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第7章 超級ダンジョン攻略!
12話 撤退!
しおりを挟むケンジ達はファイヤーデーモンを倒した中ボス部屋でハウスを建ててその日を過ごしたのだった。そして次の日の朝、起床したケンジ達はご飯を食べながらこの後どうするのか話し合うのだった。
「さて、これからなんだが俺は一旦地上に戻ろうとおもう。」
「えええ~~~!ケンちゃんなんでよ?」
「そうだよ!せっかくここまで来たのになんでそんな事を言うんだよ!」
「マイ、マードックそれを俺に言わせるのか?」
「そうだな。私も主の考えには賛成だ。」
「ちょっとギル何言ってんのよ。」
「マイさんあなたの考えもわかる気がしますがこれは後衛でいた者の意見です。」
「え?」
ギルの意見にオリヴィア、セイラも視線を合わせず下を向いていたのだった。
「さすがギルだ!ちゃんとパーティーをよく見ていてくれている。」
「ご主人様!お願いです。あたし達もっと頑張りますだから・・・」
「そうよ!ケンちゃんお願いよ!」
システィナもケンジ達に反論したがケンジは首を縦には振らなかった。というより振ることが出来なかったのである。
「いや駄目だ!これ以上潜っても意味はない!俺達はまだ弱いことが悔しいがよくわかった。」
「そんな・・・」
「マイ、それにシスティナもよく聞いてくれ。今回ファイヤーデーモンという俺達には未知の魔物と戦うことが出来た。それゆえに今まで自分に強化魔法をかけてブーストした相手は冒険者やアサシンくらいだったろ?」
「そういった敵にはお互いブーストしているため基本的な戦闘力が必要になって来たんだよ。」
「これから先このダンジョンを攻略していこうと思うったらそうゆう相手はいくらでも出現してくるであろう!」
「だったら、もうそのことはわかったんだから注意して進んでいったら良いんじゃないのか?」
「マードックお前の気持ちもわかるがよくわかるがあきらめろ。」
「なんでだよ!」
「いいか、マードック!あのファイヤーデーモンあんなに強い魔物だが魔界の生物では下級デーモンだぞ。」
「なっ!」
「あれはファイヤーデーモンと名称はあるがレッサーデーモンだ。」
ケンジのセリフを聞いてマードックはもちろんだがマイやシスティナも開いた口が塞がらなかったのである。
「たぶん、この先潜っても・・・あの程度のデーモンでプリムは死にかけたんだ!これ以上潜ってもお前達は勝てる事はできないし自殺行為なんだ。」
プリムは自分が死にかけた事でこの話し合いには無言であった。プリム自身も死にかけた汚名返上の為この先に進みたかったのであるだが、その為自分の意見を言っても説得力が全くない事がわかっていたからである。
「この先ケンちゃんは絶対無理だと言いたいの?」
「ああ、50階層と言ったらまだ半分だ。俺はお前達で楽勝で攻略できると思っていたが実際は半分で頭打ちになってしまった。」
「でも!」
「ここが90階層なら俺も先に進む事が出来るかもしれないが50階層だぞ。この先多分もっと強力な魔物が出て来るのは絶対だ!そんななか先に進む選択は絶対できない。これはパーティーリーダーとしての判断だ!」
「「「「・・・・・」」」」
前衛の4人は本当に悔しそうで下を向いたままで拳を握りしめ何も言わなかった。ケンジの言っていることは当然の選択であの強かったデーモンもケンジがいなかったら全滅をしていたことがわかるからだ。
そして、悔しかったのは前衛の4人だけではなく後衛のメンバーも同じだったのである。自分達もまた前衛のサポートをしきれなくて結局はケンジにおんぶに抱っこだったからである。
自分達はケンジの護衛だと言うのに装備は作ってもらい日々の生活もしてもらいそれなのにまだ主の足を引っ張ってしまったのが悔しくてしょうがなかったのである。
