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第8章 Freedom国の設立!
1話 ギルドマスター
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ケンジ達が、自国の超級ダンジョンを攻略してから、2週間が経ったある日、生産ギルドと商人ギルドのギルドマスターと部下数名が、やってきたのだった。
ケンジは、店の出入り口とは違う来客用の転移マットも設置して、こちらの方も店の外には出れないようにしたのである。
「これはこれは、どうもお久しぶりです。今日は、2つのギルドがそろっていかがなされましたか?」
ブロサッムとクーナンが、意気揚々と訪問してきたのである。
「久しぶりですね。最近はいかがですか?」
「まあ、景気の方は上場ですよ。でも、そんな話をわざわざしに来たんじゃないでしょ。要件は何ですか?」
「まあ、そんな急かす事は無いじゃろ?わしはクーナンというんじゃ。商人ギルドのギルドマスターをやっておる。ケンジさんとは初めてだったかいのう。」
「はじめまして、ケンジと言います。わざわざ丁寧にありがとうございます。それで、その商人ギルドのギルドマスターがわざわざ出向いてくるとは、なにかあったのでしょうか?」
「ホント、お主はせっかちな奴じゃのう・・・」
「今日は、本当の所顔見せのつもりだったのじゃよ。」
「ホントですか?俺はてっきり、商人ギルドに戻ってくれと言われると思いましたよ。」
商人ギルドマスターは、ケンジのセリフに目蓋がピクッと動くのだった。商人ギルドマスターは、もう高齢のおばあさんで、目が開いているか開いていないか分からないくらいしわくちゃで、こういった反応はすぐにわかるのであった。
「お主・・・そういう事は声に出して言うもんじゃないわい。」
「まあ、話に出たしちょうどよいわい。」
ケンジは、何が話が出たし・・・だ!そのように仕向けたくせにと思った。
「ケンジさんや・・・どうかいのう。また商人ギルドに登録してくれんか?」
「クーナンさん。また俺が登録したとして、何かメリットがあるのですか?」
「それはのう・・・ケンジさんには、普通に町の中で商売をしてほしいんじゃよ。テンペの町には、メイガン商会が撤退してしまったじゃろ?」
「そうですね・・・・」
「あんなでかい商会が、いなくなったせいでテンペの町は税収がなくなってしまって、困っておるのじゃ・・・そのうえ、Freedomもテンペの町からいなくなってしまっては、損失があまりに大きくてのう・・・」
「それは気の毒と思いますが、お願いする理由が、俺には分かりません。」
「なぜ、わからないんじゃ。町の存続が厳しくなってきておるんじゃ。」
「じゃあ、貴方達は今までに町を去った、冒険者や生産者を町の税収が少なくなってきたからと言って、呼び戻したりしていたのですか?」
「それはないのう・・・じゃがお主の店はテンペの町にあるじゃないか?」
「テンペの町にはないですよ。店の位置はテンペの町から、直線距離で馬車で1週間かかる場所ですよ。それに、まだ王国が開発のできなかった土地です。」
「じゃが、テンペの町の人が、町の中からすぐに行けるではないか。」
「それは俺の、いや・・・・俺達の営業努力のたまものだよな?普段から、町の人達との付き合いがなければ、こんな胡散臭い転移マットに誰が乗って、こんな店に商品を買いに来ると思う?」
ケンジの、言う事はもっともな事であり、ガイアースの人間の命は地球と違い物凄く軽いのだ。
だから、平民達の危機管理能力は高く、町のスラムはもちろん少し入り組んだ路地でさえ、一人では絶対に入らないのである。
つまり、ケンジは町の人達とのコミニュケーションをとり、ここは安心だと認識させていたのである。そして、それは口コミで広がり、人々は安心して転移マットに乗って、買い物をしていくのである。
そして、王都の方だが、こちらは売り上げは上々であるが、まだ買いに来ない民衆もまだたくさんいるのである。
王都の方は、王族が直々に宣伝している事もあり、徐々にうわさが広がっている途中なのである。ケンジも暇さえあれば、王都のギルドでFランクの雑用依頼を率先して受けている途中で、テンペの町の様に平民と顔を繋げている最中なのだ。
王都のギルドも又、Fランクの依頼は放置気味で、誰もなかなかやってくれてないのである。ケンジは、この事でFランクの依頼をして、王都の町の人達と顔を繋げていく最中なのである。
「それは、ケンジさんの商品が便利が良いから、みんなも欲しいからですよ。」
「たしかに、その営業努力も効果はあるとは思いますが、商品が凄い物だからですよ。」
ギルドマスターの部下である人間が、会話に入ってくるのであった。
「まあ、確かに自分で言うのもあれだが、俺の商品は自慢できるものではあるよ。」
「で、ですよね。」
「でも、だからと言って、俺が商人ギルドに戻る必要性は全然ないですよね?」
「じゃが、実質町の中から町の人たちを呼び込み、販売しているのは確かじゃろ?城壁内で、店を開き販売しているのと一緒ではないか。」
「えーっと、それは販売を止めるか、ギルドに所属しなおし、今まで通り年会費を納めろと言っているのですか?」
「そうじゃ!どんな店も例外なく税金としての、商人ランクのお金を払ってほしいのじゃ。」
「俺は、城壁内にお店が無く、自国で販売しているのにそれはおかしい!」
「じゃが、テンペの町の人を町の中から誘導していて、町の中で商売しているようなものじゃないか。」
「いいのですか?販売を止めても困るのは、テンペの町の方ですよ?大商会は町から撤退し、俺の店はなくなり税収も無くなり、たぶんだが生産ギルドはインゴットの買い付けの、相談で来ているのだろうが、販売を止めたらその買い付けさえできなくなるんだぞ?」
生産ギルドマスターはギクッとし、商人ギルドマスター冷や汗をたらすのであった。だが、ケンジは商売を続けさせてほしいと思っているはずだと、思っていたギルドマスター達は少し強引だと思っていたが、こういう手段に出ていたのだった。
「でも、商人ギルドに登録さえしてくれていたら、ワシらは文句ないし、今まで通り商売ができるんじゃぞ?」
ギルドとしては、城壁内からお客を呼び込んでいる事が気に入らないのだった。ギルドは、ケンジが王都の支店のような店舗を、いくつも用意できると思っていなかったのである。
ケンジからしたら、こんなギルドマスターのような奴らが上に立っているという事が、下で働いている人間達が不憫でしょうがなかったのである。
余りに浅はかで、そんな事を言ったらどういう事になって、迷惑が全て町の人達にシワ寄せがいく事になる事になるのが想像が出来ないんだろうか?と、ケンジは頭を抱えるのである。
「わかったよ・・・」
「わかってくれたか!」
商人ギルドマスターは、大きな声を出して喜んだのだった。
「何を喜んでいるんだ?」
「えっ?商人ギルドに所属し直してくれるんじゃろ?なに、一旦抜けた者は3年は所属できないルールがあるが、そこは、ワシの特権ですぐに所属出来るようにしてやるわい!ひゃひゃひゃひゃ!」
「何を勘違いしているかわからんが、俺は所属し直すつもりはないと言っているだろ。」
「はぁ?店が開けないんじゃぞ?それでも良いのか⁉」
「あんた達が帰ったらすぐにでも、店の跡地に立札を立てておくよ。ギルドが店の許可を出さないから閉めますってね。」
「ちょ、ちょっちょっと待つのじゃ!」
「何を言っているんだよ。許可を出せないと言ったのはそっちだろ?」
「いやそうじゃなくてだな・・・そこは所属し直して、店を開けるのが普通じゃろ?王都だけでは、まだそんな売り上げが出ないんじゃろ?だったら!」
「商人ギルドに所属しても、そっちにはメリットあるが俺には無いからな。」
「いいや、あるじゃろ!店を開く、許可が出て売り上げが上がるんじゃ!立派なメリットじゃろうが!」
「言っておくけど、俺にとって売り上げなど、そんな必要性はないんだよ。」
「はあ?」
「俺は、誰にも縛られない生活が一番で、それに伴いみんなが幸せになれたら十分なんだよ。権力者達に利用される事が一番癇に障り鬱陶しいんだ。」
「「「「「なっ!」」」」」
「だから、許可を出さないというならそれで結構!まあ、この後の方が楽しみでしょうがないよ。」
「はあ?楽しみって何なんじゃ?」
「クーナンさん、覚悟しておいたほうが良いぞ!やっとFreedom店が再開店して、町の人達は喜んでいたはずだ。」
「そりゃ当然じゃ。」
「それがわかっているのになんで、自分達の事だけしか考えず、俺の店の経営を止めようとするんだ?」
「そりゃ、お主が商人ギルドを脱退するからじゃ。あのまま、所属していたらワシもこんな無茶な事は言わん!」
「クーナンさん、ちょっといいか?あんたは、俺の店の売り上げが良いから脱退させず、その甘い蜜を吸おうとしているだけなんだよ。」
「そりゃ、経営の上手くいっている店は、脱退させたくないのは当たり前じゃ。」
「その身勝手な考え方だから、メイガン商会がテンペの町から、撤退したのがまだわからないのか?いい加減楽をしようとするのを止めたらどうなんだ?」
「何を言っておるのじゃ!ギルドが商会や個人店を仕切っているんじゃ、楽をしている訳じゃなかろう!」
「いいや・・・俺からしたら、ギルドは良いとこ取りをしているだけだよ。あんた達は、いつも弱いとこはほったらかしで、利益や自分が得になりそうだったら、すり寄ってきて自分の思い通りにならなかったら、営業をできないようにすると脅してくるんだ。」
「生産ギルドの時もよくやられたよ!厄介事ばかり押し付けられ、だから俺はあんた達権力者や貴族、王族が鬱陶しいんだ。」
「いいか!長くなったが俺は、商人ギルドに所属するつもりはない!そして、テンペの町の中にある転移マットは回収する。」
「「なっ!」」
「それで、俺の店舗跡地に立札を立てて、内容にはギルドが営業停止命令を出した為、皆様には長らくの贔屓ありがとうございました。と書かせてもらうよ!」
「これで、俺がこれからが楽しみだと言った意味が分かったか?」
それを聞いた、ギルドマスターと部下達の顔が青ざめていくのが、手に取る様にわかるのだった。
「ケンジさん!わたし達が悪かった!営業はそのまま続けてくれ!我々はもう、あんたには文句は言わん!」
「あんた!さっきまで偉そうに色々言ってて、ここまではっきり自分の立場を教えてもらわなきゃ、こんな事になるのが分からないのか?」
「ぐっ・・・・」
「ぐっ・・・じゃねえよ。あんたには、ギルドマスターは向いてないから早く引退したらどうだ?あんたみたいな、老害いると下のもんが迷惑するだけだよ。」
「なんじゃ!その口の利き方は!」
クーナンは、ケンジの言い方に、憤慨して大きな声を出すのだった。
「おいおい!ばあさんが、そんないきなり大きな声を出したら、脳卒中をおこし死んじまってもしらないよ。」
「それと、教えておいてやるよ。長い事ギルドマスターやって、気づかないのかもしれないが、あんた達は俺にギルドに、戻ってきてほしい立場なんだ。」
「あんな上から目線のお願いで、誰があんたのお願い事を聞くっていうんだよ。商売の基本から、修業し直した方がいいんじゃないのか?」
「それと、生産ギルドマスターのブロッサムさんでしたっけ?アンタもここにきてインゴットのお願いだろうけど、インゴットが欲しいなら、店で売っている物を買ってくれたらいいから。それについては文句は言わないよ。」
「ちょっと待ってくれ!インゴットが高沸し過ぎて、もうギルドからこれ以上出すことが出来ない状態なんだよ。あんたには、インゴットの依頼をしてほしくてここにきたんだ。言ってみれば、ギルドからの指名依頼だ!受けてくれないか?頼む!」
ブロッサムは頭を下げ、ケンジにお願いをするのだった。
「ブロッサムさん、俺の言っていることが理解しましたか?インゴットなら、俺の店で買ってくれたらいいと言いましたよね?でも、気を付けてくださいね。」
「いや、だからもう金が無いんだ・・・」
「いやいやいや・・・金が無いのに、物をくれという方が非常識でしょ?」
「いいですか?町の生産者も頑張って、日々の生活を頑張り、何とか利益を出そうとしているんですよ。あんた達はいつ?どこで?なにを?どれだけ頑張っているのですか?」
「昔から全然変わろうとしていないですよね?だから、生産者達もギルドに、協力してくれないのですよ。」
