別になるかもしれないが、俺はそう思っていないよ」
「なんでですか?」
「まだ、この商品を売りに出していないからだよ」
「え?どういうことですか?」
「差別とは、人に対して行動を起こしたら差別になるんだろ?俺がこの商品を売り出した時、平民がこの商品を欲した時に風呂のスペースがないから、平民には売らないと言えば差別になるとおもわないか?」
「ようは、この湯沸かし器は、貴族だけしか売らないと言えば差別だ。俺は基本平民達を相手に商品を作り、生活水準を上げたいと思って店を経営しているんだよ」
「あ……」
「俺は、一部の人間しか使えない魔道具は、自分達で使えばいいと思っているんだよ」
それを聞き、エリスはケンジに、すぐさま土下座し謝罪するのだった。
「ご主人様、申し訳ございません!」
「いや、エリスの気持ちも分からんでもないから気にするな。」
「この世界に来てから、権力者の傲慢さには確かに辟易しているからな。そんな奴らの為だけの商品を作りたくないのは確かだからな」
ケンジの商品は基本平民達が、誰でも手軽に仕えて役に立つ物を作っているのである。その商品を貴族が買う分には何の問題はなく、普通に販売しているのだ。
ただし、迷惑をかけられたギルドに対しては高額で売ったり、万引きをしたような人間には出入り禁止したりしていたのだ。これはペナルティーであり差別ではないと思う。とエリスに説明するのだった。
朝から少し、バタバタがあったが、朝食を済ませ今日の一日が始まり、みんな、お店の準備や工房に向かうのだった。
ケンジは大工職人達に、次は男性用の屋敷をよろしくと頼むのである。乾燥室に入っている材木の在庫がなくなって来たので、マードック達を大工職人の護衛につかせ、伐採をしに行かせるのである。
一方、ギルドでは又、騒然となっているのである。Freedom、ガーライ支店が出来た事にである。
「いったいどういう事なのだ?」
「このままでは、ギルドの商品価値が本当になくなってしまうのでは……」
「何を呑気な事を!」
「では、ギルドマスターは何かいい案があるのですか?」
「そ、それは……」
「「「「そんな、我々ばかりのせいにしないでもらいたい!」」」」
「お前達ぃ……」
ギルドマスターは幹部達に責められるが、何も言い返すことが出来ないのであった。
「あの、ギルドマスター?」
「何かいい案があるのか?」
「いえ、そうではないのですが……」
「じゃあ、いったいなんだ?」
「我々ではもう対処できないんじゃ……」
「だから、諦める事なんかできないだろ!」
「だから、本部に協力を求めた方が……」
「ば、馬鹿な!そんな事をしたら、どうなると思っているんだ!我々の、出世はもうなくなってもおかしくないんだぞ!」
「ですが、このままではもっと酷い事になるのでは!」
「そうならない為にも、こうして会議をしているんじゃないか!」
こうした不測の事態になると、思い切った政策が出来ないのが大きな組織の悪いところである。特に、権力者は自分の地位の心配ばかりして、本筋を見ようとしないのである。
そして、いい案があっても小出しにして、台無しにしてしまうのである。
色んな案が出ても、それは無理なんじゃないか?とか、なんでギルドがというより我々が一構成員である生産者に頭を下げて協力を頼まなきゃいけないんだ?とか、へんなプライドが邪魔をして一向に会議が進まないのである。
そして、ギルドの一日が過ぎ去っていくのだった。
「「失礼します」」
「ご主人様!朝ですよ~~~って、あああ!」
「エリス!大丈夫ですか?」
ケンジの横には、目覚めていたエリスがいたのだが体力のすべてを出しきって、二人に目で訴えかけていたのだった。
「エリス、大丈夫ですか?」
二人は、ケンジに持ってきていた、ピッチャーに入れた水をエリスに与えたのだった。
エリスは、腰が抜けていて自力で起き上がれなくて、フィアナが抱きかかえ、水を少しづつ与えるしかなかった。
「ご主人様!起きてください‼」
「んっ……ティアナ、おはよう……」
「おはようじゃありません!エリスが!」
「あっ……」
「ご、ご主人様……おはよう…ございます……」
ケンジは、急いでグレーターヒールを唱えるのだった。グレーターヒールのおかげで、エリスの体力は全て回復した。
「「ご主人様!」」
「いつになったら、普通にできるようになるのですか!」
「ス、スマン……」
エリスは、目の前で起こっている事が信じれなかったのだ。奴隷であるティアナとフィアナが、主人であるケンジを、正座させて叱っているのである。
本当に、昨日言っていた事は本当の事で、主人と奴隷の立場だが、仲間の関係でいたいと言っていた事が、目の前で起こっていたのだ。
「エリス‼大丈夫だった?」
「ご主人様!エリスに謝ってください!」
「ティアナ!ご主人様に何を言っているの⁉」
「エリス……大丈夫?……」
「ええ!私ならもう大丈夫よ。」
「そう……ならよかった……」
ケンジは、素っ裸で土下座してエリスに謝罪したのだった。ケンジは服を着させてくれと思ったが、そのまま謝罪したのだった。
「ったく……ご主人様は、なんでもっと女の子を、大事にしてあげないんですか!」
「いや……そ、その……」
