異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第8章 Freedom国の設立!

3話 改めて開店

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 商人ギルドが、王都に向かいテンペの町を旅立ち1週間が経った頃、ケンジがテンペの町に姿を現したのだ。

 旧店舗ではなく、家の方に設置してある転移マットを使い、テンペの町に戻ってきたのだ。ケンジの姿を見た、近所の人達は歓迎ムードで賑わったのだ。

「ケン坊!やっと戻って来たのか?」

「おやっさん!やっとって言ってもまだ1週間じゃないか!大げさすぎだよ」

「まだ、1週間っていってもお前の店が開かなくなった、この町は葬式のようだったぞ」

「そんなもんですか?」

「お前はよくわかっていないかもしれんが、この町はお前の商品や能力で持っているようなもんだからな」

 ケンジも、それはよくわかっていたが口に出したら嫌味にしか聞こえないから、自分からは絶対言わないが他の人から言われると嬉しいもので、顔から笑みが出てしまうのである。

「ありがとうございます。そう言ってもらえると、俺も頑張ってきた事が報われます」

「分かってないのはギルドぐらいなもんだ!」

「あはははは」

 ケンジは、苦笑いしか出来なかった。

「それで、戻って来たって事は開店の目処が立ったのか?」

「ええ、王都と同じように、町の正面門の外に店舗を建てようと思います」

 それを聞いた、おやっさんや近所の人達は驚いたように止めるように言ってきたのだ。

「ケン坊!ちょっと待て!城壁の外に店を建てるというのか?」

 おやっさん達が驚くのも無理はなかった。王都支店の事はここまで噂が流れては来ていなくて、城壁の外に家や店を建てる事など、危険でありえない事なのだ。

「大丈夫ですよ」

「いやいや・・・ケン坊分かっているのか?そんなとこに店を立てても夜になったら、魔物は当然、盗賊だって襲ってくるかもしれないんだぞ」

「大丈夫ですって!王都支店でも城壁の外に支店があってですね、ちゃんと機能しているしね。」

「はぁあ?王都支店だと?王都にも店があるのか?」

「あ、そっか……ここまで情報が流れていなかったですね。王都にも支店を作ってですね、テンペと同じように転移マットでお客様が来てくれているんですよ」

 それを聞いた、町の人達はあんぐりと口を開けたまま固まったのである。

「ケン坊!それってどういうことだ?あの転移する床が、もう一つあるって事なのか?」

「ええ、ダンジョンから出たですよ。だからこれはちょっと自分には作れないですけどね」

「だが、家を今から作ってもすぐには開店は無理だろ?それよりも城壁の外に家なんか作れないぞ」
「ケンジさん、悪い事言わないから……城壁の外に家なんか建てたら、資材やら金になる物はすべて盗賊に奪われるからやめたほうが良いわ」
「そうだぜ!普通はある程度の土地に、城壁を作ってから安全を確保して家を建てるものなんだぞ」

「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫です!建てる家もダンジョン産の家ですから、結界も働き安全なんですよ」

 それを聞いた、町の人達はケンジが何を言っているのか分からなかったのだ。ダンジョン産の家?と言われても、そんな魔道具の存在が知られている訳でもなく、どういうものなのかもわからなかったのである。

「という訳で、明日には開店できると思いますので、ちょっと今から準備してきます」

 そう言って、ケンジはギル達と町の正面玄関に当たる、南門に向かうのだった。

 ケンジのいなくなった場所では、町の人達がまたケンジが帰ってきた事を噂を流し、城壁の外に店舗を建てるという前代未聞の事をやるらしいと一時的にお祭り騒ぎのようになったのである。








「お、おおお!ケンジ殿ではないか!いつ帰って来たのだ?」

 兵士達は、またケンジがこの町に帰ってくると情報が入っていた為、ケンジが城門に現れた事に、笑顔出迎えてくれたのである。

「今さっきです、店舗の目処が立ったので今から町の外に、店を建てようと思います」

「そうか!町の人達が喜ぶと思う。早く開店してくれよな」

 兵士達は、王都支店の事を知っていた為、笑顔で店を建てていい場所を説明してくれた。

「あの町の立札があるだろ?あれから向こうの土地なら建てても大丈夫だぞ」

「ありがとうございます」

 その立札は200mほど、城門から離れた位置にあり、街道沿いで陽がある時間は人通りも多いの場所であった。

「この場所なら、人も呼びこめそうですね」

「ああ、そうだな!」

 ギル達もまた、人通りを見て町の人達、冒険に出かける冒険者が立ち寄ったり、行商の人間達の来店を期待できそうな場所であった。
 そして、ケンジは王都支店と同じ間取りの支店を、ハウスで作り上げたのである。それを見た街道沿いにいた人間達が驚き立ち尽くしてしまったのだ。

「な、なんだぁ~~~~!」
「わぁ~~~~!」
「す、すげぇ~~~~!」

 旅から帰って来た人間や、これから冒険に向かう冒険者達が驚き、その足を止めるのだった。ケンジは、そんな事はお構いなしに、店舗の中に来客用とお客様用の転移マットを設置するのだった。