「いいですか?今日これであなた達が帰ったら、俺の元店の跡地から転移マットは回収するんだ。今インゴットを買えるだけ買わないと、町だけでインゴットを用意しないといけなくなるんだぞ。分かっているのか?」
商人ギルドから、営業の許可を認めないと言われたケンジには、テンペの支店は閉めるしかないわけで、インゴットも今、買える分で終わりになるのである。それにテンペの町には、大商会のメイガン商会もなく、今いる採掘士で
、インゴットを用意しないといけなくなるのである。
そんな事で、町の維持はできなくなるのは、容易に想像が出来るのだ。ブロッサムは、本当に冷や汗が止まらなくなるのである。
「ク、クーナン!お前どうするつもりなんだ!」
「あたしに、言っても知らないよ!」
完全に、クーナンの逆切れである。ブロッサムも又、これからテンペの町が、どうなるのか分からなくなってしまうのである。
「あの、お二人さん、喧嘩するなら帰ってやってくれませんか!ここでやられても迷惑です!」
「「ケンジさんすまなかった!」」
「どうか許してくれ!」
「あのさ・・・許して・く・だ・さ・い・でしょ?何で、いつも上から言ってくるんだよ!まあ、許すつもりなんかないけどね。」
「なんでだ!俺は、ケンジさんあなたに何もしてないはずだ!こんな事をやられる筋合いはないはずだ!」
「ブロッサムさん、あんたには大きな貸しがあるからですよ。」
「何があるんだ!俺はアンタには迷惑をかけた事ないだろう!」
「メイガン商会のガンスさんに教えてもらいましたよ。」
ガンスという名にビクッとするブロッサムである。
「あんた、授賞式の断り方法を知っていたんだってな?俺を嵌めて恩を売り、俺をギルドの言いなりにしようと、画策したらしいじゃないか?」
「普通は、もし断るならちゃんと手順を踏んでやらないといけない所を、全部俺のせいにしてあの騒動になったみたいだな。」
「それによって、俺の家族がどんだけ迷惑をこうむったのかわかるか?」
「そんなギルドに、協力なんかするわけないだろうが!俺の店で、インゴットが買えるだけ、ありがたいと思うんだな!」
それを聞いた、ブロッサムは肩をガクッと落とし俯いてしまうのだった。
「もういいだろ?ここにはもう用はないはずだ!お引き取りを!」
ケンジは冷めた目で、ブロッサムとクーナンを見てお引き取りをお願いしたのだった。
ケンジは、店の出入り口とは違う来客用の転移マットも設置して、こちらの方も店の外には出れないようにしたのである。
「これはこれは、どうもお久しぶりです。今日は、2つのギルドがそろっていかがなされましたか?」
ブロサッムとクーナンが、意気揚々と訪問してきたのである。
「久しぶりですね。最近はいかがですか?」
「まあ、景気の方は上場ですよ。でも、そんな話をわざわざしに来たんじゃないでしょ。要件は何ですか?」
「まあ、そんな急かす事は無いじゃろ?わしはクーナンというんじゃ。商人ギルドのギルドマスターをやっておる。ケンジさんとは初めてだったかいのう。」
「はじめまして、ケンジと言います。わざわざ丁寧にありがとうございます。それで、その商人ギルドのギルドマスターがわざわざ出向いてくるとは、なにかあったのでしょうか?」
「ホント、お主はせっかちな奴じゃのう・・・」
「今日は、本当の所顔見せのつもりだったのじゃよ。」
「ホントですか?俺はてっきり、商人ギルドに戻ってくれと言われると思いましたよ。」
商人ギルドマスターは、ケンジのセリフに目蓋がピクッと動くのだった。商人ギルドマスターは、もう高齢のおばあさんで、目が開いているか開いていないか分からないくらいしわくちゃで、こういった反応はすぐにわかるのであった。
「お主・・・そういう事は声に出して言うもんじゃないわい。」
「まあ、話に出たしちょうどよいわい。」
ケンジは、何が話が出たし・・・だ!そのように仕向けたくせにと思った。
「ケンジさんや・・・どうかいのう。また商人ギルドに登録してくれんか?」
「クーナンさん。また俺が登録したとして、何かメリットがあるのですか?」
「それはのう・・・ケンジさんには、普通に町の中で商売をしてほしいんじゃよ。テンペの町には、メイガン商会が撤退してしまったじゃろ?」
「そうですね・・・・」
「あんなでかい商会が、いなくなったせいでテンペの町は税収がなくなってしまって、困っておるのじゃ・・・そのうえ、Freedomもテンペの町からいなくなってしまっては、損失があまりに大きくてのう・・・」
「それは気の毒と思いますが、お願いする理由が、俺には分かりません。」
「なぜ、わからないんじゃ。町の存続が厳しくなってきておるんじゃ。」
「じゃあ、貴方達は今までに町を去った、冒険者や生産者を町の税収が少なくなってきたからと言って、呼び戻したりしていたのですか?」
「それはないのう・・・じゃがお主の店はテンペの町にあるじゃないか?」
「テンペの町にはないですよ。店の位置はテンペの町から、直線距離で馬車で1週間かかる場所ですよ。それに、まだ王国が開発のできなかった土地です。」
「じゃが、テンペの町の人が、町の中からすぐに行けるではないか。」
「それは俺の、いや・・・・俺達の営業努力のたまものだよな?普段から、町の人達との付き合いがなければ、こんな胡散臭い転移マットに誰が乗って、こんな店に商品を買いに来ると思う?」
ケンジの、言う事はもっともな事であり、ガイアースの人間の命は地球と違い物凄く軽いのだ。
だから、平民達の危機管理能力は高く、町のスラムはもちろん少し入り組んだ路地でさえ、一人では絶対に入らないのである。
つまり、ケンジは町の人達とのコミニュケーションをとり、ここは安心だと認識させていたのである。そして、それは口コミで広がり、人々は安心して転移マットに乗って、買い物をしていくのである。
そして、王都の方だが、こちらは売り上げは上々であるが、まだ買いに来ない民衆もまだたくさんいるのである。
王都の方は、王族が直々に宣伝している事もあり、徐々にうわさが広がっている途中なのである。ケンジも暇さえあれば、王都のギルドでFランクの雑用依頼を率先して受けている途中で、テンペの町の様に平民と顔を繋げている最中なのだ。
王都のギルドも又、Fランクの依頼は放置気味で、誰もなかなかやってくれてないのである。ケンジは、この事でFランクの依頼をして、王都の町の人達と顔を繋げていく最中なのである。
「それは、ケンジさんの商品が便利が良いから、みんなも欲しいからですよ。」
「たしかに、その営業努力も効果はあるとは思いますが、商品が凄い物だからですよ。」
ギルドマスターの部下である人間が、会話に入ってくるのであった。
「まあ、確かに自分で言うのもあれだが、俺の商品は自慢できるものではあるよ。」
「で、ですよね。」
「でも、だからと言って、俺が商人ギルドに戻る必要性は全然ないですよね?」
「じゃが、実質町の中から町の人たちを呼び込み、販売しているのは確かじゃろ?城壁内で、店を開き販売しているのと一緒ではないか。」
「えーっと、それは販売を止めるか、ギルドに所属しなおし、今まで通り年会費を納めろと言っているのですか?」
「そうじゃ!どんな店も例外なく税金としての、商人ランクのお金を払ってほしいのじゃ。」
「俺は、城壁内にお店が無く、自国で販売しているのにそれはおかしい!」
「じゃが、テンペの町の人を町の中から誘導していて、町の中で商売しているようなものじゃないか。」
「いいのですか?販売を止めても困るのは、テンペの町の方ですよ?大商会は町から撤退し、俺の店はなくなり税収も無くなり、たぶんだが生産ギルドはインゴットの買い付けの、相談で来ているのだろうが、販売を止めたらその買い付けさえできなくなるんだぞ?」
生産ギルドマスターはギクッとし、商人ギルドマスター冷や汗をたらすのであった。だが、ケンジは商売を続けさせてほしいと思っているはずだと、思っていたギルドマスター達は少し強引だと思っていたが、こういう手段に出ていたのだった。
「でも、商人ギルドに登録さえしてくれていたら、ワシらは文句ないし、今まで通り商売ができるんじゃぞ?」
ギルドとしては、城壁内からお客を呼び込んでいる事が気に入らないのだった。ギルドは、ケンジが王都の支店のような店舗を、いくつも用意できると思っていなかったのである。
ケンジからしたら、こんなギルドマスターのような奴らが上に立っているという事が、下で働いている人間達が不憫でしょうがなかったのである。
余りに浅はかで、そんな事を言ったらどういう事になって、迷惑が全て町の人達にシワ寄せがいく事になる事になるのが想像が出来ないんだろうか?と、ケンジは頭を抱えるのである。
「わかったよ・・・」
「わかってくれたか!」
商人ギルドマスターは、大きな声を出して喜んだのだった。
「何を喜んでいるんだ?」
「えっ?商人ギルドに所属し直してくれるんじゃろ?なに、一旦抜けた者は3年は所属できないルールがあるが、そこは、ワシの特権ですぐに所属出来るようにしてやるわい!ひゃひゃひゃひゃ!」
「何を勘違いしているかわからんが、俺は所属し直すつもりはないと言っているだろ。」
「はぁ?店が開けないんじゃぞ?それでも良いのか⁉」
「あんた達が帰ったらすぐにでも、店の跡地に立札を立てておくよ。ギルドが店の許可を出さないから閉めますってね。」
「ちょ、ちょっちょっと待つのじゃ!」
「何を言っているんだよ。許可を出せないと言ったのはそっちだろ?」
「いやそうじゃなくてだな・・・そこは所属し直して、店を開けるのが普通じゃろ?王都だけでは、まだそんな売り上げが出ないんじゃろ?だったら!」
「商人ギルドに所属しても、そっちにはメリットあるが俺には無いからな。」
「いいや、あるじゃろ!店を開く、許可が出て売り上げが上がるんじゃ!立派なメリットじゃろうが!」
「言っておくけど、俺にとって売り上げなど、そんな必要性はないんだよ。」
「はあ?」
「俺は、誰にも縛られない生活が一番で、それに伴いみんなが幸せになれたら十分なんだよ。権力者達に利用される事が一番癇に障り鬱陶しいんだ。」
「「「「「なっ!」」」」」
「だから、許可を出さないというならそれで結構!まあ、この後の方が楽しみでしょうがないよ。」
「はあ?楽しみって何なんじゃ?」
「クーナンさん、覚悟しておいたほうが良いぞ!やっとFreedom店が再開店して、町の人達は喜んでいたはずだ。」
「そりゃ当然じゃ。」
「それがわかっているのになんで、自分達の事だけしか考えず、俺の店の経営を止めようとするんだ?」
「そりゃ、お主が商人ギルドを脱退するからじゃ。あのまま、所属していたらワシもこんな無茶な事は言わん!」
「クーナンさん、ちょっといいか?あんたは、俺の店の売り上げが良いから脱退させず、その甘い蜜を吸おうとしているだけなんだよ。」
「そりゃ、経営の上手くいっている店は、脱退させたくないのは当たり前じゃ。」
「その身勝手な考え方だから、メイガン商会がテンペの町から、撤退したのがまだわからないのか?いい加減楽をしようとするのを止めたらどうなんだ?」
「何を言っておるのじゃ!ギルドが商会や個人店を仕切っているんじゃ、楽をしている訳じゃなかろう!」
「いいや・・・俺からしたら、ギルドは良いとこ取りをしているだけだよ。あんた達は、いつも弱いとこはほったらかしで、利益や自分が得になりそうだったら、すり寄ってきて自分の思い通りにならなかったら、営業をできないようにすると脅してくるんだ。」
「生産ギルドの時もよくやられたよ!厄介事ばかり押し付けられ、だから俺はあんた達権力者や貴族、王族が鬱陶しいんだ。」
「いいか!長くなったが俺は、商人ギルドに所属するつもりはない!そして、テンペの町の中にある転移マットは回収する。」
「「なっ!」」
「それで、俺の店舗跡地に立札を立てて、内容にはギルドが営業停止命令を出した為、皆様には長らくの贔屓ありがとうございました。と書かせてもらうよ!」
「これで、俺がこれからが楽しみだと言った意味が分かったか?」
それを聞いた、ギルドマスターと部下達の顔が青ざめていくのが、手に取る様にわかるのだった。
「ケンジさん!わたし達が悪かった!営業はそのまま続けてくれ!我々はもう、あんたには文句は言わん!」
「あんた!さっきまで偉そうに色々言ってて、ここまではっきり自分の立場を教えてもらわなきゃ、こんな事になるのが分からないのか?」
「ぐっ・・・・」
「ぐっ・・・じゃねえよ。あんたには、ギルドマスターは向いてないから早く引退したらどうだ?あんたみたいな、老害いると下のもんが迷惑するだけだよ。」
「なんじゃ!その口の利き方は!」
