上 下
265 / 619
第7章 超級ダンジョン攻略!

28話 国王との交渉

しおりを挟む
 賠償金を貰ったケンジは充分なほど満足のいく賠償金だったがケンジは土地の事をグランパス王に聞くことにしたのだった。ケンジはもう国王が謝罪をすませていたことからさっきのような態度には出ず片膝をつき穏やかに話し始めたのだった。

「国王!先ほどは申し訳ありませんでした。」

「なんだ!いきなりその態度は!」

「いえ、国王はちゃんと俺に謝罪をしてくれました。だから俺もこのように敬語で話させてもらいます。」

 国王はケンジが何を企んでいるのか警戒しケンジの話を聞くのだった。

「で、何かまだ不満なのか?」

「いえ・・・不満ではありませんがこの土地はどのような土地なのですか?この土地を治めろと言う様な事はありますか?」

「なぜそのような事を聞きたいのじゃ?」

「俺は領主とかそんなことには興味ありません!だからそういう目的での土地なら返還させていただきます。」

「貴様はまたそんな無礼な事を!」

 ケンジのセリフに宰相が又、口を挟んできたのだった。

「宰相!お主は黙っておれ!先ほどの事をもう忘れたのか!」

「しかし・・・」

「良いから黙っておれ!」

「ケンジとやらわしはもうお主にはちょっかい出したくない!その土地はお主にくれてやる!領地を治めるにも村一つない土地じゃ!税金も納める必要もないしお主の好きなように使うがよい!」

 国王はケンジの事が恐ろしいがあの戦闘力を手放したくなかったのである。あの状態で騎士達を戦闘不能にさせた力があればこそスタンピードを抑えることが出来たことがわかったのだ。
 それ故にケンジを他の国に追放だけは阻止したかったのである。それにケンジの生産力もまた情報収集により興味があったのだ。テンペの町では清潔感で溢れ子供が病気にかからず元気に育つ環境が整っているのはケンジのおかげだと聞いていたからである。

「それなら安心しました。遠慮なく土地は頂くことにします。」

 ケンジはこれで思っていたことが実現できると心の中で喜ぶのだった。すると今度は国王がケンジに話しかけてくるのだった。

「ケンジ!お主は生産者なんだろ?なぜそんなに強いのじゃ?」

「自分は生産者の前に魔法使いなんですよ。その為戦闘能力は超級ダンジョンに潜ることが可能なほどの戦闘力は自負しております。」

「なぜそんな戦闘力があるのに生産者になったのじゃ?勿体ないではないか?」

「それはですね。俺は最初帝国領で生活しようと思いギルドに登録しました。」

 その時のことをグランパス王に説明をして冒険者ギルドのギルドマスターの態度を見て冒険者の道を止め生産者の道に移行した事を説明し、それから権力者や貴族の事を説明したのだった。

「そんなことが・・・だがそのおかげでお主は王国に移住してきたのじゃな。」

「ええ、そういうことです。」

 グランパス王は少し考えこんでからケンジに生産者としての事も聞きだし始めたのだった。

「お主はこれからもテンペの町で商売は続けるのか?」

「いえ、もう先ほど貰った土地でゆっくりしようと思っていますが?」

「なんじゃと!」

 その言葉にグランパス王は驚きマイ達もまた聞いてないよというような顔をしたのだった。だがこれは王国との交渉だったのである。

「それがなにか?もう先ほど高額な賠償金も貰いましたし土地もいただきそこに家でも建ててゆっくりするつもりです。」
「城壁の外に家があれば町の税金も払う必要はありませんからね。」

「ちょ、ちょっと待つのだ!お主が開発した便器の噂を聞いたのだがそれはどうするつもりじゃ・・・」

「どうするも何もあなたの部下がテンペの町で俺の店を販売中止にしたんじゃありませんか。」

「なんじゃと!わしは知らんぞ!」

「知らないと言われても実際騎士団長をはじめとする飛龍騎士団でしたっけ?あいつ等が店を包囲して販売できないようにしたんじゃありませんか?」

 国王は今までそんなことになっている事すら判らなかったのである。ケンジからしたらこんな馬鹿にされた話はないのである。だからこそ国王にはかたちだけの謝罪はいらないと突っぱねていたのである。

「ちょっと待つのじゃ!お主の発明した便器や冷蔵庫あれを廃盤にする事は待つのじゃ!」

「待てと言われたところでもう俺達は一生働かなくても生活できる基盤が整ったのです。」

「そんなことは無いであろう?町の城壁の外側に家を建てたら魔物や盗賊に襲われることになるじゃろ?だったら城壁の内側に今まで通り家を建てて暮らした方が安全じゃろうが!」

