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第6章 ケンジの新しい生産力!
41話 これからの事
しおりを挟むケンジは悩んだ・・・サーシャをこのまま引取り無事育てて行けるのか?平民にしてあげた方が最初は辛い生活になるが後々の事を考えたら結婚もできるかもしれない。だが、このまま自分が引き取るという事は奴隷としてこの子は一生生活することになるのである。
「本当に俺と一緒に来て後悔しないのか?奴隷の人生になるんだぞ。サーシャ君の言ったお母さんにはなれないかもしれないんだぞ?」
サーシャはケンジの言葉に言葉を詰まらせ涙を瞳に溜めたのだった。
「もう・・・あたしにはお兄ちゃんしか頼ることしかできません・・・」
ケンジは更に考えサーシャに答えた。
「わかったよ!サーシャを引取ることにしよう。」
そしてもう一回ケンジは孤児院に行くと言った二人に向き直し二人にももう一回聞き直すのだった。
「君達は本当に孤児院でいいんだな?」
「「・・・・」」
「何でそんなこともう一回聞くんだよ・・・決心が鈍るじゃないか・・・」
「ぼくたちもこれからどうなるか怖いよ・・・」
「ああ、そうだな。だから今しっかり悩んで結論を出してくれ。俺はサーシャを引取ると決めた。さっきまで自信がなかったが引取ると決めたんだ。」
「それってどうゆう事?」
「君達はさっきまでの俺を見て頼りないと思って孤児院に行くと言ったんだろ?」
このガイアースの世界では子供もしっかりした意思表示するのが普通なのである。この男の子はケンジの態度が気に入らなかったので自分達の力で生きていく選択をしたのだった。奴隷になって満足な食事も与えられない自由もないなら十数年我慢してそのあとは自分の好きな事をしようと思ったのだった。
「ああ、そうだ!俺は絶対にこの生活に耐えて自由を手に入れてみせるよ。」
「君もそれでいいんだな?」
「うん。ボクもそれでいい!」
ケンジは団長に向きサーシャだけを引取ると言ったのだった。そして奴隷商店に行き男の子二人は隷属の首輪を外してもらい解放。サーシャはケンジと隷属契約をして奴隷となった。
ケンジ達は昨日の宿屋に戻り三日間宿泊の予定を取ったのだった。サーシャは主と同じ部屋に泊まれるとは思っていなくてびっくりした様子だった。そしてマイたちが部屋に入るや否やケンジに疑問をぶつけてきたのだった。
「ねえ、ケンちゃん。どうして二人も引取らなかったの?」
「そんな軽々しく全員を助ける事なんてできないに決まっているだろ。」
「でも、ご主人様なら問題ありませんよね?」
「あのな・・・よく聞いてくれよ。サーシャ達は自分から望んで奴隷になったと思うのか?」
「それはないと思うけど・・・」
「だろ?だったら先にサーシャ達の意見を尊重してあげないといけないだろ。それに俺だってこんな小さな子供を育てるなんていくら金があっても自信はないよ。」
「でも引取るって事は奴隷として考えたら楽じゃない。」
「マイ・・・引取ったらそんなことできないのはお前も良く知っている事だろ?」
「まあ、そうなんだけどさ・・・」
サーシャはケンジ達が何を言っているのか解らなかったのである。てっきり自分は奴隷部屋に入れられるとばかり思っていたのにご主人様の部屋と一緒なのだ。それに他の奴隷達も一緒なのである。
「まあ、とにかくサーシャちゃんだったよね?あたしはマイよろしくね。」
その後ギルに続き自己紹介していくのだった。そして全員自己紹介し終わった後マードックがサーシャに語りかけたのだった。
「サーシャ。お前は運がいいと思うぞ。今は奴隷に堕ちたと思っているが主に拾われてラッキーだと思うぞ。」
サーシャはマードックが何を言っているのかわからなかったのだ。普通は誰でもそういう反応になるのは仕方がなかったのだ。
「あのラッキーとはどうゆう事ですか?」
マードックはニヤニヤして頷くだけだった。周りを見ても同じ奴隷たちは頷くだけで余計に不安になってしまうサーシャだった。
「お前達!サーシャを不安にさせるんじゃない!マードックもそういうならちゃんと説明してやれよ!」
「あの、ケンジお兄・・・いえ・・・ご主人様。どうゆう事でしょうか?」
「ああ、言い直さなくていいよ。言いづらかったらお兄ちゃんで構わないよ。」
「そんなこと・・・・」
「さっきマードックの言ったことは俺はサーシャの事を奴隷として扱わないってことだよ。」