 店舗の中には、ショーケース等も王都の支店と同じような作りにして、ケンジはどんどん内装を作って、明るい内装で入りやすい店舗にしていくのだった。

 そして、まだ入ることのできない人達は、町の中で噂を拡げ、明日を楽しみにしていたのである。


 ケンジは旧店舗の前に又、南門から200mの場所に移転しましたという立札を設置したのだった。立札を立てなくとも、町の人達の口コミで十分噂となり、宣伝効果は十分だったのだ。






 次の日、テンペの町の人達は、予想より早い開店に喜ぶのである。また、目途がついたらというケンジの言葉は、最低でも一か月はかかるものだと、みんなは思っていたようで凄く喜んだのである。

 この事を知らなかったのは、ギルド関係者だけであり、ギルドマスター達が王都に向かった事は無駄に終わるのだった。つまり、旅費や護衛料金、ギルドの運営や依頼等ただ出費がかさんだだけだったのである。




 そして、生産ギルドは又、ケンジの店でインゴットを調達できる事を知り買い付けに来るのだが、ケンジからギルド関係者の料金は1.5倍増しだと言われ愕然とするのである。

「ケンジ様!ちょっと待ってください!何で、ギルドだけ料金が高いのですか!」

「そりゃ当然だろ!あんた達のトップに、俺は迷惑をかけられたんだ!その迷惑料だよ」
「それにギルドのせいで、営業停止までさせられ新たに店を建て直させられ、余計な出費をかけさせられたんだ」

「それは、わたし達、生産ギルドではないじゃないですか」

「俺からしたら、迷惑をかけられたのはギルドって認識だよ」

「そ……そんな!」

「もし、違うというならギルド4つ同じ建物に入っているのはおかしいだろ」
「それに帝国領のギルドは別々だったぞ」

「それは情報共有できて、便利が良いのでテンペでは同じ建物に入っているのです」

「自分でも情報共有できて、便利がいいと言っているじゃないか!つまり4つのギルドは同じなんだろ?」

「……」

「つまり、商人ギルドだろうが生産ギルドであろうが同じって事なんだよ」

「そんなこと言わないでください!インゴットがこれ以上高騰したら、町の維持が出来なくなります……」

「そんな事、俺に言われても知らないよ。もし高いと思うなら買わなきゃいいんだ。俺は別にギルドに買ってほしいと思ってないからな」

「そんなぁ!」

「オリハルコンインゴットが、こんなに高かったら誰も買えないじゃないですか?それなら、町の為に売ってくれても!」

「いやいや……こんだけ高いのはギルド関係者だけだよ。普通一般の生産者に対しては、相場通りの値段で売っていると言ったじゃないか」

「じゃあ、その一般の生産者から買うだけです!」

「そりゃ無理だよ。うちの商品は転売禁止だからな!同じ値段で売ってくれるような生産者は皆無だし、もし同じ値段で売ってくれるとなると、ギルド関係者となり、店の防犯システムが働き商品は消えることになるよ」

「なんで、防犯システムが城壁外で働くのよ!嘘をついても無駄ですよ。」

 ギルド受付嬢は、防犯システムの事をよく知っていて、この防犯システムは、町の結界の魔力を使い作動している物と知っていたのである。つまり、城壁外にあるこの店には、そのシステムがないという事になるのだ。

「じゃあ、その商品を万引きして見なよ。どうなるのか解るから」

「そんな嘘ついたって……」

 受付嬢は半信半疑でインゴットを懐にしまったのである。すると防犯システムが働き、店に大きなブザーがけたたましく鳴り響き、受付嬢の姿は店の地下牢に転移させられてしまうのだった。

 店に来ていたお客様達は、何が起こったのか騒然としてたのだが、また馬鹿が、この店で万引きをしたのかと呆れていたのだった。




 ケンジは、急いで地下牢に向かうのである。すると地下牢では大きな悲鳴が聞こえていたのだった。

 地下牢の周りには、ケンジがテイムした超級ダンジョンクラスの魔物が牢屋の周りに配備されていて、地下牢の人物を脅していたのである。

 ケンジは地下牢に向かい、魔物達を遠ざけて地下牢に入っていた受付嬢に話しかけた。

「なっ!だから言っただろう。この自国である店には、テンペの町の結界より強力な結界が張ってあるんだ」
「その結界の力を使った、防犯システムが働いているんで、万引きや暴れたりした者は、ここに転送される事となるんだ」
「当然だが、転売も出来ないと思ってくれたらいいよ」

 ケンジは、そのように説明したのだがこの檻の周りにいたスワンプドラゴンに驚き、いなくなったことで受付嬢は気絶してしまっていたのだった。

「あ……ちょっとやり過ぎてしまった……」

 ケンジは受付嬢を抱きかかえ、ベットに寝かせたのだった。

「システィナ!スマンが……この人を寝かせておくから見ていてくれ!」

「ったく、ご主人様はちょっとやりすぎですよ」

「ちょっと待て!俺は何もやってないぞ。この店の防犯システムの説明をしただけだ」

「一般人を、スワンプドラゴンの側に転移させたら。こうなるの当たり前じゃないですか」

「いや……だって、信じてくれそうになかったし、実践させた方が信じてもらえると思ったから……」

「そうかもしれませんが、やりすぎです!」

 ケンジは、システィナにこっぴどく叱られていたのであった。

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