「何を言っているんですか。俺達は超級ダンジョンのスタンピードを抑える戦闘力があるのですよ。地上の危険なんて危険の内に入らないですよ。」

 国王はケンジのセリフに何も言えなくなるのだった。

「ケンジ殿・・・すまぬが本当に店舗を閉める事は止めてくれないか?お主の商品は王国だけでなく他の国も豊かに出来る商品じゃ!」

「そんなこと言われても俺はもうゆっくりスローライフを計画してたんだ。」

「そんなこと言わずこの通りじゃ!」

 グランパス王は今度は人目も気にせずケンジの側に行き土下座をするのだった。

「国王!そんな平民に簡単に頭を下げるなどお止め下さい!」

 そう怒鳴りながら宰相が又ケンジを睨みながら国王の肩を持ち土下座を止めさそうとしたのだった。

「申し訳ないですが・・・」

「貴様!いい加減にしろ!国王がここまで頭を下げているのになぜ従わん!」

「とりあえず国王頭をお上げください!」

「それじゃ!ワシの頼みを!」

「それよりこのオッサンさっきから上から目線で本当に鬱陶しいんですが殺っちゃってもいいですか?」

 ケンジはもう宰相のおっさんに我慢がならなかったのである。 

「なあ、オッサン!さっきから大人しく聞いてれば調子に乗りやがって死ななきゃ治らんのか?」

 ケンジは我慢ならずその場から立ち上がり宰相はケンジの気迫に後づ去りするのだった。そしてこれは本当にやばいと思いギル達がケンジの肩を持ち必死で止めるのだった。

「主!おやめください!そんなことしたら本当に!」
「そうですよ!おやめください!」

 ケンジはギル達6人で止めても止まらず引きずって宰相に近づくのだった。国王はケンジの怒りに何もできなくて思考が止まっていたのだった。

「ケンちゃん!もうやめてよ!」

 マイが突然大声を出すのだった。その声にケンジはピタッと止まるのだった。

「マイ・・・」

「ケンちゃんやり過ぎよ!もうやめて!」

 ここでケンジが止まったのを見て宰相は気絶し騎士達に運ばれてしまったのだった。ケンジは国王の側に行きまた片膝をつき礼をしたのだった。

「国王、失礼しました。」

「あ、ああ・・・良い・・・」

 国王はケンジの声に正気を取り戻すのだった。そしてケンジは国王に条件付きで販売をするというのだった。

「ほ、本当か?」

「ただし条件付きです。いいですか?」

「どういった条件じゃ?」

「俺の店は城壁の外に作らせていただきます。まずテンペの町とここ王都の2か所に作らせていただきます。それ故に店の売り上げの税金は町には入りません。よろしいですか?」

「なんじゃと?」

「その代わり国王が俺の店の商品の情報を聞いてわかる様に町の中は清潔に保たれることになるし冒険者は俺が作った武器を買う事で自分より強い魔物を狩る事が出来るでしょう。」

「それにより病気で死ぬ子供が少なくなり国民が増え税収が上がるはずです。」

「なぜそんなことがわかるのじゃ?」

「これはテンペの町でも実証されたはずですが?」

 国王は確かにテンペの町での情報を聞いていたのである。この一年で子供の死亡が減っていてテンペの町では他の町と違う事は子供の生存率が桁違いに高いのだ。それにより数十年するとこの子供達が育ち税収が何倍になるのか見当がつかないと報告を受けていたのだった。

「ウム!あいわかった!」

 国王はケンジの提案に乗ることにしたのだった。ケンジはこんなにすぐ返事を貰えるとは思わなかったのでえ?っと声を出してしまったのだ。

「どうしたのじゃ?」

「いえ、そんな簡単に即決で返事してもよろしいのかと思って・・・上級貴族の人達と話し合いはしなくてもいいのですか?」

「もしそれで反対になったらお主は動かんのじゃろう?」

「そりゃそうですね!それで動いた所で俺にメリットはないですから。」

 ケンジはそれ以外の交渉はきっぱり断ると言い切るのだった。



 そしてこれこそがケンジの計画した事である王国を去るのではなく離脱すると言っていた意味であった。


 ケンジはこの決定により王国にいるが税金を払わずに済む事になるのである。そしてこの決定で一番困ることになるのがギルドになるのだ。ケンジはギルドマスターが国王に授賞式を辞退することを止める事なくあっさり報告した事を知っていたのである。
 普通なら授賞式を断ると大変な事になると忠告をいれるのが普通である。ギルドマスターはケンジ事を嵌めようとしたのである。この事をケンジはとっくに昔に見破っていて今度は反対にケンジがギルドを追い詰める番になるのである。

 町の外での販売はギルドに許可はいらないのである。城壁の中での販売は商人ギルドに店舗の許可を得る為ギルドに所属し年間の売り上げをランク別に税金として納める事となっているのである。
 そしてケンジを嵌めようとした生産ギルドはもうケンジにインゴットを頼むことが出来なくなるのである。ケンジはもう自分の店だけをやっていれば何の問題もないのである。インゴットが欲しければケンジの店で買い取ればと言い突っぱねたらいいだけなのである。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依
ファンタジー
主人公である小野田博俊(おのだひろとし)は女神ミーレヌのせいで死んでしまい、 異世界であるミストラルに転移してもらう。  そこには研磨という職業は無く、博俊は研磨でお店を開き、魔法と掛け合わせて 楽しく儲けて生活する物語。  研磨で新しい効果を生み出し、時には笑い時には悲しみありの長編小説。に、 したいとおもいます(*^-^*)

錆びた剣(鈴木さん)と少年

へたまろ
ファンタジー
鈴木は気が付いたら剣だった。 誰にも気づかれず何十年……いや、何百年土の中に。 そこに、偶然通りかかった不運な少年ニコに拾われて、異世界で諸国漫遊の旅に。 剣になった鈴木が、気弱なニコに憑依してあれこれする話です。 そして、鈴木はなんと! 斬った相手の血からスキルを習得する魔剣だった。 チートキタコレ! いや、錆びた鉄のような剣ですが ちょっとアレな性格で、愉快な鈴木。 不幸な生い立ちで、対人恐怖症発症中のニコ。 凸凹コンビの珍道中。 お楽しみください。

虐待して監禁してくるクソ親がいるので、仮想現実に逃げちゃいます!

学生作家志望
ファンタジー
かつて、主人公の父親は国王だったが、謎の失踪を遂げ、現在は主人公の母親が女王となってこの国の政治を任されている 表向きは優しく美しい女王、カンナ・サンダーランド。 裏では兄を贔屓、弟の主人公を城に監禁して虐待しまくるクソ親。 子供のころから当たり前になっていた生活に、14歳にもなって飽き飽きしてきた、主人公、グラハム・サンダーランドは、いつもの通り城の掃除を任されて父親の書斎にやってくる。 そこで、録音機が勝手に鳴る、物が勝手に落ちる、などの謎の現象が起こる そんな謎の現象を無視して部屋を出て行こうとすると、突然、いかにも壊れてそうな機械が音を出しながら動き始める 瞬間、周りが青に染まり、そこを白い閃光が駆け抜けていく────── 目が覚めると...そこは俺の知っているクルパドックではなく、まさかのゲーム世界!? 現実世界で生きる意味を無くしたグラハムは仮想現実にいるという父親と、愛を求めて、仲間と共に戦う物語。 重複投稿をしています! この物語に登場する特殊な言葉 オーガニゼーション 組織、ギルドのこと 鳥の羽 魔法の杖のこと

駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ

壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。 幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。 「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」 泣きじゃくる彼女に、彼は言った。 「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」 「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」 そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。 ※2019年10月、完結しました。 ※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。

転生賢者の異世界無双〜勇者じゃないと追放されましたが、世界最強の賢者でした〜

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人は異世界へと召喚される。勇者としてこの国を救ってほしいと頼まれるが、直人の職業は賢者であったため、一方的に追放されてしまう。 だが、王は知らなかった。賢者は勇者をも超える世界最強の職業であることを、自分の力に気づいた直人はその力を使って自由気ままに生きるのであった。 一方、王は直人が最強だと知って、戻ってくるように土下座して懇願するが、全ては手遅れであった。

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。 何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。 生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える そして気がつけば、広大な牧場を経営していた ※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。 7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。 5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます! 8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!

転生済み最上級魔導士はギルドの事務職にジョブチェンジして平穏な日々を送りたい!

紫波すい
ファンタジー
「生き残るつもりがないのに『行ってきます』なんて、俺は言わない」  16歳の少年、クロニア・アルテドットは前世の記憶を持つ『転生者』。特異な素質を持つ、歴史の主役候補生だ。  しかしクロニアは自分も含め、親しい人はみんな揃って穏やかに長生きしたい!  そこで事務員としての採用希望でギルドへの入会試験を受けたのだが、いくつかの手違い&落ちたくないあまり全力で挑んでしまったことで、炎を操る魔導士の中で最上級の称号『紅炎』を授かることに。  当然のごとく戦闘員として配置されることになったけれど、生存最優先でどうにかして事務員になりたい……!  勝気なパーフェクト美少女の幼馴染や、弱気ながら夢のために奮闘する兎の獣人娘、謎に包まれた女好きの狙撃手らと、ギルドでの毎日を送りながら、生きることにこだわっていく物語。  試行錯誤しながらの執筆。  健康第一マイペース。  第3章「明日を願う『白氷』の絶唱」  2023/1/21……完結  第4章「悠久を渡る『黒虚』の暇つぶし」  2023/1/31……第一話公開 ※2022/12/24(土)HOT男性向けランキングにおいて、最高15位をいただきました。お読みいただいた皆様、ありがとうございます! ※この作品は「小説家になろう」さん、「カクヨム」さんにも掲載しています。

処理中です...