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第6章 ケンジの新しい生産力!
52話 ギルドの意地③
しおりを挟む冒険者・生産者達がギルドに素材を持ち込まなくなってから1か月が過ぎてギルドの重役たちが会議室で重い雰囲気になっていたのだ。
「どうゆう事なんだ!」
「この一か月売り上げが無いではないか!」
この会議は冒険者ギルド生産ギルド魔道ギルド商人ギルドの4つが集まり頭を抱えていたのだった。冒険者はギルドを通さず平民の個人商店に素材を売り、生産者は数少ない鉱石を鍛冶屋や裁縫屋に売っていたのだった。
そしてそのことにより魔道ギルドは数少ないオリハルコンを手に入れる事が出来なくなり個人商店に売られたインゴットを買い付けしなくてはいけなくなり今度は魔道ギルドが足元を見られ高額で売りつけられる羽目になっていたのだ。
唯一商人ギルドは経済がまわることにより潤っていたのだが他の3つのギルドがこんな調子ではいずれ商人ギルドの方にもとばっちりが回ってくるのは想像できるのだった。
「うちも同じようなものよ!インゴットや糸や布、秘薬の採取、生産に必要な物が全然そろわないのよ。」
「ミルファーのとこもか?俺達冒険者ギルドは魔物の素材の持ち込みが一切なくなったよ・・・入ってくるのはFランクの依頼の売り上げだけだ・・・」
「ウチも生産ギルドから秘薬や薬草インゴットが無くなると困るのだ!早々に何とかしてくれないと魔法もスクロールもポーションが作れなくて売るものが全然なくなる。」
魔物の素材が無ければ装備品を作る為の材料が無くなり生産ギルドに依頼をし作ることが出来なくなり、生産ギルドは売り上げが無くなる。
魔道ギルドはスクロールやポーションを作るのに大量の秘薬がいるのだ。スクロールに使う羊皮紙、つまり魔物の皮も大量に必要で物資が無ければ商品が作れないのである。そしてインゴットもまた錬成し結界の維持にも必要なんである。インゴットを他の商店から手に入れることになると足元を見られ高額で売りつけられるのである。
商人ギルドは経済が回るからいいのだが他のギルドがこのままつぶれてしまえば売り上げの大半を占めるギルドからの売り上げが無くなると道連れ倒産してしまうのである。
ギルドはギルド同士で冒険者達から不当に売り上げを吸い取っていたのものだからこうゆう事態を予測できなかったのである。
「いったい誰がこんなことを冒険者達に入れ知恵をしたのよ!」
「すまんミルフィー・・・うちのBランク冒険者で乙女戦記の連中が冒険者を集めて画策したと情報が入って来ている。」
「だけど、今まで冒険者はそんなこと考えもせず言われた通り盲目に納品してたじゃない・・・」
「魔道ギルドでは何かわかったことは無いのか?」
「生産ギルドのせいだと情報を掴んだよ。」
「なっ!オックス(魔道ギルド ギルドマスター)!何を根拠にそんなことをいうのよ。」
「ムーリ(冒険者ギルド ギルドマスター)俺の言う事はなんとなくわかるだろ?」
「何よ二人とも!どうゆう事よ!説明しなさい!」
「ああ・・・生産ギルド所属のケンジの仕業だよ。あいつが乙女戦記の連中に入れ知恵をして協力していると言う噂だよ。」
「な!なんですって!」
「あいつのとこにマイマールがいるだろ?あれが乙女戦記と交流があるらしいそれであいつ等がマイマールに相談しケンジの所に話が伝わったのだとか・・・」
「またあいつが元凶なの!あいつをギルドから追放してやろうかしら!」
「ミルファーちょっと待て!それはだめだ!あいつが追放になったら誰がこの町の結界の維持のインゴットを用意するのだ!」
「それにあいつの作る商品は町にはもう離す事の出来ない物ばかりだぞ。」
「ぐぐぐぐ・・・・忌々しいやつね・・・」
とうとうギルドのような大きな組織の連合ですら、ケンジにはもう太刀打ちが出来なくなってしまっていたのだった。追放したらケンジは容赦なく町を去るのである。そうなったら困るのはギルドの方なのである。
それに冒険者ギルドではマイマールもいなくなり超級ダンジョンからの魔物の素材も無くなってしまうのでとにかくケンジ達にはこの町に滞在してもらわないといけないのである。
