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第8章 Freedom国の設立!

11話 Freedom、町への一歩

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 次の日の朝、ティアナとフィアナがケンジを起こしに、部屋に入って来たのだった。

「「失礼します」」
「ご主人様!朝ですよ~~~って、あああ!」
「エリス!大丈夫ですか?」

 ケンジの横には、目覚めていたエリスがいたのだが体力のすべてを出しきって、二人に目で訴えかけていたのだった。

「エリス、大丈夫ですか?」

 二人は、ケンジに持ってきていた、ピッチャーに入れた水をエリスに与えたのだった。
 エリスは、腰が抜けていて自力で起き上がれなくて、フィアナが抱きかかえ、水を少しづつ与えるしかなかった。

「ご主人様!起きてください‼」

「んっ……ティアナ、おはよう……」

「おはようじゃありません!エリスが!」

「あっ……」

「ご、ご主人様……おはよう…ございます……」

 ケンジは、急いでグレーターヒールを唱えるのだった。グレーターヒールのおかげで、エリスの体力は全て回復した。

「「ご主人様!」」
「いつになったら、普通にできるようになるのですか!」

「ス、スマン……」

 エリスは、目の前で起こっている事が信じれなかったのだ。奴隷であるティアナとフィアナが、主人であるケンジを、正座させて叱っているのである。
 本当に、昨日言っていた事は本当の事で、主人と奴隷の立場だが、仲間の関係でいたいと言っていた事が、目の前で起こっていたのだ。

「エリス‼大丈夫だった?」
「ご主人様!エリスに謝ってください!」

「ティアナ!ご主人様に何を言っているの⁉」

「エリス……大丈夫?……」

「ええ!私ならもう大丈夫よ。」

「そう……ならよかった……」

 ケンジは、素っ裸で土下座してエリスに謝罪したのだった。ケンジは服を着させてくれと思ったが、そのまま謝罪したのだった。

「ったく……ご主人様は、なんでもっと女の子を、大事にしてあげないんですか!」

「いや……そ、その……」

「いや、その、じゃありません‼」

「ご主人様……そんなんだから、他の女性達が奉仕したくても勇気が出ない……わかっていますか?」

「……」

「エリスもわかったでしょ?昨日、ご主人様の所に行くなら奉仕はもうちょっと待ってって!」
「そう……初心者にはご主人様の相手は一人では無理……下手したら本当に死んじゃう……」

「ちょっと、二人ともそれは言いすぎなんじゃ」

「「ご主人様!」」

「確かに、死ぬかと思ったわ……」

「エリスまで、そんなこと言うないだろ」

「いえ、ご主人様、いったん止めてと言ったらやめてくれなきゃ、本当に死んじゃいます。本当にやめてください!朝までノンストップって酷すぎます!」

「だって……エリスは俺好みの女性だから、つい夢中になってしまって……」

「えっ!」

 エリスは、ケンジのセリフに顔を赤らめたのだった。

「「ご主人様!」」

「ス、スマン……」

 ティアナとフィアナは、システィナ達の時も一緒の状態になっているだろ!と思ったのだが、ケンジの為と思い、それは言わないでおいたのだ。
 ケンジからしたら、なんてできた娘達だろと思って感謝しつつ、3人に何回も頭を下げたのだった。

 そして、朝食時に大工メンバーから、一つ目の屋敷が出来たと報告があったのだ。ついに町の第一歩が完成したのだ。ケンジは、新しく入って来た仲間達を移動させたのである。
 建物は、女性専用の建物にしたので新しく入って来た女性達をそちらの建物に移動してもらったのである。
 その建物の、一階部分には大浴場も設置してもらっていて、堀の水から水道を引き蛇口をひねるだけで風呂に水をためることが出来るのだ。
 そして、ケンジはこの日の為に試作の湯沸かし器を発明していたのだ。この湯沸かし器は、平民には売ることが出来ない為、自分達専用魔道具になるのだ。

「ご主人様、これって何ですか?」

「風呂の湯沸かし器だよ。ここはハウスのおかげで誰でもすぐに入れるが、新しく作った方は、発明しないといけないだろ?」

「でも、魔道具なんてご主人様の魔力量があって初めて作動するもんじゃ……」

「そんな巷にあるような、効率わるい魔道具と一緒にするな!」

「す、すいません……」

「これは、画期的なんだぞ。火の魔石を神鋼魔石で加工することによって、熱を吸収するんだ」

「ケンちゃん、熱なんてわざわざ入るたびに火を起こすつもりなの?」

「そんな面倒なことするわけないだろ。このプレートは外に設置するんだ。」

「ま、まさかそれって!」

「そうだ!ソーラーパネルの代わりになるんだよ。」

「ご、ご主人様?ソーラーパネルってなんですか?」

「ようわな、このパネルで太陽の熱を貯めて、神火魔石に熱を貯め込むというシステムだよ。そして、風呂を沸かす時にこのボタンを押すと自動で40度になるという魔道具だ!」

「そ、それはすごい!」

「でも、ご主人様……太陽の陽って言いましたが、雨の日は使えないのですか?」

「オリヴィア、いいところに気がついたな!そこも大丈夫だ!エネルギーが満タンになればこのソーラーパネルは、
一時機能を停止するんだが、貯蓄したエネルギーは1週間作動する事が出来るんだ」

 みんな、その説明を聞いて呆気にとられるのである。1週間分のエネルギーが太陽の陽で賄えるなんてとんでもない発明なのだ。その発明にみんなは、歓声を上げケンジをたたえるのだった。

