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第6章 ケンジの新しい生産力!
60話 ケンジの快進撃⑥
しおりを挟むガンスは目を開けケンジに向き直ったのだった。
「坊主、申し訳ない。町の人たちの為にインゴットを採掘してきてくれないだろうか?頼む!この通りだ。」
ガンスはケンジに頭を下げたのだった。それを見たケンジは慌ててガンスに止めてくださいと大声を上げたのだった。
「ガンスさんが頭を下げるのはおかしいと思います。やめてください!」
「坊主のギルドに対し思う事も反抗する気持ちもよくわかるがこのままじゃ町の結界が次張られるのは1か月後となりその間町の人たちは危険に曝されたままとなるんだ。」
「だからなんでその理由でガンスさんが俺に頭を下げる理由になるんだよ。良いから頭を上げてくださいってば!」
「わしは坊主のおかげで上級貴族になれた。坊主には感謝をしてもしきれんがわしの貴族のちからは政事に係わることは無いがわしは平民たちを商人の力で守ることが役目になるのだ。」
ガンスの貴族としての役割は生産で栄誉を受けた事により生産貴族としての役割があるのである。余談ではあるが冒険者が栄誉を受け貴族となった場合その人間一代限りではあるが騎士伯となりその力で町の人たちを魔物から守るという役目になるのである。
「この交渉を言ってきたのは生産ギルドではないのだ。」
「え?まさか貴族ギルドですか?」
そうゆうことでガンスがケンジと仲が良いと言う事でこの事態を何とかするようにと生産ギルドではなく貴族ギルドがガンスに依頼したようだった。
「そうゆう事だ。」
「俺はインゴットを出すことに不満はありませんよ。でも聞いておきたいのですが、さっきも言った通り俺がインゴットを出す事でギルドはどうなりますか?」
「まあ、貴族ギルドから生産ギルド本部に連絡が行き、トップや幹部は総替えになるだろうな。他の町も何とか町の結界だけは維持を頑張っているからな。こんなことは前代未聞なことだよ。」
「そうですか。」
「で、いつから採掘に行ってくれるんだ?」
ケンジはインベントリからインゴットを5個ずつ出したのだった。
「これを持って行ってください。」
「はあ?お店に出している物とは別にまだあったのか?」
「まあ、たぶんガンスさんが動くだろうと思っていたからその時の為に取って置いたのですよ。」
「はあ・・・・坊主はホントどこまで予想をしてたんだよ。」
「ですが、貴族ギルドが動くとは思ってもいなかったですよ。俺はてっきり生産ギルドがガンスさんに泣きつくだろうと思ってたから。」
「ああ、貴族ギルドから呼び出しがあった時は何事かと思って生産ギルドの方に事情を聴きに行ったんだよ。そしたらあのように説明を受けたんでな。」
「ったく・・・自分のいいように説明をしおってからに・・・この事も正直に貴族ギルドに説明しておくよ。だから坊主は安心しておいたらいい。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「だが、坊主・・・お前は何がしたいんだ?こんなあっさりインゴットが用意できるんなら納品しても良かろうとおもうのだが。」
「ああ、俺はギルドのやり方に疑問を持っているだけで売り上げなんて気にしていないんですよ。もう一生働かなくとも生活はできるしどっちでもいいんですよ。」
「それならインゴットを納品してお金にしてもいいじゃないか?」
「お金はどっちでもいいかな?どちらかと言えばだれにも縛られず自由に楽しく生きていけたらいいよ。」
「だから坊主はギルドの体制がいやで反抗しているのか・・・」
「そうゆうことです。」
ガンスは心の中でケンジの扱いを一つ間違えると大変な事となると息をのんだ。自分は仲良くしてもらっているがケンジは組織の在り方や権力者のふるまいを逐一観察していることがわかったからである。
自分もケンジに理不尽な事や貴族になったからと言って命令したりしたらいつでも反撃されてもおかしくないのである。そうなったとき今度は、生産ギルドの立場が貴族ギルドや自分達貴族がいつそうなってもおかしくないのである。
「ガンスさん・・・大丈夫ですか?」
「いや・・・なんでもない。これで町の結界が張れると思ったらな。」
「ガンスさんなら大丈夫ですよね?」
「ああ、これで魔道ギルドに持っていけば大丈夫だよ。坊主ありがとな。」
「ええ、ならよかったです。」
ケンジはニッコリ笑ってインゴットのお金をガンスから一個2000万で通常相場のお金を払ってもらったのだった。そしてガンスは交渉がうまくいったのをホッとして貴族ギルドに帰っていくのだった。
「会長・・・さっきの会話なんかおかしくありませんでした?」
ガンスに付き添っていた秘書らしい女性が帰り道話しかけてきたのだった。
「何かおかしい所なんかあったか?」
「先ほどケンジ様が会長をご心配されて大丈夫かと言っておられましたがその言い回しがちょっと・・・」
「そうだったか?」
ガンスは惚けたふりをしたのだ、たしかに結界は大丈夫かと聞いたなら「ガンスさんこれで大丈夫ですよね?」また、考え込んでいたガンスの心情を心配するなら「ガンスさん大丈夫ですか?」と聞くのが普通なのである。だがケンジは「ガンスさんなら大丈夫ですよね?」といったのである。
