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第6章 ケンジの新しい生産力!
45話 ギルドの要求①
しおりを挟むケンジが冷蔵庫を販売し始めて、町の人たちは次の販売日はいつなのか?次は何台販売するのか?お店の方に問い合わせが連日続いたのである。
ケンジの販売した冷蔵庫はそれほどまでに画期的で今までの保管庫のように魔石に魔力を注入しなくても起動し続けるものだから当たり前なのである。
これにより魔法使いの役目が無くなることで収入減が無くなり迷惑になるかと思っていたが魔法使いもこれには大助かりなのだ。この注入の依頼をするとそのあと魔力切れで3日は動けなくなり自分の仕事が出来なくなるからで依頼料が多少高額だが全体的に考えるとマイナスになるので、魔法使いや魔道ギルドも早くこの冷蔵庫が普及してほしいと思っていたのだった。
そして嬉しい誤算もあったのである。当初この冷蔵庫は平民の一般家庭用として考えられたものだが、ケンジのお店には外食店のオーナーから業務用で大きめの冷蔵庫は作ってもらえないのかと要望が殺到したのだった。
ケンジは業務用も製作するかを悩んだのだった。ダンギたちの製作時間を伸ばさないとそこまで手が回らないのである。
当然だがダンギたちは夜中の2時ぐらいまで働かせてくれと言ってくるのだがケンジはそんなことはできないと断るのだった。
「主殿!業務用冷蔵庫になれば一般家庭用の何倍も高価なものとなりますしワシ達頑張るから製作させてくれ!」
「頑張ってくれるのは嬉しいが夜中の2時まで働き次の日はまた朝の6時から活動したらお前達過労死するぞ。」
「そんなもの一時的な忙しさじゃよ。それより主殿の役に立てるんじゃ。今頑張らないでいつ頑張るんじゃ!」
「ダンギ、シェム!その気持ちは嬉しいよ。だが、俺はそんなのは絶対容認するつもりないからな。」
部下たち10人もやる気を出しているらしくケンジの言う事も考慮にいれて6人が1日づつ交代で残業したらどうだ?とか提案してくる始末である。
ケンジもまたそんな苦労するなら業務用冷蔵庫は家庭用が落ち着いたら作ったらいいと提案するがダンギとシェムがそんなのいつになるかわからんというのだった。
「ちょっと待ってくれ!お前達の心意気は本当にうれしいよ。だがそんな長時間働くことは絶対にしないでくれ。」
ケンジは自分の父親が会社から無理難題を言われ家族の為に無理をし残業をしいられ最後には過労死してしまったことを思い出していたのだった。
確かに自分の父親と違うところは企業に家族を人質に取られるような言われ方をして理不尽な働き方をしようとしていない所だ。
ダンギたちは自ら俺の為になるなら今頑張ると言ってくれているのである。だけどケンジにはそれを了承できなかったのだ。自ら働いてくれると言ってもやっぱりそんな無理をしたらダンギたちは倒れてしまうのは必然であり休みも必要なのだ。それに無理をしたら結局は仕事の効率は下がるし体がふらふらになればどんな事故が起こるかわからないのである。
「結局はこれしかないか・・・」
「主殿わかってくれたのか?」
「やっぱお客様を待たせてはいけないじゃものな。」
「みんな!気合入れろよ!」
「「「「「おおおお!!」」」」」
「ちょっと待て!何を勘違いしたのか解らんがお前達は今まで通りのペースで家庭用冷蔵庫を製作してくれ!」
そういってケンジは鍛冶工房を出ていくのだった。
「主殿どこに行くんだ?」
「ちょっと思う事があるからお前達はそのまま仕事を続けてくれ!」
ケンジは店舗の方に出向きそしてアプリコットを呼び出した。
「アプリコットいるか?」
「はい!なんでしょうか?」
「アプリコットって種族はドワーフだったよね?」
「ええ・・・それがどうかしましたか?」