「だったらクーナン(商人ギルド ギルドマスター)あんたのとこ商人ギルドでもケンジは登録してたのよね?」
「そりゃ、登録しないとお店を開けないからね。」
「あんたのとこで圧力を掛けれないの?」
「どうやってだい?そんなことしたら本当にケンジとやらは町から居なくなるよ。」
クーナンはケンジに対してなんかやるつもりは全くなかったのである。商人ギルドとしてはケンジの店が軌道に乗り売り上げを上げてもらっているのでそんな優良な店に対して何か圧力をかけるなどもっての外なのである。
「どうだい、他のギルドは前のようにFランクの依頼のほかも普通に受注させ本来の値段に戻してはどうだい?」
「そんな事をしたらギルドのメンツが!」
「だとしても、このままじゃ売り上げはFランクの雑用の安い売り上げだけで魔物の素材や採取・採掘・伐採などの生産物が一切入ってこないじゃないのかい?」
ギルドマスター達は押し黙ってしまうのだった。このままでは職員達に払う給料でさえ捻出できなくなってしまうのである。
「クーナン!ケンジに圧力かけて他の町に行っても商人ギルドに登録できないようにしてよ!あんな小さな店、ギルド全体で考えたら微々たるものでしょ!」
「他の町に行っても商売できないんならこの町を出て行かないんじゃないの?」
「買い取れるのはギルドや個人商店だけだしそうなったらあの神鋼魔石もギルドで扱わないと意味が無くなることにならない?」
「それは無理だと思うぞ。」
「オックスなんでよ!売り物にならないんじゃギルドに売るしかないじゃない。それともケンジは一軒一軒手売りするとでもいうの?」
「そうじゃない。ケンジはそうなったら働かないと思うぞ。あいつはもう一生働かなくてもいい財力を持っている。今働いている理由は町の生活を少しでも便利にと言う理由だけだ。」
「あ・・・」
「そうじゃな・・・もし商人ギルドが圧力をかけ商売が出来なくなったとしたら町の人たちの暴動が起きるだけじゃな・・・それなら、敗北を認め元の依頼に戻した方がまだいいじゃろうのう・・・」
「だけど、依頼を元に戻したところでうまくいくと思うの?」
「当分は無理じゃろう・・・冒険者達もそこまで馬鹿じゃない。交渉してきて他の店で売れるような金額じゃなければ他に持っていくから他の店より少し高い金額を提示しなければいけないじゃろう。」
「むぐぐぐぐ・・・・」
こうして、今やテンペの町ではギルドがあって冒険者や生産者達が生活が保証されると言う構図が覆されたのだった。ケンジの言った通り生産者、冒険者が居てギルドが経営させてもらっていることになった瞬間であった。
いままで、殿様営業をし続けていたギルドには屈辱的な事であり依頼を受けてもらうにも冒険者達に気を遣うことになるのだった。
そしてギルドは会議をした翌日からEランク以上のそれぞれの依頼も貼り出すようになったのだった。それを見た冒険者や生産者達は歓声を上げたのだった。これもケンジのおかげだとみんな思ったのだ。そしてケンジの約束したどおり冒険者達は割のいい依頼だけでなくFランクの依頼も混ぜてこなすようになったのである。
これに町の人は喜び冒険者や生産者達とより一層コミニュケーションを取るのだった。街中ではこんな声が聞こえるようになったのだ。
「おう!今日は向かいのじいさんの溝掃除してくれてありがとな。」
「いや・・・俺達も今まで悪かったよ。あんな大変な仕事は爺さんには無理だもんな。」
「だから本当に助かったよ。これはサービスだドンドン食って身体を休ませてくれよ。」
「こんな大盛俺でも食えねーよ。」
食堂では冒険者達と食堂の親父さんの笑い声が夜遅くまで聞こえていたのだった。
そしてケンジは乙女戦記の面々からお礼を言われることになったのだ。
「ケンジ君ほんとうにありがとう。依頼も元に戻り金銭面で心配はなくなりそうよ。」
「そっか、ならよかったよ。でもFの依頼はしっかり頼むよ。」
「ええ!それについては責任もって冒険者達でやっていくわ!」
「そっか、ならよかったよ。ありがとな。」