「そうですよ・・・なんかあの言い回しが気になりまして・・・」
「ケンジもまだ若いからな言い間違えたんだろ?交渉はうまくいってインゴットもこの通り手に入ったんだ。それでいいだろ。」
「たしかにそうですね。さすが会長です!これでまたメイガン商会の株があがりますよ。もう上級貴族でも会長に口答えできないほどの功績をあげているものですね。」
メイガン商会はケンジのおかげで町の結界を又すぐに張り直せる事となりこの功績はすぐに貴族の間で広まったのである。
これによりメイガン商会はまた表彰される事となり生産貴族から大商人貴族となったのである。これはもう貴族でもトップクラスの位であり、貴族でもそう簡単に口出しできない権力者になるのである。
ガンスと息子のメイガンは王国から受賞され名誉貴族でも前例のない事を賜ったのである。そして二人は家に帰ってきてケンジの事を話していたのだった。
「メイガンちょっといいか?」
「父さんいきなりどうかしたのですか?」
「ケンジの事なんだが・・・」
「ああ、ケンジ君の事ですか?ケンジ君がどうかしたのですか?」
「メイガンもケンジの扱いは本当に慎重に扱う様に肝に銘じておいてくれよ。」
「はっ?どうゆうことです?今回の事をお礼に行くのですよね?」
「いや・・・それは当然行くのだがわしが言っているのはそうゆうことじゃなくこれからのケンジとの付き合いの事だよ。」
ガンスは今回の功績となったインゴットの事を息子のメイガンに丁寧に説明をしたのだった。
「父さんそれは本当ですか?」
「ああ・・・ケンジ君はどこまで先を呼んで動いているんだ・・・」
「それも驚きなんだが、メイガンくれぐれもケンジには貴族としての傲慢な態度を取ってはならんぞ・・・」
「わかっています・・・」
「いくら仲良くしててもケンジはいつ態度を豹変するかわからんほど自由人だ。そうなったらケンジの行動はわし達には読めんから本当に慎重に行動するようにな。」
「はい・・・」
ガンスとメイガンはケンジはメイガン商会にとって救世主のような存在だが一つ間違えれば脅威となる存在と認識を固めるのであった。ケンジからしたらそんな風に思わなくとも普通に対等の立場で接したらいいのにと思うのだがここはやっぱり異世界なのでケンジのような存在は異質で脅威なのである。
ガンス達がそう思ってもしょうがないのである。普通はケンジは平民でありいくら救世主といってもこうまでして気を使う必要はない。当然ガンスは王国から表彰され前代未聞なほど出世した大貴族だからである。
だからケンジにはもう気を使うことは無く後ろ盾になってやるというスタンスで普通いいのである。だがケンジは言ってみたらある意味ガンスより経済の力を持つのである。それにケンジの性格だ。異様にまでの傲慢な権力者に対する嫌悪感を示すのである。
昔何かあったかは知らないが自分が気に入らなければ徹底的に叩きのめし自分の生活を守るのである。ガンスが恐怖したのはその辺りなのだ。
「メイガンよく聞いてくれよ。多分ケンジは今の所ギルドに対してだけだがこの行動は多分貴族はおろか王族でも同じ態度に出ると思うからな。」
「はっ?!父さん何を言っておられるのですか?」
「いや・・・これは決して大袈裟な事じゃないぞ。ケンジは自分の生活が潰されそうになっている相手が王だとしても同じように抵抗するとおもうぞ。」
「そんな事したらケンジ君は処刑されるんですよ?」
「いや、そうなった時たぶんそうなるのは王国の方だ。だがあの闇ギルドがケンジ個人に対して関わらないと言った噂を知っているか?」
「父さんはあの噂を信じているのかい?」
「ああ・・・そう思ったほうが良いぞ。そう思って行動した方がいいとして今この世で超級ダンジョンの5階層以上に潜れる戦闘力を持っているのはケンジぐらいだと思ったほうが良い。」
「はああ?上級じゃなくて超級?ケンジ君は超級を起点に行動しているのですか?」
「なんだ、お前知らなかったのか?ケンジの商品の心臓部の魔石は超級でしか採掘できない代物なんだぞ。」
「・・・・」
「で、その戦闘力を持つケンジに対して闇ギルドが手出しできないってことはだ、ケンジはもうギルドという組織はおろか王国のような力があると言っても過言ではないんだよ。」
「なっ・・・」
「それで、あの商品は・・・便器、冷蔵庫、肥料は王国内だが金持ちの個人宅でしかないが広まりつつあり他の町でもなくてはならないものとして認知されて来ているんだぞ。」
「これはもう戦闘力だけじゃない力がケンジにはあると言う事だよ。」
「ってことは・・・・」
「そうゆうことだ。暴力じゃない力をケンジ個人で所有してきているってことだよ。これはメイガン商会など足元にも及ばない事なんだ。」
「こんな力があるメイガン商会が足元にも及ばないって事があるのですか?」
「事実今回の事もうまく行ったからいいが・・・ケンジに拒否されたらわし達メイガン商会は手も足も出なかったんだぞ。」
「た、たしかに・・・」
「だからメイガン、わしが居なくなった後はお前がメイガン商会の舵を取っていくことになるんだ。くれぐれもケンジの扱いを間違えるんじゃないぞ。」
ガンスは、息子のメイガンに口が酸っぱくなるほどこんこんと伝え、メイガンも父親の言う事を真剣に聞き入れるのだった。
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