自分達がもっと強くなりケンジの役に立てればこんな判断をさせなくてもすむのである。これも自分達がまだ弱くケンジに頼っているからなのであるとおもいギル達もまた反論することなく下を向いていたのだった。
「みんないいか落ち込んでいるかもしれないがそんなに気にするな。」
「なんでだよ!俺達はまた主の足を引っ張ったんだぞ!こ・・・・こんなことを俺は・・・・まだ・・・・」
「マードック。お前達みんなの気持ちはちゃんとわかっているから。だけどな、これは負けじゃないんだぞ。」
「なんでだよ!こんな敗退して撤退は負けじゃねえか・・・」
「マードック、ダンジョンは死んでさえしていなければ負けじゃないんだ!」
「はっ?」
ケンジのセリフにマードックは変な声を発してしまうのだった。
「何でですか?攻略を諦めたのに・・・わたしが死にかけたせいで撤退に・・・」
「プリムそこは気にするな!これからそれを経験にして強くなればいいんだよ。それに聞くがここで撤退して何か不都合な事はあるのか?」
「「「「「「「え?」」」」」」」
ケンジ以外の人間が声を出したのだった。それは当然のことである。自分達はダンジョンを攻略しに来たのにこれ以上は無理だから撤退しようと言っているのにケンジは何か不都合はあるのかと尋ねてきているからである。
「ケンちゃん何言っているのよ。これ以上無理だから・・・」
「だから、ここで撤退してなんか不都合があるのか?マイ、お前は依頼の素材はとれなかったのか?」
「それはもうとっくに入手したわよ。」
「俺は今回依頼を受けたわけじゃないんだぞ。違約金が発生するわけじゃないし、お前達はここで撤退したとしてもこれまでの魔物の経験値があり得ない位入手しているはずだろ?」
「それはそうですが・・・・」
「本来の目的はこのダンジョンを攻略する事だったじゃありませんか。」
「じゃあ、お前達はこのままダンジョンの奥に突き進めと?」
「そうはいっていません。先ほど主が気にするなと言っていたからそれにこれは負けじゃないと・・・」
「いいか?これは負けじゃないよ。何回も言ってやる!これは負けじゃなく勇気ある撤退だよ。ここで死んでなければ何回も挑戦できるんだぞ?それに今回はどれだけ儲けたと思っているんだ。お前達の経験にもなったし、マイだってその素材を売ればどんだけ儲けれる?」
「それはとんでもない金額になるよ。」
「私達もレベルは上がり3次職に近づいたと思います。」
「だったらこのハウスは?この転移マットは?ここで無理をして全滅になる方が負けと思わないか?」
「「「「それは・・・・」」」」
「でも、攻略もせず帰ったら町のギルドや冒険者達が何を言ってくるか・・・」
「そんなの言わせとけばいいんだよ。もしうるさい事を言ってくるようならそいつらを超級ダンジョンまで引きずってやればいいんだよ。」
「いいか?俺はお前達にさっきは弱いと言ったがこのダンジョンを攻略するにはという意味でだ。地上に戻ったらお前達に敵うやつはいないと自覚するんだ。」
「そしてまた力をつけてみんなで攻略すればいいんだよ。いいな!」
「「「「「「はい!」」」」」」
「マイもわかったな?」
「うん・・・でもあたし悔しいよ。まだ半分しか攻略できなくて撤退だなんて・・・」
マイはケンジの腕の中で肩を震わせながら涙を流したのだった。そして、みんな落ち着き2時間ハウスでゆっくりしたあと、中ボスの部屋に浮かび上がっている魔法陣で地上へと転移したのであった。
するとそこに地上で守っている衛兵がケンジの姿に驚いていたのだった。
「ケンジ殿!よく無事でおもどりになられました!」
兵士はケンジとその仲間の姿が無事であることを確認して笑顔になったのである。
「心配かけて申し訳ありません。」
「いえいえ、ケンジ殿を心配するのは当然でございます。スタンピードから我々を救ってくれたのですから。」
「ありがとうございます。」