「いや、その、じゃありません‼」
「ご主人様……そんなんだから、他の女性達が奉仕したくても勇気が出ない……わかっていますか?」
「……」
「エリスもわかったでしょ?昨日、ご主人様の所に行くなら奉仕はもうちょっと待ってって!」
「そう……初心者にはご主人様の相手は一人では無理……下手したら本当に死んじゃう……」
「ちょっと、二人ともそれは言いすぎなんじゃ」
「「ご主人様!」」
「確かに、死ぬかと思ったわ……」
「エリスまで、そんなこと言うないだろ」
「いえ、ご主人様、いったん止めてと言ったらやめてくれなきゃ、本当に死んじゃいます。本当にやめてください!朝までノンストップって酷すぎます!」
「だって……エリスは俺好みの女性だから、つい夢中になってしまって……」
「えっ!」
エリスは、ケンジのセリフに顔を赤らめたのだった。
「「ご主人様!」」
「ス、スマン……」
ティアナとフィアナは、システィナ達の時も一緒の状態になっているだろ!と思ったのだが、ケンジの為と思い、それは言わないでおいたのだ。
ケンジからしたら、なんてできた娘達だろと思って感謝しつつ、3人に何回も頭を下げたのだった。
そして、朝食時に大工メンバーから、一つ目の屋敷が出来たと報告があったのだ。ついに町の第一歩が完成したのだ。ケンジは、新しく入って来た仲間達を移動させたのである。
建物は、女性専用の建物にしたので新しく入って来た女性達をそちらの建物に移動してもらったのである。
その建物の、一階部分には大浴場も設置してもらっていて、堀の水から水道を引き蛇口をひねるだけで風呂に水をためることが出来るのだ。
そして、ケンジはこの日の為に試作の湯沸かし器を発明していたのだ。この湯沸かし器は、平民には売ることが出来ない為、自分達専用魔道具になるのだ。
「ご主人様、これって何ですか?」
「風呂の湯沸かし器だよ。ここはハウスのおかげで誰でもすぐに入れるが、新しく作った方は、発明しないといけないだろ?」
「でも、魔道具なんてご主人様の魔力量があって初めて作動するもんじゃ……」
「そんな巷にあるような、効率わるい魔道具と一緒にするな!」
「す、すいません……」
「これは、画期的なんだぞ。火の魔石を神鋼魔石で加工することによって、熱を吸収するんだ」
「ケンちゃん、熱なんてわざわざ入るたびに火を起こすつもりなの?」
「そんな面倒なことするわけないだろ。このプレートは外に設置するんだ。」
「ま、まさかそれって!」
「そうだ!ソーラーパネルの代わりになるんだよ。」
「ご、ご主人様?ソーラーパネルってなんですか?」
「ようわな、このパネルで太陽の熱を貯めて、神火魔石に熱を貯め込むというシステムだよ。そして、風呂を沸かす時にこのボタンを押すと自動で40度になるという魔道具だ!」
「そ、それはすごい!」
「でも、ご主人様……太陽の陽って言いましたが、雨の日は使えないのですか?」
「オリヴィア、いいところに気がついたな!そこも大丈夫だ!エネルギーが満タンになればこのソーラーパネルは、
一時機能を停止するんだが、貯蓄したエネルギーは1週間作動する事が出来るんだ」
みんな、その説明を聞いて呆気にとられるのである。1週間分のエネルギーが太陽の陽で賄えるなんてとんでもない発明なのだ。その発明にみんなは、歓声を上げケンジをたたえるのだった。
「ご主人!この商品も店で売るのか?」
「いや……ダンギ、この商品は売る事はしないよ」
「なんでじゃ?わしはこの商品を売りたいと思うんじゃが?」
「シェムも落ち着けって!この商品は今までの様に売れはしないよ」
「「「「「なんで?」」」」」
「そんなの当り前だ!平民には役に立たないからな。」
「「「「「「ええ?みんな風呂に入れると喜ぶと思うのですが?」」」」」」
女性達は、ケンジの売れないという説明にいっせいに否定してきたのである。
「よく考えろ!湯沸かし器だけ買ってどうするつもりなんだ?」
「「「「あっ……」」」」
「そういう事だ!これを販売しても貴族、それも上流貴族しか買わないだろ。」
「た、確かに……」
風呂は、このガイアースでは贅沢なもので、湯沸かし器の魔道具はあるにはあるが、魔力がとんでもないほど必要で、魔法使いを雇い湯を沸かすのである。そんなことが出来るのは当然、貴族ぐらいしかおらず下級貴族や平民は、井戸の水で体を洗ったり汗を拭くのである。
そして、ケンジの作った魔道具を売れば誰でも手軽に風呂に入れるのだが、平民の家に風呂のスペースなんかないのである。
そんな大きな家に住んでいる平民など皆無な為、この魔道具を売ったとしても喜ぶのは貴族ぐらいなのだ。
「そんな訳で、俺は貴族の為だけに商品を売るつもりはないので、この商品は売らない!」
「ご主人様!なんで貴族をそこまで毛嫌いするのですか?」
言葉を発したのは、やはりエリスだった。
「エリス、元貴族のお前には悪いが、俺は貴族や権力者が嫌いなんだ。そりゃ会ってもいない、貴族に対してそんな事を言うのは失礼かもしれないが、今まで会った貴族や権力者の傲慢な態度には辟易していてな」
「そんな、全員が全員そんな人ばかりではないです。ご主人様こそ、それは差別というものです」
