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第7章 超級ダンジョン攻略!

39話 Freedom王都支店

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 ケンジ達は、屋敷に帰って来た次の日には、もう行動を起こし王都に向かったのである。

「ケンちゃん、今回は行動速いね。」

「まあな。国王とも約束してたからな。この辺りはちゃんとしとかないといけないだろ?」

「まあ、確かにそうね。」

「それに、早く王都の方を片づけてダンジョンの攻略した方がいいだろ?」

「主!やっぱわかってんなぁ~~~俺もダンジョン攻略が楽しみなんだよ。」

「マードック!お前は少し落ち着け・・・」

 そんな会話をしながら、ケンジ達は王都に向かっていたのだった。前回、王都に向かった時はゆっくり速度を抑えていたが今回はハヤテが頑張ってくれたおかげで3日という速さで王都に到着したのだった。

  

 ケンジ達は、王都の城門で行列の側に近づくと、やっぱりまだ魔物が襲ってきたと間違われ、城門は騒然となるのだった。兵士達がケンジの馬車にとんで駆け寄ってきたのだった。

「あの、すいません!あなた達はケンジ様ご一行であっていますか?」

 馭者をしていた、ギルとプリムがそうですと答えるのだった。すると、兵士達は周りでパニックを起こし並んでいる人達に、魔物の事を説明し出し、周りの人達を治めていくのだった。

「あ、あれが、この間スタンピードを止めた人のパーティーか!」
「やっぱり、そんな凄いと、あんな怖そうな魔物も仲間にしていまうんだな・・・」
「俺、あんな魔物こんな近くで見たの初めてだよ。」

 並んでいた人達は、兵士の説明に安心し、平静を取り戻しケンジの馬車を見て注目するのだった。

 そして、ケンジは馬車から降りて兵士達に、自分の店の事を伝えるのだった。

「あの、すいません。」

「うん?なんだ?」

「国王様から、俺の事は聞いていますか?」

「ああ!聞いているよ。何でもこの町に支店を作るらしいな?」

 城門の外の土地は王国の物だが、実質管理しているのは城壁内だけなので、城壁の外の土地に家を建てて問題はなく好きに出来るのである。
 ただし、好きに建てても夜になると魔物や盗賊に襲われるため、誰も城壁の外なんかには店や家を建てる奇特な人物は皆無である。
 ただ、人口が増えて城壁が外側に移行した場合に備えて、少し離れた場所に建てるは暗黙の了解となっているのである。

「それで、俺の支店は街道沿いに建てようと思っているのです。」

「はぁ?城壁内には作らないのか?夜になったら魔物や盗賊に襲われても我々は助けには行けないぞ?」

「ええ!構いませんよ。」

「いや・・・ケンジ様、悪い事は言わないから・・・城壁内に店を構えたほうが良いぞ。」

「店の開ける時間は、夕方までだし問題ありませんよ。」

「そんなに言うなら構わんが、あの立札がある辺りから向こうなら大丈夫だ!」

 ケンジはそうですかと言い、笑顔でお辞儀して城門から離れていくのだった。兵士達はどうやって家を建てるつもりなんだ?とヒソヒソ話していたのだった。
 兵士達の疑問も当然の事であり、資材を運び込み何日もかけて店を建てる事となり、その間の店の跡地の番は誰がするのか?夜中の間に資材が夜盗に盗まれたりして、店舗を建てるのにも普通は一苦労なのである。
 ガイアースは、本当に人類の生活圏がせまいのである。城壁外に出ると、普通の市民では本当にすぐに死亡してしまう世界なのだ。

 それ故に、兵士達はケンジがどうやって家を建てるのか、不安でしょうがなかったのである。
 しかし、兵士達はもし城壁の外に、お店を建て経営が出来れば、町には税金を納めなくては良いし、昼間は城壁の外の街道沿いには、町の人や旅人がいっぱい通行し、冒険者は行き来するし絶好の場所だとも思うのだった。

 だがそれは、あくまでも店が経営出来た場合なのだ。

 兵士達は王城にケンジが王都に来て、支店の準備を始めたという連絡だけ入れたのだった。

 ケンジ達は、馬車を移動させて立札の所まで来たのだった。

「ねえ、ケンちゃん城壁の外に店を構えるの?」

「ああ、ここの方が多分話題に上ってお客様が来ると思うぞ。それに人だかりも出来て、昼の間は人目も出来、安全な街道になるかとおもう。」

「へえ・・・そんなものなの?」

「人間て大なり小なりミーハーが多いもんだ!新しいものには群がるってことだよ。」

「ああ・・・なるほどね!それならわかる気がするわ!」

 ケンジは、ハウスを出しお客様が万が一の時に城門に逃げるより、店の方に逃げた方が早い場合を考え、店舗のスペースを大きめにして200人が収容出来るぐらい大きな建物にしたのだった。

