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第6章 ケンジの新しい生産力!

57話 ケンジの快進撃③

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 次の日にギルドマスター達がそれも魔道ギルドのメンバーもつれてケンジの家にやってきたのだった。

「ケンジ様、このたびの事は本当に申し訳なかった。」

「えーっと・・・あなたは?」

「魔道練金ギルド、ギルドマスターのオックスです。」

「魔道ギルドが出てくるとはおもわなかったよ。で、何を言いに来たと言うよりインゴットの事かな?」

「ええ・・・そうです。貴方がインゴットの依頼を向こう5年間受けないと言ったらしく慌てて来た次第です。」

「貴方が出てきたとしても俺は考えを改めるつもりはないですよ。」

「ケンジ様がお怒りになるのはわかるが町のためにそれは止めてくれないか?」

「まあ、あんた達がミルファーをもっと縛り付けていないからこうなったんだ。あんた達は俺達のせいじゃないと言うかもしれんが俺にはそんなの関係ないよ。」

「あれは本当にミルファーの暴走だったんだ。頼む!インゴットが無ければ本当に町の結界の維持が出来なくなるのだ。」

「あんた達の言う事はわかるよ。それに俺はインゴットの依頼は向こう5年間受けないと言ったんだ。それは変わらないよ。これはギルドがどんだけ俺に迷惑をかけたかという罰だよ。」

「じゃあ、ケンジ様は町がどうなっても良いというのか?」

「いやいやいや・・・その結界をどうやって維持を続けるのはあんた達の仕事だよ。こっちに責任を振られても困るって話だよ。」

「それは・・・だが今は魔物も強くなってきてインゴットをまともに納品できるのはケンジ様だけなのです。」

「だから、その俺を利用出来なくなったから別の方法を考えるのがあんた達の仕事でしょ?違うのか?」

「それは・・・」

「それに俺はインゴットの依頼を受けないと言っただけだぞ。」

「それって町の結界に使うインゴットはしてくれるということですか?」

「なんでそうなるんだよ。俺の店でもインゴットは購入できるだろ?常時インゴットは置いてあるからそこで買ってくれたらいいよ。それについては文句いわないよ。」

「それでは高くつきとてもじゃないが維持が出来ないんだ・・・」

「だったら他の方法をあんた達が考えるしかないじゃないか。」

「だからこうしてお願いに交渉しに来ているんだろ?」

「俺はギルドに対して交渉に応じるつもりはもうないよ。」

「じゃあ、ケンジ様は町がどうなってもいいとおっしゃるのか?」

「そんなこと思うわけないだろ!あんたらは国から高い金を貰って町の維持を任されているんだろ?」

「ああ!そうだだからこうして。」

「俺はそのギルドのせいで損害を被ったのになんでそのギルドに協力してインゴットを安く提供しないといけないんだよ!いいか!今やっている交渉は決裂しているんだ!だったら別の方法を考えて町の結界の維持は国から高い金を貰っているあんた達がやらなきゃいけない仕事なんだよ。」

「だからその維持はケンジ様がインゴットを普通にしてくれれば何も問題ないわけですよね?」

「ミルフィー・・・俺は今まであんた達に無理を言われ忙しいのにもかかわらず冷蔵庫の生産をストップしダンジョンに潜りインゴットを納品したにも関わらず自分の思い通りにならないからってあの噂を流されたんだぞ。」

「それは姉の暴走で・・・」

「ほう!じゃああんた達は姉を処分したからもう問題はないと!自分達の責任はもうなくなったというのか?そんな都合のいい考え方が通るわけないだろ!」

「もし町の結界が維持できなくてどうしようもなくなったらそれはあんた達の責任だ!俺に押し付けるな!」

「だったらスタンビートが起こったらどうなる?」

「そりゃ、この町は滅びるしかないよな。町の人たちは他の町へと移住し命最優先の行動するしかないだろ?」
「当然俺達家族も他の町に移住することを決断するしな。」

「だったらその時そこにいるマイマールはどうするつもりなんだ?」

「はっ?どうゆうことだ?一緒に逃げるに決まっているだろ。」

「ケンちゃんそれは無理だよ。あたしは冒険者でケンちゃんとは違うからね。」

 スタンビートが起こった時冒険者・魔道練金ギルドの所属の者は魔物に抵抗しなければいけないと規定にあるのである。そして生産・商人ギルドに所属している者は冒険者達の邪魔にならないように避難することになっているのである。
 つまり戦えるものは逃げることはできないのである。逃げた者や家庭に事情がある者は罰金1000万ドゴンを支払は無ければいけないのである。

