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第6章 ケンジの新しい生産力!
53話 ギルドの意地④
しおりを挟む生産ギルドマスター、ミルファーとミルフィーは掲示板をなくなく元に戻し生産者達に素材を取ってきてくれと頭をさげるのだった。これは前代未聞の事であり今まで歴代のギルドマスター達でさえこんなことをしなかったのだ。
この行為はミルファーたちにとって屈辱そのものであり苦虫を噛みしめたような顔で頭を下げたのだった。その行為は瞬く間に生産者達に広がりギルドは取ってきた素材や鉱石、材木や秘薬など多岐にわたる生産の材料は今までより高く買い取るはめになってしまったのだ。
生産者達は今はまだダンジョンに潜ることはできないが地上の素材を持ってきても苦しいながらも生活ができるようになったのである。
これも全てケンジのおかげとおもった生産者達は町の外に採取ばかり行かず、生産者の体力を生かし町の配送業や城壁の補修工事の仕事も率先して受けるようになったのである。
そして、数日後またギルドマスターのミルファーとミルフィーの訪問があったのである。
「お久しぶりです。今日はどのようなご用件で?」
「今日はあなたの商品について訪問させていただきました。」
「えーっと冷蔵庫のことですか?」
「ええ・・・その冷蔵庫です。その冷蔵庫なのですがそのせいでうちの開発した保管庫が全く売れなくなってしまいまして責任を取っていただく事になりその冷蔵庫の販権をギルドに渡してもらいたい!」
「はぁあ?何を言っているかわからないんだが。」
「だから冷蔵庫のせいでうちが開発した保管庫が全く売れなくなってしまったのです。だからその責任を取っていただきたいと言っているのです。」
「ってことはだな。将来、俺の開発した冷蔵庫が古くなりギルドからもっと便利な物が出来て冷蔵庫が売れなくなったとき新商品の販権を奪ってもいい事になるのか?」
「それは認められません!ギルドは生産者をまとめ育てる為にお金が必要なのでギルドで開発したものはギルドで管理していきます。」
「言っていることがむちゃくちゃなんだが。」
「じゃあ、あんた達が売っている食器類はどうなんだ?俺から作り方を盗み他の所で売り出したことで俺の店の食器類の売り上げが著しく落ちたんだがその責任はどうしてくれるんだ?」
「それは売り上げが落ちただけですよね?保管庫は全く売れなくなってしまったのです。その責任を取ってもらいたいのです。」
「そりゃ保管庫の性能が悪すぎだからで俺のせいじゃないよ。」
「いいえ!あなたのせいです。平民の家でも使える物なんて考えるからうちが時間をかけて開発したものが売れなくなり大損害です。」
「そんな貴族やお店でしか使えないようなものを考えるから悪いんであって人々は便利のいいものを買うのは当り前だろ。」
「ぐぐぐ・・・」
「それを何を血迷ったか知らないが責任を取れとは頭おかしすぎだろ。」
ケンジはギルドがおかしくなったと思いギルドマスター二人を家から追い出してしまったのである。そしてギルドマスターを追い出して初めての冷蔵庫の販売日の日、ケンジの店では異変が起こったのだった。
「ご主人様、なんか今日はおかしいです!」
「ユエティーどうかしたのか?」
「お店の冷蔵庫の売り上げが伸びません・・・」
「は?あんだけ毎週行列ができたのにか?」
「それがお客様の中に変な質問をして購入していったお客様がいたのですが?」
「変な質問?」
「はい・・・冷蔵庫の魔石って変なものじゃないよねって・・・」
「変な物ってどうゆうことだ?」
「食料を保存する箱の中に便器と同じものを使っているのか?と聞くお客様もおられまして・・・」
「あ・・・そうゆうことか!」
「材料の神鋼魔石は同じだと説明しましたが工程は別物を使い便器の買い取り分は肥料の材料と説明をしてわかってもらって購入されていく人ばかりなのです。」
ケンジの開発した冷蔵庫は確かに心臓部と言われる所に神鋼魔石が使われていてこれは便器も同じである。
ケンジが便器の神鋼魔石を買い取っていることはみんな知っていることでその買い取った神鋼魔石が独り歩きしてしまったのである。人というのはそういったうわさには敏感であり、口に入れるものをそんな不潔な物と一緒の場所には置きたくないと言うのは当たり前なのである。
ただ、冷蔵庫の伸びが悪くなっているのは日頃ケンジがお客様である町の人々との信頼関係があるからでこれがなければまったく売れなくなっていたであろう。
ケンジの店で説明を聞いてやっぱりケンジがそんなことをするはずがないと納得して購入していってくれるのである。