ケンジは兵士の言葉に頭を下げたのだった。そして兵士は中の様子をケンジに聞こうとしたところ団長もその場に跳んできたのだった。
「ケンジ殿無事で良かった!無茶をするのかと思っていて心配でしたぞ。でも1か月半で戻って来たと言う事はやっぱりケンジ殿でも無理でしたか?」
「団長さんお久しぶりです。ああ、俺の目算が間違っていたよ。今のままでは50階層の半分が精一杯だ。」
「「「はぁああああ?」」」
団長たちはケンジのセリフに大声を出したのだった。団長が驚くのも無理はなかった。この間10階層の中ボスを攻略したのでてっきり20階層の中ボスをギリギリ攻略をして危ないと思い帰って来たんだと思っていたのだ。
「なんだと?今50階層と言ったのか?20階層ではなくてか?」
「ああ・・・攻略できると思っていたがもっとレベルを上げてまた挑戦する事にするよ。」
「ちょっと待て!本当に50階層の中ボスを攻略したのか?」
「ああ!嘘は言わないよ。50階層の中ボスは魔界の生物で悪魔族のファイヤーデーモンだったんだよ。」
団長たちはその悪魔族というのもファイヤーデーモンとか言われてもなにがなにやら全然理解できず放心してしまったのである。
「ちょっと待て・・・悪魔族とか魔界の生物とはいったいなんなのだ?そんなの御伽話の事じゃないのか?」
「まあ、今まではそう思われていたことかもしれませんが実際俺達は50階層で戦ってきましたよ。これが証拠になるかわかりませんが見てくれてもかまいませんよ。」
そういってケンジはバックの中からファイヤーデーモンの素材をだして団長に差し出したのだった。その素材はデーモンの角、牙、爪、翼、魔石で団長でさえ見たことのない素材でそれを見せられたことで信じるしかなかったのである。特に魔石は炎と闇と邪の属性が入り混じった見たことのない魔石で嫌な感じが見てとれるのだった。
そんな事ってあり得るのか?という雰囲気で団長は息をのむのだった。もしその魔物達が今回の様に地上に這い出てくるような事があったらどうなってしまうのか?団長は頭が痛くなってしまうのである。
「団長さんとりあえず俺達は帰ってもいいかな?」
「あ、ああ・・・ケンジ殿情報提供感謝する・・・」
団長はそう言ってふらふらしながら兵舎の方へと戻っていってしまったのである。
ケンジは久しぶりに家でゆっくりできると思いニコニコ顔で帰る支度をしていたのだった。
「どうしたハヤテ?帰りたくないのか?」
「ぶるるるる・・・・」
するとツバキが通訳をしてくれるのだった。
「ハヤテは最後の敵に役に立てなかったことが悲しいと言って言っているみたいですね・・・ご主人様それはわたくしもです・・・本当にすいませんでした。」
ツバキとハヤテは今まで謝る機会を逃していてやっとケンジに謝ることが出来たようだった。
「なんだ、お前達まで俺は言っただろ。気にすることじゃないと!」
「ですが・・・・」
「ぶるるるる・・・・」
「まあそう言うならお前達もこれから頑張れってレベルを上げたらいいんだよ。ダンジョンは逃げないしいつでもここにあるんだから。」
「はい・・・・」
「ぶるるるる」
ケンジはそう言ってハヤテに確認を取って馬車を繋げたのだった。そして、ケンジ達はテンペの町へと帰っていったのだった。
*-----*-----*-----*-----*
初めてケンジが目標を達成できずに撤退する話でした。
だけど、この撤退はケンジ自身まだまだ成長しなければいけないと
思う事でもっと凄い物を発明をする。
そしてギル達はもっと成長し3次職になる。マイもまた
この悔しさをばねにして強くなるのである。
いつもこの小説を読みに来てくれてありがとうございます。
これからもどうぞよろしくおねがいします<m(__)m>
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