「なんだよ!罰金を支払ったら逃げることが出来るんじゃないか。」

「ケンちゃん・・・それをやったらあと生き残ったとしても冒険者はギルドで活動しにくくなるから無理だよ。」

「はあ?そんな周りの人間から非難されるのか?」

「まあ、そうゆう事だケンジ様が逃げるのはしょうがない生産者だからな。だけどマイマールは冒険者でもトップクラスに強い冒険者だ!その人間が戦わず逃げたとあればそりゃ非難が集中するだろ。」

「それじゃますますあんた達が町の結界の維持をする仕事は重要だよな。」

「ああ、そうだ!だからそんなことにならない為にもインゴットの依頼を受けてくれないか?」

「いやだ!」

「そうか!わかってく・・・れ・・・え?今嫌だと言ったのか?」

「ああ!俺の考えは変わらないよ。あんた達はマイを人質に取ったかもしれないと優位に立ったかもしれないと思ったが俺にはそんなの関係ないよ。」

「ケンちゃん!」

「マイ!俺はお前を見捨てたりしないのはわかっているだろ?」

「だけど!」

「じゃあ、ギルドマスターさんたちに聞きたいんだがスタンビートが起こった時、ちょうど町にいなかった者たちはどうなるんだ?」

「それはしょうがないことだよ。町にいなかったものは帰ってこれないからその者達はスタンビートに合わなかったことを幸運に思うだけだよ。」

「そうなるよな。だったら何の問題はない!俺がインゴットを進んで提供することはないよ。」

 ケンジのセリフに周りにいる人間すべてポカンと呆けてしまったのである。それは無理もなくスタンビートが起こっているときはケンジ町にいなくなればいいと言っているのである。
 スタンビートはいつどこで起きるかわからないからこそ脅威であり、抵抗する戦力がそろわない為町にいる人たちで何とかするしかないから大変であり災害なのである。

「ケンジ様はスタンビートがいつ起こるのか予想できるのですか?」

「そんなのできるわけないだろ!無茶を言うな!」

「でも今のセリフはどう聞いても予想が出来ると言っているものだと・・・」

「はあ?俺にはそんな特殊能力はないよ。それにそんな能力があるなら今回のギルドからの妨害を予想し対処したかったよ。」

「ぐっ・・・・」

「さあ!もういいだろ!そんなにオリハルコンとアダマンタイトのインゴットが欲しければ独自に揃えるなり俺の店で買ってくれたらいいから勝手にやってくれ!」

 そういってケンジはギルドマスター達を追い返したのだった。ギルドマスター達はケンジの店の前で膝を落とし項垂れてしまったのだ。





「ねえ、ケンちゃんさっきのはどうゆうことよ!」

「ああ、思わせぶった言い方をしただけだよ。そんな予想できるわけないだろ。」

「そうじゃなくてあたし一人魔物に立ち向かえってこと?」

「ああ、それを怒ってたのか?」

「当然でしょ?ケンちゃんがそんな薄情だとおもわなかったよ。」

「あのなあ・・・俺がそんなことするわけないだろ?それにマイがスタンビートに一人で向かったとしてもたぶん勝てるよ。」

「はあ~~~?スタンビートに一人で?」

「おいおい!忘れたのかよ。昨日装備を作ったばかりだろ?」

「あ・・・」

「あの防具と武器がそろってみろよ。それにマイが一人で魔物達や強力な魔物のスタンビートに立ち向かうのに俺達が逃げる事なんかしないって!」

「って事はご主人様は町を見せてて逃げることはしないのですか?」

「そんなことするわけないだろ!お前達は俺を何だと思っているんだよ。」

「ですが、それなら結界に必要なインゴットを納めてあげてもいいのではないでしょうか。」

「セバスよく聞いてくれよ。何であんなことをされたギルドの仕事を手伝わないといけないんだ?あれはあいつ等が責任をもってやったらいいだけの話だ。」

「でも、ご主人様がインゴットを納品したら楽になることですよね?」

「でもそれによってあいつ等は苦労しなくなるだろ。俺はそれが気に入らない!俺に依存してのうのうとしていることがむかつくんだよ。少し焦った方が良い事もあるんだ。」
「ただ、日頃お世話になっている町の人に危険が及ぶことは俺も嫌だからその時は方法がいくらでもあるから安心しろ。この町が滅ぶことは絶対にないからな。」