クーナンは、ケンジの言い方に、憤慨して大きな声を出すのだった。
「おいおい!ばあさんが、そんないきなり大きな声を出したら、脳卒中をおこし死んじまってもしらないよ。」
「それと、教えておいてやるよ。長い事ギルドマスターやって、気づかないのかもしれないが、あんた達は俺にギルドに、戻ってきてほしい立場なんだ。」
「あんな上から目線のお願いで、誰があんたのお願い事を聞くっていうんだよ。商売の基本から、修業し直した方がいいんじゃないのか?」
「それと、生産ギルドマスターのブロッサムさんでしたっけ?アンタもここにきてインゴットのお願いだろうけど、インゴットが欲しいなら、店で売っている物を買ってくれたらいいから。それについては文句は言わないよ。」
「ちょっと待ってくれ!インゴットが高沸し過ぎて、もうギルドからこれ以上出すことが出来ない状態なんだよ。あんたには、インゴットの依頼をしてほしくてここにきたんだ。言ってみれば、ギルドからの指名依頼だ!受けてくれないか?頼む!」
ブロッサムは頭を下げ、ケンジにお願いをするのだった。
「ブロッサムさん、俺の言っていることが理解しましたか?インゴットなら、俺の店で買ってくれたらいいと言いましたよね?でも、気を付けてくださいね。」
「いや、だからもう金が無いんだ・・・」
「いやいやいや・・・金が無いのに、物をくれという方が非常識でしょ?」
「いいですか?町の生産者も頑張って、日々の生活を頑張り、何とか利益を出そうとしているんですよ。あんた達はいつ?どこで?なにを?どれだけ頑張っているのですか?」
「昔から全然変わろうとしていないですよね?だから、生産者達もギルドに、協力してくれないのですよ。」
「いいですか?今日これであなた達が帰ったら、俺の元店の跡地から転移マットは回収するんだ。今インゴットを買えるだけ買わないと、町だけでインゴットを用意しないといけなくなるんだぞ。分かっているのか?」
商人ギルドから、営業の許可を認めないと言われたケンジには、テンペの支店は閉めるしかないわけで、インゴットも今、買える分で終わりになるのである。それにテンペの町には、大商会のメイガン商会もなく、今いる採掘士で
、インゴットを用意しないといけなくなるのである。
そんな事で、町の維持はできなくなるのは、容易に想像が出来るのだ。ブロッサムは、本当に冷や汗が止まらなくなるのである。
「ク、クーナン!お前どうするつもりなんだ!」
「あたしに、言っても知らないよ!」
完全に、クーナンの逆切れである。ブロッサムも又、これからテンペの町が、どうなるのか分からなくなってしまうのである。
「あの、お二人さん、喧嘩するなら帰ってやってくれませんか!ここでやられても迷惑です!」
「「ケンジさんすまなかった!」」
「どうか許してくれ!」
「あのさ・・・許して・く・だ・さ・い・でしょ?何で、いつも上から言ってくるんだよ!まあ、許すつもりなんかないけどね。」
「なんでだ!俺は、ケンジさんあなたに何もしてないはずだ!こんな事をやられる筋合いはないはずだ!」
「ブロッサムさん、あんたには大きな貸しがあるからですよ。」
「何があるんだ!俺はアンタには迷惑をかけた事ないだろう!」
「メイガン商会のガンスさんに教えてもらいましたよ。」
ガンスという名にビクッとするブロッサムである。
「あんた、授賞式の断り方法を知っていたんだってな?俺を嵌めて恩を売り、俺をギルドの言いなりにしようと、画策したらしいじゃないか?」
「普通は、もし断るならちゃんと手順を踏んでやらないといけない所を、全部俺のせいにしてあの騒動になったみたいだな。」
「それによって、俺の家族がどんだけ迷惑をこうむったのかわかるか?」
「そんなギルドに、協力なんかするわけないだろうが!俺の店で、インゴットが買えるだけ、ありがたいと思うんだな!」
それを聞いた、ブロッサムは肩をガクッと落とし俯いてしまうのだった。
「もういいだろ?ここにはもう用はないはずだ!お引き取りを!」
ケンジは冷めた目で、ブロッサムとクーナンを見てお引き取りをお願いしたのだった。
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