 その後景は、城門の兵士からも見えるほどでいきなり100mほど離れた土地に、馬鹿でかい家が建ってびっくりしていたのだった。

「なんだ?」

 兵士の一人が、叫びながらこちらの方へやってきたのだった。

「ケンジ様!これはいったい!どういうことですか?」

「え?ここじゃまだ近かったですか?」

 兵士は、家の外から大きな声でケンジに話しかけてきた来たのだった。街道に、突然でかい家が建って通行人の町の人や、旅人達もまた興味津々でこちらを見ていたのだった。

「いや・・・そうじゃなくて。これはいったいどうしたのですか?」

「ああ・・・これはダンジョンで出た魔道具ですよ。この家があったから城壁の外でも大丈夫だったんです。」

「こんな魔道具が・・・あるのか・・・」

「で、ここなら不都合ないですよね?」

「あ、ああ・・・大丈夫だが、こんなところに建てて本当に大丈夫なのか?」

「ええ、それなら心配はいりませんよ。この家には防犯システムが備えられていますからね。」

「そんなものまで・・・」 

「それじゃすいませんが・・・お店の準備もありますのでこれで失礼しますね。」

 ケンジは、家の1階部分の駐車場のような空間の奥に、設置した人間にしか取れないように転移マットを設定し、転移マットを設置したのだった。
 店の中には、まだ兵士も旅人も誰も入れなかったのである。

「今は誰も入れないから無理をしたら駄目ですよ。それでは失礼します。」

 ケンジは、マイ達と共に転移マットの上に乗り、その姿を消してしまったのである。それを見た兵士達は、目が飛び出る位驚き固まりその場で立ち尽くしてしまったのだ。旅人達や用事で外から帰って来た町の人達もまた、その場で固まってしまっていたのだった。

「こ、こいつはいったいどうなっているんだ?」

 兵士達がようやく正気に戻り、店の中に強引に入ろうとしてもいっさい受け付けないのである。こんな結界は王都の町以上の結界であり、これなら、自分達が心配した夜盗や魔物の脅威も大丈夫なんじゃないかと思うぐらい強固なものだった。
 それに、ケンジ達が遠くにあるマットの上に乗ったら、姿を消してしまった事が不思議でならないのだ。いったいどこに行ってしまったのか?全然理解できないのである。
 兵士達はこのままではなんにもできないと思い、家の前に群がっている人間たちを説得しその場を整理したのだった。
 この事はその日のうちに、王都に噂として広がりを見せ、ケンジにとって好都合の宣伝となったのは言うまでもない。

 そして、ケンジ達は一旦家に帰り、商品の見本となる品物を数点持ち出し、王都の支店の1階部分にショーケースにいれ、商品の説明として支店に飾ったのである。
 目玉商品は当然だが、便器に冷蔵庫、陶器のお皿、肥料、ミスリルのロングソードや、ユリアの作った薬等を見本として支店に飾ったのである。

 そして、見本の神鋼魔石、神水魔石の説明も加えお客様がスムーズに買い物を出来るように、説明文も加えたのである。

 そして、遂にFredom王都支店の店が開店したのだった。初日にはとんでもない数の行列出来るのだった。店にはケンジの結界も別に張ってあり、悪意のある人間は当然入店はできず、万引きしようとすれば地下牢に転移される様にしてあるのである。

 これは、地下牢に神鋼魔石に邪属性の魔石を吸収させ、神邪魔石という新しい魔石の効果で悪意の持った人物を地下牢に転移させることで、可能とした防犯システムを設置し、万引きにも対応したのだった。
 そして、本店で買ったものは、転売できないようになっていた。これは本店の防犯システムで女神クローティアから知識をインストールされた時、町の防犯システムを真似て作った物である。

 王都支店は、前からの噂や行商をしていた商人達により、便器や冷蔵庫の噂を聞いていたらしく酒場でうっかり口を滑らせた者とかがいて、ケンジの商品は店の開店前から噂で持ちきりだったみたいなのだ。

 支店内では案内人を5人で回し、順に転移マットの上に案内し買い物の手順を教えていくのだった。





 そして、お昼の4時ぐらいになった時に、ケンジは1時間でさばけるであろう行列の所まで行き、後ろの列の人には謝罪をして、今日の販売は終わりだと知らせたのだった。

 当然、ここで不満が爆発したお客が続出するのだった。テンペの町の時とは違い、王都の人達とのつながりがないのである。
 テンペの町では、買えなかった人がいても次でいいよ。と言ってくれたが、ここ王都では、それが通じないのである。ケンジは、このお客達をどうにかして治めなければならなかったのである。

「今までずっと並んでいたんだぞ!」
「私達が買えるまで商売を続けろ!」
「今日1日ずっと並んでいたんだ。どうしてくれるんだ!」

「「「「そうだ!そうだ!」」」」

「じゃあ、お客様たちに聞きますが、このままずっと並ぶと言うのですか?」

「ああ!ここまでずっと並んでいたのに買えないなんて納得できない!」
「「「そうだ!そうだ!」」」

「じゃあ、夜中になって魔物とか夜盗に襲われる、危険性があってもですか?」

「う・・・・それは・・・」

「当然ですが、わたし達は貴方達を守ることはできないのですが、本当によろしいのですか?」
「商品はお売りすることはできますが、買えた後、貴方達は夜中の道を一人で帰る事になるのですよ?」
「それでもいいのなら・・・」

 ケンジの、説明に状況が理解できたお客たちは、冷や汗を流しながらケンジの説明を、強引に区切ったのだった。

「わかった!わかったよ!俺達が悪かったよ。」

「分かっていただけて俺も安心しました・・・ですが、貴方達には本当に申し訳なく思っています。これに懲りずご贔屓にしてください。」

 行列に、並んでいた人達も商品が買えない事より、命の方が大事なので渋々ケンジの言う事に従ったのである。

 こうして、王都支店の混雑した1日は終わりを迎えるのだった。


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