エリスの言う事はもっともである。昨日の夜、エリスはケンジに差別するなと言われたばかりなのだ。
「確かに、エリスからしたらこれは差別になるかもしれないが、俺はそう思っていないよ」
「なんでですか?」
「まだ、この商品を売りに出していないからだよ」
「え?どういうことですか?」
「差別とは、人に対して行動を起こしたら差別になるんだろ?俺がこの商品を売り出した時、平民がこの商品を欲した時に風呂のスペースがないから、平民には売らないと言えば差別になるとおもわないか?」
「ようは、この湯沸かし器は、貴族だけしか売らないと言えば差別だ。俺は基本平民達を相手に商品を作り、生活水準を上げたいと思って店を経営しているんだよ」
「あ……」
「俺は、一部の人間しか使えない魔道具は、自分達で使えばいいと思っているんだよ」
それを聞き、エリスはケンジに、すぐさま土下座し謝罪するのだった。
「ご主人様、申し訳ございません!」
「いや、エリスの気持ちも分からんでもないから気にするな。」
「この世界に来てから、権力者の傲慢さには確かに辟易しているからな。そんな奴らの為だけの商品を作りたくないのは確かだからな」
ケンジの商品は基本平民達が、誰でも手軽に仕えて役に立つ物を作っているのである。その商品を貴族が買う分には何の問題はなく、普通に販売しているのだ。
ただし、迷惑をかけられたギルドに対しては高額で売ったり、万引きをしたような人間には出入り禁止したりしていたのだ。これはペナルティーであり差別ではないと思う。とエリスに説明するのだった。
朝から少し、バタバタがあったが、朝食を済ませ今日の一日が始まり、みんな、お店の準備や工房に向かうのだった。
ケンジは大工職人達に、次は男性用の屋敷をよろしくと頼むのである。乾燥室に入っている材木の在庫がなくなって来たので、マードック達を大工職人の護衛につかせ、伐採をしに行かせるのである。
一方、ギルドでは又、騒然となっているのである。Freedom、ガーライ支店が出来た事にである。
「いったいどういう事なのだ?」
「このままでは、ギルドの商品価値が本当になくなってしまうのでは……」
「何を呑気な事を!」
「では、ギルドマスターは何かいい案があるのですか?」
「そ、それは……」
「「「「そんな、我々ばかりのせいにしないでもらいたい!」」」」
「お前達ぃ……」
ギルドマスターは幹部達に責められるが、何も言い返すことが出来ないのであった。
「あの、ギルドマスター?」
「何かいい案があるのか?」
「いえ、そうではないのですが……」
「じゃあ、いったいなんだ?」
「我々ではもう対処できないんじゃ……」
「だから、諦める事なんかできないだろ!」
「だから、本部に協力を求めた方が……」
「ば、馬鹿な!そんな事をしたら、どうなると思っているんだ!我々の、出世はもうなくなってもおかしくないんだぞ!」
「ですが、このままではもっと酷い事になるのでは!」
「そうならない為にも、こうして会議をしているんじゃないか!」
こうした不測の事態になると、思い切った政策が出来ないのが大きな組織の悪いところである。特に、権力者は自分の地位の心配ばかりして、本筋を見ようとしないのである。
そして、いい案があっても小出しにして、台無しにしてしまうのである。
色んな案が出ても、それは無理なんじゃないか?とか、なんでギルドがというより我々が一構成員である生産者に頭を下げて協力を頼まなきゃいけないんだ?とか、へんなプライドが邪魔をして一向に会議が進まないのである。
そして、ギルドの一日が過ぎ去っていくのだった。
0
お気に入りに追加
2,454
あなたにおすすめの小説
おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~
暇人太一
ファンタジー
大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。
白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。
勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。
転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。
それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。
魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。
小説家になろう様でも投稿始めました。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!
本条蒼依
ファンタジー
主人公クロスは、マスターで聞いた事のない職業だが、Eランクという最低ランクの職業を得た。
そして、差別を受けた田舎を飛び出し、冒険者ギルドに所属しポーターとして生活をしていたが、
同じパーティーメンバーからも疎まれている状況で話は始まる。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる