異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
260 / 619
第7章 超級ダンジョン攻略!

23話 ごめん・・・

しおりを挟む
 システィナはテンペの町の城壁の上に着き、必ずここにケンジは来ていると思いケンジを探すのだった。そこには当然だが姿を消しているケンジがいるのだがパッと見では誰もいないのである。

 システィナはケンジは自分と同じように姿を消しているはずだと思い、システィナはエルフ族は種族スキルである※①【インフラヴィジョン】を発動させたのだった。

 すると二人で見た時の様にその場所にサーモグラフィーのように人影が浮かび上がるのだった。その人影はずっと動かず城壁の外を向き夕日をタダたたずみ見ているようだった。

 システィナは静かにその人影に近づくのだった。

 何もない誰もいない場所でケンジはタダ夕日を眺めていたのだ。その時ザッと近づく足音のようなものが聞こえ後ろを振り向き構えるのだった。

 そして何もない所から声だけが聞こえてきたのだった。

「ご主人様・・・」

 ケンジは驚き小さな声が漏れたのだった。何もない所からシスティナの声が聞こえたからだ。

「シ、システィナ?」

 ケンジがそう言ってシスティナ名前を呼びケンジは姿を現したのだった。システィナはケンジが姿を現した途端我慢していた涙があふれ出してケンジに抱きついたのだった。

「やっぱりご主人様はここにいたぁ」

 システィナはケンジがいて涙が止めどなく溢れケンジが無事だった事に歓喜して大声で泣いたのだった。

「お、オイ・・・システィナどうしたんだよ?何でお前がここに?」

 ケンジはシスティナがここに現れた事に驚いたがなんで泣いているのかわからなかったのだ。そして姿を消すことが出来ていた事にも驚いたのだった。

「だって・・・ご主人様が・・・わぁ~~~ん!」

 こうなってはさすがのケンジもお手上げである。

「何でお前一人でここに来たんだよ。」

「だって・・・ひっく・・・ご、ごしゅ・・・様がひっく、いきなりいなくなるからみんな心配・・・して・・・」

「なんでみんなが心配してんだよ。」

「だって・・・いきなりいなくなる・・・から・・・」

「いきなりって俺ちゃんと一人にさせてくれって言っただろ。」

「だってえええ・・・今の状況で・・・一人で外に出るなんて・・・・みんな思ってなかったんです・・・よ・・・ヒック・・・ヒック・・・」

「そっか、俺が悪かったよ。ごめんな・・・」

 ケンジはシスティナが落ちつくまで優しく抱いて頭を撫でていたのだった。そしてようやく落ち着いたのかシスティナはケンジの瞳を見つめ目をつむるのだった。

 ケンジはシスティナがまさかそんなことを要求してくるとは思っておらず戸惑ったがケンジは夕日をバックにキスをしたのだった。二人は夕日をバックに城壁の上で抱き合い町からは城壁で抱き合う恋人の影が長く伸びてなんとも良い光景がそこにあったのだ。

 そして夕日の影を見た町の人たちはあんなところで恋人が。何て素敵なんだろう!とか私も恋人に!等騒めき立ったのだ。そしてそののちこの場所は恋人同士の有名スポットとなってしまったのだ。
 後日談だがこの城壁で夕日をバックに告白すると一生幸せになれると言う噂がでまわるほどだった。



「でもシスティナよくここがわかったな。」

「ご主人様が前にここを教えてくれたとき一人になりたいときここの夕日を見て元気を貰えるって言ってたではありませんか。それでご主人様は絶対ここにいると思ったんですよ。」

「そんなことよく覚えてたな。」

「ご主人様が言ったことや行動は絶対忘れません。」

「そっか。ありがとな・・・」

「あの・・・それでご主人様はどうですか?」

「ああ・・・・久しぶりに失敗しちまったな・・・・あれからここにきて町の人達をみたら俺がやっぱり間違ってたよ。」

「じゃあ、セバスは許してもらえるのですか?」

「は?なんでそんなこと言うんだ?」

「だってセバスはご主人様に逆らってあんなことを!」

「いやいやいや・・・・逆らうってなんだよ!セバスは俺の間違いを正してくれたんだろ?俺がみんなに謝らないとな。」

「良かった・・・」

 システィナはセバスが奴隷商人に売られないと分かりホッとしたのだった。

「じゃあ、ご主人様!みんなが心配してますし帰りましょう!」

 そういって二人は振り返り城壁を降りようと階段の方に向いた時ケンジとシスティナの周りには町の兵士たちに囲まれていたのだった。

「し、しまった!周りに気を配って・・・・」

 ケンジがそう言おうとした時、町の兵士たちがみんな揃って頭を下げてきたのだった。

「ケンジ殿すまなかった!」

 団長が先頭に立ち頭を地面に着くんじゃないかというくらいに頭を下げてきたのだった。

「はっ?」

 ケンジもシスティナも団長達の謝罪に言葉が出なかったのだ。

「ちょ、ちょっと何をやってんですか?」

「全ては国王の命令を私達部下が勘違いした事によりケンジ殿に迷惑をかけてしまったのだ・・・・本当に申し訳ない!」

「「えっ?」」「勘違いとは?」

「国王、我が主君はケンジ殿を逮捕せよとは言っていなかったのだ。ただケンジ殿を王国の中央に連れて来いと指示を出した時言葉を荒げてしまい私達部下は主君のプライドを傷つけたと思ってしまったのです。」

「どういうことだ?さっぱりわからないんだが・・・」

「我が主君はケンジ殿がなぜ授賞式を辞退した理由が聞きたかっただけだったんだ・・・だが我々は主君のプライドが傷つけられたと思い不敬罪と思い込んでケンジ殿を逮捕しようとしたんです。」

「なっ!」

「「「「本当に申し訳ありませんでした!」」」」

 ケンジは呆れ返ってしまったのである。完璧に悪い意味での忖度を騎士達がしたことによりケンジの家族達は危険にさらされたことになるのである。

「それでこの謝罪なのか?」

「それでつきましては国王がケンジ殿に謝罪をしたいと申しておりましてグランパス王国に来ていただきたいとのことで・・・」

 ケンジはやっぱりこうなるのかと思い気に入らなかったのだ。なんで謝罪される側が遠い道のりをかけて出向かなければならないのか全然理解が出来なかったのである。

「団長さん申し訳ないがその謝罪受け取る訳にはいかないよ。」

「えっ!なぜですか?」

「ご主人様!」

「俺は王族とか貴族のルールしきたりが面倒と思っているんだ。謝罪という言葉だけならいらないんだよ。ただ、団長の先ほどしてくれた謝罪は受けようと思ってるよ。だからもう気にしなくてもいいよ。」

「なっ・・・・国王の謝罪を受けない?なぜですか?」

「そんなの決まってるだろ。国王が本当に謝罪する気が無いからさ」

 団長はケンジが何を言っているのか全然理解できなかった。自分の謝罪は呆気ないほど謝罪を受け許すのに主君の事になると謝罪する気が無いと言って受けないと言うのだ。

「それはわたしがケンジ殿と日頃仲良くしていたから自分の事は許すと言っているのですか?」

「いいや。ちがうよ!俺は同じ人間として謝罪をしてほしいんだよ。で、なかったら俺はその謝罪を受けるつもりはどんなことがあってもないと言っておくよ。」

 団長はケンジの言っていることが増々分からなくなったのだ。同じ人間としての謝罪?

「それよりさ!団長さん。」

「あ?ああ!なんだい?」

「俺達はもう犯罪者ではないと思ってもいいのか?」

「ああ、それはもう大丈夫だ。誰も君達を逮捕しようとする人間はいないよ。」

「ご主人様!」

「ああ、本当に良かった!」

 ケンジとシスティナは喜び抱き合ったのである。だが、団長はケンジの言った事が全然わからなかったのである。

「ケンジ殿国王の謝罪を受けないってなんでだ?それに同じ人間としての謝罪ってどういう事なんだ?」

「本当にわからないのか?じゃ、一日よく考えてくれよ。俺は王族や貴族のルールやしきたりには絶対に従うつもりはない!これがヒントだ。」

「ちょっとまってくれ!」

「厳しいとは思うが謝罪を受け入れる時間のタイムリミットは1週間だけあたえるよ。もし、それまでに俺が納得するような謝罪がなかった場合俺はこの国と縁を切る形になるから覚悟しておいてくれ!」

 団長は顔が真っ青になったのだ。ケンジがこの国を出る?ケンジは冒険者みたいな生産者だ。引き止める事なんて絶対できない。

 そうなった場合この町はどうなる?そうのように考えるだけで物凄い王国にとって損害は計り知れないのだ。

 当初団長は王国が多めの賠償金を払えば何とかなると思っていたがケンジのそのセリフに冷や汗が止まらなくなったのである。

「ご、ご主人様・・・」

「さあ、システィナ帰ろう!みんなの所に戻ろ。」

「は、はい・・・・」

 そういってもう真っ暗になり街灯がついた町をケンジは帰って行ってしまったのだ。そしてその場に残された団長と兵士達は何も言えずただその場に立ちすくむのだった。

*-----*-----*-----*-----*

 この話で出てきたスキル一覧

※①【インフラビジョン】
 インフラビジョンとはエルフやドワーフ、小人族
などが持つ魔眼の一種で熱を感知する眼の事を言う。
地球で言うならサーモグラフィーの様に見えるのである。
 そしてこのインフラヴィジョンの弱点はいきなり
明るい光をあてられると目の前が真っ赤になり
少しの間、目は使い物にならなくなる。

しおりを挟む
感想 223

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

処理中です...