「アプリコットは鍛冶工房で今やっている冷蔵庫の手伝いってできるかな?」
「いえ・・・・それは無理ですよ・・・・」
「ドワーフって手先が器用でなんでもできるって聞いたんだがちがうのか?」
「どこの情報なんですか?それは!」
「ちがうのか?」
「いえ・・・違わないですがあたしには鍛冶等のスキルを持っていません。ドワーフは手先が器用で生産系のスキルを覚えやすいと言う特徴を持っているので他の種族より早く覚えると言う事なのです。」
「ってことは・・・」
「もし今からわたしが鍛冶工房の方に入るならこれからスタートとなり即戦力になるのは数年後という事ですね。」
「そうなんかあ・・・」
「ご主人様はドワーフという種族をどのように誤解されていたのですか?」
「いやあ・・・ドワーフは生まれながらに鍛冶や生産職が万能だと思ってた・・・」
それを聞いたアプリコットやユエティー達は大きなため息をつくのだった。
「それじゃあ、やっぱりこれしかないか・・・」
「ご主人様どうしたのですか?」
「いや・・・なんでもないよ。」
そういってケンジはフラッと出て行ってしまったのだ。後ろでアプリコットがケンジを呼び止めていたがケンジは気にせず町の雑踏に消えて行ってしまったのだった。
数時間してケンジは家に帰って来たのだった。するとギル達が慌ててケンジの側に駆け寄ってきたのだった。
「主!どこ行ってたのですか?」
「どこって奴隷商店だよ。」
ケンジの後ろには5人の男奴隷が着いてきていたのだった。その奴隷たちはやっぱり腕が無かったり顔に大きな傷があったりともう売れないような奴隷達であった。
「もし出かけるならいきなりではなくて我々の誰かに言付けぐらいしていってくださいよ!」
「あ、ああ・・・悪かった。考え事してて忘れていたよ。」
「本当にビビったぜ・・・・主が居なくなったって聞いてどこかに行って帰ってこないかとおもったんだぞ・・・」
「マードックも悪かったな。」
「まあ無事に帰ってきてくれて良かったけどよ。」
「ギル、マードック悪いが一緒に来てくれ。みんなも屋敷の方に入ってくれ。」
「「「「「はい!」」」」」
ケンジは新しい奴隷達に【パーフェクトヒール】を唱え欠損部分を完治させ、これからの事を説明するのだった。欠損を治してもらった奴隷たちはケンジに感謝しどんなことでもすると息巻いていた。
「ギル。悪いがみんなを連れて服や日用雑貨、ベットを人数分よろしくな。」
「はい!」
ケンジが服を買ってやってくれと言ったので奴隷たちは何を言って居るのか解らずギルとマードックに連れられて服屋や雑貨屋につれられ必要なものを買って貰うのだった
「みんな、この家では信じられない事ばかりだと思うが徐々になれてくれるしかないから覚悟したほうが良いよ。」
「マードックさん・・・本当に俺達にこんな服や雑貨品ベットまで用意して貰えるのですか?」
「ああ。主は変わった人がけど頼りになり優しい人だよ。みんなも主の為に早く役に立ってくれよな。」
「こんな待遇で頑張らないとかありえませんぜ。」
「ああ!」
「俺も頑張るぜ!」
男たちはマードック達とギルの後ろについて息巻いていたのだった。そして必要なものを買って帰って来たらすぐにケンジの待っている大広間に男たちを連れてきたのだった。
「おかえり!」
「主様!あんなに立派な日用品を買ってくれてありがとうございました。」
男たち全員が頭を一斉にさげるのだった。
「ああ。必要なものだしね。お礼はいいよ。それより君達にやってもらいたいことがあるんだよ。」
「ギル、マードックありがとうな。」
「「はい!」」
「「「「「何なりとご命令してください!」」」」」
ケンジは鍛冶工房に5人を連れて行ったのだった。ダンギとシェムはケンジの連れてきた奴隷たちに驚いたのだった。
「主殿まさか!奴隷を購入してきたのか?」