「ケンジ君がお礼を言うのはおかしいわ。私達はケンジ君のおかげで収入が増えたし町の人たちともいい関係になれてより生活しやすくなったんだしね。本当にありがとう!」
「「「「「本当にありがと~~~」」」」」
乙女戦記のメンバー全員からケンジはお礼を言われるのである。
「でも、ケンジ君大丈夫?気を付けたほうが良いわよ。」
「ああ、ギルドの事か?」
「「「「「「え?」」」」」」「なんでわかるの?」
「何でってそんなの分からないほうがおかしいだろ?」
「そ、そうなの?」
「そりゃ、今回の事で唯一ギルドだけが割を食ったことになるんだから何らかの仕返しや要求をしてくるに決まってるじゃないか。」
アイリーン達はケンジがさも当然のように言いきったことに驚きを隠せないでいたのだった。
「ねえ、マイマール・・・ケンジ君ってどうゆうひとなの?」
「どうゆう人ってこのままだよ。ただ、うちの家族たちもケンちゃんの先読みにはいつも驚かされているけどね。」
「そうなの?」
「まあ、そんな心配する事ないよ。どうせもうギルドは俺に何もできるわけないんだからさ。」
そういってケンジは笑っていてそれを見た乙女戦記のメンバーはギルドにそんな事を言って余裕をかませる人間がいることに驚いていたのだった。
「ねえ、マイマール本当に大丈夫なの?」
「だいじょうぶだよ。もうケンちゃんはいつでもギルドにイニシアティブを取れる存在なんだからさ。」
「イニシアティブってなに?」
「ああ・・・ごめん・・・つまりギルドに対し優位に物事を運べるってことだよ。」
「どうゆうこと?そんなのできる事なの?」
「つまりね、もしケンちゃんに理不尽な事をするとするでしょ?するとケンちゃんはギルドに対して圧力をかけオリハルコンのインゴットを納品をしないと言ったらどうなると思う?それともケンちゃんが町から居なくなるとかしたらどうなる?」
「そ、それは!」
乙女戦記のメンバーも顔を真っ青にしてアワアワしていたのだった。そんなことになったら町の結界はなくなるだろうし、ましてケンジが町から移住って事になると暮らしの根本が成り立たなくなるのである。それがギルドの責任となると町の人たちの暴動が起こってもおかしくないのである。
「つまりケンちゃんはもう町に欠かせない存在でありギルドはもちろん貴族だってそう簡単に手の出せる人間じゃないって事なのよ。」
それをマイから聞いたアイリーン達は納得するしかなかったのだ。それと同時にアイリーン達はケンジの強さに惚れ惚れし始めるのだった。
「ケンジ君あんたの強さの秘密を聞いたからにはあたし達を娶ってくれないかい?」
乙女戦記のメンバー全員がケンジに色目をつかってきたのである。これにはケンジも驚き後づ去りするのだった。
「ちょっと待て!何でいきなりそんな話しになるんだ?」
「そんなの当り前じゃない!ケンジ君は強くて頼りになるんだもの。そんな人の子供を宿したくなるのは当たり前じゃないか。」
「そうよ!そうよ!」
「マイマールが本妻でいいからさ!私達とも一緒になってよ。」
「ケンちゃんもうこれは諦めたほうが良いわよ。」
「何っ!人ごとのように言ってんだよ。俺は妻なんて何人もいらないから!」
「えええ~~~~!そんな強いのに一人だけでいい?おかしいでしょそれは!」
乙女戦記のメンバー全員がまたもや驚愕し口をあんぐり開けたまま硬直したのだった。マイはケンジに前に言ったことを説明するのだった。
「ケンちゃん、前も言ったことあったけどこの世界の男は強ければ強いほどこうやって女性が言い寄ってくるのはしょうがないんだよ。」
「だからって知り合ったばかりの女性に言い寄られても迷惑なだけだぞ。」
「め・・・めい・・・迷惑だと?私達がか?」
アイリーンはケンジの言う事を疑ってしまうのである。こう見えてアイリーンも見た目は美人で男とすれちがえば見惚れてしまうほど自負があったのに面と向かって迷惑と言われたことにショックだった。
メンバーの女性もアイリーンと同様冒険者達からは高嶺の花だと言われていたので何を言われたのか分からなかったほどである。