「ご主人!この商品も店で売るのか?」

「いや……ダンギ、この商品は売る事はしないよ」

「なんでじゃ?わしはこの商品を売りたいと思うんじゃが?」

「シェムも落ち着けって!この商品は今までの様に売れはしないよ」

「「「「「なんで?」」」」」

「そんなの当り前だ!平民には役に立たないからな。」

「「「「「「ええ?みんな風呂に入れると喜ぶと思うのですが?」」」」」」

 女性達は、ケンジの売れないという説明にいっせいに否定してきたのである。

「よく考えろ!湯沸かし器だけ買ってどうするつもりなんだ?」

「「「「あっ……」」」」

「そういう事だ!これを販売しても貴族、それも上流貴族しか買わないだろ。」

「た、確かに……」

 風呂は、このガイアースでは贅沢なもので、湯沸かし器の魔道具はあるにはあるが、魔力がとんでもないほど必要で、魔法使いを雇い湯を沸かすのである。そんなことが出来るのは当然、貴族ぐらいしかおらず下級貴族や平民は、井戸の水で体を洗ったり汗を拭くのである。
 そして、ケンジの作った魔道具を売れば誰でも手軽に風呂に入れるのだが、平民の家に風呂のスペースなんかないのである。
 そんな大きな家に住んでいる平民など皆無な為、この魔道具を売ったとしても喜ぶのは貴族ぐらいなのだ。

「そんな訳で、俺は貴族の為だけに商品を売るつもりはないので、この商品は売らない!」

「ご主人様!なんで貴族をそこまで毛嫌いするのですか?」

 言葉を発したのは、やはりエリスだった。

「エリス、元貴族のお前には悪いが、俺は貴族や権力者が嫌いなんだ。そりゃ会ってもいない、貴族に対してそんな事を言うのは失礼かもしれないが、今まで会った貴族や権力者の傲慢な態度には辟易していてな」

「そんな、全員が全員そんな人ばかりではないです。ご主人様こそ、それは差別というものです」

 エリスの言う事はもっともである。昨日の夜、エリスはケンジに差別するなと言われたばかりなのだ。

「確かに、エリスからしたらこれは差別になるかもしれないが、俺はそう思っていないよ」

「なんでですか?」

「まだ、この商品を売りに出していないからだよ」

「え?どういうことですか?」

「差別とは、人に対して行動を起こしたら差別になるんだろ?俺がこの商品を売り出した時、平民がこの商品を欲した時に風呂のスペースがないから、平民には売らないと言えば差別になるとおもわないか?」
「ようは、この湯沸かし器は、貴族だけしか売らないと言えば差別だ。俺は基本平民達を相手に商品を作り、生活水準を上げたいと思って店を経営しているんだよ」

「あ……」

「俺は、一部の人間しか使えない魔道具は、自分達で使えばいいと思っているんだよ」

 それを聞き、エリスはケンジに、すぐさま土下座し謝罪するのだった。

「ご主人様、申し訳ございません!」

「いや、エリスの気持ちも分からんでもないから気にするな。」
「この世界に来てから、権力者の傲慢さには確かに辟易しているからな。そんな奴らの為だけの商品を作りたくないのは確かだからな」

 ケンジの商品は基本平民達が、誰でも手軽に仕えて役に立つ物を作っているのである。その商品を貴族が買う分には何の問題はなく、普通に販売しているのだ。
 ただし、迷惑をかけられたギルドに対しては高額で売ったり、万引きをしたような人間には出入り禁止したりしていたのだ。これはペナルティーであり差別ではないと思う。とエリスに説明するのだった。

 朝から少し、バタバタがあったが、朝食を済ませ今日の一日が始まり、みんな、お店の準備や工房に向かうのだった。

 ケンジは大工職人達に、次は男性用の屋敷をよろしくと頼むのである。乾燥室に入っている材木の在庫がなくなって来たので、マードック達を大工職人の護衛につかせ、伐採をしに行かせるのである。





 一方、ギルドでは又、騒然となっているのである。Freedom、ガーライ支店が出来た事にである。

「いったいどういう事なのだ?」

「このままでは、ギルドの商品価値が本当になくなってしまうのでは……」

「何を呑気な事を!」

「では、ギルドマスターは何かいい案があるのですか?」

「そ、それは……」

「「「「そんな、我々ばかりのせいにしないでもらいたい!」」」」

「お前達ぃ……」

 ギルドマスターは幹部達に責められるが、何も言い返すことが出来ないのであった。

「あの、ギルドマスター?」

「何かいい案があるのか?」

「いえ、そうではないのですが……」

「じゃあ、いったいなんだ?」

「我々ではもう対処できないんじゃ……」

「だから、諦める事なんかできないだろ!」

「だから、本部に協力を求めた方が……」

「ば、馬鹿な!そんな事をしたら、どうなると思っているんだ!我々の、出世はもうなくなってもおかしくないんだぞ!」

「ですが、このままではもっと酷い事になるのでは!」

「そうならない為にも、こうして会議をしているんじゃないか!」

 こうした不測の事態になると、思い切った政策が出来ないのが大きな組織の悪いところである。特に、権力者は自分の地位の心配ばかりして、本筋を見ようとしないのである。
 そして、いい案があっても小出しにして、台無しにしてしまうのである。

 色んな案が出ても、それは無理なんじゃないか?とか、なんでギルドがというより我々が一構成員である生産者に頭を下げて協力を頼まなきゃいけないんだ?とか、へんなプライドが邪魔をして一向に会議が進まないのである。

 そして、ギルドの一日が過ぎ去っていくのだった。


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