「ケンちゃん・・・だったら最初からインゴットを納品してた方が楽だよ。」

「いいや、俺は絶対ギルドの為にそんな行動はしないよ。それにあと数年でスタンビートは起こるよ。」

「はあぁあ~~~?ケンちゃん何を言っているの?」
「そうですよご主人様!いったいなにを!」

「そうなった時ギルドはどうするか・・・苦労して町の結界を維持をするのか。それとも今までのように誰かが何とかしてくれると事なかれ主義を決め込むのか楽しみだな。」
「それによってあいつ等は自分の首を決めることになるんだ。」

「主!何でスタンビートが起こるってわかるんだ?」

「そんなの分かり切った事だろ。マードックお前達はわからないのかよ。」

「そんなこと言われても・・・」

「あのな・・・今魔物たちは勢力を強くしているのはわかるよな?」

「ああ、それは馬鹿でもわかるぜ。」

「今俺達がこの辺りの魔物は間引いているが間引ける人間の数が圧倒的に足りないんだ。これは他の町でもそうだ。他の町でもなんとか上級に潜れる人間が頑張っているが、問題は超級ダンジョンだ。」

「どうゆうことですか?」

「今まで超級ダンジョンは上級ダンジョンが潜れる冒険者が本当に時たま2階層か3階層、又は衛兵たちが5階層までしか潜れなかったんだろ?」

「ええ!そうですね。」

「ってことはだ、ここ超級ダンジョンができてから数十年魔物が力をつけて上級にさえ潜れなくなっているのは間引かれなかった奥底にいる魔物が影響していると俺は考えている。」
「その強力な魔物が外に出ようとした場合、浅い階層の魔物たちは逃げようとしているため浅い階層で見なかった魔物が出てきているという訳だとおもわないか?」

「でも、それなら何で上級や中級、初級もそんなことになるのです?」

「そこまではわからないがもしダンジョンの奥がまだ発見されていなくて繋がっていた場合もあり得るよな?」

「そんなことが!」

「あり得ないと言うことはないだろ?これらのダンジョンはせいぜい3日の距離で行き来できるんだからな。出入口が違うだけで一緒のダンジョンかもしれないだろ?」

 ケンジの予想は突拍子もない事でみんな口を開けたまま固まってしまったのだった。

「つまりだな、あと数年で超級ダンジョンを攻略出来ればスタンビートが止められるかもしれないし、俺の予想が外れているかもしれないけどこの魔物の強さはスタンビートの前触れだと言っても過言ではないと俺は思っているんだよ。」

「それじゃ特にインゴットを渡した方が」

「そりゃ俺もギルドから何もされていなかったら今まで通りのやり方で納品したよ。だけどあんな迷惑行為されて何もなかったようにするのは無理だ。」
「それにセバスお前はさっきから納品したほうが良いと言っているが俺は店に売っているインゴットを売らないと言っている訳じゃないだろ?」

「た、たしかに・・・」

「納品するより高くなるがあれでも良かったら買えと言っているんだ。このやり方はギルドが今まで俺達にやって来ただろ?それをギルドがやられているだけのことだ。もしそれが嫌なら自分達で用意するしかないだろ。」

「そうですね。自分達で用意出来たらわざわざ高いインゴットを使わずに済むだけですものね。」

「そうゆうことだ。ギルド依頼は受けようが受けまいがその人物の気分で受けれるんだからな。だったら受けないと言う選択も別に悪い事じゃないんだよ。」

 ケンジはそうやって笑っていたのだった。だが、ケンジもまたあんなに早くスタンビートが起こることになるとは思ってもいなかったのである。その時ダンジョンを守っている衛兵たちはケンジに感謝をしてもし切れない程の事になるのをまだ知らない。


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