「わし達が頑張ると言ったじゃろ?なんでそんな勿体ない事を!」
「まあ、いいからいいから!みんなにはこの商品を作ってもらうからダンギとシェムを親方と思い何でも相談するようにな。」
「ダンギ親方とシェム親方よろしくお願いします!」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
「「ああ!よろしくな!」」
「ダンギ、この者たちは以前鍛冶屋で働いていた者たちだから作業を教えたら自分達で作業できると思うからよろしくな。兄弟子たちと協力して業務用冷蔵庫をそして家庭用を新人に任せたりして段取りよく製作してくれ。」
「まあ、その辺はダンギに任せるからよろしくな。」
「はい!主殿いつもワシたちの事を気遣ってくれてありがとうな。」
「なんだよ急に・・・恥ずかしいからやめろよ。」
ケンジは顔を真っ赤にして自分の作業に戻っていくのだった。そして新人達の協力もあって業務冷蔵庫と家庭用冷蔵庫と2種類の製品を同時進行で製作していくのだった。この製品はテンペの町でなくてはならない製品の一つになり重宝されることになった。
当初冷蔵庫の神鋼魔石は1年は持つだろうと思ていたのだが調整するにあたって半年が限界になり半年に一回のペースで神鋼魔石を交換する事になったのである。
それでも町の人たちは食材の保管が一般家庭でもできるようになり食材を腐らす事がなくなりさらに町の衛生面でも貢献できるようになって食中毒がテンペの町ではほとんどなくなったのだ。
1年前ケンジが言った通り町には食中毒や不衛生で子供が亡くなることが減り町では子供の笑い声が増えたのだった。
町の人たちは子供の死亡率が減ったのはケンジのおかげだと思い町の人たちはケンジに何かあった時は自分達が何か力になろうと常に思っていたのだった。
そして順調に冷蔵庫が売れていたある日ケンジの店にまたギルドから呼び出しがあったのだった。
「ご主人様。失礼します!」
セバスが慌ててケンジの部屋に入ってきたのだった。それを見たケンジはハアと大きなため息をついたのだった。
「セバス慌ててどうしたと言うよりこの先の展開が読めてなんかうんざりだよ・・・・」
「あのご主人様。ギルドから呼び出しがありました!いかがなさいましょうか?」
「まあ、放っていたらいいんじゃないかな。どうせ冷蔵庫がらみだと思うし・・・」
「やっぱりそうですか。」
「まあ、それしかないだろう・・・・たぶん1週間後ぐらいに向こうからやってくるとおもうしそのままにしておいて!」
ケンジはギルドの態度が全然直っていない事に癖壁していたのだった。ケンジがあれだけ言っているのに生産者達はもう初心者ダンジョンの5階層にもたどり着けなくなっていて地上の鉱山で細々とその日暮らしを余儀なくされていたのだった。
それにもかかわらずギルドは支援のひとつもやらずにのうのうとしているのである。たぶんこのままの状態だと今度は流通の問題で町の人たちに何かの支障が出てくるのが目に見えている状態なのである。現に他の町では食料が満足に取れなかったり資材が手に入らなかったりしているのである。
この町ではケンジの肥料のおかげで食糧問題はないし結界の方もギリギリになったらケンジがダンジョンに潜りオリハルコン、アダマンタイト、ミスリルを納品するし、マイが魔物の素材を持ち込むので何とかなっている状態であるのだ。
その噂を聞きつけテンペの町に移住してくる冒険者や他の町の住民が移住してくるためこの2年で税収が上がってきているらしいのだ。
もうこの町はケンジが居てなんぼの町になってきていたのである。着実にケンジが思い描いていた状況になりつつあるのだ。
そして裏の世界、闇ギルドもまた動き出していたのだった。
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