「はぁ?」
サーシャはケンジが何を言っているのか理解できず変な声を出したのだった。
「サーシャは立場上奴隷になっているだけだ。そして俺は立場上主人って事だけだ。今は君は子供で弱い立場だから衣食住を何もしなくとも補償をしてあげるよ。だけどもうちょっと大きくなったら家の手伝いとかしてもらうよ。」
「どうゆう事ですか?」
ケンジは世間一般で知られているような奴隷の扱いは絶対しないと説明した。だが自分勝手な考え方はしないように重々言って俺の家族の一員になり楽しく暮らす事をサーシャに言ったのだった。
「なっ?ラッキーだっただろ?主の役に立つ事を考え働いたら平民以上の暮らしができるんだぞ。」
「何であんたがそんな偉そうに言うのよ!」
オリヴィアがまた調子に乗ったマードックの頭を叩くのだった。
「痛ってえ~~~!姉貴いつもポンポン頭を叩くなよなあ・・・これ以上馬鹿になったらどうすんだよ!」
「あんたはそれ以上馬鹿にならないから心配ないわよ!」
「ひっでぇ・・・・」
ケンジ達は二人の掛け合いを見て笑っていたのだった。
「あの・・・・お兄ちゃん・・・本当にそんな暮らしをさせてくれるの?」
「信じられないか?」
「うん・・・そんな風になるなんて思っていなかったから・・・」
「まあ、サーシャ達は不幸に合い奴隷になってしまったからなこれから幸せになってくれたらいいと思うよ。」
「だったらなぜあの二人にもそういってあげなかったのですか?」
「ああ・・・さっきも言った通り誰もかれも俺は助けようとは思わないよ。そういったことは孤児院なり王国がやる役目だとおもっているからな。」
「可哀想と思うだけで俺が動いたら何人も引取らないといけなくなるかわからんだろ?俺も慈善事業で生活している訳じゃないんだよ。冷たいと思うかもしれんがそれはわかってくれ。」
「はい。それで冷たいとは思いません・・・お兄ちゃんはあたしを引取ることを決めてくれたんだからあたしは運がよかったんだと思います。」
サーシャはケンジにお礼を言いフカフカのベットに座るのだった。
「ところで主。何でこの町に三日も滞在するんだ?もう用はないだろ?」
「何言ってんだよ。アサシン共を鉱山送りにしただろうが。その懸賞金を貰っていないだろ?」
「あ!なるほど。」
「その計算にかかるのが三日ほどかかるらしいからな。人数が多すぎらしいから時間がかかるんだ。」
「そっかあ・・・でもこの町から闇ギルドがなくなるのはいいことだよな。」
「まあ、無理だろうな・・・」
「え?どうゆうことですか?」
「あの犯罪の証拠の書類あっただろ?」
「あの書類がどうしましたか?」
「わからないのか?つまりだな。あれだけここの貴族たちは腐っているんだよ。闇ギルドは黙認されていたという事でもあるんだよ。」
「えーっとそれって・・・」
「分かりやすく言えば必要悪ってことだ。貴族たちは建前上駄目だと公言しているが裏に回れば闇ギルドを活用しうまい汁を吸っているって事だ。」
「それじゃあ・・・」
「ああ!すぐにこの町の闇ギルドは復活すると思うぞ。」
「ご主人様!わたしがあの・・・一人を逃したせいですか?」
ツバキがケンジに慌てて謝罪してくるのだった。
「まあ、もう気にするな。ツバキは反省しただろ?」
「ですがわたしがあそこで持ち場を離れていなければ・・・」
「ああ!たしかに全員逮捕できていればよかったと思うがこの町の闇ギルドはつぶれたという報告が上がらなくて他の町や本部からの補充が遅れたかもしれないがそれだけだよ。遅かれ早かれ復活すると思うから気にするな。」
ツバキはケンジにそういわれたがこのミッションは闇ギルドを全滅するものであり一人でも逃さないようにするものだった為身体を小さくして落ち込んでいたのだった。
「ツバキ。やったらいけない事はなんだとおもう?」
「ご主人様の命令をきかないことです・・・・」
「それはちがうよ。同じ間違いをしない事だ!今回ツバキは失敗をしたのはわかるな?」
「はい・・・・申し訳ありません・・・」
「ツバキはこの反省を生かして次に生かせばいいんだよ。失敗は誰でもあるんだ。当然この俺もな!だから失敗を悔やむんじゃなくまあ、反省するのは大事な事だけど・・・この失敗を糧に次頑張れ!」
ツバキはケンジを見て涙を流しながらウンウンと頷くのだった。
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