「ケンジ君私達の事が迷惑だと?こう見えて私は冒険者達から何人も言い寄られてきたプライドがある。自分で言うのはなんだが美人でスタイルも良いと思うが私達メンバーに何の不満があるのだ?」
「俺はそんな見た目だけで気心がコロコロしたりしないよ。それに見た目だけで判断すると言うなら・・・悪いがうちにはアイリーンより美人がいっぱいいるぞ。」
アイリーンはケンジの言葉に腹が立ち剥きになってしまったのだった。
「そんなわけないだろ!確かに私達より美人はいると思うがいっぱいというのはいいすぎだ!」
「アイリーン・・・・それは言わないほうが良いかと・・・」
「マイマールもなんだ!私達の人気はマイマールも知っているだろ?」
マイはケンジの奴隷達を見ているのでアイリーン達が負けることを知っているのである。アイリーン達は確かに美人だがケンジの奴隷たちは普段食事もちゃんと食べ健康的であるし風呂も毎日入り髪もサラサラで綺麗なのである。お店から離れたら作業着ではなく綺麗な服で着飾り太刀打ちできなかったのである。
そこにちょっとタイミングがいいのか悪いのかユリアが部屋に入ってくるのだった。
「ご主人様少しよろしいですか?クスリの事なのですが薬草が足りなくて依頼を出してもよろしいですか?」
ユリアはハイエルフであり見た目は当然この世の者とは思えないほど神秘的で造形物のように美しいのである。アイリーンからしたらどうしたらこれほど整った体形、顔のパーツが絶妙のバランスで整っているのかわからないほどであった。
「なっ?だから言っただろ。ここには見た目の良い女性がいるって。」
「だけどその奴隷一人だけだろ?それならいっぱいじゃないじゃないか!」
「女性は見た目だけが全てじゃないからもう言うのは止めなよ。」
「いいや、こうなったら他の人も見せてもらうまで納得いかない!」
「わかったよ!どうなってもしらないからな・・・」
ケンジはユリアにシスティナ、オリヴィア、リンダ、マーサ、ティアナにフィアナに来てくれと言ったのだった。するとすぐにケンジ達の部屋に集合したのである。
「「「「「「ご主人様何か用ですか?」」」」」」
乙女戦記のメンバー全てが敗北を感じた瞬間であった。システィナ、オリヴィアはエルフとダークエルフの為当然だが元が美しい上に毎日風呂に入り美しさに磨きがかかっているのだ。同じ戦闘職の冒険者とは思えない位うつくしいのだ。
そして、リンダとマーサは貴族に嫉妬されるほど美しいのは言うまでもなく日々のケアと食事をしているため健康的で作業着でも店の看板娘と言われるくらいファンがついているのである。
とどめがティアナとフィアナの存在でやっと15歳となり成人したが15歳とは思えぬほど美しく育っていたのだった。少女と美女の間の微妙な年齢もまた魅力の一つになりなんか守ってあげたいという気持ちが掻き立られるのである。
この女性たちを目の前にした乙女戦記のメンバーは白旗を振るしかなかったのである。ケンジのまわりにこんな女性達がいたのでは目移りしないと思うアイリーンだった。
「アイリーンそんなに落ち込むな!」
「今更ケンジ君は何を言っているんだ・・・私達にそんな事言ったら傷口に塩を塗り込む事と一緒だぞ・・・」
「だから言っただろ。俺は女性を見た目だけで判断はしないって。」
「それなら私達にもまだチャンスがあるのか?」
「今はそんなこと考える事すらないってことだよ。まだ知り合ったばかりで俺はすぐそんな目で見れないって言っているだけだよ。」
「だったら私達はこれからケンジ君に猛アタックさせてもらうが文句言うなよ!」
「まあ、言い寄られる事は気分いいもんだから文句は言わないがほどほどにしてくれ・・・」
そのように聞いたアイリーン達は嬉しそうな顔をして今日の所はこれで帰ると言って帰っていくのだった。
「ケンちゃん断るならもっとはっきり拒絶したほうがいいよ。」
「だってあんな沈み切ったアイリーン達に拒絶はできないだろ・・・」
「あたし、しーらないっと!」
マイの言ったはっきりとした拒絶をしなかったことをケンジは後々物凄く後悔するのは言うまでもなかった。
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