中にはケンジと付き合いが少なかったり、まったくない人は説明を聞いても納得してくれず購入を諦める人も大多数いたのだ。この人間は他の町から自分の家で使う為購入を希望した人であり、ケンジの商品は基本テンペの町でしか販売はしていないが転売さえしなければ自分の家でも使えるので噂を聞きつけ遠方から買いに来る人がいるのである。
「それならやっぱりギルドで販売している保管庫を買おう。」
「やっぱりちょっと不潔なものに食料を保管は・・・」
「俺の所も食堂をやっているから食中毒は困るからやめておくよ・・・」
そんな事を言って帰っていく人もいっぱいいたのだった。完全に風評被害である。
「ご主人様どうしましょう・・・」
「どうしましょうと言われても・・・どうしようか・・・」
「・・・・」
「俺も店舗に出て説明を手伝うよ。誠心誠意対応するしかないと思う。」
ケンジにとってこれは誤算であった。まさかこんな方法で窮地に立たされるとは思ってもいなかったのだ。ケンジにはもうこのうわさの出どころが分かっていた。
その日ケンジは1日中店舗でお客様の対応に四苦八苦していたのだ。そして、ケンジの店の外ではいやらしい笑みを浮かべてた数人の男たちの姿も確認していたのだった。
「ご主人様ご苦労様でした。」
「ああ・・・売り出してから今日初めて冷蔵庫が売れ残ったよ・・・」
「本当ですか?」
ケンジはセバスに返事をしながら鍛冶工房に入りダンギとシェムに明日から冷蔵庫の生産を抑えてくれと指示を出すのだった。
「主殿!どうゆう事じゃ?」
「そうだ。まだまだ普及していないだろ?」
「今日は冷蔵庫が売れ残ったんだよ・・・」
「はああ?どうゆうことじゃ?」
「そんなのおかしいだろ?」
「まあ、食事時にもう一回みんなに説明するが町中に変な噂が蔓延したみたいでな・・・その噂のせいで売れなくなったんだよ。」
「「なんだそれは!」」
「まあ、とにかく今日はもう上がってくれ。」
ケンジは相当ショックだったみたいで鍛冶工房からトボトボと出て行ってしまったのである。
食事時みんながそろっていたがケンジだけまだ部屋にいたのだった。そこにセバスが食事が出来たとケンジを呼びに来たのだった。
「ご主人様大丈夫ですか?食事の準備が出来ております。」
ケンジは考え事をしていて時間が経っていることに気づかなかったのだ。そして慌ててセバスに謝るのだった。
「大丈夫でございますか?」
「すまなかったな。考え事をしていて時間を立つのを忘れていたよ。」
「あまり気にしないようにしてください。」
ケンジとセバスは食堂に入るとマイたち全員がケンジの側に駆け寄るのだった。
「ケンちゃん大丈夫?」
「ああ、マイそれにみんな心配かけたようで悪かったな。」
「ホント心配したよ。ケンちゃん部屋から出てこないんだから・・・」
「ちょっと考え事をしてたら時間が経つのを忘れてたよ。取り敢えず食事にしようか。」
みんなはケンジが食事にしようと言ったことでケンジに食欲がある事がわかり少し安心するのだった。その日の食事はみんなケンジが気になり食べた気がしなかったのである。当然会話も弾まずなんかお通夜のような感じであったのは言うまでもなかった。
「みんなどうした?元気がないぞ。」
「ケンちゃん・・・それはしょうがないよ。」
「ああ・・・そうだな。みんな悪いなこんな頼りない主人で・・・」
「「「「そんなことありません!」」」」
「「「「そうです!いつもご主人様に元気をもらってます!」」」」
一同みんな席から立ち上がり大声を上げるのだった。
「まあ、みんな座ってくれ。今回の事は俺の不手際だ。まさかあいつ等がこんなところをついてくるとは思わなかったよ。」
「ケンちゃんあいつ等ってどうゆうことよ?」
「おいおい・・・今回の事で得するところは生産ギルドしかいないじゃないか!噂を流したのは生産ギルドだよ。」
「「「「なっ!」」」」
「それはほんとうですか?」
「ああ、俺が店でお客の対応をしているときにニヤニヤ笑っている男たち数人を店の外で確認しているしな。」
「ケンちゃん、確認って?」
「ああ、その男たちを鑑定したら職業欄に生産ギルド職員ってでてたよ。俺の鑑定スキルには変装はしても無駄だからな。」
「くっそおお~~~!あいつら俺達の主にいちいちちょっかい出してきやがって俺が乗り込んで潰してやろうか!」
「まあ、マードック待て!そんな事をしても何の解決にもならん!」
「主・・・なんか良い案でもあるのかよ?」
「今は何にも思いつかん・・・」
ケンジの言葉にみんな芸人張りのリアクションでイスから滑り落ちるのだった。
「なんだよ!主・・・いつもみたいにいい案があると思ったじゃねえか・・・」
ケンジにとってこんなことは初めてであって解決策が思い浮かばなかったのだった。
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